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子ども支援、リテラシー教育、観光活性化… 学生とともに地域・社会課題に挑む「第2回シナジーミーティング」開催

学生の視点で捉える地域課題。ICTとAIで挑むその成果は? 「第2回シナジーミーティング」が開催

2025年12月4日、「ソフトバンク社会貢献プログラム 産学連携プロジェクト」の参加校がその取り組みを発表する第2回シナジーミーティングが、ソフトバンク竹芝本社の会場とオンラインのハイブリッド形式で開催されました。今回は39校が参加し、AI(人工知能)やICTを活用した地域・社会課題解決に向けた取り組みの事例が多数発表されるとともに、活発な意見交換が行われました。

目指すゴールは「地域・社会課題の解決」。取り組みの成果を共有するシナジーミーティング

「ソフトバンク社会貢献プログラム 産学連携プロジェクト」は、ソフトバンクがこれまでに全国の大学と地域・社会課題解決に向けた取り組みで得た知見やノウハウを他の大学などに展開し、効率的に課題を解決するため2024年に発足、現在は83校が参画しています。シナジーミーティングは、参画する団体の成果発表や交流の場として設けられています。

昨年度の第1回シナジーミーティングでの出会いを契機とした石巻専修大学と大阪体育大学の2大学間での連携や、第1回特別講演に登壇した株式会社Agoopのソリューションを活用した石巻専修大学の防災教育実践など具体的な協業成果を生み出しており、まさに産学連携の “相乗効果(シナジー)” を体現しています。この取り組みは、文部科学省からも「産学連携と人材育成が国の成長戦略の最重要課題である」との認識が示されており、日本全体にとっても重要な位置づけとされています。

参加校に向けて、ソフトバンク コーポレート統括 CSR本部 本部長 池田昌人から具体的な連携方法や学生の人材育成に関する知見を共有。未来のデジタル人材育成と社会貢献につながる実践的な連携方法論の共有を通じてプロジェクトのさらなる推進を図りました。

十人十色の解決プロセス。学生の視点で捉えたさまざまな地域課題

今回行われた第2回シナジーミーティングでは、7校が取り組みの発表を行いました。第1回でも発表を行った学校はもちろん、今回が初めての発表となる学校も。学生が自分たちの視点で捉えた地域・社会課題は実にさまざまで、取り組みの内容やアイデアに会場からは感嘆の声があがりました。

【石巻専修大学・大阪体育大学】子どもの体力向上を目指した運動促進の取り組み 〜体育授業でのICT活用について〜

石巻専修大学と大阪体育大学の連携は、前回のシナジーミーティングを契機に生まれました。深刻な子どもたちの体力低下という地域課題に対し、両大学はソフトバンクの「AIスマートコーチ」を活用して解決を試みています。お手本動画との比較やAIによる骨格検出などの機能活用による成果の見える化により、児童の達成感を促すとともに、教師の「指導のコツ」の言語化や共同的な学びを通じた授業モデルを構築。この取り組みは、ICTを通じて「体育が好き」な子どもを増やし、地域の子どもの技能・体力向上に貢献することを目指しています。

【法政大学】ソフトバンクと連携したフェイクニュース対策ワークショップの設計と実践

法政大学はソフトバンクとともに、高校生を対象としたフェイクニュース対策ワークショップを開発・実践しました。リテラシー教育を分かりやすく設計し、高校生が関心を持ちやすいよう情報源が不明瞭なネットニュースを引用した記事をテーマに設定。情報源の有無や難易度を段階的に用意する工夫を施しました。実践を通じて生徒からは「情報源を見つけるのが楽しい」という声があがった一方、AIの誤った要約を情報源と誤認するという課題が浮き彫りになりました。これは、AI共存時代におけるリテラシー教育の論点と言えます。今後もワークショップのさらなるブラッシュアップや対象の拡大を行う予定です。

【愛知淑徳大学】障がいのある子どもたちの「できた!」をICTで支える春のオンライン音楽会

愛知淑徳大学のコミュニティ・コラボレーションセンター 学生団体「しゅくぐる」は、発達障がいを持つ子どもたちの発表機会創出のため、2026年3月に「春のオンライン音楽会」を企画しています。学生が主体となって企画や広報を担い、ソフトバンクはオンライン接続や音質調整などICTによる支援を担当。また、学生たちは生成AIをアイデア出しや企画案制作の補助ツールとして活用するだけでなく活動記録の要約にも利用し、AI活用スキルの習得につなげています。この企画は、子どもたちの達成感を醸成し、教育・福祉・テクノロジーが交差する新しいインクルーシブ社会のモデルを目指した取り組みです。

データやシステム開発からのアプローチも。広がりを見せる解決手法

学生たちの取り組みは、サービスや生成AIを使ったものだけではありません。今回、観光に目を向けてデータなどを活用して課題にアプローチする学校も見られました。

【日本経済大学】「マチレポ」を使ったみずほPayPayドーム福岡の観客数の維持、増加のための提案

日本経済大学は、Agoopの人流マーケティングツール「マチレポ」を活用し、みずほPayPayドーム福岡の集客戦略を提案しました。人流分析の結果、高齢層の来場率の低さや非開催日の集客不足、SNSでの関心と実際の来場頻度のギャップなどがデータにより明らかに。これらの結果にもとづき、市民・学生・企業・行政が連携してアイデアを出し、「マチレポ」で効果を検証する共創プロジェクトと、チケット提示で地元店舗の特典を受けられる「チケット×地域×SNS」連携キャンペーンを提案。データにもとづく地域活性化を目指しています。

【琉球大学】プロセスイノベーションキャンパス 〜見える化から始まる未来の業務地図作り〜

琉球大学は、地域のDX推進の一環として「大学コンソーシアム沖縄 子どもの居場所学生ボランティアセンター」の業務改善に取り組みました。課題であった紙の書類や手作業による非効率な業務に対し、ソフトバンクとともに高度なスキルを要する業務フローモデリング表記法(BPMN)を用いて業務プロセスを可視化。これにもとづき、学生の参加ハードルを下げるための「事前研修会のオンライン化」や、事務作業を効率化する「申請書類のワンフォーマット化」を提案しました。地域貢献と実践を通じた未来のデジタル人材の育成という2つの成果を両立させています。

【秋田工業高等専門学校】曳山マップ 〜曳山リアルタイム位置情報地図による安全確保と観光活性化〜

秋田工業高等専門学校は、ユネスコ無形文化遺産である「土崎港曳山まつり」を題材に、曳山のリアルタイム位置情報マップを開発しました。曳山とは山車(だし)の一種で、「土崎港曳山まつり」では20台以上が町民のもとを練り歩きます。この多数の曳山の位置把握が困難という運営課題を解決するため、曳山にiPhoneを搭載し、位置情報をウェブのマップに表示するシンプルなシステムを構築しました。開催期間中の2日間でユニークアクセスは約1万5,000件を記録し、利用者アンケートでは約8割が「役に立った」と回答。会場では「大掛かりな設備が不要で、伝統文化とICTを融合させながらも安全な運行と観光活性化に貢献する再現性の高いモデル」として注目されました。

参加団体の発表後に行われた特別講演では、第1回シナジーミーティングを通じて協業が始まった石巻専修大学とAgoopが特別講演として共同でプレゼンテーションを行いました。同大学では、石巻市内の中学校で「津波警報発令時の交通渋滞における、客観的な人流データを用いた可視化」などの新しい防災教育を実践しており、両者は「データ検証を通じて『車でなく徒歩で避難すべき』という行動変容の意識を高めるとともに、地域防災協議の必要性を促す第一歩となった」と語りました。

今後も産学連携プロジェクトでは、参画団体間の連携を一層深めるとともに、研究機関が持つ知見とソフトバンクが保有するAIやさまざまなデータ、ICTインフラなどの技術を組み合わせて地域・社会課題の解決をさらに推進していきます。

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(掲載日:2025年12月23日)
文:ソフトバンクニュース編集部

学生たちが捉えた課題をソフトバンクとともに取り組むプロジェクト

ソフトバンク社会貢献プログラム 産学連携プロジェクト

「地域課題の解決と人づくり」を基本方針とし、全国の大学などと連携しながら、環境対策・ダイバーシティ・デジタル教育を始めとする、さまざまな地域課題の解決を目指します。

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