海外旅行で心配なのが、渡航先で体調を崩したり、事故などのトラブルが発生すること。海外の医療費は日本よりも高額と言われており、言葉が通じないと不安も大きくなります。そんな海外旅行中の不測の事態に備えられる保険が、海外旅行保険です。
今回は、海外旅行保険に加入するメリットや選び方のポイント、実際に現地でケガや病気になってしまった場合の対処法について分かりやすく解説していきます。
ケガや病気だけではない! 旅行のトラブルまで補償してくれる海外旅行保険
「海外旅行に行くなら、海外旅行保険に加入した方がいい」という話はよく聞きますが、そもそも海外旅行保険とはどのような保険で、加入するとどんなメリットがあるのでしょうか。
加藤さん 「海外旅行保険とは、海外旅行中のアクシデントによる損害を補償する保険です。海外旅行中のケガや病気の補償だけではなく、持ち物やパスポートの盗難に遭った場合の補償、航空機の遅延に関する補償など、海外旅行に特化した補償やサービスが受けられます。
自宅を出発してから帰宅するまでの『旅行行程中』に起こったトラブルが対象となるため、渡航先や往復の機内はもちろん、国内での移動中に起こったトラブルの補償にも対応してもらえます。主な補償内容としてはこのようなものが挙げられます」
主な補償内容
治療費用 | 病気やケガなど、入院や手術をした場合の治療費を補償 |
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傷害死亡・疾病死亡 | 病気やケガが原因で亡くなった際に保険金が支払われる補償 |
傷害後遺障害補償 | 病気やケガによって後遺障害が残った場合に保険金が支払われる補償 |
賠償責任補償 | 誤って他人にケガをさせてしまったり、お店や他人の所有物、ホテルの備品などを壊してしまったなど、偶然な事故によって損害賠償責任を負ったときの損害賠償費用を補償 |
携行品損害 |
旅行中に携行品が偶発的な事故(盗難・火災など)によって損害を受けた場合の補償 携行品の対象例: 携行品の対象外例:
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救援者費用 | 病気やケガをした現地へ家族が駆け付けるための費用や、遺体または病人の移送、搬送にかかる費用を補償 |
手荷物遅延費用 | 飛行場で預けた荷物の到着が遅れたことにより発生した予定外の費用を補償 |
旅行変更費 | 本人や所定の親族の死亡・危篤・入院や、渡航先での地震・戦争・テロ行為などの発生のために出国を中止または海外旅行を途中で中止して帰国した場合の費用を補償 |
加藤さん 「この中でも特に、携行品損害の発生率が高く、請求する人も多いのですが、例えばパスポートの置き忘れなど、自分の過失によるものは補償の対象外になります。レストランでの食事中に盗難に遭ってしまったなど、自分の過失でない場合が補償の対象となるので、盗難に遭ってしまったときは、いつ・どこで・どういった状況で紛失したのかを説明できるようにしておきましょう。
また、保険会社によって携行品として認められる対象範囲が一部異なります。また、『1つあたり10万円まで』などの限度額が設定されていることも多いので、事前に確認しておくことも大切です。高額な宝石を身に付けていたりする場合は、万が一盗難に遭ってしまったとしても補償されない可能性があります」
海外旅行保険に加入するメリットは?
そもそも海外旅行に加入しておくと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
加藤さん 「まず大前提として、海外では日本の健康保険は使えません。さらに、海外の医療制度は日本と違うため、海外旅行先でケガや病気をしてしまうと、高額な医療費を請求されてしまうことがあります。
海外旅行保険に加入する一番のメリットは、万が一高額な出費が発生しても、所定の限度額までは損害額に応じた保険金が支払われることです。海外旅行保険に加入しておけば、診察や入院費の一時金にかかる費用、診断書の発行手数料なども補償されます。裏を返せば、海外旅行保険に入っていないと、トラブルで発生した費用を、全額自己負担することになってしまいます。
それに加えて、海外旅行保険のサービスは24時間体制でサポートを受けられるケースが多く、電話による通訳サービスや、地域などによっては日本語が通じる病院を案内してもらえる場合もあります。自己負担なく治療が受けられるキャッシュレスサービスなどもあるので、 海外にいても病院でスムーズに受診できる点も大きいです。さらに、医療費だけでなく盗難などのトラブル補償にも対応してもらえます。
慣れていない海外の土地に行くので、不測の事態が起こったときのサポートサービスとして海外旅行保険を活用すると、安心して海外旅行を楽しむことができますよ」
海外旅行保険にはどんな種類がある?
海外旅行保険には、保険会社が提供する海外旅行保険と、クレジットカードに付帯される海外旅行保険(旅行傷害保険)の主に2種類があります。どのような違いがあるのでしょうか。 まずは、保険会社の海外旅行保険とクレジットカード付帯の海外旅行保険の特徴を確認していきます。
保険会社 | クレジットカード付帯 | |
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特長 |
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病気やケガの保険金額 |
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補償の種類 |
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保険期間 |
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加入方法 |
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基本的に加入手続きは不要
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注意点 |
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加藤さん 「クレジットカードの種類やランクによっては、賠償や航空機遅延、携行品損害などの補償がついていないこともあります。保険金額については、保険会社の海外旅行保険では多様なプランから選べたり、自分でカスタマイズできたりするので、上限額を高く設定することもできますが、低いプランもあります。その場合は、自分のクレジットカードに付帯している海外旅行保険の方が保険金額が高いこともありえます。
また、携行品損害に補償の対象とならない免責金額がついているのかどうか、というのも違いの一つです。保険会社の海外旅行保険の場合は免責がないケースが多いですが、クレジットカード付帯の場合は、3,000円までは自己負担で、損害額が3,000円を超える場合にのみ保険がおりるというようなケースが多いです。
保険会社やクレジットカード付帯の海外旅行保険とは別に、海外での医療費への補助制度として、国の『海外療養費制度』というものもあります」
海外療養費制度とは?
加藤さん 「海外療養費制度とは、海外旅行中や海外赴任中の急な病気やケガなどによって発生した診療費の一部を、払い戻しできる制度です。日本国内で保険診療として認められている医療行為・薬が対象となります。ただし、治療目的で渡航した場合の医療費は対象外となります。
注意したいのは支給される金額です。日本国内の医療機関などで同じ治療をした場合の治療費を基準に計算されるため、現地の治療費が高額な場合には、実際に支払った金額よりも少ない金額しか補助されない可能性があります。また、申請時は申請書や、医療内容がわかる明細書、領収書の原本などが必要になるので、現地の医療機関で必ずこれらを取得しておきましょう」
海外旅行保険を選ぶ際のポイントは?
海外旅行保険といっても、複数の保険会社やクレジットカード会社が提供しているため、「結局どれを選んだらいいのか分からない…」という方も多いかもしれません。海外旅行保険を選ぶ際に意識したいポイントを加藤さんに聞きました。
① まずは、クレジットカード付帯の海外旅行保険の補償内容を確認
加藤さん 「クレジットカード付帯の海外旅行保険と保険会社の海外旅行保険は併用することができます。二者択一ではないんですね。ほとんどの方がクレジットカードを持っていると思いますので、まずは自分のクレジットカードに付帯している補償内容を確認しておきましょう。
クレジットカードの種類やランクだけでなく、自動付帯か利用付帯かによっても補償額や補償範囲が変わってきます。海外旅行の期間や行き先の国を踏まえて補償が少ないと感じたら、手厚い補償が受けられる保険会社の保険に加入して不足分をカバーするのが合理的だと思います」
② 誰が契約するのか(1人か複数か)
加藤さん 「海外旅行保険に加入するのは自分だけか、それとも家族で利用したいのかによって、加入するプランが変わってきます。
家族で海外旅行に行く場合は、ファミリープランなど、家族や夫婦でまとめて加入できるプランを選ぶと、1人ずつ加入するよりも保険料を安く抑えられる場合があります。主に、保険会社の海外旅行保険で扱っています。
基本的に、クレジットカード付帯の補償は、カードの名義人のみが補償対象になりますが、家族カードを持っている場合や、本人のカードの保険に家族特約が付いている場合には補償対象となります。カードの種類や付帯している保険の契約により異なりますので、詳細はカード会社に確認しましょう」
③ 契約可能な日数(旅行先での滞在日数をカバーしているか)
加藤さん 「海外旅行保険に契約可能な期間は、3カ月(90日)以内の商品が多いです。たとえ渡航日数が1日でも、1日だけ加入できる商品もあるので、加入しておくと安心です。
契約可能な日数は、短いもので1日、長いもので2年加入できる商品などもあります。3カ月以上の長期間旅行に行く場合は保険期間が切れる可能性があるので、注意が必要です。また、保険期間や補償内容などは同じでも、渡航先によって保険料は変わってきます。アジアなど近距離圏は低め、ヨーロッパなど遠距離圏は高くなる傾向があるので、見積もりをする際に必ず金額を確認しましょう。
渡航期間によっては、長期滞在者向けの海外旅行総合保険や、海外駐在保険などもあります。また、海外留学保険やワーホリ(ワーキングホリデー)保険など、渡航先で生活する際のリスクを補償する保険もあります」
④ 十分な補償額があるか
加藤さん 「クレジットカード付帯の海外旅行保険は、補償の上限額が保険会社の海外旅行保険よりも低いケースが多いです。万が一の事態に備えて十分な補償にしたい場合や、補償額を高く設定したい場合は、保険会社の海外旅行保険に加入するのがいいでしょう。クレジットカード付帯の保険の上乗せとして、必要な補償だけ契約できる海外旅行保険もあります。
海外は医療費が高いということは知られているかと思いますが、外務省のサイトによると、ニューヨーク市マンハッタン地区の医療費は、それ以外の区の2〜3倍とも言われていて、専門医の診察費が1,000ドル(約16万円※2024年7月時点)を超えるケースもあるそうです。海外旅行保険の限度額を知らないうちに超えていたという報告もありますので、海外旅行保険に加入する際は十分な補償額があるかどうかも確認しておきましょう」
⑤ サポート体制や付帯サービスの内容は十分か
加藤さん 「海外旅行保険を選ぶときに参考にしたいのが、サポート体制です。保険会社やクレジットカード会社によってサービス内容が異なるので、ホームページなどで確認しておきましょう。
海外旅行を安心して楽しむためにも、サポートサービスの内容は事前に必ずチェックしておきたい項目です。トラブルが起こったときに相談にのってくれたり、電話で通訳してくれたりと、何か起こったときに日本語で対応してくれるので心強いです。
病院で自己負担なしで受けられるキャッシュレスサービスや、病院先を調べてくれるサービスなどは、いざというときに大変助かりますよね。サービス内容をよく比較したうえで加入する保険を決めるようにしましょう」
⑥ 補償される内容と補償されない内容
加藤さん 「海外旅行保険の免責事項については、加入前に確認することが大切です。例えば、海外旅行中にスポーツをする場合、種類によっては保険の対象外です。スカイダイビング、ハンググライダーなどの危険が伴うアクティビティをする場合には、保険金が割増されたり、保険の加入ができないケースが多いです。ただし、こういった特定のアクティビティに対する専用の保険は、海外旅行保険とは別にオプショナルツアーの事業者などで加入できることがほとんどです。旅行中にスポーツやアクティビティをする場合に検討してみましょう。
渡航先によっては、戦争やテロ、地震や火山の噴火など不測の事態に巻き込まれる可能性もあるでしょう。これらのアクシデントに対しては、契約内容や補償の種類によっては補償を受けられる場合もありますが、対象外となる場合もあります。自分や家族が契約する海外旅行保険の内容をしっかり確認しておきましょう。万が一被害に遭ってしまった場合には、保険会社のサポートセンターに電話して相談してみることも大事です」
海外旅行中に病気やケガをしてしまった場合の対処法
海外旅行保険で医療費を補償してくれるとはいえ、実際に海外旅行中に病気やケガをしてしまった場合、どういった手順を踏めばよいのでしょうか。万が一のときにパニックにならないために、具体的な対処法について知っておきましょう。
キャッシュレス治療とメディカルサービスを利用する場合
加藤さん 「キャッシュレスやメディカルサービスが海外旅行保険のサポート内容に含まれている場合は、まずは保険会社のサポートセンターなどに連絡してみましょう。一般的には下記のような流れで利用できるようです。
- サポートセンターへ連絡し、キャッシュレス治療が可能な病院の手配・予約をしてもらう
- サポートセンターから案内された現地の病院に行き、受付をする
- 医師による診察・治療を受ける
- 薬代や交通費などの負担が生じた場合は、帰国後に保険会社に請求をする
- ※
保険会社や地域などにより異なる場合があります。詳細は契約先の保険会社にご確認ください。
キャッシュレス治療については、海外のすべての病院で対応してもらえるわけではありません。キャッシュレスを利用できる病院を手配できなかった場合は、現地でかかる治療費を自己負担し、帰国後に保険会社に保険金を請求します。その際には診断書や、治療費用領収書、薬代領収書などが必要になるので、忘れずに病院に発行してもらうようにしましょう」
自分で現地の病院を探して診察・治療を受ける場合
加藤さん 「自分で現地の病院を探して診察・治療を受けるという場合も、キャッシュレスサービスを利用できない場合と同様に、医療費を自分で支払い、帰国後に保険会社に請求をするという手順になります。
旅慣れている渡航先であれば、自分で現地の病院を受診できるかもしれませんが、慣れていない土地では、キャッシュレス治療やメディカルサポートを活用すると安心ではないでしょうか」
現地の医療機関を利用する際の注意点
医療費が高いということ以外にも海外の医療機関で診察・治療を受ける際に気をつけるべき点はあるのでしょうか。
加藤さん 「海外の病院は日本とは治療方法が異なったり、検査や薬の種類や名前が違ったりすることがあります。医療費だけでなく、実は薬代も高いので、ちょっとした診察を受けただけでも思っていた以上に費用がかかってしまうケースもあるようです。また、日本では救急車による搬送は無料ですが、海外では有料の国もあります。
入院する場合には、治療費の支払い能力を証明するためにデポジットの支払いを要求される病院もあります。地域によってはそもそも日本語が全く通じない、外国人に対応していないという病院も少なくありませんので、日本のように気軽に病院に行けないこともあるかもしれません。
海外旅行保険のメディカルサービスで、外国人に対応している病院や日本語が通じる病院を教えてもらえるとこうした心配を防げそうです」
慣れない土地でケガや急病にかかってしまったときのために、安心の海外旅行保険で事前の備えを
どんなに健康に自信があっても、慣れない海外の土地で予期せぬ事故にあってケガをしたり、急病になる可能性はゼロではありません。せっかくの海外旅行を安心して楽しむためにも、海外旅行保険に加入しておくのがおススメです。
まずは、旅行前に自分の持っているクレジットカードの補償内容を確認しつつ、万が一のときは十分な補償を受けられるように任意で保険会社の海外旅行保険に加入するのが合理的な方法です。万が一、病気やケガ、事故などが起こっても、24時間体制で日本語でのサポートを受けられるという大きなメリットもあるので、補償内容や補償額、サービス内容などをよく比較して加入する保険を選びましょう。
(掲載日:2024年7月25日)
文:川添祥子
編集:エクスライト
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