多くの人が憧れる、“暮らすような旅” を実践している「ごろごろ旅」のたかしさん・ゆみさんご夫妻。共働きで数十年働いたのち、2022年から長期の海外旅行の様子をYouTubeで発信しています。
お二人の旅は、地元民が通うお店に行ったり市場で食材を買って自炊を楽しんだり、日常と地続きのリラックスしたスタイル。そんな自分スタイルの旅をかなえるには、どんなコツがあるのでしょうか? 情報収集や現地での移動方法など、旅を豊かにするスマートフォンの活用術を教えてもらいました。
目次
50代60代の夫婦が暮らすように旅する「ごろごろ旅」を始めたワケ
まずは、お二人が「ごろごろ旅」を始められたきっかけを教えてください。
ゆみさん 「『憧れの国や地域をゆっくり見て回りたい』というのは、多くの人の夢だと思います。ただ、現役時代は長期休暇が取りにくく、短期間に観光を詰め込んだ慌ただしい旅しかできませんでした。長年の夢をかなえるために、私たちは夫の定年退職を見据え、10年前から “暮らすような旅” に出ることを計画。当初は、自分たちの旅の記録をブログで発信しようと考えていましたが、動画なら旅の過程や現地の情報をよりリアルに伝えられると思い、YouTubeチャンネルを始めることにしました」
お二人が動画でおっしゃっている「50歳からは旅の適齢期」との言葉も印象的です。なぜ50代からが旅の適齢期だとお考えなのでしょう?
ゆみさん 「私たちが『50歳からは旅の適齢期』と思う理由は、次の4つです。
- 今後のキャリアを考えなくていい
- 旅の予算がほぼ確定している
- 女性は月経に振り回されない
- 長年親しんできた本や映画の舞台を見て回れる
若い頃はライフイベントが次々と訪れたり、キャリアアップの機会を逃せなかったりして、時間的にも経済的にも長期の旅はなかなか実現しにくいもの。退職すれば時間ができますし、50歳を超えれば生涯所得や貯蓄の予想がある程度つくため、時間やお金にとらわれず理想の旅を組み立てやすくなります。また、50代にもなれば『人生の本』や『人生の映画』と呼べる作品がきっとあるはず。自分が感銘を受けた物語の聖地を回ると、それらのコンテンツをより立体的に楽しむことができ、旅の味わいも深くなりますよ」
なるほど。実際に50代60代夫婦で長旅をする大変さと楽しさもお聞かせください。
たかしさん 「大変なのは、若い頃に比べて体の無理がきかないところです。長時間のフライトや寝台バスでの夜間移動の後はどっと疲れてしまい、到着してすぐ観光に出ることができません。また観光の予定を詰め込むと、やはり疲れてしまってせっかくの旅が台無しになってしまいます」
ゆみさん 「でもそうした大変さも、長期の旅なら楽しさに変えられます。なぜなら、疲れを取るためにいいホテルに泊まったり、民泊で自炊してゆっくり過ごしたりするなど、無理せず健康に留意した過ごし方ができるから。体力が余っていて『はっちゃけたい!』と思うときは、安い寝台バスで移動してみたりB級グルメの食べ歩きで盛り上がったりするのもアリですね。時間とお金に余裕がある50代以上だからこそ、選択肢が広がり、自分らしい旅ができるではないでしょうか」
長期の海外旅行も安心! スマホをフル活用して安全&便利に旅するコツ
旅の計画を立てるとき、スマホをどう活用しているか教えてください。
ゆみさん 「旅の計画は、Google カレンダー で渡航先別に『マイカレンダー』を作成し、タイムゾーンを現地に合わせるところからスタートします。旅先の情報を収集しながら、移動の予定やホテルのチェックイン時刻、行きたいレストランの場所など、全てを Google カレンダー に入れ込んでいくんです。予約メールへのリンクや、観光地の情報なども概要欄に記載しておくと、いざというとき慌てずに済みますよ。私は旅をより楽しむために、歴史的スポットの解説なども概要欄に書いておきます」
たかしさん「旅の計画は妻に任せていますが、Google カレンダー なら共有してもらえば僕のスマホからも見られるので、『旅のしおり』のように使えて便利ですね」
お二人の動画を見ると、さまざまなアプリを駆使して旅を楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきます。旅先でよく使うアプリを教えてください。
① Google マップ
ゆみさん 「Google マップ は、観光の際に使うのはもちろん、レストラン探しにも重宝しています。現在地近くのレストランを検索して、高評価の店だけに絞り、さらに投稿されている画像を複数枚チェックすることによって、営業時間や価格帯、メニュー、口コミなども確認できます。近年はインフレで値上がりも大きいので、写真が投稿された年もチェックした方がいいですね」
②翻訳アプリ
たかしさん 「最近の翻訳アプリは優秀で、レストランの手書きのメニューも日本語に翻訳してくれます。スーパーの食材に知らない言語のラベルが貼られていても、翻訳アプリをかざすと日本語に翻訳してくれるので、安心して買い物ができます」
ゆみさん 「現地の人と会話をするときは、翻訳アプリの操作に慣れていないと手間取ってしまうことも。音声入力を使えば文字を打つ手間が省けて便利ですし、質問したいことが決まっている場合は、あらかじめその内容を現地語に翻訳してスクリーンショットを撮っておくといいですよ。私はイタリアでアサリを食べたいと思っていたので、市場に行く前に『このアサリは塩抜きの必要がありますか』という質問をイタリア語に翻訳し、それをお店の方に見せました」
③配車アプリ
たかしさん 「今や、海外旅行に欠かせない配車アプリ。どんな車種か事前に選べる、配車時に行き先を指定できる、乗車料金が事前に表示される、配車状況を追跡できるなど、タクシーでのトラブルや不安を解決してくれます」
ゆみさん 「UberやGrab、Yandex、DiDiなど、国によって利用できるサービスが異なるので、あらかじめ調べておきます。運転手と一言も会話しなくとも利用できますが、乗車するときに現地語であいさつするだけでも喜んでもらえますよ」
④両替アプリ
ゆみさん 「意外に便利な両替アプリ。現地通貨の金額を入力するだけで日本円に変換してくれるので、買い物中にもささっと日本円で金額を確認できて重宝しています」
⑤電子書籍アプリ
ゆみさん 「電子書籍アプリを使えば、旅先にも重さを気にせず本を持って行けます。文字の大きさが変えられるため、老眼のシニアにとっては目が疲れにくい点もポイントです。目で読むだけでなく、耳で聞く『読み上げ機能』もおススメ。旅行前に、訪れる街に関する紀行文を読むのが面倒でも、家事やウォーキングをしながら何度も聞いていると自然と情報が入ってきます」
旅先の思い出を、写真だけじゃなく動画にも残してみよう!
お二人のVlogには、きれいな景色やおいしそうな食べ物はもちろん、現地での偶然の出会いなど「旅のリアル」が映り込んでいて、旅に出たい気持ちをかき立てられます。旅先で動画を撮影するとき、意識されているポイントはありますか?
ゆみさん 「私が動画を撮影するときは、次の5つを意識しています」
- 失敗作は数時間以内に削除する
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編集時に動画を見ていて、失敗した動画を再体験すると疲れてしまいます。数時間以内なら失敗作がどれか覚えていますので、迷わず消しましょう。
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- 画面の傾きに注意する
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撮影時は脇を締めてスマホを持ち、揺れを回避します。グリッド線を使う場合は、撮影対象物の縦のラインとグリッド線を、1カ所だけ合わせるよう意識して。
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- 「全体」と「詳細」の両方を撮影する
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「引き(全体像)」と「寄り(ディティール)」を両方押さえることで、その場の雰囲気から自分がピックアップしたい景色やモノまで、情報をくまなく伝えることができます。
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- 入り口を撮影して場所をはっきり伝える
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動画では「場所」の情報が抜け落ちてしまいがち。入り口や店名を撮影しておくと、場面転換に使えますし、そのときの思い出を後から振り返りやすくなります。
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- 「1カット・1ネタ」を意識する
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長い動画は冗長になりやすいため、1回の撮影で何を撮るか決めておきましょう。
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たかしさん 「私が妻によく言われるのは『画面内の要素を3つに絞る』こと。例えば『メインの人物』『山』『アイスクリーム』の3つを画面に入れたいなら、それ以外の要素が大きく写っていないか、確認してからシャッターを切るということです。観光地では、Google マップ のスポットに投稿されている写真を参考に、あらかじめ映えスポットを押さえておくことも大事ですね」
Vlog初心者向けに「撮影がラク・上手に撮れる」おススメのアイテムがあれば、ぜひ教えてください。
①ハンドストラップ
ゆみさん 「スマホにネックストラップをつけて首から下げ続けていると、観光している間に肩が凝ってしまいがち。ハンドストラップなら、手首や肩に引っ掛けて持てるのでラクですし、盗まれる心配も少なくなります。また、写真や動画を撮影する際もストラップが邪魔になりません」
②自撮り棒
ゆみさん 「夫婦で記念撮影をするときに自撮り棒があると、人の顔と背景をしっかりと写せます。伸縮部が長いタイプなら、上空からドローンで撮影したような演出ができますね。
また、三脚一体型の自撮り棒を持って行けば、食事のときなどテーブルの隅に置いて動画を回しておけて便利です」
スマホがあって助かった! 旅のエピソード&夫婦で旅をする醍醐味
これまでの旅の中で「スマホがあって助かった」「思っていた以上に楽しめた」といったエピソードがあればお聞かせください。
たかしさん 「ハンガリーで民泊を利用しましたが、部屋に入ってみるとカビやクモの巣などがあって、掃除が行き届いていませんでした。すぐにスマホのカメラで記録して、民泊アプリのカスタマーサポートに連絡したところ、全額返金してもらえることに。スマホでの記録は思い出づくりだけでなく、心穏やかに安全に旅をするためにも欠かせないなと思いました。ホテルの部屋番号やバスのナンバープレートの写真も撮っておくと、迷ったときに安心です」
ゆみさん 「私たちは四川料理が好きで、本場の味を食べに中国の重慶に行ったことがあります。そこはかつて日本軍が空襲した過去があり、私たちに対する現地の方のお気持ちが少し心配でした。でも食事をしていたレストランでウエイターが差し出してきたスマホをのぞいてみたら、翻訳アプリの画面に『あなたたちに会えてうれしいです。重慶を楽しんでください』というメッセージが。その歓迎の気持ちはもちろん、中国語を話せない私たちでも、翻訳アプリを使ってお互いにコミュニケーションがとれたことがうれしかったですね」
たかしさん 「今から頑張って英語を勉強するのもいいですが、海外旅行に慣れていないシニア世代こそ、スマホのいろんな使い方に慣れておく方がおススメですね」
すてきなお話ですね。最後に、お二人がこれから行ってみたい国を教えてください。
ゆみさん 「これから行ってみたい国や地域はたくさんあります。例えば、南インドでアーユルヴェーダを学ぶ旅、エジプトでのナイル川クルーズ、韓国で朝鮮半島の食を巡る旅も憧れます」
たかしさん 「海外への移住はいまのところ考えていませんが、70代になったら寒い時期だけ数カ月海外で過ごす『渡り鳥生活』をしたいと考えています。タイのシラチャーや台湾、ポルトガル、イタリアなど… 夢は広がるばかりですね」
次は、シチリアでの「暮らすような旅」を計画中だというお二人。「シチリアでは、前にYouTubeで見た、市場のおじさんが作る豪快なサンドイッチを食べたいの」と、ゆみさんが楽しそうに語ってくれました。年を重ねたからこそ、旅を自由にデザインし、理想の旅を実現できるはず。この機会に、まだ実現していなかった理想を形にしてみてはいかがでしょうか?
(掲載日:2024年6月27日)
写真:大崎あゆみ
文:佐藤由衣
編集:エクスライト
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