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100回目のコミケは台風も来襲… 大規模イベントでの通信混雑対策の現場

100回目のコミケは台風も来襲… 大規模イベントでの通信混雑対策の現場

今夏で第100回を迎えた「コミックマーケット」(以下、コミケ)が、8月13日・14日に東京ビッグサイトで開催され、多くの来場者でにぎわいました。コミケは、1975年の開始から多くのアニメ・漫画好きに親しまれています。

そのコミケの裏側で、すべての来場者の携帯電話やスマートフォンの通信品質を保つために、電波の強化対策が行われています。当日、現場で活動するソフトバンクの電波測定チームに同行してみました。

電波測定チームのリーダー

高木 健志(たかぎ・けんじ)

ソフトバンク株式会社 エリアネットワーク本部 関東ネットワーク技術統括部
高木 健志(たかぎ・けんじ)

大規模イベントでは、人だけじゃなくて通信アクセスも混雑気味に

個人サークルによるファンアートや企業によるコミケ限定グッズなどが出展され、漫画やアニメのファンが集い交流の場となるコミケ。今回で100回目の開催ということで、スタンプラリーや寄せ書きコーナー、コスプレフォトスポットなど記念企画も盛りだくさんです。2日間で数万人の来場が予想されていました。

大規模イベントでは、人だけじゃなくて通信アクセスも混雑気味に

コミケなど数万〜数十万人が集まる大規模イベントでは、早朝から並んで開場を待ったり、屋外に設置されたブースに参加したり、会場外は多くの人であふれることがあります。待機中、スマホで動画を視聴したり、知人とのビデオ通話で会場の様子を見せたり… なんてことをしていると、通信のアクセスが1カ所に集中して通信がしづらくなる「輻輳(ふくそう)」が生じる可能性も少なくありません。

高木

このようなビッグイベントでは、輻輳の発生を防ぐとともに、お客さまに快適にスマホを使っていただけるよう、ソフトバンクをはじめとする通信事業者が現地で電波測定をして、エリア内に移動型のアンテナの設置をするなどの対策を行っています。

移動基地局車のアンテナから会場周辺の屋外へ電波を届ける

イベントの会場内はすでに基地局が十分設置されているため、会場内の通信はカバーできるのですが、屋外に人が集中することは普段あまりないため、臨時の対策が必要です。イベント時の通信アクセスの一極集中を防ぐために、イベント前日からアンテナを搭載した「移動基地局車」を設置します。今回のコミケの前日は台風の影響もあって風が強く吹く中、高さ7mほどのアンテナで予行練習をしました。アンテナ上部は主にLTEに、真ん中の3つは5Gに対応しています。

移動基地局車のアンテナから会場周辺の屋外へ電波を届ける

当日は人が集うエリアを中心に電波を測定

当日は、待機列など来場者が集いやすいエリアを中心に電波測定チームが向かい、快適にスマホや携帯電話が使えているかのチェックを行います。

当日は人が集うエリアを中心に電波を測定

4Gや5Gなどそれぞれの周波数を測定することで、どの周波数が混んでいるか、空いているかなどが分かります。屋外は、移動基地局車から電波が届いているため、通信速度も安定していました。測定に使うのは2つのアプリで、一つはOpensignal社が提供する一般向けの速度テスト用のものと、もう一つは基地局の電波をモニタリングするアプリです。通信速度と電波の品質・強さをチェックすることで、基地局がどれだけ混雑しているかを把握できます。

当日は人が集うエリアを中心に電波を測定

待機中にスマホを使う人が多く、通信アクセスが集中しやすい屋外に比べて、屋内では買い物や展示に夢中の来場者が多く、また万全な対策をしているため、通信はかなり安定しています。電波測定部隊は来場者の行く手を阻まないように隅っこで立ち止まって測定作業を行いました。

屋外も屋内も通信状態に問題がないことを確認して、約4時間の測定作業は無事終了!

当日は人が集うエリアを中心に電波を測定

利用者と同じ目線で体感することが何より大事

今日は電波測定お疲れさまでした! 実際に測定してみてどうでしたか?

高木

測定したすべての箇所で一定以上の速度が出ていたので、いい結果でした。一部アクセスが集中した基地局もありましたが、ネットワークセンター側と連携しながら基地局の調整を行い、お客さまへ良い通信環境をご提供できたと思います。

  • ソフトバンクのネットワークやサービスを監視するセンター

会場内外をかなり動き回っていましたが、電波測定を現場で行うのはなぜでしょう?

来場者と同じように、実際に会場でスマホや携帯電話を使ってみて、現場で利用している感覚とネットワークセンターの認識を合わせるためです。電波測定終了後は、ネットワークセンターに電波状況を改めて報告し、モニタリング側との矛盾がないか確認することで、別の大規模イベント開催時に向けた体制の改善に役立てています。

もし、現場で十分な速度が出ていないなど、異常を発見した場合はどうするんですか?

ネットワークセンター側で基地局側のデータ・現地の測定データを比較して、通信状況を調整しています。もし、一部の場所に人が集中して、1カ所の基地局にアクセスが偏っている場合は、受け入れられるアクセス数を減らし、近くにある他の空いている基地局からの電波を利用できるように設定変更を行っているんです。

基地局の位置と通信量を比較すれば、どこに人が集中しているのか予測できるので、万が一輻輳が生じた場合、他の基地局にも問題が生じてないか確認するのに役立ちます。

利用者と同じ目線で体感することが何より大事

大規模イベントの電波対策では、さまざまなことを気にしながらやっているんですね。

スマホや携帯電話は利用者と一緒に移動するからこそ、待機場所や誘導ルート、会場の人の動きなどを事前に把握・分析しておくことが大事です。今回は台風が関東に接近していましたが、天候にも若干左右されるので、考えうる外的要因は事前に視野に入れて、利用者の皆さまのスマホや携帯電話が『いつでもつながる』状況を維持するために毎回対策をしています。

利用者と同じ目線で体感することが何より大事

(掲載日:2022年8月30日)
文:ソフトバンクニュース編集部