2021年5月12日、ソフトバンクグループ株式会社（以下「SBG」）が、2021年3月期 決算説明会を開催。代表取締役 会長 兼 社長執行役員 孫正義が登壇し、2021年3月期の業績、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの状況などについて説明しました。
踏切の向こうには夢がある
冒頭、孫は2021年3月期の連結決算の純利益が4.99兆円であったことに触れると、1枚の写真を紹介し、「今日の決算説明会の結論はこの写真にある。私にとって重要な光景です。この1枚にソフトバンク40年の歴史の物語がある」と語り始めました。
16歳で米国に渡り大学を卒業。マイクロチップの誕生、シリコンバレーのテクノロジーの誕生・進化に衝撃を受けた孫は、帰国後、福岡県の雑餉隈（ざっしょのくま）で創業。初めて構えた事務所近くの踏切を通るとき、カンカンという警報機の音と自分の胸の鼓動の高まりが重なり、「いつかは売上も利益も1兆、2兆と数えるようになりたいと思っていた」と過去を振り返り、それが現実のものとなったことを1枚の写真に表しました。
「NAV」におけるソフトバンク・ビジョン・ファンドの割合が増加
業績の概要については、これまでの投資の失敗など、謙虚に受け止めるべき反省点もあったと振り返りながら、「この利益は一次的なことではなく、継続して新しい産業を再定義する会社を生み出し、ターボチャージで株式公開のラッシュを作っていく」と意欲を示しました。
SBGにとって最も重要な指標であるNAV（時価純資産）については、前年比4.4兆円増の26.1兆円となり、特に2020年度は全体に占めるソフトバンク・ビジョン・ファンド（以下、SVF）の割合が25％に拡大したとし、将来はさらにSVFが増えるであろうと強調。LTV（純負債／保有株式）についても12％と非常に健全な状態であるとしました。
また、新型コロナウイルスなどを背景として守りを固めるということを決意し昨年3月に発表した、自己株式取得と負債削減のための4.5兆円プログラムについて、資金化が半年で約束の4.5兆円を突破して完了したこと、また、2.5兆円※の自己株式取得についても完了、消却することを本日発表したと説明しました。
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4.5兆円プログラムに基づく自己株式取得と2020年3月13日に決議した自己株式取得の合計
IRR43％。ファンドの運用成績改善が業績に貢献
続いてSVF1とSVF2の状況について説明し、2020年度は投資損益が大きく改善し、2020年度の1年間で6.35兆円の実績をあげたと説明しました。
SBGとして見たIRR（Internal Rate of Return、内部収益率）について、SVF1は39％、SVF2は119％となり、1・2合算で43％であったと胸を張りました。また、LatAm Fund（ラテンアメリカファンド）についても62％で、3つのファンドの合算でも43％となりました。
AI革命の鍵はコンピューティングの進化
続いて孫は、「AIの技術を使った最先端のモデルをどんどん掘り下げ掘り起こして、われわれのグループに入ってシナジーを出し合う、そういうことをやりたいと思っている。AIはまだ始まったばかり、AIはあらゆる産業を再定義していくと信じている」と話し、SVF1・SVF2・LatAm Fundの投資状況について説明。
前回の決算発表時に164社だったSVF1・2およびLatAm Fundの企業数は、投資委員会で承認済みのもの（投資完了前の30社を含む）を含めると、この3カ月で60社増え、224社に増加。孫は、出資先の中からAIを使った新しいビジネスを展開している企業の事例として、日用品をオンデマンドで配達する「gopuff」、ローン手続きの自動化と効率化を実現する「better」、動画クリエイター集団をマネージする「JELLYSMACK」、リアルタイムで商品棚を管理する「trax」、人材マッチングの「jobandtalent」など、さまざまな産業の分野でAIによる革新が進んでいることを紹介しました。
大切なのは志。物語はまだまだ続く
最後に孫は冒頭で紹介した踏切の写真に戻り、「数字よりも大切なものはこの写真にあると思っています。踏切の向こうには夢がある。まだ踏切を渡り切れていない」と話し、その思いがSBGにとって一番大切な財産であるとして、「まだまだこの物語は続く。お金はただの道具です。SBGにとって一番大事なのは、情報革命で人々を幸せにしたいという志である」と語りプレゼンテーションを締めくくりました。
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（掲載日：2021年5月12日、更新日：2021年5月13日）
文：ソフトバンクニュース編集部
