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広がる産学連携。ICTで地域課題に挑む「産学連携プロジェクトAWARD」開催、67校から6つの事例を表彰


広がる産学連携。ICTで地域課題に挑む「産学連携プロジェクトAWARD」開催、67校から6事例を表彰


ソフトバンクと全国の大学などが連携し、ICTを活用して社会課題の解決に取り組む「ソフトバンク社会貢献プログラム 産学連携プロジェクト」。発足から1年がたち、優れた取り組みを表彰する場として「産学連携プロジェクトAWARD」が2025年7月11日に初開催され、6団体を表彰。各受賞団体から、取り組みのプレゼンテーションが行われました。

地域課題に向き合い、学びを育てた1年。教育現場とともに歩んだ成果を共有

地域課題に向き合い、学びを育てた1年。教育現場とともに歩んだ成果を共有

冒頭で、ソフトバンク CSR本部 本部長の池田昌人が主催者を代表してあいさつを行いました。「昨年3月、『産学連携プロジェクト』の発足を発表してから1年がたち、地域課題の解決に向けた取り組みは、全国67の大学・専門学校へと広がりました。

地域課題の解決をいかに学生の学びにつなげ、学校の特色を生かしたかたちにできるか、先生方と知恵を出し合いながら、ソフトバンクも共に歩んできました。本日は、この1年の中でも印象に残る活動をされた団体の皆さまをお迎えし、初の『産学連携プロジェクトAWARD』を開催します。これまでの活動を振り返り、次の一歩を踏み出す契機となることを願っています」

産学連携プロジェクトAWARDの受賞団体一覧

受賞部門 団体名 取り組み
社会課題部門 石巻専修大学
(宮城県)
石巻市における子どもの体力向上を目指した運動促進の取り組み
スケール/規模感部門 武庫川女子大学
(兵庫県)
ソフトバンク社の知見を活用した地域連携型ふるさと納税返礼品の開発と教育的実践
独自性部門 香川大学
(香川県)
笑顔認証を活用した万引き抑止のための店舗空間デザインと行動変容の実証実験
創意工夫部門 国際アート&デザイン大学校
(福島県)
スマートコーチによる文化系部活動支援~福島成蹊高校アニメーション部支援!
次世代育成部門 大阪体育大学
(大阪府)
ICTを活用した体育実技・学校部活動・地域クラブ活動の支援モデル開発
審査員特別賞 東洋英和女学院大学、岩崎学園 情報科学専門学校
(神奈川県)
地域ポイントで地域と商店街を活性化(若葉台団地実証実験)

地域と教育が交わり生まれた6つの受賞案件

受賞した大学・団体から、地域課題にどう向き合い、学生の学びにつなげてきたか紹介されました。ICTの活用や自治体との連携、現場での試行錯誤を重ねたそれぞれの実践には、地域と教育が交わるからこそ生まれるリアルな工夫と成果が詰まっています。

石巻専修大学「石巻市における子どもの体力向上を目指した運動促進の取り組み」

石巻専修大学「石巻市における子どもの体力向上を目指した運動促進の取り組み」

生活習慣の乱れや体力低下といった子どもの健康課題に対応するため、石巻市と連携し、体力向上を目指す運動促進プログラムに取り組みました。骨量や筋肉量の測定、運動量の調査を通じて課題を可視化し、適切な介入策を検討しています。

この取り組みは、石巻市の10カ年計画「子供の体力向上プラン」の一環として実施され、「体育の授業にICTを活用する」というテーマのもと、ソフトバンクの「AIスマートコーチ」を導入しました。音楽や動画を活用した教材は授業だけではなく家庭でも使える内容となっており、児童の継続的な運動習慣の定着を後押ししています。

これまでに延べ3,000人以上のデータを収集しており、小学5年生女子では全国平均を上回る体力向上が確認されました。今後は、運動教室の本格実施や学生の指導力育成にも力を入れていきます。

武庫川女子大学「地域連携型ふるさと納税返礼品の開発と教育的実践」

武庫川女子大学「地域連携型ふるさと納税返礼品の開発と教育的実践」

学生が主導となって、ふるさと納税を通じた地域振興と人材育成に取り組みました。三重県多気町、和歌山県南部町、北海道北広島市の3自治体と連携し、食品や工芸品などの地場産品を題材に返礼品を企画・開発を実施。パッケージや提案資料にも工夫を凝らし、自治体とのプレゼンテーションを重ねた結果、多気町では37品目が採用されました。

現在は、兵庫県内の高校とも連携の幅を広げており、生成AIを活用した提案や地域施設の設計にも挑戦中です。学生たちはフィールドワークを通じて、地域課題への理解を深めながら、実践的な提案力を磨いています。

香川大学「笑顔認証を活用した万引き抑止のための店舗空間デザインと行動変容の実証実験」

香川大学「笑顔認証を活用した万引き抑止のための店舗空間デザインと行動変容の実証実験」

万引き抑止に向けて、AI顔認証と空間デザインを組み合わせた新たな防犯モデルの実証実験に取り組みました。従来の防犯カメラは記録には有効である一方、その場での抑止効果が弱いという課題がありました。そこで、人の目や存在感による行動変容に着目した仕組みを導入しました。

万引きが発生しやすい店内エリアに顔認証タブレットを設置し、来店者が笑顔を見せるとライトが点灯する仕掛けを導入。これにより、来店者の意識が変化し、店内の雰囲気や防犯意識の向上が確認されました。その結果、万引き被害額は前年同月比で約7割減少、件数も3割減少するなど、大きな成果が得られています。

国際アート&デザイン大学校「スマートコーチによる文化系部活動支援~福島成蹊高校アニメーション部支援!」

国際アート&デザイン大学校「スマートコーチによる文化系部活動支援~福島成蹊高校アニメーション部支援!」

文化系部活動が抱える課題の解決に向け、ウェルビーイングを軸に、5つの立場(高校生・教員・専門学校生・教職員・地域社会)に寄り添った支援に取り組みました。特に、指導が専門外で悩む教員や目標を持ちづらい生徒への支援として、「スマートコーチ」を使った映像教材を制作。生徒から提出された動画に対して教員が添削やアドバイスを行いました。

さらに、専門学校生が高校への訪問指導や交流も実施し、対面でのサポートを通じて、生徒の理解や技術の向上に加え、笑顔や積極性の面でも変化が見られました。その結果、満足度は100%を達成。進学希望者やオープンキャンパス参加者の増加にもつながるなど、活動の成果が確実に現れています。

大阪体育大学「ICTを活用した体育実技・学校部活動・地域クラブ活動の支援モデル開発」

大阪体育大学「ICTを活用した体育実技・学校部活動・地域クラブ活動の支援モデル開発」

体育授業の改善を目的に、「AIスマートコーチ」を活用した実践的な取り組みを小中学校や特別支援学校で行いました。生徒はタブレットで自身の動作を客観的に分析し、考察と修正を繰り返すプロセスを通じて、主体的な学びが促進されました。

さらに、動画を活用したフィードバックやグループでの共有により、生徒同士のコミュニケーションも活性化。特別支援学校では、動作の可視化によって理解が深まり、表情や意欲に明るい変化が見られました。こうした成果は大学の教育プログラムにも反映されており、ICTが「自ら学ぶ体育」を支える有効な手段であることを実感しています。

【審査員特別賞】東洋英和女学院大学、岩崎学園 情報科学専門学校「地域ポイントで地域と商店街を活性化(若葉台団地実証実験)」

東洋英和女学院大学、岩崎学園 情報科学専門学校「地域ポイントで地域と商店街を活性化(若葉台団地実証実験)」

約6,000世帯が暮らす横浜市若葉台団地では、高齢化の進行とともに、商店街の衰退が地域課題となっており、住民からも再生を求める声が寄せられていました。こうした課題に対し、空き店舗を活用したポップアップストアの誘致、地域ポイント制度付きアプリの開発、住民ニーズ調査の3つを軸に取り組みを進めました。

開発したアプリは、高齢者にも配慮したシンプルなUI設計とし、開発やチラシ配布、サポートデスク対応まで学生が担当。住民との対話を重ねながら技術支援だけではなく信頼関係の構築にも努めました。登録者157名、利用者19名と小規模ながら、住民からは前向きな声も多く寄せられ、若者が地域に寄り添いながら協働する実践的な取り組みとなりました。

大賞は武庫川女子大学が受賞。広がる産学連携の未来

プログラムの最後に大賞の発表が行われ、「地域との連携の広がりと教育モデルとしての社会的意義」が高く評価された武庫川女子大学が受賞。審査講評では「今後の産学連携の模範となる優れた取り組み」として、その成果が称賛されました。また、多くの総評コメントでは、学生の創造力と地域との協働によって生まれた新たな社会課題解決のかたちや、次世代育成に対する大きな期待が語られました。

大賞は武庫川女子大学が受賞。広がる産学連携の未来


最後には、大学・専門学校を対象とした「ソフトバンク生成AI活用アイデアコンテスト」の開催が発表され、アワードの取り組みは新たな広がりを見せました。このイベントは、地域と教育の連携による持続可能な社会づくりの可能性を感じさせる、意義のある機会となりました。

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(掲載日:2025年7月29日)
文:ソフトバンクニュース編集部

ソフトバンク社会貢献プログラム 産学連携プロジェクト

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「地域課題の解決と人づくり」を基本方針とし、全国の大学などと連携しながら、環境対策・ダイバーシティ・デジタル教育を始めとする、さまざまな地域課題の解決を目指します。

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