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LINEで誰かが傷つかないために。LINEヤフーが目指す健全なコミュニケーションのあり方|SoftBank SDGs Actions #36

LINEで誰かが傷つかないために。LINEヤフーが目指す健全なコミュニケーションのあり方|SoftBank SDGs Actions #36

「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsの実現に向けて取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、社員自らの言葉で紹介します。36回目は、コミュニケーションアプリ「LINE」の運営サポートを担うLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社による、安心安全なコミュニケーションサービス利用促進に関する取り組みです。

劉筱筑(Liu・Hsiaochu)さん

LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社

劉 筱筑(Liu・Hsiaochu)さん

LINEヤフーコミュニケーションズの前身である、LINEの国内の第2拠点であった「LINE Fukuoka」に入社後、LINEのゲーム翻訳や台湾向けサービスの改善分析を経て、8年前から現職。LINEヤフーとカスタマーサポートの現場をつなぐ横断的な役割を担う。

トラブルを未然に防ぐ。LINEヤフーがユーザーと共に目指す安心なコミュニケーションの場

月間アクティブユーザー数9,900万人と、国内人口の約8割が利用しているコミュニケーションアプリ「LINE」。1対1や複数人でのメッセージのやりとりにとどまらず、ショート動画などのコンテンツを自由に閲覧できるLINE VOOMや、誰でも参加して会話ができるLINEオープンチャットなど、さまざまなコミュニケーション機能を提供しています。

私が所属する部門は、LINEヤフー株式会社のグループ会社としてLINEのカスタマーサポートのコンサルティングを請け負い、運営状況の把握・分析や、AI機能の導入などをはじめとする改善提案を行っています。ユーザーの声をサービス改善につなげる取り組みや、リスク対応の提案・導入サポートが主なミッションです。

カスタマーサポートというと、ユーザーからの問い合わせや何か問題が起きたときに動くイメージが強いですよね。ですが、「予防的アプローチ」にも注力しています。カスタマーエクスペリエンスの向上を検討するにあたってさまざまなデータを分析したところ、ユーザー体験の質が、サービスの継続利用率や満足度に大きく影響することが明らかになってきたからです。また、「安心して利用できる環境」を求める声が年々増加していることが浮き彫りに。特に若年層ユーザーは、自分たちの意見が尊重される、健全なコミュニケーション空間を求める傾向が強いことが分かりました。

トラブルを未然に防ぐ。LINEヤフーがユーザーと共に目指す安心なコミュニケーションの場

LINEヤフー株式会社「メディア透明性レポート(2024年度)」をもとに作成

こうした背景に、近年ますます社会課題として問題視されているSNS上のリスクが関係しているのは明らかです。近年は匿名で利用できるものや、誰でも閲覧・参加できるオープンな場を提供するSNSサービスも増えており、そうしたSNSの性質ゆえに、個人への悪質な攻撃や犯罪につながるような投稿が行われ、ときに人の命にかかわる重大な結果を招くこともあります。

私たちは、LINEのサービス提供を通じて、質の良いコミュニケーション体験を提供したいと思い日々運営しています。誹謗(ひぼう)中傷や不適切な書き込み、特殊詐欺や副業詐欺、闇バイトの勧誘などのさまざまなリスク。こうした危険性についてきちんとした知識がないと、思わぬかたちで誰かを傷つけたり、自身が犯罪に巻き込まれたりすることもあります。これらの課題を重く受け止め、「SNSの誹謗中傷に対するユーザー認知向上企画」を立ち上げました。

SNSのトラブルを未然に防ぐ。LINEヤフーがユーザーと共に目指す安心なコミュニケーションの場

「リスクを知り、見積もり、自分の行動を選び取る」。SNSを安心・安全に利用できる力を身に付ける

「SNSの誹謗中傷に対するユーザー認知向上企画」は、「問題が発生する前に対処する」ことを目指し、根本的な課題解決に向けた取り組みです。

みんなが理解できる新しいLINE利用の羅針盤を。利用者目線でつくるLINEの投稿基準

まずは、誰もが安心してLINEを利用できる環境づくりの一環として、2024年に「LINEの投稿基準」を大幅にリニューアルしました。発言・発信や情報の取り扱い、不特定多数の人との関わりなどのカテゴリごとに、基本ルールや、してはいけないことを明確に提示しています。

特徴的なのは、誰にでも分かりやすい表現にこだわった点。リニューアルにあたり、さまざまなSNSプラットフォームなどの投稿基準を確認してきましたが、難しい記述もあり、多くの人が十分に理解できていないのではないかと思います。そこでLINEヤフー株式会社の広報、政策渉外やCSR教育関連部門の協力のもと、2、3カ月かけて内容を検討しました。どういう表現なら伝わるか、「中学生でも理解できる言葉」で書くことをとことん追求。同時に、保護者などを想定した人に向けたパートも盛り込んでいます。若年層の世界ではどんなことが起こっているのか、当事者でないとなかなか見えづらいものです。子どもたちを見守る立場である大人目線の情報も必要だと考えています。さまざまな立場の人が読んでも非常に分かりやすい内容になったと思っていますので、ぜひ一度読んでみてください。

みんなが理解できる新しいSNS利用の羅針盤を。利用者目線でつくるLINEの投稿基準育

LINEの投稿基準リニューアルに関するXでの情報発信

「知っている」から「できる」へ。地域で実践する生きたSNS教育

当社が拠点を置く福岡市を中心とした地域では、個別の啓発活動を行っています。私が講師として登壇した九州大学の講義では、1〜3年生の約120人を対象に、SNSの仕組みやリスク、そして「どんな投稿がどういう影響を与えるのか」について具体的な事例を交えて説明しました。LINE VOOMやLINEオープンチャットに備わっている通報機能についても紹介したところ、驚いたのは、通報機能の存在自体を知らない学生が多かったこと。確かに目立ちにくいかもしれませんので、まずはどこからできるのか知ってもらうと同時に、「通報しても相手には通知されない」「通報時には理由を選ぶようになっている。正当な通報は優先的に対応される」など、正しい知識を伝えることの重要性を実感しました。

福岡市内の高校生が職業体験の授業の一環で来社し、当社の取り組みを紹介する機会もありました。中には大学生よりもSNSリテラシーが高い生徒もいて、学校教育での啓発活動が進んでいることも感じました。ただ、情報として知っていても、実際にそれをどう判断し、生かすかはまた別の力。そこを支援することが、私たちの役割だと思っています。

他にも、全国の学校や自治体などを対象に子どもたちへの情報モラル教育を行う「LINEみらい財団」の受託業務を通じて、中学校・高校での出張授業なども実施しています。こうした活動後、学生・児童からのフィードバックでは、リアルな悩みや具体的なシーンでの疑問などが寄せられることも多いです。

「知っている」から「できる」へ。地域で実践する生きたSNS教育

大阪府内の中学校にて出張授業の様子

中高生など若い世代の意見はとても率直で、サービス改善のヒントにもなります。啓発活動にあたっては、一方的な情報提供ではなく、リアルな声に耳を傾ける、双方向のコミュニケーションを大事にしていきたいと思います。

社内外の連携で進める、より安全な利用環境づくり

こうした取り組みを実現するためには、社内外のさまざまな関係者との連携が不可欠です。
私たちは、日々のカスタマーサポートの現場で得られた気づきや課題を、定期的に事業部や政策渉外チームと共有しています。さらに、より安心・安全なLINEの利用環境を実現するために、LINEサービスの企画・開発チームとも協力し、基準に反する投稿の事前検知機能へのAI活用の可能性について不定期に議論を重ねています。

最新のインターネット利用動向 を把握するため、昨年はLINEヤフーと共に「福岡県青少年の安心・安全なインターネット利用推進連絡会議」に参加しました。この会議では、総務省、福岡県教育委員会や福岡県警など多様なステークホルダーと、青少年のSNS利用における現状や課題について活発な意見交換を行いました。

さらに、最近ではソフトバンク株式会社のCSR部門と連携し、岡山県が推進する特殊詐欺対策にも協力しています。具体的には、詐欺の手口を理解してもらうための仮想体験ツールを開発し、LINEでのリアルなやりとりを体感できる取り組みを実施しています。

社内外の連携で進める、より安全な利用環境づくり

将来的には生成AIで誹謗中傷の投稿かどうかを判別できるようなツールを開発できたらいいなと考えています。市民講座のような形で、さらに広い層にリーチできる仕組みを作り、ユーザーと一緒に考える場を作れたらと思います。


私たちが伝えたいのは、インターネットを介したコミュニケーションにはリスクがあるという事実だけではありません。便利で楽しいツールである一方で、誰かを深く傷つけることもあるからこそ、その両面をしっかり理解する必要がある。リスクを知り、見積もり、自分の行動を選び取る力を持ってもらうために、これからも活動していきたいです。

誰かを攻撃する場所ではなく、LINEが “誰かとつながる場所” であってほしい。そんなコミュニケーションの環境を、一人一人の意識と行動に働きかけ、実現していけたらと思っています。

社内外の連携で進める、より安全な利用環境づくり

ソフトバンクのサステナビリティ

サステナビリティ

今回紹介した内容は、「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」することで、SDGsの目標「1、3、4、8、9、10、11」の達成と社会課題解決を目指す取り組みの一つです。

人・情報をつなぎ新しい感動を創出

(掲載日:2025年9月11日)
文:ソフトバンクニュース編集部