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災害による大規模な停電が発生...。あなたが取るべき行動は? -防災行動ガイド

災害による大規模な停電が発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

大型台風が到来して停電が発生。どうやら送電用の鉄塔が倒壊し、広範囲にわたって影響が出ているようです。復旧の目処も立っていません…。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?

正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。

今回は、災害時の停電の対処法や備えておきたい必須アイテムをご紹介。

この災害テーマのポイント

災害による大規模な停電が発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

  1. 長期化することもある停電。二次災害が起こると、被害はより深刻に
  2. ブレーカーを落として二次災害を防止。その後、明かりを確保しよう
  3. 電源の備えは特に重要。乾電池やモバイルバッテリーを用意しよう

災害による大規模な停電が発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

この災害テーマのポイント

  1. 長期化することもある停電。二次災害が起こると、被害はより深刻に
  2. ブレーカーを落として二次災害を防止。その後、明かりを確保しよう
  3. 電源の備えは特に重要。乾電池やモバイルバッテリーを用意しよう

目次

リスク:復旧までに2週間以上かかることもある停電。断水や火災など、二次災害にも要注意。

地震、台風、暴風雨、大雪などの災害が起こると、送電線が切れたり発電所や変電所の設備が故障したりして、停電が発生しやすくなります。一度停電が起こると、復旧までにかなりの時間を要する場合も。2019年9月、関東地方を直撃した台風15号では、千葉県で大規模な停電が発生。被害は約64万軒に及び、そのうち約2,300軒では2週間もの間、復旧の目処が立ちませんでした。(災害の根本原因は、異常気象?

停電時には、断水や火災といった「二次災害」の心配も

  • ライフラインの断絶:エレベーターに閉じ込められる/交通機関・医療機関のマヒ(大雨による停電のリスク
  • 電子通信機器の断絶:パソコンデータの消滅/通信の制限や断絶
  • 健康被害:エアコンが使えないため、夏であれば熱中症、冬であれば低体温症に/人工呼吸器など在宅医療機器への影響も
  • 断水マンションやビルでは給水ポンプが停止/浄水場の配水ポンプが停止
  • ロウソク火災(照明用に使用したロウソクが燃え移って出火)
  • 通電火災:再通電時に壊れたコンセントや断線した電気配線から出火(地震後に多い)/ストーブやアイロンなどの電化製品が可燃物に触れたままの状態で再通電し出火(通電火災への備え
北海道胆振東部地震で起きた、日本初のブラックアウト

大手電力会社が管轄する全エリアで停電が起こる現象を、全域停電、通称「ブラックアウト」といいます。2018年9月、北海道胆振東部で震度7の地震が発生し、約295万戸が停電する日本初のブラックアウトが起こりました。復旧までの45時間、ライフラインの断絶、交通機関や医療機関のマヒなど深刻な被害をもたらし、日本全国に大きな衝撃を与えました。

対処法:ブレーカーを落として二次災害を防止。オススメの明かりは、両手が使えるタイプ

災害による大規模な停電が発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

停電発生直後、自宅にいるときの行動ステップ

  1. 近隣の状況を見て、停電範囲を確認する
  2. ブレーカーを落とす
  3. 懐中電灯などの明かりを確保。頭に装着するヘッドライトや首から下げるネックライトなどは、両手が使えてオススメ(万が一のとき、スマホをヘッドライト代わりに装着できる「ヘッドストラップ」などもある)
  4. 電気のコンセントを抜く(電熱タイプのヒーターなど消費電力が大きい家電、倒れたり下敷きになったりした電化製品は必ず)
  5. 水が出る場合は、その後の断水を想定して水を貯めておく

屋外にいるときの行動

  • 運転中に停電し、信号機が消えてしまった場合は、警察官の交通誘導に従う。警察官がいないときは速度を落とし、安全を確認しながら進行。交差点では停止と徐行を。(停電時における停車の心得)
  • 夜道は危険なので、なるべく歩かないこと。やむをえず歩く場合はライトを携帯し、段差や溝に注意して移動

復旧までの過ごし方

  • パソコンはデータを保存して電源を落とす
  • スマホは「省電力モード」にして、バッテリー消費の軽減を心がける(停電や災害時、スマホは大事な情報収集・連絡ツールとなるため、充電はできる限り減らさない)
  • 冷蔵庫の開け閉めは極力控え、冷蔵温度を上げないようにする
    (災害時における冷蔵庫の使い方のコツ)
  • 春から秋は窓を開けて風を通し、室内環境を良好な状態に保つ
  • 電力会社のウェブサイトや災害情報のアプリなどで、復旧までにかかる時間を確認
ポリ袋やペットボトルでできる簡易ランタン
  • ポリ袋を利用した作り方
    懐中電灯に白いポリ袋をかぶせ、懐中電灯の持ち手にポリ袋に結び付ける。光がポリ袋全体に広がり、広範囲を明るくできます。
  • ペットボトル2本を利用した作り方
    ① 空のペットボトルの1本を、懐中電灯より5㎝ほど高くした位置でカットする。
    ② 切り口に1~2㎝の切り込みを4カ所ほど入れる。
    ③ カットしたペットボトルに懐中電灯を立てて入れ、水を入れたもう1本のペットボトルを上から重ねる。

     

    Yahoo!天気・災害「防災情報」:簡易ランタンの作り方

事前の備え:停電の長期化に備えて、乾電池やモバイルバッテリーがあると安心

災害による大規模な停電が発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

停電の長期化を想定して備えておきたいのは、「電源」「照明」「調理器具」。特に電源は、避難生活を送る際に欠かせません。複数種類を組み合わせて、上手に乗り切りましょう。

電源の備え

  • 乾電池
    1人3日分のストックの目安は、単3アルカリ電池の場合(明かり用3本、スマホ充電用12本、ラジオ用2本)。各サイズをストックしておくのがオススメ。また、充電すれば何度も使える充電式電池が便利。常時満充電にしておきましょう。小型の充電式乾電池は、自然放電の少ないタイプのものを。
  • モバイルバッテリー
    モバイルバッテリーとは、スマホなどモバイルデバイス向けの充電器のこと。1人3日分のストックの目安は、20,000mAh(Ahが大きいほど充電容量が多い)。スマホ以外にもUSBで給電したい場合は、30,000〜50,000mAhあると安心です。モバイルバッテリーは電池式、ソーラー式、手回し式などタイプもさまざま。スマホの台数分用意しておきましょう。

充電の仕組みやモバイルバッテリーを選ぶ際の注意点

タイプ

メリット

電池式

乾電池があれば繰り返し使用可能。比較的安価でコンパクトなのが魅力

ソーラー式

太陽の光があれば繰り返し充電可能。ソーラーパネルの面積が広い折りたたみタイプなら、大容量充電が可能

手回し式

乾電池の有無や気象条件に関係なく充電が可能で、あらかじめ充電する必要がないのが特長。充電に時間と手間がかかるため、サブとして使うのがオススメ

ワイヤレス式

ケーブルやコードが不要で、手軽に充電が可能。ケーブルを破損する心配がないのも魅力

  • 大容量ポータブル電源
    大容量の給電で、テレビや電子レンジ、LED照明などの家電製品にも使えるポータブルバッテリー。400Wh以上の大容量タイプが1台あると安心です。500Whのポータブル電源の使用目安は、スマホの充電約50回、LED照明約70時間、小型冷蔵庫約14時間。家庭のコンセント、車、ソーラー設備などから充電できます。
    ※ 製品によって消費電力は変わります。
水だけで発電可能、スマホの充電もできるマグネシウム空気電池「MgBOX slim」も
  • 照明の備え
    懐中電灯は、日頃から枕元に置いておくと安心です。アウトドアでも使われる高出力のヘッドライトや首にかけるライトは、両手があくのでオススメ。そのほか、コンセントにさすタイプで停電時に自動点灯する「LEDライト」や、持ち運びが可能で安全性も高い「LEDランタン」があります。最近では、機能性に優れた小型タイプや大光量タイプ、ソーラー充電式、ラジオと一体型になったものなど種類もさまざま。ロウソクは光量が少なく火災の心配もあるため、停電が長期化した場合などの備えとしてください。
  • 調理器具の備え
    備え付けのガスコンロは乾電池タイプなら停電時でも使用できますが、電源タイプは使えないので注意が必要。カセットガスコンロを用意しておくと、どんな環境や場所でも使えて便利です。ボンベは、1人1日1本弱程度を使用することを想定して備えておきましょう。

停電が発生したときに役立つサービス・ウェブサイト

① Yahoo!ショッピング

Yahoo!ショッピング

Yahoo!JAPANが運営する日本最大級のオンラインショッピングモール。停電のときに役立つアイテムや非常食・保存飲料といった備蓄品を幅広く取りそろえています。

② 気象庁「台風情報」

気象庁「台風情報

台風の最新情報を知ることができるウェブサイト。台風の実況と24時間先までの予報は3時間ごと、120時間先までの予報は6時間ごとに発表されます。

③ Yahoo!天気・災害「知っておきたい! 防災情報」

Yahoo!天気・災害「知っておきたい!防災情報」

「Yahoo!天気・災害」がお届けする、実用的な防災コラムや防災グッズなどの情報を提供するページです。

④ 首相官邸「災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~」

首相官邸「災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~」

長期停電でライフラインがストップしたときのために備えておきたい、食料や水などの備蓄、非常用持ち出しバックのほか、もしものときの情報収集先など、停電時に役立つ主な対策をまとめて紹介しています。

⑤ 農林水産省「家庭備蓄ポータル」

農林水産省「家庭備蓄ポータル」

家庭備蓄に関する情報を集約したポータルサイト。 食品の家庭備蓄に無理なく取り組むためのガイドや、乳幼児、高齢者、慢性疾患・食物アレルギーの方などに向けて、家庭備蓄を行う際に必要な情報を公開しています。

監修者:防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)

高橋洋先生

1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティアの一員として、福島県南相馬市小高区等で活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。

(掲載日:2020年7月6日、更新日:2022年12月25日)
監修:高橋洋
文:内藤マスミ
編集:エクスライト
イラスト:高山千草