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“圏外” を “つながるエリア” に。衛星通信サービス「SoftBank Starlink Direct」実用化までの軌跡

“圏外”を“ つながるエリア”に。衛星通信サービス「SoftBank Starlink Direct」実用化までの軌跡

普段使っているスマホで衛星通信を直接利用できる、ソフトバンクの衛星通信サービス「SoftBank Starlink Direct」。「空が見えたら、圏外でも、日本中つながる。」ことが最大の特長ですが、お客さまに安心してサービスを利用していただけるよう、事前にさまざまな検証が必要になります。サービス開始までの道のりをソフトバンクのエンジニアに伺いました。

  • 国内における屋外のソフトバンク圏外エリアで。
  • 対象機種あり。
  • SMS、S!メール(MMS)、RCS及び国際SMSを利用可能。
  • データ通信の利用は、一部の対象アプリのみ。
  • 通話及び緊急通報は利用不可。
  • 最新のOS(iPhone:iOS26.4以上、Android:Android15以上)にアップデートしておく必要あり

冨岡 大河(とみおか・たいが)

ソフトバンク株式会社 技術統括 衛星技術部

冨岡 大河(とみおか・たいが)

これまでの設計技術が通用しない新たな挑戦

私たちが普段使用しているスマホは、鉄塔やビルの屋上などに設置された、いわゆる地上の基地局と通信を行っています。高いところでも地上数十mの位置にある基地局アンテナから発射される電波がどこまで届くか、これまで培ってきた電波伝搬のデータを基に、この場所にアンテナを設置すればこれぐらいのエリアをカバーすることができるといったシミュレーションを、かなりの精度で行うことができます。

しかし、このサービスで使用する「Starlink」の衛星は高度約340kmの軌道上にあり、言わば空から電波が降ってくるような環境です。さらに衛星は、時速約2.8万km(秒速約7.8km)のスピードで地球をぐるぐる周回しており、電波が届く方向や強さが刻一刻と変化するため、ソフトバンクのスマホで衛星通信ができるのかをフィールドで検証する必要がありました。

これまでの設計技術が通用しない新たな挑戦

「Starlink」の衛星は、他の衛星に比べると、比較的小型かつ先進的な衛星です。テレビ放送や通信、気象観測など、幅広い用途で利用されている従来の静止軌道(GEO)衛星は、機体の重さも数トン規模の「大型衛星」に分類され、高機能で長寿命である一方、開発期間やコストが高いという特徴があります。一方、小型な衛星は比較的短期間かつ低コストで開発や打ち上げが可能で、技術の進化に合わせて機体を更新しやすい点も特長です。

「Starlink」の衛星は地球に近い低軌道を周回しているため、静止軌道衛星よりも地上との距離が近く、必要な電波出力を抑えながら通信できる設計となっており、機体の重さも数百kgと軽量に抑えられています。

圏外エリアを探し求めて…。北海道・奄美大島・房総半島でのフィールド検証

圏外エリアを探し求めて…。北海道・奄美大島・房総半島でのフィールド実証

「Starlink」との衛星通信が正常に動作するかを確認するには、実際にユーザーが利用するであろう「圏外」のエリアで検証を行う必要があります。ソフトバンクの4Gまたは5G通信エリアは、山間部や一部の離島を除くエリアは広くカバーされているため、確実にソフトバンクの電波が届かない場所を探す必要があります。そのため、必然的に北海道や房総半島の人里離れた山間部、奄美大島や八丈島のような離島といった場所でフィールド検証することになりました。

立ちはだかった “法制度の壁”

検証が始まったのは2025年9月でしたが、実はそこに至るまでには、厚い “法制度の壁” が立ちはだかりました。日本国内で電波を発射するためには、電波法に基づき総務大臣から無線局の免許を取得する必要があります。今回の検証をする際にも、スマホで衛星通信を行うための電波発射を行うために必要な免許を取得する必要がありました。これに加えて、米国・SpaceX社のStarlinkサービスを使用することから、米国連邦通信委員会(FCC)から商用ライセンスに基づく「Starlink」の衛星の電波発射の許可を受けなければなりませんでした。

最初の検証場所となった奄美大島では、FCCによる認可を待つのと並行して現地で機材準備を進めることに。時差の関係もあり、日米間で深夜に至るまで緊密な連絡を取り合いながら連日調整を進めていたのですが、ようやく許可が下りたのは検証を予定していた期間の最終日の朝。急遽出張を延泊して、残された最終日の時間を最大限に検証に充て、何とか必要なデータを取得することができました。

既存ネットワークに影響することなく、正常な動作を確認

ソフトバンクとして初となる衛星とスマホの直接通信サービスのフィールド検証は、端末上のネットワーク表示が正常に作動するか、大きな遅延なくSMSなどのメッセージ送受信ができるか、といったユーザー目線での基本動作の確認や、机上計算どおりの十分な通信速度が出ているか、極端な品質劣化や異常な遅延が発生していないかを測定器を用いて計測し、試行錯誤を繰り返しながら行いました。

既存ネットワークに影響することなく、正常な動作を確認

併せて、私たち衛星サービスの品質を検証するチームとは別に、モバイルネットワークの専門チームも測定を実施し、衛星からの電波が地上の基地局や通信に干渉などの影響を与えていないかを、専用機材を用いて測定。他にも、コアネットワーク・デバイス開発・事業チームも含めた幅広い部門が一体となって実施しました。
検証にあたっては、机上でのソフトバンクエリアの緻密な確認、マップを用いた現場の下見、そして本番前のロケハンを徹底。チームメンバーが毎回、ベストな環境を粘り強く探してくれたおかげで、精度の高い検証を行うことができました。

既存ネットワークに影響することなく、正常な動作を確認
既存ネットワークに影響することなく、正常な動作を確認

奄美大島に加え、北海道や房総半島を含む日本全国でフィールド検証を行い、既存ネットワークへの影響なく、正常に動作することが確認でき、無事サービス開始に至りました。

屋外の圏外エリアでも、安心して利用できるサービスに

これまで圏外だった山間部や海上、離島でも通信ができる。災害により地上の基地局が影響を受けても、普段使っているスマホで通信ができる。その裏側には、さまざまなフィールド検証を通じて、一つ一つの課題を現場で検証してきた積み重ねがあります。お客さまに安心して「SoftBank Starlink Direct」を利用してもらえるよう、こうした地道な取り組みを続けてまいります。

屋外の圏外エリアでも、安心して利用できるサービスに

(掲載日:2026年4月10日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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