曇りや雨の日が続くと、外に洗濯物が干しにくいですね。「部屋干ししているせいか、衣類が臭う…」「洗濯物がなかなか乾かない」という悩みも増えるのでは? もうこんな“困った”とは決別したい! そこで“洗濯王子”こと中村祐一さんに、雨続きの季節にこそ実践したい正しい洗濯テクニックを教えてもらいました。
目次
- 部屋干しのせい? 洗濯物の “あのニオイ” の正体とは
- まずは「洗い方」から。3つのポイントを押さえよう
- 「すすぎ1回」が習慣になっている人は要注意!
- 柔軟剤の使いすぎがニオイの原因に?
- 雨の季節も怖くない! 洗濯物がすぐに乾く「干し方」は?
- それでもニオイが染みついて取れないときは……
中村 祐一(なかむら・ゆういち)さん
洗濯家。長野県伊那市のクリーニング会社「芳洗舎」3代目。「洗濯から、セカイを変える」を合言葉に、2006年から「洗濯アドバイス」という分野を切り開いてきた洗濯界のパイオニア的存在。現在は、「洗濯王子」の愛称で、テレビや雑誌など各種メディアにも多数出演。衣食住の「衣」である洗濯から考える、より良い暮らしの提案に取り組む。
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部屋干しのせい? 洗濯物の “あのニオイ” の正体とは
- ※
取材はオンラインで行いました。
雨の季節は、いわゆる “部屋干し臭” に悩む人が増えますよね。ズバリ、洗濯物が臭う原因はなんでしょうか?
「部屋に干すせいで臭うと思われがちですが、実は、一番の原因は『誤った洗い方』なんです。あのニオイは、洗濯物に残った汚れを菌が食べて出した排せつ物によるもの。菌そのものが、ひどいニオイを発するわけではないんですよ。
なので、除菌よりも、菌のエサとなる“汚れ”を除去することを意識しましょう。正しい洗い方で汚れをきちんと落とせば、部屋干しでも臭いません」
あのニオイは、洗い方が間違っているというサインだったんですね…!
まずは「洗い方」から。3つのポイントを押さえよう
では、どう洗濯すれば汚れをしっかりと落とせるんでしょうか?
「そもそも洗濯機を使っても汚れが落ちないのは、衣類・水・洗剤の『3つの量』が適切でないからです。
多くのご家庭では、洗濯機できれいに洗える量以上に洗濯物を入れてしまいがち。その上、最近の洗濯機は節水が売りなので、標準コースの水量が洗濯物の汚れを落としきれないレベルまで減っています。つまり、衣類が多すぎ、水が少なすぎの場合がほとんどなんです。衣類の量が多かったり水が少なすぎたりすると、洗濯機の中で衣類がきちんと動かず、汚れを落とすことができません。
また、洗剤の規定量は、ドラム式洗濯機なら衣類の量、縦型洗濯機なら水量に合わせて決まっているのですが、衣類や水の量が適切でないと、洗剤も多すぎ・少なすぎになります。そうなると、汚れがきちんと落ちなかったりすすぎ残しの原因になったり、一度服から水に移った汚れがまた衣類に戻ってしまったりして、ニオイが発生してしまいますね」
正しい洗濯は、「3つの量」が肝心!
- 「衣類」の量:衣類が乾いた状態で、ドラム式は半分くらいまで、縦型は7~8割までが限度。
- 「水」の量:ドラム式は水量を設定できないものが多いが、増やせる場合は多めの設定に。縦型なら、洗濯機が自動で入れる水量よりも1〜2段階増やすのが理想。
- 「洗剤」の量:衣類と水の量を踏まえ、容器に記載されている量を守る。
「すすぎ1回」が習慣になっている人は要注意!
とても勉強になります……。洗剤の選び方についてはいかがでしょう。
「白い衣類には粉末洗剤、色ものには液体洗剤を使う習慣をつけましょう。粉末の洗剤はアルカリ度が高いので、油やタンパク質、色素などの頑固な汚れが落ちやすく、白さも長続きしますよ」
お風呂の残り湯を洗濯に使うのはアリですか?
「衣類に付いた油汚れや皮脂汚れは、水温が高い方が落ちやすいので、40℃くらいのお湯を使うのはおすすめです。ただし、お風呂の残り湯には、すでに皮脂やタンパク汚れが溶け込んでしまっているので、洗剤がそちらに取られることを考えた洗剤量に注意が必要です。できれば残り湯ではなく、入浴前のきれいなお湯を洗いとすすぎの1回目に使うといいですね。すすぎの1回目を洗いと同じ水温にすると、汚れをしっかり取り除くことができます」
なるほど。
「そして、洗い方の次に大切なのが『すすぎ』です! 最近は『すすぎ1回でOK』とうたっている洗剤も多いですよね。洗剤そのものは衣類に残っても影響がないとしても、1回のすすぎでは洗濯物の汚れが残り、ニオイの原因となります。
僕は、色ものは2回、白い衣類なら3回のすすぎをおすすめしています。すすぎ1回が当たり前になると少しずつ汚れが蓄積し、ニオイや黄ばみ、黒ずみの原因となります。なんとなく『すすぎ1回』のまま洗濯している人は、ぜひ洗濯のやり方を見直してみてくださいね」
柔軟剤の使いすぎがニオイの原因に?
中村さんは、どんな柔軟剤を使っているんですか?
「僕、基本的に柔軟剤は使わなくていいと思ってるんですよ」
え! どうしてでしょう?
「香りのある柔軟剤をニオイ対策として使う人は多いですが、正しい洗い方で衣類の汚れを落とせていれば、ニオイの問題はなくなります。むしろ、柔軟剤を入れることによって十分にすすげず、汚れが残ってニオイの原因になることもあります。
臭うから毎回柔軟剤を使う→汚れが残りやすくなる→余計にニオイが増す→そのニオイを消すためにまた柔軟剤を使う…こんな負のループに陥っている人はすごく多いですね」
身に覚えがあります……。
「普段の洗濯には、洗剤だけで十分。柔軟剤を入れるより、水の量とすすぎの回数を増やす方が、ニオイを取るのに効果的です。
ただ、衣類がゴワついてきたり、静電気が気になったりする場合は、柔軟剤を活用するのもいいと思います。一度洗濯し終わった衣類を干す前に、洗濯槽に柔軟剤を入れて水で溶かし、柔軟剤を使いたい衣類だけ入れて3~5分ほど回し、脱水するのがおすすめです。または、洗面器の水に柔軟剤を入れて洗濯物を3~5分ほど浸け置きし、その後洗濯機で脱水するのもいいですね」
雨の季節も怖くない! 洗濯物がすぐに乾く「干し方」は?
中村さんも、部屋干しすることはありますか?
「僕は365日部屋干しですよ。実際、部屋干しのメリットって意外と多いんです。天候に左右されないのはもちろん、外に干すときみたいにホコリや花粉が付いたり、紫外線で衣類が日焼けしたりすることもありませんし」
確かに……。でも、部屋干しだと乾くのに時間がかかりますよね。早く乾かすコツはあるのでしょうか?
「室内の温度を上げる、湿度を下げる、空気を動かす。この3つの条件を整えれば、部屋干しでも乾きやすくなります。必要であればプラスアルファで、エアコンや除湿機、サーキュレーターなどの家電を活用できるといいですね。
電気代のことを考えるなら、扇風機が一番お得かな? 洗濯物の水分は、重力で上から下に落ちていくので、干した洗濯物の裾の方に扇風機を向け、首振りモードで風を当てましょう。衣類から抜けた水分が空気中に移れるように、室内の除湿も意識してください。換気扇を回して、湿った空気を外に出すのもひとつの手です」
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やってみます! 干し方にも早く乾かすポイントはありますか?
「洗濯物同士がくっついたり重なったりしないように干してください。衣類が空気に触れやすくするのが肝なんです。シャツの襟を立てたり、ボタンを全部外したりして表面積を広げるのも有効ですよ。
厚手のパーカやズボンなら、内側に空気が通りやすい専用のハンガーを使う、裾の両側をピンチハンガーで留めるなどして、衣類の内側にも空気が入りやすいようにしてください」
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それでもニオイが染みついて取れないときは……
ここまで「洗濯物を臭わせない」方法を教えていただきましたが、すでにニオイが発生している場合はどうすれば?
「正しい洗い方を実践すれば、たった1回の洗濯でニオイがなくなるケースは多いです。汚れの蓄積が激しい場合でも、2〜3回洗えば、だいたいの洗濯物は臭わなくなります。
万一、それでも汚れやニオイが取れない場合は、その時に初めて漂白剤を使ってあげましょう。漂白剤は、最後の手段と思ってください。通常の洗濯で取れる範囲の汚れすら落とさないまま漂白剤を使っても、あまり効果はありません。
衣類を正しく洗えていない状態で、柔軟剤や漂白剤を使ってニオイを取ろうとするのは、トイレを流さないで除菌剤を使ったり芳香剤を置いたりするようなもの。まずはニオイの元を流してきれいにすれば、たいていのニオイ問題は解決するはずですよ」
正しく洗うことがいかに大切か、よく分かりました。
「毎日の洗濯を面倒に感じる人は少なくありませんが、それは衣類がきれいになる仕組みが分からないからではないかと思います。仕組みを理解して、今日お伝えしたコツを実践してもらえば、洗濯することに手応えを感じ、楽しく思えてくるはずです。
部屋干しが増え、蓄積した汚れの影響がニオイとして表面化しやすくなる時期こそ、洗濯のやり方を見直す絶好の機会。ぜひ、正しく洗う習慣をつけてくださいね!」
中村さん、ありがとうございました!
(掲載日:2022年6月10日)
文:小晴
編集:エクスライト
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