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トレンドから研究開発中の技術まで盛りだくさん! エンジニアが主役の「SoftBank Tech Night Fes 2023」が開催

トレンドから研究開発中の技術まで盛りだくさん! エンジニアが主役の「SoftBank Tech Night Fes 2023」開催

3月16日、ソフトバンク竹芝本社で「SoftBank Tech Night Fes 2023」が開催されました。このイベントは、ソフトバンクで働く有志のエンジニアが主催しており、日々取り組む研究や技術について発表が行われています。今回は会場とオンラインによるハイブリッド形式で、ソフトバンクだけでなくグループ企業のエンジニアも登壇。会場とオンライン合わせて500人を超える参加となった、この “オールソフトバンク” なイベントの様子を取材しました。

目次

QRコードでサクッと入場。テクノロジーを活用した「チケットNFT」

QRコードでサクッと入場。テクノロジーを活用した「チケットNFT

今回は、初となる「チケットNFT」を使った入場が実施されました。来場者はスマホでチケットのQRコードを表示し、スタッフに読み取りをしてもらって入場完了。スタッフがQRコードを読み取ると一度限りのトークンが発行され、チケットがその人だけのものという証明がされるという仕組み。紙のチケットと異なり偽造がされにくく、使用済みになるとチケットの所有者、運営側どちらにも通知されるためなりすまし防止にも効果的です。

QRコードでサクッと入場。テクノロジーを活用した「チケットNFT」

こちらが実際にスマホでチケットを表示し、スタッフがもぎり(QRコードの読み取り)をする様子。「え、もう終わりですか?」と、本当にスマホだけであっさりと完結してしまう便利さに驚き。

このチケットNFTの仕組みを支えるのが、「Web3」という技術。「Web3」とは、特定の管理者がいない、ブロックチェーン技術によって実現した分散型インターネットのことをいいます。

そして、Web3で実現されるデジタル経済圏で流通するのがFT(デジタル通貨)とNFT(デジタル所有権)です。デジタル世界での「カネ(FT)」と「モノ(NFT)」の所有が、ブロックチェーンによって管理・証明されます。

Web3についてはこちらで詳しく解説しています

Web3もNFTも、実は身近なところで活用できる。チケットNFTの仕組みを解説

「Web3」をテーマにした講演では、今回のイベントで使用されたチケットNFTの仕組みや、その応用であるスタンプラリーNFTについて解説されました。

小倉聡司(おぐら・さとし)

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット サイバーセキュリティ本部
小倉聡司(おぐら・さとし)

「Web3は現在ほとんど使われておらず、まだ浸透していない技術ですが、近い将来ブロックチェーン技術とともに社会の基盤となり、意識せずとも誰もが利用する時代が来ると確信しています。例えば、チケットNFTでは『個人間で自由に二次流通できる』、『誰でも偽物と本物の判別が可能』、『誰でも使用済みか否かの判別が可能』などのメリットがあります。仲介者を必要とせず、人と人とが直接かつ透明性高くデータのやり取りができる未来も近いと考えています。

Web3もNFTも、実は身近なところで活用できる。チケットNFTの仕組みを解説!

日々の業務では、Web3やブロックチェーンの社会実装に向けて『現実世界で役立つ』こと、『NFTの活用をキーにする』という2点を意識しています。今後はチケットNFTなどの検証で培った知識・技術を応用し、ソフトバンクのサービスにつなげていきたいですね。

チケットNFTについては、SoftBank Tech Nightの場を借りて、何度か『チケットNFTの発行ともぎり』の実証実験をしてきました。そこで見えた技術的な問題点を改善しつつ、利用者からサービス需要の確かな手応えを感じているので、ぜひ何かにつなげていきたいと思います」

社会を良くする、もっと便利な未来に向けて取り組む研究開発

当日は合計20の講演が行われ、多くの人が参加・視聴しました。その中でも私たちの生活で実用化が進む、注目度の高い技術や研究に関する発表を紹介します。

高齢化や運転手不足解消の糸口として期待される「自動運転」

2023年4月、限定的なエリアでの完全無人化による運転が可能な「レベル4」が道路交通法の改正によって解禁され、ますます注目が高まる自動運転。このレベル4の解禁に伴い重要度が増す「遠隔監視技術」について講演が行われました。

須山温人(すやま・あつと)さん

BOLDLY株式会社 CTO
須山温人(すやま・あつと)さん

「まさに今、自動運転は社会実装の夜明けというタイミング。自動運転制御技術だけでなく、AI(人工知能)による遠隔監視やインフラ連携、冗長化などさまざまな技術を駆使して実証を行い、どこよりも早く自動運転の実用化を進めているのがBOLDLYです。地方における公共交通の廃止や撤退、運転手の高齢化や担い手不足など、自動運転モビリティサービスを早期に実用化することで、あらゆる地域で移動問題の課題解決につながります」

BOLDLYが開発・提供する遠隔監視システムの画面

BOLDLYが開発・提供する遠隔監視システム「Dispatcher(ディスパッチャー)」の画面

高齢化や運転手不足解消の糸口として期待される「自動運転」

「個人的に10年近く『自動運転モビリティサービスの実用化』というテーマに取り組み続けてきたので、それがいよいよ日本でも解禁されることにとても喜ばしくワクワクしています! 今後は日本初のレベル4自動運転サービスの実現を目指し、パッケージ化して多くの地域に広げていきたいです。熱意のあるエンジニアにもっとこのワクワクする状況を知ってもらいたいですね」

位置情報と人流予測はこんな分野でも。避難訓練で検証が進む「災害DX」

インターネット検索や広告配信などでよく利用される位置情報ですが、災害時における位置情報や人流予測の研究や実用化についての取り組みも進められています。避難訓練における人流データの活用に関する講演が行われました。

上山宏(うえやま・ひろし)さん

株式会社Agoop
上山宏(うえやま・ひろし)さん

「私からは、内閣府主催による避難訓練における人流データの活用についてお話しました。実際の実証実験の内容を踏まえて説明させていただいたことがポイントです。やはり、利用される方やそのニーズを知るには実際に現地でシステムを体感してもらい、フィードバックをいただくことがもっとも良い方法であると実感しました。今後はより多くの自治体で避難訓練の実証実験を実施し、可視化システムの改善を行い災害DX(デジタルトランスフォーメーション)の進化に貢献できればと考えています」

位置情報と人流予測はこんな分野でも。避難訓練で検証が進む「災害DX」

位置情報と人流予測はこんな分野でも。避難訓練で検証が進む「災害DX」

「避難訓練の参加は初めての試みだったため、成功させるためにどのような準備をすべきかをチーム内で議論や検討を重ねてシステムを開発しました。避難行動のリアルタイムな可視化は避難訓練参加者や関係者の共感を得られ、その重要性を改めて実感しました。今後は、災害時に救助が必要な場所を選定するための人流の異常検知AIなど、研究要素の強い技術についても発表していきたいと考えています」

「なぜモバイルネットワークは大規模通信障害が起こるのか?」素朴な疑問から始まった思考実験

近年は大きな通信障害が記憶に新しいのではないでしょうか。より堅ろう性が高く大規模なモバイルネットワークを造るための研究開発についても発表されました。

堀場勝広(ほりば・かつひろ)

ソフトバンク株式会社 先端技術研究所 先端NW研究室
堀場勝広(ほりば・かつひろ)

「この研究テーマに取り組むにあたって、最初に思い立ったことは『なぜAmazonのBlack Fridayのような巨大ECサイトのイベントでは問題なく動くのに、モバイルネットワークでは輻輳(ふくそう)によって、ときに大規模で長時間にわたる障害を起こしてしまうことがあるのか』という素朴な疑問でした。

「なぜモバイルネットワークは大規模通信障害が起こるのか?」素朴な疑問から始まった思考実験

現在のモバイルネットワークは、ウェブとクラウドの技術を適用するのが難しいアーキテクチャ(構造)をしているため、このギャップを埋めることでモバイルネットワークの堅ろう性と規模性を高められるのではないかと考え研究開発をしています。

この技術は『モバイルネットワークが障害なく当たり前のように使えること』に貢献していく技術だと考えています。この10年でモバイルネットワークは社会生活を支える重要なインフラになりました。スマホが普及し、データ通信速度が上がっていったことによって、緊急通報だけでなく、電子決済や公共の手続き、映像を使ったコミュニケーションなど、社会生活には欠かせないものになりました。

加えて5G(第5世代移動通信システム)ではモバイルネットワークの産業利用も期待されていますので、これまで以上に普通に使えて当たり前、逆に障害が許容されないインフラになったと言えます。この当たり前をいかに高いレベルで実現していくか。これこそが通信事業者に課せられた大きな仕事だと考えています。

「なぜモバイルネットワークは大規模通信障害が起こるのか?」素朴な疑問から始まった思考実験

今回の発表は、モバイルネットワークをウェブとクラウドの技術に適合させるという取り組みであり、あくまで未来のモバイルネットワークを検討するための思考実験です。決して今のモバイルネットワークを、この技術に置き換えたいと言っているわけではありません。『次世代のモバイルネットワークはどうあるべきか』というフェアな検討をするにあたり、さまざまな考え方にもとづく研究と実験が必要なんだと思います。そのために少し偏った思考にもとづいた実験を行い、6Gあるいはその先に向けて『本当に必要なもの』は何なのかを見定めながら、標準化団体や業界団体へ情報発信をしていきたいと思っています」

テクノロジーにグループ間の壁は不要。「オールソフトバンク」なイベントに!

講演にはヤフー株式会社、LINE株式会社、SB C&Sのエンジニアも登壇。グループ会社の講演が行われたのは今回が初めてということで、まさにオールソフトバンクなイベントとなりました。

テクノロジーにグループ間の壁は不要。「オールソフトバンク」なイベントに!

テクノロジーにグループ間の壁は不要。「オールソフトバンク」なイベントに!

テクノロジーにグループ間の壁は不要。「オールソフトバンク」なイベントに!

テクノロジーにグループ間の壁は不要。「オールソフトバンク」なイベントに!

(掲載日:2023年4月25日)
文:ソフトバンクニュース編集部

SoftBank Tech Night #11の開催が決定

SoftBank Tech Night #11の開催が決定

次回は6月12日(月)、「実務に活かすAI技術と最新動向」というテーマでソフトバンクのエンジニアがAI技術に関する知見を発表します。詳しくはイベントの詳細ページをご確認ください。

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