職場から自宅に帰るときや、ターミナル駅のビルで買い物をしているとき、大規模な災害が起きて交通機関がストップ……。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?
正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。
今回は、災害が発生して交通機関がマヒしたときに役立つ対策や準備の方法、サービスをご紹介。
この災害テーマのポイント
- 自宅から20km以上離れている人はほぼ帰宅困難に
- 「一時滞在施設」や「災害時帰宅支援ステーション」を活用
- 水・非常食・携帯バッテリー・携帯トイレなどを持ち歩く習慣を
この災害テーマのポイント
- 自宅から20km以上離れている人はほぼ帰宅困難に
- 「一時滞在施設」や「災害時帰宅支援ステーション」を活用
- 水・非常食・携帯バッテリー・携帯トイレなどを持ち歩く習慣を
目次
- リスク:震度6強の首都直下地震。20km以上でほぼ帰宅困難に……
- 対処法:「むやみに動かない!」が鉄則。受け入れ態勢のある防災施設を活用しよう
- 事前の備え:水・非常食・携帯バッテリーが入った「防災ポーチ」を持ち歩こう
- 交通機関がストップしたときに役立つサービス・ウェブサイト
リスク:震度6強の首都直下地震。20km以上でほぼ帰宅困難に…
首都直下地震が平日の昼間に起きた場合、帰宅困難者は1都3県で約650万人に上るとされ、大混乱が予想されます。ちなみに、徒歩で帰宅できる距離は、成人なら10km未満だそう。10~20kmでは1kmごとに難易度が上がり、20km以上自宅から離れている人はほぼ帰宅困難になります。
さらに、二次災害で橋や道路の損壊をはじめ、建物が倒壊したり、電柱が倒れたり、火災が起きたりする可能性も。その場合、自宅が近くにある人でも徒歩の帰宅は難しくなります。歩道に人があふれることで、救急車や消防車など緊急車両の邪魔になり、群衆雪崩や集団転倒も起こりやすくなります。(大規模地震による被害想定)
対処法:「むやみに動かない!」が鉄則。受け入れ態勢のある防災施設を活用しよう
こういった状況では、「その場からむやみに動かない」が鉄則。十分な情報がないまま移動を開始するのは、とても危険です。まずは職場や学校、「一時滞在施設」など、すぐ近くの安全な場所に身を寄せましょう。
一時滞在施設
帰宅が困難な人たちを一時的に受け入れる施設で、東京都では約200の施設が指定されています。例えば、六本木ヒルズでは住人以外に5,000人の受け入れ体制があり、10万食を備蓄しているそう。JR東日本では首都直下地震に備え約200カ所の拠点駅構内に一時滞在場所を定めており、東京駅の地下コンコースも災害時には開放されることが決まっています。
無理なく歩ける距離に自宅がある人は、状況の安全を確認できたら帰宅を目指すのも、選択肢の一つ。その場合は、付近の「災害時帰宅支援ステーション」を活用してみてください。
災害時帰宅支援ステーション
各地の自治体は、コンビニエンスストアなどの店舗を「災害時帰宅支援ステーション」に指定し、災害時に水道水やトイレ、情報、休憩の場を提供します。入り口付近に貼ってある黄色いステッカーが目印です。
事前の備え:水・非常食・携帯バッテリーが入った「防災ポーチ」を持ち歩こう
防災ポーチ
以下が理想的な中身となります。
- 水
- 非常食(チョコレートなど)
- 携帯バッテリー
- 携帯トイレ
- 小銭
- ワンセグチューナー(スマートフォン対応のものなど)
- ラジオ
- 雨具
- 首かけライト
- マウスウォッシュ
- 笛
- マスク(不敷布マスクを推奨)
- 除菌グッズ(消毒液など)
- ハンドソープ
ハードルが高いと感じる人は、水、非常食、携帯バッテリー、携帯トイレの持ち歩きから習慣化してみましょう。職場にロッカーがある人は、これらのアイテムやスニーカーをストックしておくと安心です。
家族で安否確認の手段を決めておく
電話がつながらなくても困らないよう、電話以外の方法を決めておきましょう。SMSなどのショートメール、LINEなどの無料通話アプリ、Twitterのほか、オススメするのは、音声発信が集中してつながりにくくなったときに利用したい、災害時専用のサービスです。(スマホのバッテリー消費量を節約する方法)
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日本は平均6年に1度は大地震に見舞われている、災害列島。いつ災害が起きても不思議ではない国です。もしものときに備えて、事前の備えのどれか一つを、早速試してみてはいかがでしょうか。
交通機関がストップしたときに役立つサービス・ウェブサイト
① 安否確認手段に災害用伝言板
大規模災害などで音声発信が集中してつながりにくくなった際に、安否情報を確認できるサービスです。無料で使えて、事前の申し込みも必要ありません。
② 東京都防災マップ
東京都内の一時滞在施設や避難所、避難場所、災害時帰宅支援ステーションの場所を探すことのできるウェブサイト。ご自宅や職場の近くにある施設をあらかじめチェックしておくと、いざというときに困りません。
③ 電話を使った災害用伝言ダイヤル
被災地の方の電話番号宛てに、安否情報などの伝言を音声で登録・確認できるサービス。「171」をダイヤルし、利用ガイダンスに従って使用します。スマホや携帯電話の操作が不安という高齢者の方などは、こちらが使いやすいかもしれません。
監修者:防災システム研究所 所長 山村 武彦(やまむら・たけひこ)
1943年、東京都生まれ。1964年の新潟地震でのボランティア活動を契機に、同年、防災・危機管理のシンクタンク「防災システム研究所」を設立。以来50年以上にわたり、世界中で発生する災害の現地調査を実施するほか、テレビ解説や日本各地での講演などを通じ、防災意識の啓発に取り組む。著書に『災害に強いまちづくりは 互近助の力~隣人と仲良くする勇気~』(ぎょうせい)など多数。
(掲載日:2020年1月8日、更新日:2023年7月4日)
文:内藤マスミ
編集:エクスライト
イラスト:高山千草