英会話はまったくの「苦手」のまま逃げてきた。現役で活躍するビジネスパーソンには、少なからずこのタイプがいると思います。
しかし最近ではアプリやオンラインで効率的に英語学習ができるサービスが増えてきていて、なかなか「時間」を言い訳にできないことも。英語ができてない本当の理由は日本人の強い「苦手意識」かもしれません。
どうすれば”苦手な英会話”から一歩踏み出すことができるのか？ 長年日本人に英会話コーチを行っており、オンライン英語学習サービス「スタディサプリENGLISH」でも講師を務める人気コーチ、スティーブ・ソレイシィ先生に教えてもらいました。
英語学習ができない圧倒的原因は「時間がない」から？
企業のグローバル化が進む中、日本のビジネスパーソンにとって「英語力」習得の重要性はますます増加の傾向に。英語が話せるか否かが、転職や年収など将来のキャリア形成に大きな影響を及ぼすのです。とはいえ、英語力が必要とわかっていても、なかなか学習に手をつけられない、継続できないという人も多いはず。2017年に行われた、社会人の英語学習の実態調査によれば、英語学習を継続できない理由（複数回答）として、「時間がない」を1位にあげる人がもっとも多かったようです。
（参照元：リクルートマーケティングパートナーズ「2017年 社会人の英語学習実態調査」）
目次
- 日本人が英会話を苦手な理由って？ 英語を喋れるように“ならない”3つのクセ
- 【日常会話編】日常で役立つ、英語上達テクニック。旅先や国内で求められるとっさの一言
- 【ビジネス会話編】ビジネスシーンで英語が「通じる」秘訣と鉄板フレーズ
今回の英会話コーチ
スティーブ・ソレイシィ
米国フロリダ州サラソタ出身。ソレイシィ研究所の代表として 日本の「英語が使える国の仲間入り」を目指した英語教材の企画開発、 英語教授法の研究と人材育成、英会話コーチ、セミナー、講演などを行なっている。BBT大学教授。「スタディサプリENGLISH 新日常英会話コース」講師。
- Twitter：@stevesoresi
日本人が英会話を苦手な理由って？ 英語を喋れるように“ならない”3つのクセ
日本の英語教育に関して熱弁を振るうスティーブ先生
日本は、英語が話せない人が圧倒的に多い国です。「とっさの一言」さえ出てきません。なぜこんなにも「英語が苦手」なのでしょうか？
皆さん「英語が話せない」というけれど、本当の気持ちは「なんであんなに英語の勉強をしたのに、英語が話せないのだろう」ですよね？ それに対する答えは、喋れない人の成績や記憶の問題ではなくて、英語を苦手にさせる英語教育システムに置かれてきたのでは？ というのが私の意見です。
英語の勉強が英語を苦手にしている……ということですか？
学校英語や試験英語で「英文のパーツにこだわらせて正解を1つしか与えない」ことと、日本人の「几帳面でていねい。きちんとしてないと恥ずかしい」という文化的な要素の2つが混ぜ合わさって、とんでもない猛毒ができあがるんです。
その毒、私も飲んだ覚えがあります！
受験英語やTOEICなどの筆記試験は、学習者が間違えやすい英語をあえて取りあげたり、正解が1つではないのにも関わらず「もっともふさわしいものを選びなさい」と細かい違いを突いてきます。そういう勉強ばかりやっていたら、正解にこだわって喋れなくなってしまう。
逆に質問ですが、日本の子どもたちがいつ英語を嫌いになると思いますか？
中学生のときだと思います。
正解。中学1年生の2学期からだそうです。小学校で英語に触れたときには苦手意識はなかったのに、中学に入って英語の基準が細かな文法の組み立てになり、読解問題ばかりでつまずいてしまうと「私は英語ができないんだ」と英語嫌いになってしまうそうです。
英語が苦手な大人の私たちも、苦手を克服できますか？
英語が話せない人の特徴は、「冷蔵庫に食材を入れ続けているのに、肝心のキッチンがない部屋」のような状態です。
キッチンがない部屋とは？
さあ英語を勉強するぞと教材を買い、ありとあらゆる表現を覚えようとしますが、勉強しても生かす場所がないことを指します。「このフレーズを覚えていつか使うぞ」と思っても、使う場を用意しないと絶対覚えませんし使えない。
でも、いきなり外国人と話すのは敷居が高くないですか……？
私も、いきなり見ず知らずの外国人を捕まえて武者修行をすることはオススメしません（笑）。泳ぎを練習したいときも、いきなり海で泳がないのと同じ。その前に「浅いプール」で練習しますよね。
英会話でいうプールは英会話学校？
英会話学校でも、話せる時間が短すぎたり、自分が話したいことが話せなかったら練習になりません。会話時間が長く、自分の伝えたいことを試せる場所、外国人講師に自分の英語力をぶつけられる場を選びましょう。手軽に始められるオンライン英会話もオススメです。
英語が喋れるように“ならない”学習者のクセは？
① 基準のずれ
「英語が話せるようになりたいという」結果に結びつかない学習をしている。話せるようになりたいのなら、文法や読解がメインの試験や教材の問題を解くのではなく、英語で話す練習やスピーキングテストを受けることが必要！ 英会話の基準はまず、「言葉が口から出てくるかどうか」。そしてその言葉が「相手に通じるものなのかどうか」です。これらをクリアしたあとは「相手と上手く会話が弾むか」「何往復のやりとりができるか」「少しウィットに富んだことを言えるか」といったような話術の上達を目指しましょう。
② レールにのった学習
マジメに与えられた学習だけする人はすぐ飽きる。その時々に学びたいことや場所を優先する「わがままな学習者」になって、工夫しながら自分の学習メニューを作って勉強しよう！
③ 使う場がない
週に1度の英語勉強だけでは会話力が身につくまでの道のりはかなり長い。上の2つに加え、英語を使う場所があればあっという間に英語が話せるようになりますが、ただしそれは自ら、英文を作り出して、その場で使うかどうかによります。「（表現を）ゲットしたらすぐ使う」習慣をつけないと話せるようにならない！
「スタディサプリENGLISH」一口メモ①
スティーブ・ソレイシィ先生が講師を担当している「スタディサプリENGLISH 新日常英会話コース」では、知らない人といきなり話したり、オンライン英会話では緊張するという人も大丈夫！ スマホで映像をみながら、英会話レッスンを受けられるので安心です。
【日常会話編】日常で役立つ、英語上達テクニック。旅先や国内で求められるとっさの一言
話す自信のない人でも、日常英会話が伸びる秘訣を教えてください。
まず、よくちまたで聞く「英語が話せなくても、身振り手振りで通じる」は都市伝説です（笑）。もしかするとなんとなくは通じるかもしれませんが、ジェスチャー（「あちら？」「これ？」「OK（親指を立てる）」など）は、言葉と組み合わせて初めて相手にきちんと伝わります。先ほどお話した「英会話の基準は相手に通じるかどうか」ということを思い出してみてくださいね。
次は、文章を止めないこと。よく、話し始めたものの単語で迷ったり、文法を間違えたかな？ と立ち止まって何度も直す人がいます。会話をスムーズにしたいなら、間違いを言ったあとは、あまり気にせず平然とした顔でバッと言い切ったほうがいいです。その後、自分で説明を足せばいいですし、伝わらなかった場合は相手が聞き返してきて、意思疎通が成立するはずです。
外国人を目の前にすると、ついおどおどしちゃいますもんね......。
それはきっと、ただ単に英会話を話した経験、自分の英会話が通じた経験が少ないからだと思います。自信を持って！ そして経験を積みましょう。具体的なアドバイスとしては、完璧な長い1文を話すよりも、まず、簡単な複数の2文、3文と続けて喋る練習を。簡単なフレーズを組み合わせて使えるということは一輪車より二輪車のほうが安定するのと同じ。複数文で話した方が会話力も安定します。
日常会話で英語が「通じる」秘訣！
- ボディーランゲージだけで通じると思わないこと。便利な表現を組み合わせて使おう！
- 「間違ったかな？」と思っても自信を持って文章を言い切ろう
- 難しい1文より簡単な2文、3文をすぐに話せることが会話力と自信をアップさせる
「では、いくつか日常シーンで使える便利なフレーズを覚えていきましょう！」
① 海外旅行を乗り切る便利な一言「May I have 〜？ （〜をいただけますか）」
「〜をいただけますか？／〜をください。」の「〜」は、物だけでなく、人／情報などさまざまなお願いをしたいときに使えるので、旅先では万能な表現です。
- フォークを落としたとき「May I have a new fork?」
- 名前が聞き取れなかったとき「May I have your name, again?」
- メールアドレスを知りたいとき「May I have your e-mail address?」
- 地図をもらいたいとき「May I have a map?」
など、いろんな場面を乗り切ることができます。
② 日本で外国人観光客から道を聞かれたら！ 最初の一言は、「It’s that way. （あちらになります）」＋ジェスチャー（方向を指差す）
最初から詳しく道案内をしようとしない方がベター。自分も言葉につまって苦しくなったり、もし相手が急いでいたらちょっと気まずくなります。そこで、このフレーズとジェスチャを使うことが道案内の第一歩。そこから短文で距離や時間やもう少し詳しい情報を補足していきましょう。また、このフレーズが便利なのは、教わる側に回ったときも「It’s that way?」と語尾を上げれば、道を聞くときにも確認できます。「こっちのほうですか…...？」というニュアンスになります。
「How many minutes does it take? （何分かかりますか？）」
逆に、海外で道を聞いたとき、めちゃめちゃ細かく説明されてヒアリングが追いつかないときがあると思います。そのときに「So… It’s this way?」と言えば確認になりますし、さらに不安なら「How many minutes does it take?」 で、どのくらい離れた場所なのか確認できるのでオススメです。
③ レストランやお店で遭遇した外国人と話してみたい！「Sorry? （すみません）」
日本にいても外国人観光客にバーやレストランのカウンターで隣り合わせなんてことも増えてきました。ちょっと話してみたいけど、すごい英語に自信があるわけじゃない。そんなときは、聞き上手になってみましょう。
名前や単語が聞き取れなかったときは「Sorry?」だけでOK。さっき出たフレーズを生かすなら「Sorry ? May I have that more slowly？（すみません、もうすこしゆっくりお願いできますか？）」なんて言い方もいいですね。
「It was nice talking to you! （お話できて楽しかったです！）」
知らない人とちょっとした会話を楽しんだあと、「じゃあ、このへんで失礼しますね」なんて切り上げるタイミングで言う一言が日本語にありますよね。英語の場合はこれが、その合図になります。相手からこう言われたときの返答は、「It was nice talking to you too.（私もお話しできて楽しかったです。）」や「Likewise.（こちらこそ）」を覚えておきましょう。
ここを押さえれば、さらにGOOD！
英語の発音は1音1音を気にするより「さらっとはやく」言うクセをつけてみましょう。アメリカ英語なら「ソーリー」より「サリ」くらいが通じやすい。カタカナを頼ってOKです。
「スタディサプリENGLISH」一口メモ②
「新日常英会話コース」では、様々な話したいシーンにあわせた多数の表現を徹底セレクト。定額で学習し放題なので、豊富なレッスンから学んでみたいレッスンをピックアップして、新しい表現を手に入れることができます。また、「ごくせん」「ナースのお仕事」などの人気ドラマを多数手掛ける脚本家の江頭美智留氏がシナリオを担当し、海外シェアハウス生活を始める主人公と一緒に学習！
【ビジネス会話編】ビジネスシーンで英語が「通じる」秘訣と鉄板フレーズ
日常会話で自信が湧いてきたところで、やはり最終的には仕事の世界でも英語を使っていきたい。ビジネス英語はどうすればマスターできるのか、教えてください。
ビジネスで気をつける表現というのは最低限20個くらいの注意点はあるけれど、そういう基本を覚えたら、使う英語自体は日常会話とは大差がありません。しかし、大きな違いは、ビジネスは「タイムイズマネー」なんです。これは世界共通。日本でも打ち合わせなどで言葉に詰まっている人がいたら、仕事が進みませんよね？
タイムイズマネー。喋れないことはビジネス上では大問題。
英語の言い回しを間違えるとか、ちょっと表現がおかしいことより、大前提として「言葉が出ず、時間がかかる」ために相手を待たせてしまうことが問題です。またもうひとつの問題は、「言いたいことが通じない」こと。
これがビジネスでは許されない。友達や日常会話では許せる許容範囲が広く、ビジネスでは狭い。ですからどんどん話せること、簡単な表現でもきちんと全員に通じる英語で話せることがまず大切です。
日常会話で英語が「通じる」秘訣！
- 日常とビジネスシーンで使う英語はほとんど同じ
- ビジネスでは言葉の間違いより、言葉が出てこないのが問題
- ハイレベルな表現より前に、簡単なフレーズできちんと通じるように
では、早速簡単なフレーズの練習をしていきましょう！
① 「お疲れ様です」と言いたいとき「Hi.」
仕事の場所では「Hi.」と挨拶されたら「Hi.」と返すのがふつう。初対面でも同僚でも上司でも同じです。あるいは、「Hi, how are you?」と聞かれたら、「Good（fine）, and you?」で十分。「お疲れ様です」と言われて「いやー疲れてるよ」という人はまれ。それと同じく、形式的に聞いてくれていることが大半なので、元気だろうが元気でなかろうが、Goodで返して問題ない。
ここを押さえれば、さらにGOOD！
ハイ！ は発音の仕方で意味が変わります。ハ〜イ！ なら「調子はどう？ 楽しんでる？」みたいになります。仕事の場合は「ハイン」とスッと言う。するとビジネスの場にふさわしい落ち着いた雰囲気の発音になるんです。
② 意見を求められるシーンで「What do you think?（ぜひ、一言お願いします）」
これは使えるというより、ビジネスで英語では必ず言われる一言で、日本人の多くがとまどっているものなんです。つまり「どう思う？」と言われても意見がうまく言えないのです。私からの提案は、実は、ネイティブも「どう思う？」といっても深い意見を求めてるわけじゃないということ。堅く考えず「何か一言お願いします」くらいの意味にとって、気軽に発言してみてほしい。外国人が相手だからといって堅く考えないで。
「スタディサプリENGLISH」一口メモ③
ビジネスに特化した英語を学びたい場合は、マシュー・ニシリアス先生が担当する「ビジネス英語コース」がオススメ。毎レッスンごとにキーフレーズを講師が動画で解説。出張や会議などの複数シーンで使いわける応用方法まで学べるので1分間で3度おいしいミニ講座です。また、学んだレッスンのおさらいとして「瞬間発話プラクティス」の機能をご用意。スマホから流れる相手の発言に瞬時に英語で答えるトレーニングなので、スピードが命のビジネス英語に瞬発力がつきますよ。
最後に、英語が話せる学習方法のポイントを、ここでまとめておきます。
英語が話せるようになる学習3つのポイント
学習効果や結果を見える化しよう
英会話ができるようになりたい、という漠然とした目的だけでは継続が難しいもの。だからこそ学習結果にこだわって、自分の進化を見える化してくとよい。バロメーターは内容が楽しいかや、1つの教材やレッスンを最後までやるかではなく、実際に自分が話せるようになっているか。苦労なく言葉が出てくるようになったか、話してみて相手に通じているか。そのためにスピーキングテストや実地での会話の場など、力試しを取り入れよう。
簡単な単語を繋げて話せるように
喋れない人に必要なのは、言いたいことを「複数の文章」で連続して話せること。簡単な表現でも通じやすい表現、組み合わせて使いやすい表現を率先してマスターすれば上達が速い！
「ゲットしたら使う」を繰り返す
ゲット、ゲットと知識をため込んでいるだけでは絶対に話せない。新しい表現をゲットしたら試しに使う。完璧に覚えていなくても大丈夫。まずは「通じる英語」を目指して試してみよう。
考えすぎて、真面目すぎて、なかなか過去に学んだ英語学習の知識を生かせていない、私たち日本人。「間違ったらいけない」という子供の頃の”毒”を克服して、もっとカジュアルに英会話を楽しんでみるのがよさそうです。
英語を学んで、そして使う場をもっと増やしていく、そんな時に、時間や場所を選ばずに「スタディサプリENGLISH」のようなオンライン英語学習アプリを利用してみるのもいいかもしれません。
（掲載日：2020年1月20日）
文：宮崎綾子
撮影：荒井健
スティーブ先生の講義もあり。継続率90％以上の英語学習アプリ「スタディサプリENGLISH」
シリーズ累計500万DLを突破し、「利用者数」「英会話力向上に役立つ」などでNo.1を獲得した有料英語学習アプリ。予約・通学不要、最短3分のマイクロラーニングで、忙しいビジネスパーソンでも、スキマ時間で充実した学習ができます。
「ウルトラギガモンスター＋（プラス）」なら、スタディサプリENGLISHのスティーブ先生の動画を見ても速度制限を気にしなくて大丈夫！
LINEの無料通話 ・ビデオ通話・FacebookのMessengerなど一部動画SNS放題の対象外があります。
データ通信量上限50GBに加え、対象の動画／SNSサービスならデータ通信量を消費せずに利用できます。スタディサプリENGLISHも対象サービスの1つなので、動画も見放題！
