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「AIの利用が増え続けると…」データ処理需要にどう応えるか。北海道苫小牧市で建設が進む次世代AIデータセンター

「AIの利用が増え続けると・・・」データ処理需要にどう応えるか、北海道苫小牧市で進むAIデータセンターの取り組み

ソフトバンクのTVCM「次世代AIデータセンター篇」、もうご覧になりましたか?
本CMは、テクノロジーは幸せをつくれるか、という問いの下、社会課題の解決に向けた取り組みを発信する「社会課題に、アンサーを。」プロジェクトの一環として制作されたものです。1月上旬に公開されたこのCMの舞台となっているのが、北海道苫小牧市で建設が進む「北海道苫小牧AIデータセンター(以下「苫小牧AIデータセンター」)」です。生成AIの普及に伴い急増するデータ処理需要に備え、建設が進められています。建設地としてなぜ苫小牧市を選んだのか、現場を動かしてきた担当者の取り組みについて話を聞きました。

話を聞いた人

  • 所属は全員ソフトバンク株式会社

石丸 博之(いしまる・ひろゆき)

公共事業推進本部 東日本自治体DX推進室

石丸 博之(いしまる・ひろゆき)

自治体との連携を担当。北海道・苫小牧市をはじめ、地域との対話を通じてAI・DX活用を推進。

香川 成矢(かがわ・せいや)

次世代社会インフラ推進室 企画部

香川 成矢(かがわ・せいや)

AIデータセンター構想の立ち上げを担当。地域や自治体との調整を行いながら、構想全体を推進。

杉本 龍一(すぎもと・りゅういち)

次世代社会インフラ推進室 企画部

杉本 龍一(すぎもと・りゅういち)

AIデータセンター建設の全体調整を担当。関係部門や制度面の調整を含め、プロジェクトを統括。

西﨑 祐樹(にしざき・ゆうき)

デジタルインフラ開発本部 DC技術推進部

西﨑 祐樹(にしざき・ゆうき)

AIデータセンターの建設を担当。設計から施工まで、現場の進行をマネジメント。

北海道苫小牧の地図

苫小牧AIデータセンターの建設は今どこまで進んでいるのか。地域とともに進む取り組み

AIの進化に感心する福山雅治さんに、「このままではデータ処理がパンクしてしまうかもしれない」と語りかけるAIましゃはる。ソフトバンクのTVCM「次世代AIデータセンター篇」は、社会課題の解決に向けた取り組みを発信する「社会課題に、アンサーを。」プロジェクトの一環として制作されたものです。
生成AIの急速な普及に伴い、社会が直面しつつある「データ処理量の急増」という課題と、その解決策の一つとして進められている苫小牧AIデータセンターの取り組みが描かれています。

CMの中で触れられている「膨大な量のデータ処理を可能にする」苫小牧AIデータセンター。その舞台となっている苫小牧では、実際にどこまで建設が進んでいるのでしょうか。

西﨑 祐樹(にしざき・ゆうき)

「苫小牧AIデータセンターは、2023年ごろから計画を進めてきました。 設計検討や施工業者の選定行政協議等の工程も含めて見ると、全体としては6〜7割程度まで進んでいる感覚です。これほど大規模なデータセンターの場合、構想から完成まで通常は5年程度かかると思います。そうした中で、2026年度の開業を目標に、非常にタイトなスケジュールの中で進めています」

短い工期の中で建設を進めるにあたり、施工体制や進め方について判断や調整が求められる場面も多かったと思います。どのような工夫を重ねてきたのでしょうか?

西﨑 祐樹(にしざき・ゆうき)

「北海道の特需(札幌駅前再開発、北海道新幹線、ラピダスなど)により、人手不足が深刻で、請負っていただける施工業者を見つけることが非常に大変でした。
そこで、何度も各施工業者のオフィスへ1社1社直接足を運び、本PJを何としても成功させたい想いを粘り強く説明していきました。結果として、北海道地元の施工業者をはじめ、何とか苫小牧DCを建設できる体制を整えることが出来ました。また、施工体制を確実に確保すべく、通常よりも早いタイミングで施工業者選定と内示を行ったり、現場工期を短縮するため、新たな技術であるコンテナ型UPS・非常用発電機の採用など、出来る限りの工夫を行うことで求められる工期に対応をしてきました」

苫小牧AIデータセンターの建設は今どこまで進んでいるのか。地域とともに進む取り組み

建設を進める中で、工事以外にも配慮している点はありますか。例えば、制度面や自然環境への対応などについて教えてください。

杉本 龍一(すぎもと・りゅういち)

「苫小牧AIデータセンターの建設は、経済産業省の補助金事業でもあるため、建設工事と並行して、現場の確認や書類のチェック、資産管理のルール整備なども進めています。補助金が適切に使われているかを確認する作業は想像以上に多いですが、その分、計画を着実に前へ進めるための大切なプロセスだと考えています。
また、敷地内の自然環境についても、動植物の生態調査を行いながら工事を進めるなど、安全面への配慮も含めて、現場では一つ一つ確認しながら対応を重ねています」

香川 成矢(かがわ・せいや)

「実際に現地に足を運ぶと、自然の豊かさを実感する場面も多いですね。敷地内では、シマエナガやキツネ、シカといった動物に出会うこともあります。工事を進める中でも、そうした環境をきちんと把握し、守りながら進めていくことを意識しています。
また、造成に伴って伐採した木材についても、そのまま廃棄するのではなく、チップ化して再利用するなど、できる限り無駄を出さない工夫をしています。大規模な建設ではありますが、地域や自然とどう向き合うかは、常に考えながら進めています」

データ処理需要、拠点分散、立地条件。なぜ北海道苫小牧市が建設地に選ばれたのか

データ処理需要、拠点分散、立地条件。建設地として、なぜ北海道苫小牧市が選ばれたのか

苫小牧AIデータセンターの建設地を検討するにあたり、前提となったのは、生成AIの普及によって今後さらに拡大すると見込まれるデータ処理需要でした。

データ処理需要の増加や、拠点が特定の地域に集中している状況を踏まえ、建設地として検討が進む中で、なぜ苫小牧が選ばれたのでしょうか。

香川 成矢(かがわ・せいや)

「生成AIの普及によって、今後コンピューターでのデータ処理に対する需要は大きく増えていくと考えています。一方で、日本ではデータセンターをはじめとしたデジタルインフラの多くが東京圏と大阪圏に集中している状況です。AI向けのデータセンターは莫大な電力を必要とするため、同じ地域に集積し続けることは電力供給の面で課題があります。また、東京や大阪で大規模な災害が発生した場合、日本全国のAI関連システムに影響が及ぶ可能性も否定できません。こうした背景から、データセンターや電力を地方へ分散させ、データと電力の地産地消が可能な構造へ転換することがAIの社会実装にとって重要だと考えました。
分散拠点の候補地として北海道を選んだのは、冷涼な気候による冷却効率の高さや、再生可能エネルギーのポテンシャル、東京圏・大阪圏と十分な距離があり同時被災のリスクが低い点などを総合的に判断した結果です。中でも苫小牧は、工業地域としてまとまった土地があり、将来的な拡張も見据えた建設が可能でした。北海道内では積雪が比較的少なく、工期や施工面でのリスクを抑えやすい点も理由の一つです。さらに、自治体と対話を重ねる中で前向きに話を聞いていただけたことも含め、総合的に判断し、苫小牧が適した場所だと考えました」

石丸 博之(いしまる・ひろゆき)

「苫小牧市は国際拠点港湾である苫小牧港と北海道の空の玄関口である新千歳空港を擁する交通の要衝で、北海道を牽引する産業拠点都市です。その利便性から多様な産業が発展しており、さらに周辺で先端産業の集積というプロジェクトが進行するというポジティブな環境です。人口減少や担い手不足といった社会課題を背景に、AIやデジタル技術をどう活用していくかは、苫小牧市だけでなく他の自治体としても重要なテーマです。こうした地域の状況を踏まえると、AIデータセンターの建設が苫小牧で進められていることは、前向きに受け止められていると感じています」

データ処理需要、拠点分散、立地条件。建設地として、なぜ北海道苫小牧市が選ばれたのか

苫小牧市とは、どのような経緯で対話を重ねるようになったのでしょうか。

石丸 博之(いしまる・ひろゆき)

「ソフトバンクは以前から北海道庁や道内自治体とDXの活用による課題解決、さらにAI技術の導入について意見交換を続けてきました。そうした中で、データセンターの建設計画が進められていた苫小牧市についてはデータセンターの活用や地域経済との連携を相談したのが最初のきっかけです。単に施設を建てるのではなく、地域経済への波及や雇用の創出、先端産業が集積していくことによる地域の活性化など、この取り組みが地域にもたらす可能性についてもお話ししてきました。その結果、少しずつ理解を深めていただけたと感じています」

AIデータセンターを通じて見えてきた、苫小牧市からの期待

AIデータセンターを通じて見えてきた、苫小牧市からの期待

これまでの市とのやり取りの中で、特に印象に残っていることはありますか。

石丸 博之(いしまる・ひろゆき)

「建設が始まって間もない頃は、ニュース報道などで存在は知っているものの、『実際に何ができるのか分からない』という声を、自治体関係者や地域の方から聞くこともありました。
対話を重ねる中で、『地域としても前向きに関わっていきたい』『北海道を盛り上げる取り組みとして期待している』といった反応が少しずつ増えてきたと実感しています」

香川 成矢(かがわ・せいや)

「AIデータセンターは、何をしている施設なのか分かりにくい部分があります。だからこそ、起工式や、ニュースなどで取り上げていただいた機会を通じて、なぜ必要な施設なのか、地域に貢献する取り組みであることを丁寧に伝えることを意識してきました。徐々に、自治体関係者や地域の方と直接言葉を交わす機会も増えてきたと感じています」

苫小牧AIデータセンターを通じて、今後どのような価値を提供していきたいと考えていますか。

西﨑 祐樹(にしざき・ゆうき)

「短い工期の中で進めていますので、くれぐれも事故が無いように安全第一で進めることと、現場で一つ一つ確認しながら品質の良いDCを建設することが最優先です。そして、AI時代の基盤として将来を見据えた上でさまざまなサービスに対応できるDCに仕上げていきたいと考えています。建設がゴールではなく、竣工後、長く使われていくものなので、将来を見据えた土台をしっかりつくることを意識しています」

杉本 龍一(すぎもと・りゅういち)

「単に設備をつくることが目的ではありません。増え続けるデータ処理需要にどう応えていくのか、AIを前提とした社会をどう支えていくのかという問いに対する、一つの準備だと考えています。地域と対話しながら進めてきたこの取り組みが、今後さまざまな形で活用されていく基盤になるよう、引き続き丁寧に取り組んでいきたいと思います」

苫小牧AIデータセンターは、現在建設が進められており、2026年度の開業を予定しています。

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(掲載日:2026年2月18日)
文:ソフトバンクニュース編集部