スマートシティの新たなモデルケース構築に向け、東急不動産株式会社(以下「東急不動産」)とソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)による取り組みが、11月11日から渋谷で始まりました。大型のタッチ式サイネージには、個性豊かなアバターが登場。今回開発された地域特化型生成AI基盤を活用し、来街者それぞれの興味や目的に合わせて魅力的な提案をしてくれるということで、実際に行ってみました!
渋谷を案内してくれるのは “地元をよく知るおじいさん” !
今回向かったのは、東京都渋谷区の観光案内所「shibuya-san(シブヤサン)」。渋谷駅からほど近く、成田空港と羽田空港からのリムジンバスが乗り入れるバスターミナルが直結しているため、多くの外国人観光客が足を運びます。
shibuya-san内に設置されたタッチ式サイネージには、老若男女、6人の個性的なアバターが表示されていました。
6人のアバターはとても個性豊か。華やかな若い女性はショッピング、海外旅行好きの女性は多国籍料理、会社員風の男性はバーや居酒屋、アート好きの男性はエンタメや観光地、渋谷に長年住む外国人女性は外国人目線でのおススメを紹介してくれるなど、アバターによって得意分野が違うんです。
和食が食べたい気分だったので、日本食のお店をよく知っているというしげるさんに案内をお願いしてみました。ずっと渋谷で暮らしてきたという72歳のしげるさんが、焼き鳥やラーメンなど、渋谷にあるさまざまな日本食のお店を紹介してくれます。しげるさんの語り口調はとても気さくで、まるで本当に地元の人から紹介されているよう。
行きたいお店を選択すると、Google マップにアクセスできるQRコードや現在地から歩いて何分かも表示されるので、旅先の知らない土地でも次の予定が立てやすいですね。
外国人観光客向けに、それぞれのアバターはマルチリンガル対応(日本語、英語、中国語、韓国語)しています。表示される文字だけでなく、アバターの話し言葉も選択した言語に変わります。
街の状況に応じて、リアルタイムで渋谷の魅力的なスポットを案内
取材をした日は、あいにくの雨模様。しかしアバターたちはリアルタイムで渋谷の状況を把握しているので、雨が降っているときは、屋根付きのルートで濡れずに行けるスポットを紹介してくれます。これなら雨の日でも、渋谷を満喫できますね。
当日開催されているイベントも紹介してくれるので、ガイドブックには載っていないような期間限定のイベントにも足を運ぶことができます。
地域特化型生成AIがスマートシティの新しいモデルケースに
今回の実証の担当者である、東急不動産の西田祐毅さんとソフトバンクの担当者に話を聞きました。
なぜ今回、渋谷で実施することになったのでしょうか?
西田さん 「当社がまちづくりを推進する広域渋谷圏は、インバウンドの観光客の方が非常に多くいらっしゃいます。ですが、多くの方は、スクランブル交差点を見て、ハチ公で写真を撮った後は、浅草や銀座など他の観光地に行ってしまい、渋谷での消費にはつながっていないという課題がありました。AIを活用して魅力的なスポットを紹介することで、広域渋谷圏の中での回遊性を上げられればと考えています」
生成AIを利用して観光サイネージを作成することになったのはどんな背景があったのでしょうか?
日置 「GPTをベースとした生成AIのユースケースはチャットボットなど業務効率化が中心でしたが、今回はAIによる街づくりの新たなモデルケースにしたいと考えました。東急不動産が有しているさまざまなエリア情報をベースに、生成AIで渋谷の地元民のような6人のアバターを作成することで、地元の人からとっておきのおススメを聞けたというようなワクワクする体験を提供できます。画一的な情報・表現では伝わらないものも、生成AIを活用することで血の通った個性的な表現に変えていくことができるので、受け取り手の心に少しでも響くような仕掛けになるのではと考えました」
今後の展望を教えてください。
西田さん 「今回の施策を進化させていくことに加え、構築した基盤を生かすことで、渋谷の防災など観光以外の課題解決にもAIは活用できるのではないかと考えています」
日置 「今後生成AIと都市OSを組み合わせる基盤を活用すれば、渋谷に来る前の方へのアプローチや、渋谷以外のエリアにも拡大することもできるのではないかと考えています。今回はサイネージという形でしたが、他のUIを活用するなどの方法もあると思いますので、チャレンジしていきたいと思っています」
妹尾 「リアルタイムデータとして、今回は天気やイベント情報を活用していますが、今後街のスマート化が広がり、至る所で情報を取得できれば、空いているお店に案内するなどの仕組みも構築できるかと思います。街にはさまざまなデータがあふれているため、観光案内のユースケース以外にもリアルタイムデータとAIを活用しより便利な街を作っていきたいと考えています」
生成AIの活用で渋谷の魅力向上および満足度向上を目指す今回の実証は、12月23日まで実施予定です。渋谷に精通した個性的なアバター達に会いに、ぜひ足を運んでみてください。
スマートシティの新たなモデルケースの構築に向け「広域渋谷圏」で生成AIを活用して来街者の行動変容を促す共同実証を開始~広域渋谷圏の魅力向上や来街者の満足度向上を目指す~(2024年11月7日 ソフトバンク株式会社 プレスリリース)
(掲載日:2024年11月26日)
文:ソフトバンクニュース編集部
「shibuya-san」で生成AIの観光案内を体験してみませんか?
- 期間
2024年11月11日(月)~12月23日(月)予定 - 場所
shibuya-san
東京都渋谷区道玄坂一丁目2番3号 渋谷フクラス1階 - 対応言語
日本語、英語、中国語、韓国語