イルミネーションや夜景がキレイな季節ですね。キラキラと輝く光の景色に感動して、スマホで写真を撮ろうとしたけど、なかなか上手には撮れずに悔しい思いをしたことがある方は多いのではないでしょうか。実は標準のカメラアプリでも、撮り方次第でこんなに変わっちゃうんです!
写真①の場合、実際の景色より暗く見えて何かガッカリしそうですが、写真②だと“キラキラさ”があって、すぐにSNSに投稿したくなりそうな写真ですよね。この写真の違い、実はスマホに搭載されているカメラの機能を使って、ちょっと気をつけるだけで生み出したものなんです。そこでスマホのカメラでキレイにイルミネーションを撮影するポイントについて、プロ写真家の神崎洋治さんに聞いてみましたよ!
神崎 洋治(こうざき ようじ)
TRISEC International,Inc.代表。
テクニカルライター兼コンサルタント。雑誌、「ロボスタ」等のウェブメディア、新聞等でIT関連の寄稿多数。報道写真や商業写真を年間4千枚以上撮影。デジタルカメラやレタッチ関連の書籍も多く執筆、監修しているほか、初心者向けに撮影やレタッチ講座の連載、人を惹きつける写真の撮り方の講演実績など多数。
Twitter:@internetman
「今回は東京ミッドタウン日比谷と東京ミッドタウン(六本木)におじゃまして、イルミネーションを実際に撮影してきました。ぜひ今回お伝えするポイントを活用して、ワンランク上のイルミネーションを撮りまくってみてくださいね」
スマホでイルミネーションを撮影するポイントはこちら!
- ポイント①:明るさを意識してキラキラ度アップ
- ポイント②:本来の色がなくなる!? 白飛びに注意
- ポイント③:輝きが増す! ピントと明るさを合わせる位置を選ぼう
- ポイント④:夜は特に注意! 手振れを防ごう
- ポイント⑤:撮影する構図(配置)を工夫すると奥行き感が変わる
ポイント①:明るさを意識してキラキラ度アップ
最初に紹介した写真はスマホのカメラの「明るさ補正(露出補正)」を使って、写真の明るさをアップして撮ったものです。最近のスマホのカメラは性能が高く、“シャッターボタンを押す”だけでそこそこキレイな写真が撮れるのですが、明るさの調整(露出補正)をすることでもっと良くなるんです。
方法は簡単!スマホのカメラで撮影する画面でピントを合わせたい場所の画面をタップすると太陽のマークが表示されるんです。
その画面で、太陽のマークを指で上にドラッグすると、写真の明るさがアップしていくんです。
たったこれだけで、明るい“キラキラ”の写真を撮ることができますよ!
別の角度でもう1パターン撮影してみました。
ポイント②:本来の色がなくなる!? 白飛びに注意
明るさ補正でキレイな写真を撮ることができるのですが、注意点があります。それは明るく設定すればするほど、本来は青や黄色く光っている電球やライトアップが、白くなっていきます。それは写真を明るくし過ぎたために発生する「白飛び」というものです。
イルミネーションでは「白飛び」を狙ってキレイに撮影する場合もありますが、本来の色がなくなってしまうため、あまりカッコイイものではありません。画面で明るさを確認しながら、「白飛び」しないように、上手に調整しましょう。
明るさ調整の比較
ポイント③:輝きが増す! ピントと明るさを合わせる位置を選ぼう
人を撮影する場合、スマホのカメラが一番近くの人の顔を検知し、「ピント」(フォーカス)と「明るさ」を自動でその人に合わせるように設定されているため、シャッターボタンを押すだけでキレイな写真を撮ることができます。
しかし、イルミネーションを撮る場合は、ピントと明るさを合わせたい被写体をタップして指定します。今回では写真のクリスマスツリーをタップすることで、ピントと明るさを合わせます。これを利用することで、写真の明るさをコントロールできます。
ちなみに、左側の木の枝をタップするとどうなるでしょうか。ピントも変わり、暗い部分に明るさが自動調整されるので、クリスマスツリーの明るさが少し強すぎるような印象になります。ポイントとしては、自分自身が撮影した地点から近い、暗めの箇所を探し、タップすると自動調整でも良い明るさがでてきますよ。
ポイント④:夜は特に注意! 手ぶれを防ごう
キレイに撮ったと思って、再度見返していたら、ぶれてしまっていた!という残念な写真になっていることがありませんか? イルミネーションや夜景を撮るとき、特に注意してほしい部分として「手ぶれ」があります。
最新のスマホのカメラでは「手ぶれ補正」機能が搭載されているものがほとんどで、多少の手ぶれを防ぐことはできます。ただ、ちょっとしたコツを知ることで手ぶれを防ぐことができるんですよ。
(参考)なぜ、夜は手ぶれが多い?
写真をキレイに撮るためには光が必要です。光が少ない夜は、少ない光を取り込むためにシャッタースピードを遅くして昼間よりも長い時間かけて撮影します。文字で表すと昼間が「カシャッ」に対し、夜は「カ…シャ」というイメージです。このとき、カメラが動けばぶれてしまう、これが「手ぶれ」の原因なんです。
対策1:スマホを固定
対策として最も効果的なのは三脚や一脚を使用し、スマホを固定することです。ただし、安全上の理由から、会場によっては使用禁止の場所もあります。そのため、三脚の代わりに塀や柵などにカメラを固定して撮影する方法もあるかもしれません。そういった場所が無い場合、手持ちの最終手段として「脇の下を閉めてカメラを持ち、ぶれないように意識して撮る」ことが重要なんです!
対策2:連写やタイマーを使用
シャッターボタンを押す瞬間に手が動くことでカメラも動き、写真がぶれてしまうことがあります。手ぶれが気になる場合は実は「連写」を使うことも有効な方法です。連写だとシャッターを押した後に複数枚の写真が撮られるため、複数枚の写真の中から手ぶれの無い写真を選ぶのも有効です。最近のスマホではAI(人工知能)を使って、シャッターを押す前後の写真をを搭載しているものもあります。
また、シャッターを押すかわりにタイマーを使う方法もあります。タイマーの時間はそれぞれ設定できますので、短く設定して活用するのも効果的です。
対策3:ズームは使わない
カメラにはズーム(望遠)機能がありますが、手ぶれが起こりやすい原因の一つです。ズームしているときは視野が遠くにあるため、スマホがちょっとぶれただけでも、より大きく動いてしまうからです。被写体を大きく撮りたい場合は被写体に自分が近づいて撮るように心がけましょう。
ポイント⑤:撮影する構図(配置)を工夫すると奥行き感が変わる
イルミネーションや夜景を撮るときにも大切なのが撮影する構図(配置)です。構図を少し意識して、カメラを構える位置や方向を変えるだけで写真はまったく違ったものになります。ただ、「良い構図って何?」って思った方は次の作例を参考にいろいろ試してみると、シーンに合わせた良い構図の撮り方が見えてくるかもしれません。
目線よりやや高い位置でスマホを構えて撮影
一面に拡がるイルミネーションを撮るときは、スマホを高い位置に構えて撮りましょう。何か高い場所、台などに乗ることで高い位置になりますね。
目線より低い位置でスマホを構えて撮影
縦の立体感を表現しつつ、背景に都会のビルなどの建物を入れて撮影したい場合に使えます。しゃがんで斜め上に向けると低い位置になります。
対角線を意識して撮影①
動きや奥行き感(遠近感)を表現したい場合に使えます。例えば、左上から右下へ対角線を意識して撮影してください。撮り方はさまざまですが、安定できる姿勢でスマホを斜めに構えて撮影すると良いかもしれません。
対角線を意識して撮影②
夜空を背景にしたシャボン玉が舞い上がる幻想的な光景です。空に舞い上がるようなものを撮影する場合に使えます。スマホを斜めに構えて撮影するだけでなく、しゃがんで下から見上げるように撮りました。
スマホを横向きではなく、縦向きで撮影
縦持ちで撮ると、奥行き感(遠近感)が強調でき、撮影者が伝えたい部分が表現しやすくなります。この写真では光のイルミネーションから東京タワーへと視線が導かれる気がしませんか?
いかがでしたか?
ちょっとしたポイントを押さえるだけで、こんな“キラキラ”な写真がたくさん撮れるんです。この記事をブックマークしてチャレンジしてみてくださいね!
(掲載日:2018年12月14日)
文:神崎洋治、ソフトバンクニュース編集部
写真:神崎洋治
協力・撮影地:東京ミッドタウン日比谷、東京ミッドタウン(六本木)