「League of Legends（リーグ・オブ・レジェンド、以下「LoL」）」の国内最高峰リーグ「League of Legends Japan League（リーグ・オブ・レジェンド 国内プロeスポーツリーグ、以下「LJL」）」の新シーズン「LJL 2024 Spring Split」が始まります。「LJL 2023 Summer Split」 で準優勝を果たした福岡ソフトバンクホークス ゲーミングに今シーズンから、eスポーツの人気選手である Eviさんが加入。加入の経緯や今シーズンへの意気込みなどをインタビューしました。
目次
福岡ソフトバンクホークスゲーミング LoL部門選手
Evi
愛知県出身。LJL優勝10回、Worlds 2021で日本チーム初のメインステージ進出、日本人初のLEC（欧州リーグ）挑戦。日本LoL界のトップを走り続けるレジェンドプレイヤー。
【担当ロール】TOP
海外での経験を新生「福岡ソフトバンクホークス ゲーミング」に
福岡ソフトバンクホークス ゲーミング加入の経緯はなんだったのですか？
Evi選手 何年か前から、福岡ソフトバンクホークス ゲーミング責任者の小針さんに声をかけてもらっていたんです。今年も再び声をかけてもらった際に熱意を感じ、この人と一緒にやってみたいと思ったのが一番大きな理由です。
特に熱意を感じた言葉はありますか？
Evi選手 日本で10年ほど連続優勝して世界大会に出て、海外チームでもプレイして、選手人生やり切ったかなって思っていました。実力が落ちてからではなく、強い状態のまま辞めたい気持ちがありました。
そんな僕に小針さんは、「やれるだけやり続けるのもレジェンド。それもまた価値のあること」と、海外リーグから日本に戻り活躍しているスポーツ選手を例に話してくれました。その話を聞いて、それもありかなと思ったんです。
Evi選手への熱い思いが伝わったんですね。加入前は日本人で初めてヨーロッパリーグに挑戦されていましたが、海外リーグはいかがでしたか？
Evi選手 面白かったし、楽しかったですね！ 自分しか経験していないという感覚にすごく特別感がありました。
The 16 days boot camp in Madrid is almost over. It was a really fun and difficult 16 days...! Tomorrow I'll go back to Japan, take a little rest, and practice hard again!
— SHG Evi/えびンモ (@ebihuryahurya) December 20, 2022
マドリードでの16日間のブートキャンプが終わります。23日のThe k4senにもオフラインで参加させていただきます！ pic.twitter.com/rjuzZf2Bwz
日本でプレイするのとはどのような違いがありますか？
Evi選手 言語と練習の両立が大変でした。簡単な言葉であれば英語で話せるようになったのですが、プレイする上のボキャブラリーや、試合の反省会でどう英語で表現すればいいか分からず、積極的に発言ができずに主体性がなくなってしまって歯車が狂ってしまった時期がありました。
どのように乗り越えられたのですか？
Evi選手 マインドを切り替えましたね。「LoLはチームプレーかつリアルタイムで動くゲーム。常に自分で考える必要があるのにこのままではいけない」と。改めて考え直して主体性を持って発言をしなければならないことを自覚し直しました。
海外に行ったからこそ成長できたことはありましたか？
Evi選手 一番は価値観が広がったことですね。自分にとっては不可解な行動でも、相手にとっての理由がある。例えば反省会の際、日本では「良いと思うけど、こうするといい」と遠回しに意見を言いますが、ヨーロッパでは「ここがヘタだ」とストレートに表現します。ヨーロッパは多国籍で、それぞれの国に常識があるため、遠回しに言っても伝わらないのです。いろんな考えがあることを学びましたね。
Evi選手はどのようなプレイスタイルなのですか？
Evi選手 一言で言うと「頑固な鍛冶職人」ですかね。特定のキャラクターを極めて、そのキャラでできる限界を相手に押し付けるイメージです。自分の得意なキャラクターであれば、世界トップレベルに通じるという自信があります。
Evi選手はチーム内ではどのような役割なのですか？
Evi選手 僕は、練習など試合前の準備で9割勝負がついていると考えています。練習の効率を上げるため、練習が始まる10分前に集まってその日の目標や練習のプランを作ってはどうか、反省会をする時間はゲーム終了してから1、2分クールダウンしてからしてはどうか、などコーチに提案してきました。ゲームでのプレイ以外の範囲はコーチの仕事と考える人が多いので、他の選手にはない自分の持ち味ではないかと思いますね。
今シーズンから新しいチームで戦うと言うことですが、もうホークスのチームメンバーには会いましたか？
Evi選手 まだ全員に会えていなくて、2人だけ会ったのですが2人とも明るいしコミュニケーションも積極的でとても楽しい雰囲気です。※
早く全員に会って日本食でも食べにいきたいですね。日本の食事は本当においしいので。
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2023年12月時点
海外での経験をチームの一員としてどのように生かしていきたいですか？
Evi選手 海外で、言語が分からなくてもプレイできたのであれば、日本語が通じるならなんでもできる気がしています。そのように、海外での経験や大事だと思ったことを伝えていきたいです。また、海外での経験に限らず、プレイヤーとしてはベテランになるので、若い選手にアスリートとして自分の学んできたものを共有したいです。
Evi選手を擁する福岡ソフトバンクホークス ゲーミングが世界を目指す。LJL2024春シーズン開幕
Evi選手が加入した福岡ソフトバンクホークス ゲーミング、昨シーズンのLJLは惜しくも準優勝。今シーズンは昨シーズンの雪辱を果たす戦いとなります。
LJLは今年からリーグのチームが8チームから6チームに。LJL上位3チームは、香港・台湾・マカオなどが所属する「PCS」で行われるプレイオフに進むことができます。春シーズン（Spring Split）はPCSプレイオフの上位1チームが世界大会のMSIに出場でき、夏シーズン（Summer Split）はPCSプレイオフ上位2チームがWorldsに出場できます。
険しい道となりますが、今までは日本で1位になった1チームしか世界大会には挑戦できませんでしたが、「PCS」のプレイオフでアジアの強豪選手と戦う機会、そして世界で戦うチャンスが増えたということです。
今シーズンは、Evi選手以外にも新メンバーやコーチを迎え新生「福岡ソフトバンクホークス ゲーミング」で世界に挑みます。
強さと楽しさを見せられる試合を届ける
福岡ソフトバンクホークス ゲーミングのヘッドコーチに就任したVicaLさん。Evi選手の印象や今シーズンにかける思いなどを聞きました。
福岡ソフトバンクホークスゲーミング LoL部門 ヘッドコーチ
VicaL
Worlds 2014 準優勝、2020 LLA 優勝。世界中のトップリーグで指揮してきた経験を持つヘッドコーチ。長年の経験と豊富な知識でチームに変革をもたらす。
コーチから見たEvi選手の魅力はなんですか？
VicaLコーチ まだチームの練習を始めて間もないですが、Evi選手は思っていた以上に理想的な選手です。個人の成功だけでなく、チームのため、チームの勝利のためなら何でもしようとする情熱がすごく、とても貴重な選手です。私もEvi選手からたくさん学ぶことがあります。
Evi選手を迎えた新生チームにはどのようなことを期待しますか？
VicaLコーチ Evi選手とForest選手が加わって、福岡ソフトバンクホークス ゲーミングはLJL内でもっとも昨年からの選手と新たに加入した選手の調和がとれたチームと言えるでしょう。
通常、チームのメンバーなどが新しくなると、各自がこれまでの勝利方法を突き通そうとする傾向があり、意見の衝突や対立が起こりがちです。しかし、Evi選手は個々の勝利方法に対して広く理解し、チームメンバーの考えを尊重します。また、他の選手たちも互いを認め合い、異なる考えを一つにまとめようとする意識を持っています。さらに、個々のライン戦能力や交戦能力が優れているため、どのラインも弱い部分がなく、バランスがとれています。現時点では意思疎通や息を合わせる過程に問題があるかもしれませんが、すぐに改善されると思いますし、その課題を解決することさえ楽しみにしています。
「World」出場権を賭けた今季リーグへの意気込みを聞かせてください。
VicaLコーチ ファンの皆さんが期待するような、楽しい試合をお見せできる強いチームを作ります。また、単に勝つことだけではなく、プロセスの段階から高いレベルで取り組みたいです。たくさんの応援をお願いします。
最後に、Evi選手に今シーズンに向けた抱負とメッセージをいただきました。
「ファンの皆さん、いつも応援してくれてありがとうございます。今シーズンは、日本で作ってきた記録に対して挑戦して「過去の自分を超える」ことを目標にして取り組んでいきます。また、皆さんが『福岡ソフトバンクホークス ゲーミングの試合だ、見るぞ』となってくれるようなチームを目指して頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします」
（掲載日：2024年1月19日）
文：ソフトバンクニュース編集部
