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ISOを通じて世の中の持続的な成長に貢献を。ソフトバンクのISOへの取り組み

 

製品やサービスの品質・情報セキュリティ・廃棄物・リサイクルなど、幅広い分野に広がるISO。その幅広さのため、重要な国際規格だということまでは知られていても、ISOについて、事業にとってもなぜ重要か、詳しく知っている人は意外と少ないのではないでしょうか? そこで、社内でISO取得コンサル業務などを行っている社員に、ISOの基本や、ソフトバンクの事業展開にISOがとても重要だという理由などについて聞いてみました。

ソフトバンク株式会社
人事総務統括 総務本部 総務企画統括部 総務企画部

吉岡 隆幸(よしおか・たかゆき)

ISOは私たちの安心のよりどころとなる“ものさし”です

ISOとは、1947年にスイスで発足した「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」のこと。そのISOが、世界共通で製品を使用できるように、大きさや形、材質などの基準を定めたもの、つまり “ものさし” のようなものが、ISO規格です。

現在ISOには多くの国が参加しており、令和3年3月現在、150カ国以上が参加する世界最大の国際標準化組織となっており、2万以上の数にもおよぶ規格を管理しています。

ISO規格って、具体的にどんなものがあるんでしょうか。

吉岡:例えば、携帯電話のテンキーの並び順はISOで決められたものです。クレジットカードのサイズや、いろいろな製品に使われているネジのサイズも、ISO規格で定められています。

ほかにも、スマホのカメラ撮影設定の1つに、ISO感度というものがあります。どれだけ弱い光まで記録できるか示すものですが、そちらは基準だけでなく、名前もISO規格に由来しています。

ISO規格って、私たちの生活になくてはならないものなんですね。

吉岡:はい。私たちが海外で作られた製品をすぐに日本で使えたり、日本で生まれた製品が世界に広まったりと、世界中で同じ品質の製品やサービスを安心して利用することができているのは、ISO規格のおかげと言ってもいいかもしれません。でも実は、ISOが定めた規格はまだ他にもあるんです。

最近話題のSDGsとも関係の深い、もう1つのISO規格とは

ISO規格はさまざまな分野に広がっています。そもそも、ISO規格の始まりは製品を対象としたものですが、製品以外にも組織の管理の基準を定めた、ISOマネジメントシステム規格も誕生しました。

このISOマネジメントシステム規格とは、会社や自治体、学校や病院といったような組織が、ある目標を実現するための仕組みに関する、国際的な基準のこと。「ISOマネジメントシステム規格を満たしている」と、認証機関の審査で認証されると、「ISOの認証を取得したxx」と公に発表することができます。

ISOマネジメントシステム規格...... 正直イメージが湧きづらいのですが......

吉岡:有名なものは「品質マネジメントシステム(ISO 9001)」でしょうか。製品やサービスの品質を継続的に向上させていくための組織の仕組みです。製品の大きさや形、材質などの基準を定めても、作り方がバラバラでは結果にばらつきが生じて安定した品質は期待できません。そこで作り方を管理することで、製品のできばえを予測できるようにしようというのが、そもそもの考え方となっています。

ほかにも、環境に与える影響を評価・管理する仕組みを定めた、環境マネジメントシステム(ISO 14001)。情報セキュリティに関するリスクを明らかにして管理するための、情報セキュリティマネジメントシステム(ISO 27001)。航空・宇宙産業に関する規格もあります。

ISO規格はわたしたちの生活を便利にするものさしで、ISO規格の1つであるISOマネジメントシステム規格は、組織をよりよくするものさし、といったところでしょうか。

ちなみに、認証を受けるとどんないいことがあるんですか?

吉岡:ISOマネジメントシステム規格を導入するということは、簡単に言うと組織がしっかり活動し、よりよくなるためのルールを取り入れることなので、会社の経営体質を強化することになります。また、この規格は国際基準であるため、取得すると、国内外を問わずにお客さまや関係者などから信頼を得やすいというメリットがあります。

最近、SDGsが話題ですが、ISOと何か関連はありますか?

吉岡:SDGsは最近よくメディアに取り上げられていますね。ISOマネジメントシステムも持続的な成長を続けていくための枠組みを提供するという点で、SDGsの目標達成と関係が深いと言えますね。

特に、環境マネジメントシステム(ISO 14001)や、組織の社会的責任について定められた国際規格(ISO 26000)などは、SDGsの目標達成に向けた手順や手法を考えていくうえでのヒントを、多く与えてくれると思います。

つまり、ISOは組織がよりよくなることを通じて、SDGsと同様に豊かで活力ある未来をつくるための取り組みである、と考えてもいいかもしれませんね。

ソフトバンクはこんな分野でもISO認証を取得していることを、知ってましたか?

ところで吉岡さんは、普段ISOに関するどんな仕事をしているのでしょうか?

吉岡:ソフトバンクやそのグループ企業各社が、取得したいISOマネジメントシステム規格の認証を得られるように、社内で各部署にアドバイスをしたり、認証審査に立ち会ったりもします。また、認証を得た後に、きちんとルールや仕組みを持続できているか、定期的な確認もしています。

具体的に、ソフトバンクが最近ISO認証を得たものは、どんなものですか?

吉岡:年明けに移転した竹芝ビルに対して、環境マネジメントシステム(ISO 14001)などの認証を取得しました(汐留の旧本社ビルからの認証を継続)。ビル全体で使う照明や空調といったエネルギー管理や、防火防災への取り組み、大規模災害を想定した備蓄品、廃棄物処理の流れやリサイクル、生物多様性を保全するための取り組みである竹芝新八景などを、審査の際に確認いただきました。

ソフトバンクの竹芝新本社でもISOを取得しています

竹芝の新本社ビルは、従業員全員が最高のパフォーマンスを発揮でき「Smart & Fun! 」を体現できるコミュニティー型ワークスペース。部門をまたいだオープンイノベーションの創出を目指すほか、よりイノベーティブでクリエーティブな働き方を目指しています。

ソフトバンクでは、他にもいろいろなISO認証を取得していると聞きました。

吉岡:はい、竹芝本社のようなオフィス以外にも、通信設備を設置しているネットワークセンターなどの拠点でも取得しているんですよ。その認証の種類にも複数あって、品質・環境・ITサービス・情報セキュリティー、クラウドセキュリティーなど、ソフトバンクの幅広い業務内容にあわせて、いろいろと取得しています。その範囲は、法人のお客さまへのサービス提供にかかわる部門を中心に約70の拠点で、21の業務内容におよびます。

ソフトバンクはなぜそんなに多くの範囲で認証を取得しているのですか?

吉岡:例えば、通信のサービスは24時間365日休みなく提供されなくてはいけません。そのために、安定した通信サービスを維持できるよう、各部門で通信設備の監視やメンテナンス作業、災害対策訓練などを日々行っています。そういった社内の仕組みやルールの状況を、ISOマネジメントシステムの観点から客観的に評価・確認できるようにすることで、お客さまに安全に、安心してサービスをお使いいただくためです。

災害に強いネットワークの構築

ISOに関するお仕事で、重視しているポイントがあれば教えてください。

吉岡:PDCAを確実に回していくことでしょうか。目標を定めて、その目標を達成するために組織を適切に指揮・管理するための仕組みをしっかり構築すれば、ISOマネジメントシステム規格の認証を得ることができます。でも、認証されることがゴールではなく、継続的な改善が、持続可能な発展につながります。そのために、認証を得た各部門の社員の皆さんと一緒に、課題の設定やリスクの洗い出し・管理、課題解決のための計画立案と実行・結果の検証といったような改善に、日々継続的に取り組んでいます。

今後、ISOを通じてどのようなことを実現したいと考えていますか?

吉岡:ソフトバンクやソフトバンクのグループ各社へのISOの導入を通じて、グループ全体がよりよく成長できるような仕組みを、これからも作っていきたいです。そういった取り組みが、製品やサービスの向上につながることで、お取引先さまやお客さまとも共にグループが成長し、世の中の持続的な成長に貢献できればと思っています。

(掲載日:2021年3月23日)
文:ソフトバンクニュース編集部