早ければ2020年4月に大企業、そして2022年4月には中小企業が対象となり、パワーハラスメント(パワハラ)防止策に取り組むことが義務化されると言われています。社会的な関心も高まってきていますが、パワハラの定義や境界線について「ちょっと不安……」と思っている人も多いはず。
そこで、パワハラ発生リスク予測サービス「Wellness Eye Plus」を共同開発したSBアットワーク担当者とクオレ・シー・キューブのコンサルタントに話を聞いてきました。ちなみにクオレ・シー・キューブは日本で初めて「パワーハラスメント」という言葉を作り、長年にわたりハラスメント対策の調査・研究に取り組んでいる会社です。
パワハラ防止の目的は働きやすい環境を作り、企業の成長につなげること
株式会社クオレ・シー・キューブ 取締役
シニアコンサルタント 西本智子さん
本日はよろしくお願いします。最初にパワハラがどんなものなのか教えてください。
はい、大切なことなので正確にお伝えしますね。パワハラは、職務上の地位や人間関係といった職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為です。
漢字が多くて難しいですね(汗)
要するに、断れない、逃げられない、反論できない状況でハラスメント=嫌がらせをすることです。
嫌がらせって、程度があるような気がするのですが?
そんなときは「本当に断れないのか」、そしてハラスメントによって「自分の就業環境が悪化するか」を考えてみてください。少しクリアになるのではないでしょうか。
そう考えるとパワハラって意外と重い言葉のような……。
近頃は「なんでもハラスメント化」している傾向はあると思います。簡単に「パワハラだ!」と言ったり、必要以上に「パワハラになるかも?」と怖がってしまったり、それが職場の人間関係をギスギスさせているケースも多いですね。
コミュニケーションを取ることをリスクと考える人も多そうですね。
パワハラと受け取られてしまうくらいなら、部下とコミュニケーションを極力取らないという管理職の方も驚くほど多い。パワハラを防止する本来の目的は、働きやすい環境を作って企業の成長につなげることなのに、これでは本末転倒です。
パワハラが発生するところにギャップあり。大切なのは事前の防止策
パワハラが多く発生する会社の特徴ってあるんですか?
会社の規模や業種で分けることは難しいですね。客観的に見て、パワハラが多い会社と少ない会社は存在します。一方でパワハラが発生しているのに、自分たちで気付いていないケースも存在するんです。
気付かない?
そうです。組織の慣例など、集団で圧力をかけているケースではパワハラに気付く人がおらず、潜んでいる状態。そこに新入社員や転職者といった異質な存在が加わる、つまり職場に「ギャップ」が生まれることで初めてパワハラ問題が露見するんです。
職場の多様性にそんな側面が!
他にも異動などで人間関係のバランスが変わってパワハラが生まれることもあります。今は異質な存在を受け入れていかなければ企業が成長できない時代。だからこそパワハラによる事故や社会的な信頼の失墜が発生しないよう、危険な兆候を察知してマネジメントの方法を変更するなど、事前の防止策を取ることが大切なんです。
今回、開発に携わったパワハラ発生リスクを予測する「Wellness Eye Plus」はどんな役割を果たしていきそうですか?
繰り返しになりますが、パワハラは職場内のギャップや人間関係のバランスが崩れているケースで発生しやすいことが分かっています。「Wellness Eye Plus」はストレスチェックとパワハラ実態調査から、両者の相関関係を科学的に分析できるサービス。発生リスクが予測できれば、より具体的なパワハラ防止策をご提案できるようになるのでとても期待しています。
「Wellness Eye Plus」のサービス検証に協力いただける企業・団体を募集中
SBアットワーク株式会社
橘裕道さん
「Wellness Eye Plus」は、提供中のストレスチェックサービス「Wellness Eye」にパワハラ発生リスクを予測する機能を追加したものです。従業員の方々にストレスチェックの質問に加えて、「職場の制度・風土」「上司のマネジメントスタイル」「パワハラの実態調査」に関する質問にお答えいただくことで、パワハラ発生リスクを予測します。
予測はストレスチェックと追加質問のデータを統計解析して相関関係を調査。今回はAI(機械学習)も組み入れ、より緻密な分析ができるように工夫しています。
現在は2020年前半の販売開始に向けて、「Wellness Eye Plus」のサービス検証に協力いただける企業・団体を募集中。サービス検証は予測の精度を高めるために、多くの、そしてさまざまな業種の企業・団体に参加いただきたいですね。
「Wellness Eye Plus」の
サービス検証に参加する
(掲載日:2019年6月11日)
文:ソフトバンクニュース編集部