スマートフォンやタブレットで、誰でも夜景の撮影を気軽に楽しめるようになりました。ただ、「目の前のキラキラした輝きがどうもスマホで撮るとさえない」「どうしたら "映える" 写真が撮れるの?」と感じている人も多いでしょう。実はほんの少し工夫するだけでグッとすてきな写真に変わります。また、最近のスマホのカメラ機能を活用すると、一眼レフカメラも顔負けの夜景を撮ることもできます。本編では、夜景撮影術の基本「夜景モード」を解説します。
目次
【前編】
夜景撮影の基本テクニック「夜景モード」をマスターしよう
目の前に広がるキラキラな夜景。ところがスマホで夜景を撮ると見ている光景より暗く写ってしまって印象が違う、と感じることがあるかもしれません。夜景写真をもっと明るく撮りたいとき、知っておくと便利な機能が「夜景モード」です。
最近は多くのスマートフォン機種に、「夜景モード」(ナイトモード)機能があります。「夜景モード」は暗い場所でも鮮明な写真が撮影できる画期的な機能です。多くの場合、周囲の明かりが「暗い」とスマホが判断したとき、自動で「夜景モード」に切り替わります。そのため、ユーザーは特に意識せずに「夜景モード」を利用しているケースも少なくありません。標準で撮った場合と、「夜景モード」で撮った場合の比較が下の写真です。
「手ブレ」に注意しよう
現在のスマホには、高精度な「手ブレ補正」機能が搭載されています。手ブレは撮影時にスマホが動いてしまうと発生します。
「夜景モード」や「明るく露出補正」によって、夜景を明るく、きらびやかに撮ることができます。ただ、注意点があります。夜景撮影のような暗い場所では、スマホは撮影に必要なだけの光を取り込むため、シャッター速度を遅く(撮影している時間を長く)して撮ります。撮影時には通常スマホは「カシャ」とシャッター音が一瞬だけしますが(機種によってシャッター音は異なります)、シャッター速度が遅いと「カ・・・・シャ」のように、シャッター音の時間が長くなります。このとき、スマホを動かしてしまうと「手ブレ」の原因になってしまうのです。「カ・・・・シャ」の間、スマホを動かさないようにしましょう。
「手ブレ」を防ぐには、三脚や一脚を使用するのが最良です。気軽に撮影できる手持ち撮影で手ブレを防ぎたい場合は、スマホを持つ姿勢としては脇をしめてスマホを持ち、動かないようにシャッターボタンを押すことが重要です。なお、その際に柵や手すりなど、スマホを置いて撮影すると、より「手ブレ」が発生しにくくなります。
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三脚や一脚は使用が禁止されている施設・場所があります。撮影には周囲の人や環境に気を配り、ルールに従って撮影を楽しみましょう。
【iPhone】夜景モードの使い方
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横持ちを例に解説しています。
iPhone では通常、スマホが暗いと判断した場合は自動的に「夜景モード」になります(①)。夜景モードのとき、画面の左下に黄色で夜景モードのマークと秒数が表示されます。例では「1秒」と表示されているので、1秒間、スマホを固定しておく必要があります。
暗いのに自動で「夜景モード」に切り替わらない場合は、夜景モードのアイコン(②)が「オフ」になっていないか確認します(タップするとオン/オフが切り替わります)。オンにしても夜景モードにならない場合は、左上の「Live Photos」アイコンをオフ(③)にします。
iPhoneが自動で「夜景モード」に切り替わらない場合、画面左の「^」(④)をタップし、プレビュー画面の「夜景モード」のアイコンをタップ(⑤)します。
夜景モードは「オフ」「自動」「最大(x秒)」からスライダー(⑥)を動かして選択できます。最大を選んだときは、シャッタースピードがさらに遅くなりますので、カメラを動かさないように、より気を配る必要があります。(最大のシャッター速度の秒数はスマホが自動的に提示します。下記のように「8秒」(⑦)の場合、三脚などを使用して固定しないと手ぶれしてしまいます)
構図を決めたらシャッターボタンを押して撮影します。シャッター音が2回なって撮影が終わるまで、スマホを動かさないようにします。
【Google Pixel】夜景モードの使い方
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横持ちを例に解説しています。
Google Pixel ではカメラ画面を起動すると「写真」モードになります(①)。
画面下部の「写真」の上「夜景モード」(②)をタップして選択します。画面のシャッターボタンが「三日月」のマークに変わります(③)。画面の例ではシャッター速度が2秒になることを示しています(④)。④をタップすると夜景モードの設定ができます。(カメラを起動した時点で③が三日月のマークが表示されていれば、自動で夜景モードになっています)
夜景モードは「自動」「最大」「天体写真」から選択できます(⑤)。それぞれの設定でのシャッター速度の時間が表示されます。例えば、「自動」が2秒、「最大」が6秒と表示されたら、自動では2秒間、最大を選んだ場合は6秒間、スマホを動かさずに撮影します。6秒の方が手ブレのリスクが高まります(天体写真を選択すると×分間固定しないといけないので、三脚は必須になります)。
構図を決めたらシャッターボタンを押して撮影します。シャッター音が2回なって撮影が終わるまで、スマホを動かさないようにします。画面中央に二重の円(⑥)が表示されるので、中央の●が外の円からはみ出ないように注意してください。
夜景モードを活用して実際のスポットで撮ってみました
ここからは実際の夜景スポットで撮影した写真を紹介していきます。構図のヒントも参考にしてみてください。
高い展望台から見下ろした、一面に拡がる東京の夜景は見事で感動的です。写真で残したいものですよね。ところが、写真全体はキラキラと輝いていても、主題となる被写体がないと、心を動かす写真を撮るのは難しいことが多いのです。
こんなときは構図に東京タワーなどのシンボル的な被写体をワンポイントとして入れた方が印象深い写真になります。
東京スカイツリーも夜景モードで撮ると明るくきらびやかに撮ることができます。
みなとみらい(神奈川県横浜市)は最もフォトジェニックな場所のひとつです。横浜ランドマークタワー、観覧車など、シンボルになる建物を入れて、構図を工夫しながら撮影してみましょう。
港では船も夜景の被写体になります。
横浜ベイブリッジと月を構図に入れた星景写真も印象的な一枚に。
異世界感を漂わせ、効率的にねじ曲げて配置されたパイプ、立ち上る煙やフレアスタック(工場の煙突などから吹き上がる炎)など、SFのワンシーンのような工場夜景も人気の被写体のひとつです。その魅力的な工場の風景も、スマホの夜景モードを使ってすてきな写真を撮ることができます。
いかがでしたか? 何回撮ってもどうしても暗くなってしまう… というお悩みもこれで解消しそうですね。夜景モードを覚えて、ぜひたくさん写真を撮ってみてください。
後編では夜景撮影で欠かせないもう1つのテクニック「露出補正」について解説します。
(掲載日:2024年12月10日)
文・写真・監修:神崎洋治
編集:ソフトバンクニュース編集部