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降りやまない大雨、身の危険にさらされる前に…。あなたが取るべき行動は? ー防災行動ガイド

降り止まない大雨、身の危険にさらされる前に…。知りたいことが今すぐわかる -防災行動ガイド

突然の豪雨や大型台風の接近で、近隣の河川に氾濫のリスクがあるとのエリアメールが…。「たかが雨」と油断していたら、雨はますます激しくなってきました。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?

正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。

今回は、大雨の被害を防ぐための対処法や避難の見極め方などをご紹介。

この災害テーマのポイント

この災害テーマのポイント

  1. 夏から秋にかけては、大雨被害に特に注意
  2. 自分が住む地域の地理的特徴を理解して、日頃の対策を
  3. 避難するかどうかは、「警戒レベル3」が目安

目次

夏から秋は特に注意! 大雨の影響を受けやすい日本

周りを海に囲まれ、低気圧の通り道にもなっている日本は、雨の恵みを受ける一方で災害などの影響も受けやすい国。特に夏から秋にかけては、梅雨前線や秋雨前線、台風などの影響で、豪雨被害が発生しやすい時季です。

気象庁の観測によると、「1日の降水量が100mm以上の日」は年々増加傾向とのこと。特に「線状降水帯(発達した複数の雨雲が線状に連なった雨域)」による大雨は、長時間、同じ場所で降り続ける特徴があるため、災害につながりやすいです。近年の発生状況を見ると西日本で頻発している傾向にあるものの、いつ起こるかなどの予測は難しいといわれています。また、これ以外にも、1つの雨雲が発生し短時間で局地的に強烈な雨を降らせる「ゲリラ豪雨」の発生回数も増えています。

リスク:土砂崩れや浸水などの被害に注意。自分が住む場所の地理的な特徴を把握しよう

大雨がもたらす被害

  • 河川の氾濫
  • 堤防の決壊
  • 土砂崩れ

大雨がもたらす被害

局地的な大雨や集中豪雨が発生すると、河川が氾濫して道路や建物が浸水したり、土砂崩れが起きたりする場合も(土砂崩れが発生したら)。駅や学校、病院などの公共機関といった街の中枢を担う施設が浸水・倒壊すると被害が大きくなり、被災者の救援にも支障が出るでしょう。

また、断水や停電などのライフラインにも大きな影響が及びます。現在地であまり前が降っていなくても、上流で降った大雨により時間差で下流が氾濫する場合もあるので、十分注意しましょう。

大雨がもたらす被害

大雨の被害は、川や山の近くだけでなく、谷や沢を埋め立てた地域でも同様に注意が必要です。盛り土された場所は地盤が緩みやすいため、大雨が降った後、地震が起きると2次災害のリスクも高まります。

過去に起きた大雨被害

静岡県では、大雨によって発生した複数の土石流災害により136棟の建物被害、27名の死者(災害関連死1名含む)が出たほか、茨城県では、市の中央を流れる川の堤防が決壊したことで市の3分の1が浸水する被害も発生しています。

日頃からやっておきたい大雨対策

  • ハザードマップをチェックハザードマップポータルサイト
    自分が住んでいる地域のリスクを調べ、災害時の避難経路などを確認しておくと安心です。
  • 非常用持ち出し袋の準備
    大雨だけでなく、巨大地震などの備えにもなります。最低限の飲食物は確保しておきましょう。
  • 排水設備の点検・清掃
    道路の冠水を防ぎ、家屋の浸水リスクを減らせます。落ち葉やゴミなどがたまっていたら取り除きましょう。雨が降り始めてからの作業は危険なので、晴れている間にきれいにすることが大切です。(道路が冠水したときに取るべき行動

日頃からやっておきたい大雨対策

対処法:まずは安全確保。最新情報をチェックし、必要であれば避難

大雨に関する情報が発表されたら、いつでも避難所などへ行けるような準備を整え、気象情報や公共機関の情報をチェックしながら待機しましょう。プッシュ型通知をしてくれる防災アプリをスマホにダウンロードしておくと、より早く危険を察知できます。

ハザードマップを参照の上、2m未満の浸水が予想されるエリアでは建物の1階部分が被害を受ける可能性が高く、それ以上の浸水が予想される場合は2階より上も危険です。雨がひどく降り、避難所などへ行くことが困難になってしまった場合は、貴重品や飲食物、懐中電灯などを持って速やかにできるだけ高いところへ移動しましょう。

高いところへ移動

避難は「警戒レベル3」が目安

避難するかどうかの判断は、気象庁や自治体が発表する「警戒レベル」を参考に。5段階で表され、数字が大きくなるほど災害発生の危険度が高まります。高齢者だけでなく、一般の人もなるべく警戒レベル3のタイミングで避難しましょう。(大雨や台風の特別警報が発表されたら

避難は「警戒レベル3」が目安

警戒レベル3のうちであれば車で移動できる場合が多いため、持ち運びが難しい荷物を積み込んだり、買い出しをしたりするのもOK。レベル4になると数時間以内に災害が発生する危険が高まるため、早めの避難が肝心です。

避難は動きやすい服装で。自宅の戸締まりも忘れずに!

いざ避難をするときに、最低限押さえておきたいポイントです。(避難所生活の心得

  • 服装
    長袖・長ズボン、履きなれた運動靴などの底がしっかりして脱げにくい靴を着用(長靴は歩きづらく脱げやすいのでNG)。ヘルメットや防水性の高い帽子など、頭を守れるものがあると安心。
  • 持ち物
    数日分の飲食物・貴重品・常備薬・懐中電灯・下着・予備のモバイルバッテリーなど。
  • 自宅
    水道・ガス・ブレーカーをオフにして、扉や窓はしっかり施錠。玄関先に安否を知らせる張り紙をする場合は、くれぐれも空き巣などに気をつけて。

大雨が降っているときに役立つサービス・ウェブサイト

  1. 気象庁「大雨危険度」

    気象庁

    気象庁が発表する大雨危険度の速報をチェックできるウェブサイト。レベル別に色分けされた危険度により、被害の状況が一目でわかります。

  2. Yahoo!防災速報

    Yahoo!防災速報

    ゲリラ豪雨などの大雨情報の他に地震に関する情報や避難勧告などをプッシュ通知でいち早く知らせてくれるアプリ。現在地とあらかじめ設定した3つの地域の速報をチェックできます。

  3. Yahoo!天気・災害「雨雲レーダー」

    Yahoo!天気・災害

    天気予報のほか、災害情報も知らせてくれる総合サイト。雨雲の動きをリアルタイムにチェックできる「雨雲レーダー」は、大雨の状況を調べるときに便利。

監修者 防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)

高橋 洋(たかはし・ひろし)

1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティア、終活ガイド・エンディングノート認定講師としても幅広く活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。

(掲載日:2022年11月4日)
文:大瀧亜友美
編集:エクスライト
イラスト:高山千草、鎌田涼