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年間2万円以上の節約も夢じゃない? うちエコ診断士が教える今すぐできる省エネ術

年間2万円以上削減も夢じゃない? うちエコ診断士に聞くおトクな省エネ術

近年どんどん高騰している電気代。最近届いた電気料金の明細に驚いた方も多いのではないでしょうか。今後もますます電気料金は上がっていく見込みのため、もはや節電は待ったなし。だけど、節電って具体的に何をどうしたらいいの? エアコンの温度を1℃下げたらどう変わるの? など、節電に対する疑問は尽きません。

今回は、環境省が推進している「うちエコ診断制度」を利用し、うちエコ診断士に今の家庭での光熱費の状況を診断してもらいます。そして、教えていただいた省エネ術を実際に検証しました!

  • なお、今回の検証データはとある家庭で測定された結果であり参考値です。電気を使用する環境によって結果が異なります。
うちエコ診断制度とは?

うちエコ診断制度とは?

各家庭のライフスタイルや地域特性に応じたきめ細かい診断・アドバイスを実施することにより効果的に二酸化炭素排出量の削減・抑制を推進していくために環境省が行っている事業。アドバイスを行う「うちエコ診断士」は環境省認定の公的資格者で、専用の診断ソフトを活用し、各家庭の光熱費やCO2排出量を「見える化」し、各家庭に合わせた適切なアドバイスや提案を行う。

うちエコ診断制度はこちら

目次

電気代診断の舞台は同棲カップルの自宅

電気代診断の舞台は同棲カップルの自宅

「いらっしゃーい!」

今回のうちエコ診断の舞台となるのは、最近同棲を始めたという白井さんの自宅。1人暮らしの頃に比べて電気料金の高さに驚き、「どういう節電方法があるのか知りたい! 」とのことで今回の診断を買って出てくれました。

都内近郊の築27年の3LDKマンションに暮らす

都内近郊の築27年の3LDKマンションに暮らす

まずは自宅と、現在の暮らしについてヒアリング。

  • 現在は2人ともリモートワークで、ほぼ一日中自宅にいる
  • 仕事は各自の部屋で行い、夜はリビングで過ごす
  • 日常的に使う冷暖房器具はエアコンで、いつも作業するリビングと彼の部屋に設置
  • 2023年1月の電気代は1万176円
  • 家はオール電化ではない
  • 電気は大手電力会社を契約
  • あまり節電意識は高くなく、今回をきっかけに省エネ意識を高めたいと思っている

とのこと。コロナ禍の影響で在宅の仕事が増えたため、その分電気代がかかってしまうのが悩みどころですね。

それでは早速診断を始めてもらいます。今回ご協力いただいたのは、うちエコ診断士の服部杏子さん。家庭でのエネルギー消費量を賢く減らして、現在の約半分の消費量だった1985年当時のレベルにしようというミッションを掲げ活動されている一般社団法人Forward to 1985 energy lifeの事務局に所属されています。

電気代診断の舞台は同棲カップルの自宅

診断はオンラインで専用ソフトを使用し、診断士とやり取りしながら進めます。普段はガス代についてもあわせてアドバイスをいただきますが、今回は電気代にフォーカスして診断してもらいました。

【省エネ術】家庭内で電気代が多くかかるのは、冷暖房・照明・冷蔵庫の3つ

まずは、自宅の現状をヒアリングしていき、どこが節約できそうなポイントなのかを見定めていきます。ヒアリング前には、事前に家の状態についてアンケートに回答します。

まずはおうちの現状確認!

ヒアリングでは、住まいの状況や光熱費、冷暖房、また設定温度などの聞き取りがあります。あわせて、エアコンなど家電製品の利用状況や、お風呂の利用時間なども加味し、総合的な光熱費バランスを見ていきます。

まずはおうちの現状確認!

設問の例:使用するソフトにはそれぞれの節約行動が数値化されてインプットされており、地域ごとのガス・電力基準にのっとって光熱費の算出が行われている

白井家の光熱費の内訳と診断地域における同条件の家庭との比較

白井家の光熱費の内訳と診断地域における同条件の家庭との比較

設問に答え終わると、家庭の光熱費の内訳と診断地域における同条件の家庭との比較が出力されます。白井さんの自宅では、月々の平均電気代は7,213円、白井さんと同条件の世帯平均は8,558円なので、平均よりは省エネに暮らせていることがわかりました。100世帯の中で比べると30位とのこと。

白井 「こうやって見るとわが家の電気代は平均よりは安いですけど、まだまだ節約したいですね」

服部 「白井さんがいま、節電について悩んでいることはありますか? 」

白井 「う〜ん、悩みというかそこまで節電意識が高くないのが気になっているんですよね。夜に炊飯器でお米を炊いたあと、朝までずっと保温したままだったり。そういうところを直したいなと思っています」

服部 「節電の第一のコツは、『ランニングコスト』を下げることです。使用時間と効率を見直し、日々使う家電や照明の1時間あたりの電気代を低くすることで、長いスパンで見ると大きな節約につながります」

白井 「なるほど。では家庭ではどういうポイントを注意するといいのでしょうか? 」

服部 「白井さんのお宅の場合、電気を多く使っているのは冷暖房・照明・冷蔵庫の3つです。それでは具体的なテクニックをお伝えしていきますね」

省エネ術① エアコンの温度を1℃下げると10%の節電に!?

省エネ術① エアコンの温度を1℃下げると10%の節電に!?

白井家の光熱費内訳

服部 「家庭の中で1番電気代がかかるのが暖房です。ここを改善することで大きな節電効果が期待できます。白井さんのおうちはガス給湯の次に、暖房を使っている割合が高いですね」

白井 「わが家はエアコンをメインに使っているのですが、例えばエアコンを1時間つけたときの料金はどれくらいかかってくるのでしょう? 」

服部 「各家庭の環境や温度設定にもよるので一概には言えませんが、エアコンの消費電力0.25kWhに1kWhあたりの電気料金27円をかけると、『0.25kWh×27円=6.75円』で1時間あたり約6.75円かかってきます。1日7時間稼働するなら約47円かかりますね」

省エネ術① エアコンの温度を1℃下げると10%の節電に!?

白井 「わが家はそれぞれの部屋でエアコンを使っているので、毎日勤務時間中はつけっぱなしです。ということは毎日100円近くかかっているのですね…! 」

服部 「そうなんです。ちなみにエアコンの温度を1℃下げると、CO2排出量と電気代が約10%下がるといわれています。ですので、冬は暖房の温度を20℃を目安に設定するとより大きな節電効果が期待できますね」

白井 「『エアコンはこまめに消すよりつけっぱなしのほうがおトク』というウワサを聞いたことがあるのですが本当ですか? 」

服部 「ほとんどの場合はちゃんと消したほうがおトクです。エアコンは起動時の電力消費が大きいので、頻繁にオン・オフするのはやめたほうがいいですが、30分以上外に出掛けるなら消したほうがいいですね」

白井 「なるほど。他にもありますか?」

服部 「あまり知られていませんが、室外機の風通しをよくすることも効果的です。年間約8,000円も節約できるといわれています」

ベランダに設置された室外機

ベランダに設置された室外機

白井 「そんなに!? いったい室外機の風通しと電気代にどう関係があるのでしょう」

服部 「室外機の風通しが悪いと、排熱した空気をもう一度室外機が吸い込んでしまって効率が悪くなってしまうんです。室外機カバーで囲われていたり、前に物が置かれたままだとよくないですね」

白井 「自宅リビングの室外機は囲われていなかったです! でも、彼の部屋の室外機は囲われていたのでちょっと調整しようと思います」

服部 「そうですね。彼の部屋の室外機の風通しをよくし、暖房温度を20℃に下げることで年間10,500円安くなるという試算が出ましたよ」

白井 「年間だとそんなに安くなるんですね! 」

服部 「また、エアコンを使う時間を3割短縮するのもおススメです。夏は扇風機を使って冷房の利用を3割減らしたり、カーテンなどで部屋を仕切ったりすることで冷暖房効率アップが期待できます。他にも、エアコンのフィルター掃除や、使わない時期はコンセントを抜くといった節電につながるアクションをすると、年間で21,400円の電気代削減が見込めます」

省エネ術① エアコンの温度を1℃下げると10%の節電に!?

白井 「年間21,400円だと、月々だと約1,800円の削減になるのは大きいですね。CO2の排出量もぐっと減るので環境にも優しい! 」

服部 「そうなんです。冷暖房は家庭の電気代でも大きな割合を占めるので、まずはできることから始めるといいでしょう。古い年式のものはそれだけ効率も悪くなるので、古いものを使っている場合は買い替えも視野に入れてみてください」

省エネ術② 白熱灯からLEDに替えると電気代約80%節約

省エネ術② 白熱灯からLEDに替えると電気代が10分の1に

服部 「次は照明についてです。冷暖房よりは大きな削減効果はないとはいえ、一番心がけやすいところですね」

白井 「わりとつけっぱなしにしてしまうことが多いですね…。できることといえば、使わない部屋の電気を消すくらいでしょうか」

服部 「基本的にはそうですね。あとは部屋で使っている電球が白熱灯であれば、基本的にLEDに替えたほうが電気代は安くなります。

白熱灯の場合は、消費電力0.06kWhに1kWhあたりの電気料金27円をかけて、1時間=1,62円です。1日7時間つけるとすると1日あたり11.34円がかかります。

省エネ術② 白熱灯からLEDに替えると電気代が10分の1に

LEDの場合は、消費電力が0.01kWhなので、計算すると1時間=0.27円です。1日7時間つけるなら1日あたり1.89円と白熱灯の約80%カットになります。LEDは長寿命のため、買い替えのコストも考えるとLEDのほうがトータルで安くなります」

白井 「年間で見ると白熱灯が年4,139円、LEDが年689円になるので長期で見ると大きな削減になりますね。今使っている電灯が切れたら買い替えます」

服部 「また、照明をつける時間を毎日1時間短くすることで、年間では約500円お得になります。ついつい忘れがちですが年間で見ると、ちょっといいコンビニスイーツが買えるくらいのお金が節約できるわけですね」

省エネ術③ 冷蔵庫や暖房便座など24時間稼働する家電の節約がカギ!

省エネ術③ 冷蔵庫や暖房便座など24時間稼働する家電の節約がカギ!

服部 「24時間ずっと稼働している家電のランニングコストを下げるということは大事ですね。特に家電の中では冷蔵庫も改善しやすいポイントです」

白井 「冷蔵庫を開けっ放しにしないとかでしょうか? 」

服部 「それも大事ですね! 私は冷蔵庫の庫内温度スイッチを弱にすることをおススメしています」

省エネ術③ 冷蔵庫や暖房便座など24時間稼働する家電の節約がカギ!

白井 「奥にあるこのツマミですね。特にいっぱい物が入っているわけではないので、たしかに弱で問題ないと思います」

服部 「ずっと稼働している家電のコストを下げるという視点で節電すると、長期的に結果が出やすいです。あと、みんなが意外と見落としがちな節電ポイントがあって…」

白井 「すごく気になります! 」

服部 「それは、トイレの温水暖房便座です。こちらの便座も使わないときはずっとついていますよね。夜寝るからといってコンセントを抜いている方はほとんどいないはずです」

白井 「たしかに盲点でした…。冬にしか使わないですが、まったく気にしたことがなかったです」

服部 「設定温度を下げるだけで、年12kWhの節電ができて、年約400円節約できる見込みになります。こちらは家に温水暖房便座がある人はすぐに試してほしいですね」

白井 「『節電』というボタンがあったので押しました! 気付かなかった…! 」

服部 「極端な例ではありますが、2006年製の温水暖房便座を最新の温水暖房便座に買い替えると、年間100kWhの節電につながるというデータも出ているんです。古いものを使っている人は買い替えも一考の余地ありです」

省エネ術③ 冷蔵庫や暖房便座など24時間稼働する家電の節約がカギ!

一般社団法人Forward to 1985 energy life「住まいと暮らしの省エネガイドブック 首都圏版」より引用

一般社団法人Forward to 1985 energy life「住まいと暮らしの省エネガイドブック 首都圏版」より引用

白井 「100kWhというとけっこうな電気代になりますよね」

服部 「そうですね。単純に1kWhあたりの電気料金27円をかけると、年2,700円です。削減効果なので実際の使用分とは異なりますが、100kWhはエアコンを400時間分使った場合の電力量に相当するのでけっこうな電力を消費しているんです。テレビを買い替えるよりも効果がありますね」

白井 「絶対、温水暖房便座は確認したほうがいいですね! 」

省エネ術③ 冷蔵庫や暖房便座など24時間稼働する家電の節約がカギ!

【検証】電気代がかかる2大家電「エアコン」と「冷蔵庫」で実際に試してみた

服部さんからのアドバイスをすぐ実践してみることに。

チェックするのは、

  • エアコン
  • 冷蔵庫

の大きく二つ。

【検証】電気代がかかる2大家電「エアコン」と「冷蔵庫」で実際に試してみた

使用するのは「ラトックシステム Bluetoothワットチェッカー」。スマホでリアルタイムに電気料金が分かる便利アイテム。こちらを使って、節電前と節電後の消費電力を見てみましょう。

検証① まずは普段使っているエアコンから

検証① まずは普段使っているエアコンから

まずは普段使っているエアコンから。

普段の設定温度23℃の消費電力は約4W。次は、服部さんからアドバイスがあったように20℃に下げたもので検証してみます。

左:設定温度23℃、右:設定温度20℃

左:設定温度23℃、右:設定温度20℃

設定温度を23℃から3℃下げただけで、消費電力が約1.3W減りました。長い目で見ると大きな削減につながります。

こうやっていつも使っている電気製品の消費電力が可視化されると節電が楽しくなるかも?

検証② 続いて、冷蔵庫

検証② 続いて、冷蔵庫

普段使用している庫内温度「強」モードと、「弱」モード+節電モードの消費電力を計測します。

検証② 続いて、冷蔵庫

「強」モードに比べると半分以下の消費電力になりました。ここまで変化があるとは。この記事を読み終えたらすぐに冷蔵庫の庫内温度を調整することをおススメします。

左:普段の庫内温度「強」モードのもの。消費電力は約2.7Wとやや高め。右:庫内温度「弱」モード+節電モードのもの

左:普段の庫内温度「強」モードのもの。消費電力は約2.7Wとやや高め。右:庫内温度「弱」モード+節電モードのもの

コンセントで消費電力を測定! スマホでチェックして節電対策

コンセントで消費電力を測定! スマホでチェックして節電対策

スマホを使って、電気製品ごとの消費電力の変化を確認したり、データとして残したりすることが可能です。また、その他のWi-Fiワットチェッカーだと、遠隔での確認や操作ができる製品もあります。

うちエコ診断を終えての感想と「家庭ですぐできる電気代節約術まとめ」

うちエコ診断を終えての感想と「家庭ですぐできる電気代節約術まとめ」

白井 「今日はありがとうございました! 今までは節電意識が低かったので、正直『やってもそんなに減らないんじゃない?』って思ってたんですが、年間で2万円以上も節約できるなんて驚きました」

服部 「2万円も浮いたら旅行できちゃいますもんね。電気代使いすぎてるなと思う人はすぐにスリム化できますし、あまり無駄遣いしていない家庭でも、節約できるところはまだまだ見つかるはずです」

白井 「自分のちょっとした努力で大きな節約になることが分かってよかったです。これからも節電頑張ります! 」

家庭ですぐできる電気代節約術まとめ

  • まず24時間稼働する家電の設定を見直す
  • 冷蔵庫の庫内温度はできるだけ弱に
  • 暖房便座の温度を下げる
  • エアコンの室外機がふさがれていないかチェック

具体的な数値を挙げると、

「エアコンの温度を1℃下げると、エアコンの電気代10%の節約」

「照明を白熱灯からLEDに変えると、白熱灯に比べて年間約3,450円の節約」

になります。

家庭ですぐできる電気代節約術まとめ

また、2人で生活を共にする場合は、できるだけ同じ部屋で過ごすようにすると電気代も削減でき、仲も深まって一石二鳥!

現在、電気代に影響を与える燃料調整費が上昇し、政府が激変緩和措置として電気・ガス価格の値引きを行っていますが、これは2023年9月までの予定。あくまで一時的な措置なので、根本的に各家庭で使うエネルギーを減らすことが肝要になってきます。

まずは、暖房・給湯・冷蔵庫など、家庭のどの分野で多くエネルギーを使っているかを把握して、対策するのがポイントです。

節電を心がけて、環境にもお財布にも優しい生活をしましょう!

(掲載日:2023年3月27日)
取材協力・写真提供:うちエコ診断士・服部杏子
文:神田匠
編集:ヤスダツバサ(Number X)

節電に加えて、電力会社も見直してみては?

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