1975年の開始から多くのアニメ・漫画好きに親しまれている「コミックマーケット(以下、コミケ)」。夏季・冬季と年に2回開催され、会場の東京ビッグサイトには、過去に1日10万人を超える来場者が訪れたことがあるほど、毎年盛り上がりを見せています。
多数の来場が想定されるコミケの裏側では、スマホの通信品質を保つためにネットワークの対策が毎年行われています。現地ではどんな対策が行われているのでしょうか。
大規模イベントで集中する通信アクセスの混雑を解消
日常的にさまざまなイベントが開催され、大勢の人が集まる東京ビッグサイト。そこで課題となるのが、通信品質です。通常は、一つの電波を多数のユーザーで共有しているため、同時にスマホなどの通信機器を利用すると、通信のアクセスが1カ所に集中してしまい混雑している状態「輻輳(ふくそう)」が発生し、通信速度が低下したり、つながりにくくなってしまうことがあります。
ソフトバンクは、ストレスなくスマホを使える快適な通信を提供できるよう、東京ビッグサイト屋内の電波対策を実施しています。しかし、コミケのような大規模イベントでは、会場前の外の待機列や、イベント中も屋外に人が多く集まるため、屋外の電波対策も必要になってきます。アンテナを搭載した「移動基地局車」を設置し、イベント時の通信アクセスの一極集中を防ぐための臨時の電波対策を毎年実施しています。
事前準備は2カ月以上前から。移動基地局車から会場周辺へ電波を届ける
最大約12mまで伸びるアンテナを搭載した移動基地局車を使って、イベント会場の屋外のエリアに電波を届けます。しかしながら、移動基地局を設置するだけですぐに電波発射を行えるというわけではありません。実は事前準備として、イベント主催者側との交渉や、設置場所やアンテナの方向、周波数などの設計、電波を発射するのに必要な免許申請、伝送路の手配など、さまざまな手続きが必要になります。その他にも作業員の確保や体制を整える必要もあり、確実に間に合わせるためにはイベント日の2カ月以上前から準備を始める必要があるのだそう。
事前準備を終えて、イベント当日に向けた設営が行われます。
移動基地局車を指定された場所に駐車させ、現場作業員が4G・5Gの無線機やアンテナの数やアンテナの方向が合っているかを確認しながら組み立てていきます。車体上部に12mもあるアンテナを取り付けるため、しっかり車体を固定します。
取り付け作業が完了したら、周辺にある基地局とのバランス調整、通話試験、走行試験などを行います。全ての工程で問題がないことが確認できたら作業は完了。あとは当日、会場前の待機列が生じる朝6時ごろに電波を発射します。
イベント当日は電波測定で通信の混雑具合をチェック
当日は、待機列など来場者が集いやすいエリアを中心に、快適にスマホが使えているかを電波測定チームがそれぞれのポイントに向かい確認を行います。4Gや5Gなどそれぞれの周波数を測定することで、通信速度と電波の品質・強さを確認でき、基地局がどれだけ混雑しているかを把握します。
コミケ当日は、会場屋外や館内だけではなく、東京ビッグサイトの最寄り駅や周辺エリアの電波計測も行います。ソフトバンクでは、多数の人で混雑が予想されるスポットやエリアでの通信の輻輳を解消するため、「Massive MIMO」の技術を導入しています。同じエリアにいる他の携帯電話と電波を共有する従来の通信と異なり、高度なビームフォーミング技術により端末ごとに専用の電波を割り当てることができるため、より通信がつながりやすくなります。東京ビッグサイト周辺でもMassive MIMOが使われており、コミケのような大規模イベント時は、当日の通信量などの変化を把握するために測定を行っています。
コミケの様子をSNSに投稿したり、検索をしたりなど会場ではスマホで通信することも多いですよね。来場する皆さんがストレスなく通信を利用してもらえるよう、ソフトバンクはコミケ会場で毎年対策を行っています。今年のコミケも思いっきり楽しんでくださいね!
(掲載日:2024年8月9日)
文:ソフトバンクニュース編集部