最大約4万人を収容できる福岡ソフトバンクホークスの本拠地「みずほPayPayドーム福岡(以下「みずほPayPayドーム」)」。観客動員数は、1993年から20年以上パ・リーグ1位を誇っています※。
試合やイベント開催時には、みずほPayPayドームやその周辺に多くの人が集まることで、スマホの利用が急増。楽しい時間を満足して過ごしていただくためには、ストレスなくスマホを使える快適な通信環境が必須です。毎年増え続ける通信量に対応するソフトバンクの電波対策を取材してきました。
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「パシフィック・リーグ年度別入場者数(1950-2023)」(一般社団法人日本野球機構)
みずほPayPayドームの通信品質の課題とは
建築面積 7万m²以上で国内最大級のみずほPayPayドーム。野球だけでなく、コンサートや展示会などさまざまなイベントで利用されており、「BOSS E・ZO FUKUOKA」などの周辺施設を含めたエンターテインメントの拠点となっています。野球開催時で約4万人、コンサート開催時で約5万人を収容し、近年では通話やメッセージのやりとりだけではなく、QRコードチケットやQRコード決済、ソーシャルメディアなど、ユーザーの行動変化に伴い、通信量が増加する一方となっています。
毎年増加する通信量に対応するため、プロ野球のシーズン終了から翌年の開幕までの約半年間に、ソフトバンクの品質対策チームが通信量を予測し、必要な対策を行っています。ドーム球場ならではの主な課題は、次の4つです。
- 電波環境が外部と遮断されていること
みずほPayPayドームは閉鎖空間となっているため、外部からの電波が届きにくく、内部に専用の基地局を設置する必要があります。 - 限られた設置スペース
通信設備を設置できるスペースが限られています。 - 特殊な環境下での通信エリア構築
金属製の屋根を持つみずほPayPayドームの内部は特殊な環境となるため、電波の反射や屈折、干渉が大きく、通信エリア構築が複雑。ミリ波などの高い周波数帯の電波は高速大容量通信が可能ですが、直進性が強く、観客の動きで通信が遮断されることがあるという課題があります。 - 施設のリニューアルに合わせた対応の実施
みずほPayPayドームでは、定期的に観戦体験の向上や施設のリニューアルが行われていることで、毎年形を変えたり、設備が増設されたりするため、環境変化に合わせたエリア管理・対策が必要になります。
実はこんなところに基地局があるんです
大規模な同時接続や高速大容量通信の需要に対応し、通信品質を維持・向上するため、ソフトバンクは毎年みずほPayPayドームで万全の対策を実施しています。
ドーム内の限られたスペースで最大の効果を
約4万人の観客に対応するため、球場内の6階付近、一塁側と三塁側の対角線上に2カ所、4Gと5Gの基地局を設置。
みずほPayPayドームのキャットウォークに並ぶアンテナ
2023年から24年にかけて、5G対応のスマホが増えてきたこともあり、5Gに少しずつシフトしています。また、ドーム球場特有の反射波に対応するため、電波を発射する方向が重要です。干渉を抑制するため、測定結果にもとづいてアンテナの調整などを実施しています。

ドーム内のスタンドと店舗や休憩場所があり回遊通路でもあるコンコースは、別々の基地局でカバー。スタンド向けのアンテナは屋外で使用するものと同じ大きさですが、天井が低いコンコースは商業施設と同じように天井裏に小型のアンテナを設置しています。
ユーザーの行動変化に伴う通信量増加に対応
ソフトバンクに割り当てられている全ての周波数帯の電波を利用してカバー。2.5GHz帯と3.5GHz帯では、Massive-MIMO技術で高速性を向上。基地局間および周波数間のバランスを取る設定を実施することで、輻輳(ふくそう)を発生させないようにしています。
3.5GHz帯 Massive-MIMO対応のアンテナ
観客がより快適で、没入感のある観戦体験を楽しめるようなARナビゲーションや、リアルタイムAR演出などスマートスタジアム化に向けた検証が進められているみずほPayPayドーム。ホークスの本拠地だからこその通信品質を、ぜひ現地で体感してみてくださいね。
(掲載日:2024年7月12日)
文:ソフトバンクニュース編集部