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竜巻が起きそうなそのときに…。身を守るためにあなたがとるべき行動は?-防災行動ガイド

竜巻が起きそうなそのときに…。知りたいことが今すぐわかる-防災行動ガイド

ふと空を見上げると、黒々としたろうと状の雲が…。風も強まってきたところをみると、どうやら竜巻が近づいているようです。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?

正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。

今回は、竜巻の被害を防ぐための事前対処法や、状況別の避難方法などをご紹介。

この災害テーマのポイント

目の前にけが人が…。災害時の正しい応急手当や搬送方法 -防災行動ガイド

  1. 日本での竜巻発生件数は少ないものの、大規模竜巻による被害の可能性がある
  2. 突風による飛来物に注意! 屋外は非常に危険。竜巻の兆候にも注意する
  3. 竜巻が近づいたら直ちにできるだけ頑丈な建物の中へ避難。日頃から十分なシミュレーションを

目の前にけが人が…。災害時の正しい応急手当や搬送方法 -防災行動ガイド

この災害テーマのポイント

  1. 日本での竜巻発生件数は少ないものの、大規模竜巻による被害の可能性がある
  2. 突風による飛来物に注意! 屋外は非常に危険。竜巻の兆候にも注意する
  3. 竜巻が近づいたら直ちにできるだけ頑丈な建物の中へ避難。日頃から十分なシミュレーションを

目次

日本でも発生している竜巻。甚大な被害を受ける可能性も。

そもそも竜巻とは、発達した積乱雲と上昇気流によって発生する激しい風の渦巻きのこと。低気圧や台風などにより、大気の状態が不安定なときに発生しやすい自然現象です。日本では、台風によって大気が不安定になりやすい9月と10月、発生件数が増加します。

なお、一見竜巻と似たような「風の渦巻き」であるつむじ風は、上昇気流を伴わないため、竜巻ほどの破壊力を伴いません。発達して大きくなることもないので、被害が起きることはまれです。

発生件数は少なくても、被害は甚大

日本での竜巻発生数は、1年間の平均で23件(2007~2017年、海上竜巻を除く)と決して多くはありません。しかし、ひとたび大規模な竜巻が発生すると、家屋が破壊されたり、車が飛ばされたりなどの甚大な被害が起きます。発生頻度だけを見て安心していては危険。日頃から備えておきましょう。

日本でも発生! 大規模竜巻被害

平成24年5月6日茨城県つくば市にて、日本最大規模の竜巻が発生。死者1名、負傷者37名、住宅被害1,114棟という大惨事を引き起こしました。ライフラインへの被害も甚大で、竜巻発生直後に21,012世帯が停電、続いて断水、通行止めなども発生しました。

リスク:突風であらゆるものが凶器に。竜巻発生前の兆候にも注意しよう

リスク:突風であらゆるものが凶器に。竜巻発生前の兆候にも注意しよう

竜巻が発生すると、その通り道に沿って長さ数十km、幅500〜600m程にわたる被害が出ます。非常に強い風の影響で物が飛来したり、建物の主柱がなぎ倒されるなどで倒壊したり多くの危険が。また、竜巻から離れた地点にいても、竜巻によって巻き上げられた飛来物が落下してくる恐れがあるため、注意が必要です。

屋外の場合

  • 木や電柱が倒れる
  • 車が横転する、または飛ばされる
  • がれきや看板などが飛来する
  • 建物が倒壊する

屋内の場合

  • 上層階から崩れる
  • 飛来物によって窓が割れる
竜巻が発生する前の兆候

竜巻の規模にかかわらず、発生前には共通の兆候が見られます。避難を検討する際の判断基準として覚えておくとよいでしょう。

  1. 真っ黒い雲が近づき、周囲が急に暗くなる

  2. 雷鳴が聞こえたり、雷光が見えたりする

  3. ヒヤッとした冷たい風が吹き始める

  4. 大粒の雨やひょうが降り始める

対処法:とにかく頑丈な建物の中へ。屋内にいても身を守る行動を。

大小さまざまな物が飛来する可能性があるため、竜巻が近づいているとき屋外にいるのは非常に危険です。まずは一刻も早く、ビルや地下施設など頑丈な建物の中に避難しましょう。

屋外にいるときの対処法

まずは逃げ込める建物を探しましょう。もし近くに建物がない場合、大きい水路や溝などに身を隠し、目と頭をかばんや衣服で守りましょう。木や電柱は倒壊する危険性があるため、近づかないようにしましょう。

車の中にいるときの対処法

大規模な竜巻が発生すれば、車であろうと吹き飛ばされてしまいます。「車も危険物」ととらえ、乗り捨てて近くの建物の中に逃げるのが基本です。竜巻の接近まで猶予があるのなら、そのまま車を走らせ地下駐車場などに入るのもひとつの手。一方、逃げ込める建物がなく、すぐ目の前まで竜巻が近づいてしまった場合は、車の中にとどまり、シートベルトを締めて頭を守りましょう。

屋内にいるときの対処法

飛来物による被害を最小限にするため、「1階の窓のない部屋」に移動しましょう。物が少なく面積の小さい、トイレや風呂場などもおすすめです。布団など頭を守れるものをかぶって、竜巻が通り過ぎるのを待ちましょう。

いざというときのために、日頃からシミュレーションを。

日本での発生件数は少ないものの、甚大な被害をもたらす可能性がある竜巻。いざというときに冷静な判断をするためには、竜巻発生時の動き方を、頭の中でシミュレーションしておくことが大切です。

  • 日頃から竜巻注意情報のサイトをブックマークしておく
  • 屋内外の避難場所・避難方法を考えておく
  • 竜巻被害後に備えて、十分な食料や、予備のモバイルバッテリーなどの防災用品を準備しておく

竜巻への備え・竜巻が発生したときに役立つサービス・ウェブサイト

① 気象庁「竜巻発生確度 ナウキャスト」

気象庁「ナウキャスト」(雨雲の動き・雷・竜巻)

竜巻が発生する可能性を予測するウェブサイト。10km範囲ごとに発生確率が算出され、1時間先までの予報が確認できます。天気が不安定な日はこまめにチェックし、発生に備えましょう。

気象庁「ナウキャスト」(雨雲の動き・雷・竜巻)

② Yahoo!天気・災害

Yahoo!天気・災害「知っておきたい! 防災情報」

天気に関するあらゆる情報・災害情報を迅速に収集できる総合サイト。現在地やエリアごとの竜巻注意情報も確認でき、早めの避難に役立ちます。

Yahoo!天気・災害

監修者:防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)

高橋洋先生

1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティア、終活ガイド・エンディングノート認定講師としても幅広く活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。

(掲載日:2022年11月4日)
監修者:高橋洋
文:大瀧亜友美
編集:エクスライト
イラスト:高山千草、鎌田涼