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エネルギーは通信・AIの命綱。持続可能な社会を次の世代へ(前編)

エネルギーはAI・通信の命綱。エネルギー事業参入から10年(前編)

私たちが暮らしていく上でなくてはならないエネルギー。
ソフトバンクグループは、子どもたちに誇れる豊かな社会の実現のため、自然エネルギーの普及を国内外で積極的に推進しています。エネルギー事業開始から10年になる今年、グループ内のエネルギー事業について前編・後編で紹介します。

目次

きっかけは3.11。エネルギーは通信インフラのインフラ

2011年、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、国内のエネルギー問題への関心が大きく高まりました。
電気通信事業を提供しているソフトバンクは、震災でダメージを受けた通信設備の復旧はできても、電力供給が途絶してしまえば通信もITも使えなくなってしまうという、当たり前の事実をあらためて痛感させられることになりました。

きっかけは3.11。エネルギーは通信インフラのインフラ

この体験から、ソフトバンクグループ代表取締役会長 兼 社長執行役員でSBエナジー取締役会長 孫正義は、エネルギー問題を長い視点で解決するには、安心・安全で永続的に供給可能な新たなエネルギーが必要であり、それを解決するのが自然エネルギーであると考え、政策提言と事業の両面から自然エネルギーが普及するための活動を開始しました。

きっかけは3.11。エネルギーは通信インフラのインフラ

きっかけは3.11。エネルギーは通信インフラのインフラ

2011年7月に35道府県(当時)の知事が中心となり、国に対して地域特性を生かした自然エネルギーの普及・拡大に向けた政策提言を取りまとめる「自然エネルギー協議会」と、17政令指定都市(当時)の市長が、エネルギー大量消費地である都市部としての目線での政策提言活動を行う「指定都市 自然エネルギー協議会」という政策提言団体が設立されました。
ソフトバンクグループは両協議会の正会員である自治体に、「何かできることはないか」と相談していた経緯もあり、法人会員(準会員)として事務局運営を担うことになりました。そして10月には自然エネルギーの発電事業会社として「SBエナジー株式会社」を設立。

自ら旗振り役となって自然エネルギーの政策提言を行い、事業の成功事例を作り普及を推進することで、日本のエネルギーに新たな選択肢を提案したいという思いからエネルギー事業は始まったのでした。

10年で運営する発電所は国内外合わせて51カ所に

10年で運営する発電所は国内外合わせて51カ所に

ソフトバンクグループが新規参入して成功事例を作ることで、さらに多くの事業者が自然エネルギー関連事業へ参入して産業を形成し、自然エネルギーの普及拡大のきっかけづくりとなる。2012年7月1日、再生可能エネルギーの固定価格買取制度のスタートと同日に、SBエナジーは記念すべき最初の太陽光発電所として「ソフトバンク京都ソーラーパーク(京都府京都市)」と「ソフトバンク榛東ソーラーパーク(群馬県北群馬郡榛東村)」を運転開始しました。
その後、2014年に中国地方最大級(当時)の「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」、2015年に国内最大級(当時)の「ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク」など太陽光発電所を次々に開設し、2016年6月にはSBエナジー初の風力発電所「ウインドファーム浜田」を開設。

現在、国内で事業化発表済みの太陽光発電所と風力発電所は合わせて50カ所、総出力規模773MWを運営しており、太陽光発電においては国内でも出力規模がトップクラスの発電事業者になりました。さらに海外ではモンゴルの南ゴビ砂漠の広大な大地と恵まれた風況を生かした、風力発電所「Tsetsii Wind Farm」を運営し、約50MWの電力が生み出されています。

ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク

ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク

ウィンドファーム浜田

ウィンドファーム浜田

Tsetsii Wind Farm(モンゴル)

Tsetsii Wind Farm(モンゴル)

ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク

ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク

SBエナジーでは発電事業だけでなく、発電所のある各地の小学校や発電所の付帯施設での地域の方に向けた自然エネルギーを知ってもらう取り組みも実施しています。

子どもたちと地域とエネルギー

●未来×エネルギー プロジェクト
未来×エネルギー プロジェクト

「未来×エネルギー プロジェクト」は小学生に向けた環境学習プログラムです。身近なエネルギーを探すワークショップを通じて、それを生かした使い方を考えエネルギーの大切さを学びます。第1回の京都市立明親小学校から現在までに8道府県20校で60回以上、約3,000人の児童に対して小学校で特別授業として活動を実施しています。

●エネルギーを学べる発電所付帯施設「とっとり自然環境館」
エネルギーを学べる発電所付帯施設「とっとり自然環境館」

とっとり自然環境館は、「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」の敷地内にあるガイダンス施設。とっとり次世代エネルギーパークの中核施設の役割も担っており、自然エネルギーに関する展示や太陽光や風力を利用した体験型イベント、鳥取県の環境保護団体の活動紹介など、さまざまな情報発信をしています。

発電にもソフトバンクらしさを。常に変化×進化する自然エネルギー発電所

ソフトバンク八雲ソーラーパーク併設の蓄電池

ソフトバンク八雲ソーラーパーク併設の蓄電池

日本国内に続々と増えていった太陽光発電所ですが、自然エネルギーの発電量増加に伴う課題の一つとして需給の安定化があります。発電所が発電した電力を受け取る変電所や系統を運営する電力会社では、需給バランスを保ち、安定的な供給をするために、出力抑制を発電事業者に依頼し発電量をコントロールします。

せっかく発電した電力を活用するために太陽光発電所では蓄電池併設型の発電所を建設することがトレンドになりつつあります。SBエナジーでは2020年10月16日、北海道二海郡八雲町に蓄電池併設型大規模太陽光発電所「ソフトバンク八雲ソーラーパーク」を運転開始。出力規模は102.3MW、蓄電容量は約 27.8MWで蓄電池併設型では国内最大級の大きさです。

自然エネルギーを安定運用するためのIoTを活用した高度なエネルギーマネジメント

自然エネルギーを安定運用するためのIoTを活用した高度なエネルギーマネジメント

SBエナジーは需給の安定化の課題に対して、AI・IoTなどのテクノロジーとエネルギーの融合によって自然エネルギーのさらなる導入と電力インフラの安定運用の両立を目指す、「バーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業」の実証事業も行っています。

アグリゲーター事業者として自社で開発したリソース制御システムを他社に対しても提供し、VPP事業に取り組みやすい環境を構築。AI・IoT、ブロックチェーン技術などを用いて、より賢く電力を運用して利用できる社会インフラの構築を目指しています。

VPPとは

VPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)は、自然エネルギー発電所をはじめとする分散電源や蓄電池・EV・ヒートポンプなど点在する設備をIoTで管理することにより、一つの発電所のように制御して系統に調整力を提供する需給調整のソリューションです。SBエナジーでは、経済産業省より間接補助事業者として2016年に採択を受けて実証事業を実施しています。

さらに、天候によって発電量が変化する太陽光や風力発電の安定した需要創出とエネルギーマネジメントの実現を目指し、自然エネルギーとEVのバッテリー交換ステーションを組み合わせ、蓄電技術によるエネルギーのタイムシフトを通じた事業も推進しています。

SBエナジーは今後も世の中の変化をうまく事業に取り入れ、AI・IoTなどのテクノロジーを活用したソフトバンクグループらしい強みを生かし、自然エネルギーが全ての産業を再定義する時代に向けたエネルギープラットフォームの形成を加速させていきます。

(掲載日:2021年10月12日)
文:ソフトバンクニュース編集部