
YouTubeやInstagram、TikTokといったSNSなどで、自分の日常を動画形式で発信する「Vlog(ブイログ)」。スマホ1台で簡単に作れる手軽さから、制作にチャレンジする人が増えています。家の中でのルーティンやお出かけ、旅行の様子を撮ったりと、コンテンツの内容は人によってさまざま。
動画クリエイターのJEMMAさんに、Vlogの作り方の基本や自分らしいコンテンツを作るコツを教えてもらいました。
目次

大切な思い出を一つのストーリーに残せるVlog

YouTubeやSNSでタイムラインに流れてくるVlogを見て「自分も作ってみたい」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか? Vlog作りの魅力について、JEMMAさんに教えてもらいました。
配信方法が多様化する一方、個人での楽しみ方も
Vlogとは「Video Blog(ビデオブログ)」の略で、日常の出来事や体験などを動画形式で記録・公開するコンテンツです。2010年代後半から海外で人気が高まり、国内でも注目されるようになりました。配信プラットフォームはYouTubeが一般的ですが、最近はYouTubeショートに加え、InstagramやTikTokなどSNSに投稿される縦型のショートVlogも人気を集めています。
ただ、JEMMAさんは「Vlogを必ずしもインターネット上で公開する必要はない」と提案します。
JEMMAさん 「実際、私も作ったものの世に出していないVlogがたくさんあります。旅行のVlogを作って、一緒に行った友達や家族にシェアしたり、何年か経った後に自分で見返したり。映像であれば写真や文章では伝わりにくい“空気感”や“表情のニュアンス”まで伝わりますし、さらに撮りっぱなしの素材よりも見返しやすくなるのがVlogの魅力であり、本質だと思います」
公開を前提にするとどうしても制作のハードルが上がってしまいますが、まずはプライベートで楽しむものとして、気軽に作り始めるのも良いかもしれません。
共感と親近感を生むVlogの人気テーマ・ジャンル
Vlogには、形式もテーマも決まりはありません。YouTubeなどでもさまざまなVlogが公開されていますが、よく視聴されるテーマ・ジャンルとしては、次のようなものが挙げられます。
| ルーティンVlog | モーニングルーティン、ナイトルーティン、平日・週末の過ごし方など |
|---|---|
| ライフスタイルVlog | 料理、メイク、ペット、収納、趣味を楽しむ様子など |
| 旅行Vlog | 旅行の記録、食べ歩きなど |
| 勉強・作業Vlog | 勉強の様子を撮影した「#study with me」など |
| ひとりごと・雑談Vlog | 日常の出来事、最近の悩み、好きなことなど、トークがメインのVlog |
JEMMAさん 「コロナ禍以前は、『シネマティックVlog』と言われるようなしっかりと作り込まれた動画が人気でした。しかし最近では、“等身大”や“自然体”なコンテンツが求められる傾向にあるように感じます。作り込まれていないからこそ、視聴者も共感や親近感を抱きやすく、それがVlogならではの魅力となっているのだと思います」
撮影から編集、投稿まで。スマホ1台で完結するVlog作りの流れ
そんなVlogを作るとき、初心者にぴったりなのがスマホです。ここからは、Vlog作りに必要な準備や流れを、JEMMAさんに解説していただきます。
初心者もスマホ1台でVlogデビュー
Vlogは高性能なビデオカメラや特別な機材がなくても、スマホ1台で簡単に制作できます。スマホカメラが高性能化し、動画編集アプリも多数。撮影から編集、そして投稿まで、1台でシームレスに完結できる手軽さが魅力です。
JEMMAさん 「今は無料でも使える動画編集アプリがたくさんあります。選ぶときは、①操作が簡単、②フォントやエフェクトが豊富、③SNSとスムーズに連携できる、といった点に注目すると良いでしょう。さらに、撮影するテーマやシーンに合った機能があるかどうかもチェックしておきたいところ。例えば、街中での撮影なら、モザイク機能が簡単に使えるアプリがおススメです」
スマホ以外にあると便利なアイテム3選
Vlog作りは基本的にはスマホ1台で完結しますが、映像のクオリティをさらに高めたいなら、三脚・マイク・ジンバルといった撮影グッズを取り入れてみましょう。

左から三脚2種、マイク、ジンバル
三脚
カメラを動かさずに撮影するときは、三脚があると便利です。小型の卓上タイプから高さ調節ができるタイプまで、さまざまな種類があります。
マイク
動画に声を入れる際は、音声が重要になります。スマホのマイクでも十分声を拾えますが、外部マイクを使うとよりクリアな音声が収録できます。
ジンバル
ジンバルを使うと手ブレが軽減され、スムーズな映像が撮れます。走りながらでも手ブレが抑えられ、街歩きや動きのあるシーンで映像のクオリティが格段にアップします。
4ステップで簡単!Vlog制作の基本的な流れ
続いて、Vlog作りの具体的な流れを見ていきましょう。
①配信プラットフォームを決める
配信プラットフォームによって、アスペクト比や動画の長さ(尺)、解像度が異なります。どのプラットフォームに投稿するか、あらかじめ決めておきましょう。
| YouTube | YouTube ショート |
Instagram (リール) |
TikTok | |
|---|---|---|---|---|
| アスペクト比 | 16:9 | 9:16 | 9:16 | 9:16 |
| 最大尺 | 12時間 | 3分 | 3分 | 10分 |
- ※
上記は2025年7月時点の情報です。アルゴリズムの変更や新しい機能の導入に伴い変更されることがあります。
②テーマや構成を考える
Vlogのテーマは自由ですが、まずは気軽にチャレンジできる家の中から撮り始めるのがおススメです。また、前述したようにVlogの魅力は作り込み過ぎないことなので、構成はあまりきっちり考える必要はありませんが、作り慣れていない人が何も決めずに撮り始めてしまうと後から編集が大変になります。撮影前に「導入」「メイン」「締め」といった3つぐらいの構成をざっくり考えておくと、ストーリー性のある動画を作りやすくなります。
③素材となる動画を撮影する
カメラの設定は、4Kの方が解像度は上がりますが、容量も大きくなるので1080HDがおススメです。 Google Pixel で撮影する場合、録画設定は「1080p HD/30fps」が良いでしょう。撮影するときはスマホを両手で持ち、脇を締めて、手ブレをしないようにしっかりと構えます。動画の長さは、最低でもワンカット5〜10秒で撮影しておきましょう。

※ Google Pixel の場合
JEMMAさん 「撮影した素材は、その場で整理するのがおススメ。フォルダを分けたり、使わない映像を削除したりしておけば、編集をスムーズに進められます」
④動画を編集する
基本的な流れは、次の3ステップです。
- 動画編集アプリに素材を読み込む
- いらないシーンをカットする
- 動画にテキストを入れる
JEMMAさん 「自分が撮った素材には愛着が湧くので、『全部使いたい』となってしまいがちですが、他の人が見ると意外と長く感じます。客観視して、『ここは全部見せなくてもいいかな』『ここまで映せば伝わるな』と思い切ってカットしていくことも必要です」
初めてのVlogは「おうち時間」から。実際に撮影してみよう!
基本的な流れをつかんだところで、初心者が始めやすい「おうちVlog」を例に、撮影のポイントをご紹介します。
今回は、【導入】おやつとドリンクを準備する→【メイン】おやつを食べる→【締め】ドリンクを飲みながら読書、という流れで撮影してみましょう。
初心者はインカメラでの撮影がベター

まずは、スマホカメラのセッティングをします。アウトカメラの方が高性能ですが、撮影に慣れないうちは、画面を確認しながら撮れるインカメラの方がおススメです。映したいものがしっかり収まっているか、不要なものが映り込んでいないかを確認しましょう。
手前をボカしておしゃれな雰囲気に

今回はインカメラを使って撮影

前ボケを取り入れたときの撮影画面
最初におやつとドリンクを準備するシーンを撮影します。手前に植物などを置き、あえてぼかす「前ボケ」の表現を取り入れると、映像に奥行きが生まれ、被写体への注目も集まりやすくなります。
寄りと引き。同じカットも複数パターン撮影

まずは引きを撮影

次に寄りのカットも撮影
続くドリンクをグラスに注ぐシーンでは、寄りと引きの2パターンを撮影します。寄りの映像が続くと圧迫感があり、引きの映像ばかりだと単調でつまらない動画になりがちです。同じシーンでも「寄り」と「引き」の両方を撮っておくことで、映像に自然な緩急が生まれ、より見ごたえのある動画に仕上がります。
視点に変化をつけよう

自分視点でドリンクを飲むシーンを撮影

ドリンクを飲みながら読書するシーンは第三者視点からも
最後のドリンクを飲みながら読書をするシーンは、自分視点と第三者視点の2つの方向から撮影しました。同じシーンでも、視点を変えるだけでまったく違う印象の映像になります。
JEMMAさん 「2つのカットを編集でつなぐことで、途中で画角が切り替わり、視聴者を飽きさせない映像になります。特に今人気の縦型ショートでは、ワンカット1秒程度で次々シーンが切り替わるVlogも増えてきています。15〜30秒程度の短いVlogの場合、ワンカットを3〜5秒程度にするとテンポの良い動画に仕上がりますよ」
このようにワンカット3秒程度の動画を4〜5カットをつなぐだけでも、立派なVlogが1本完成します。
ありふれた日常をおしゃれに。ワンランク上の編集テクニック

基本をマスターしたら、次は“自分らしさ”をプラスしてみましょう。ワンランク上のVlogを作るコツや再生回数を上げるための工夫を教えていただきました。
フィルターはVlog内で統一
映画のような雰囲気や明るくさわやかな印象に仕上げたい時は、「フィルター」の活用が効果的です。フィルターを使う場合は、すべての動画クリップに同じフィルターを適用し、統一感を出しましょう。
テロップは短く簡潔に
1秒間に読めるのは4文字程度と言われています。長い文章は映像の妨げになるため、テロップを入れる場合は短く簡潔にまとめましょう。
タイトル・サムネイルにこだわる
動画を再生してもらうには、まず目に留まることが大切。タイトルやサムネイルは見ただけで内容がイメージできるように作りましょう。また、動画の雰囲気に合ったデザインにするのもポイントです。
LINE Cameraを使ったおしゃれなタイトルの作り方
「LINE Camera」を使うと、文字がくり抜かれたおしゃれなタイトルを作成できます。ここでは、無料で使用できる動画編集アプリの中でもJEMMAさんがおススメという「VITA」を例に編集の手順をご紹介します。
- 「LINE Camera」の「ペイント」で白の背景を選択します。

- 「テキスト追加」でタイトルとしてくり抜きたいテキストを入力し、画像として保存します。

フォントはさまざまな種類がありますが、太めのものがくり抜いても見やすいのでおススメです。文字色は「黒」にします。
- VITAを開き、タイトルを追加したいプロジェクトを選択。画面下の「PIP」をタップし、「写真」から先ほど作成した画像を追加します。

- 「ブレンド」をタップし、「スクリーン」を選択。透過率を「80%」にしてチェックボタンをタップします。

- タイトルのサイズと位置を調整して完成です!
紹介した撮影テクニックや編集を使って、スマホのみで作ったVlogがこちらです!
撮影から投稿までスマホ1台で手軽に作ることができるVlog。これまでスマホの中で埋もれていた動画もVlogにすることで、再び輝きを取り戻すはず。今回ご紹介した方法を参考に、ぜひ気軽にVlog制作にチャレンジしてみてください。
(掲載日:2025年7月14日)
写真:山崎悠次
文:東谷好依
編集:エクスライト
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