動物園に行くと、動物たちの個性豊かなしぐさや表情に魅了されますよね。しかし、いざその姿を写真に収めようとするとなかなか難しいもの。「動きが速くてブレちゃう」「柵やガラスが写り込んで思うように撮れない」といった経験がある方も多いのではないでしょうか? そこで今回は、写真教室を主催するフォトグラファーの佐藤朗さんにインタビュー。実際に動物園をめぐりながら5つの失敗シチュエーションを確認し、Google Pixel を使って撮影のコツをレクチャーしてもらいました!
目次
動物園で撮った写真がなんとなくピンとこない…。その理由は?
動物たちはとってもキュートなのに、写真に撮るとなんだかイマイチ。そんなこと、ありませんか? 編集部が事前に動物園で撮影にトライしたところ、動物がブレたり小さかったりと、やはりパッとしない結果に…。なぜ動物園での撮影は難しいのでしょうか。その理由を佐藤さんに解説していただきました。
失敗理由①動物との距離が遠い
動物園は、安全のために動物と見学者との距離が保たれていることが多いです。そのため、肉眼で見たイメージよりも写真に写った動物は小さく感じます。
失敗理由②ガラスや柵などの障害物
動物園の動物は、安全のためにガラスや柵などで囲まれています。これらの人工物が写り込むことで、見栄えが悪くなりがちです。
失敗理由③動物のすばやい動き
人間のモデルと違ってじっとしてくれるわけではないので、すばやい動きでブレてしまったり、撮る瞬間に画角からはみ出てしまったりすることもあります。
失敗理由④来場者の写り込み
週末やおでかけに良いシーズンなどをはじめ、日によってはとても混雑している動物園。人気のある動物の前に人だかりができていて、他の来場者の背中や頭が写り込んでしまうことも。
失敗理由⑤逆光や照明の暗さ
太陽の位置によっては逆光になってしまい、動物の姿や表情が影で分かりにくいことがあります。また屋内での展示は、動物の生態に合わせて照明を暗くしている場合もあり、撮影しにくいことも。
動物園での撮影が難しい理由がよく分かりました。これらを解決するには、一体どうすればいいのでしょうか?
「まず大前提として、動物の撮影は思い通りにならないからこそ面白いということ。『いい写真が撮れたらラッキー』くらいの気持ちで臨めば、思うように撮れなくてもイライラしません。動物たちをじっくり観察しながら、気長にシャッターチャンスを待ちましょう。とにかく実践あるのみです!」
ということで、今回訪れた上野動物園を、佐藤さんと一緒に撮影して回りたいと思います!
いざ実践! プロが教える動物園での撮影ポイント5つ
動物園ならではの難しさをクリアして、動物たちのイキイキとした姿を写真に捉えるには、具体的にどうすればいいのでしょうか? Google Pixel のさまざまなカメラ機能を使いながら教えていただきました!
①動物と距離がある場合は、ズーム機能や望遠レンズを
動物が遠くにいて、撮った写真を見返したら迫力がない…。距離がある動物を撮影するときは、ズーム機能を活用しましょう。Google Pixel のズーム機能はとても優秀なので、思いっきり寄っても大丈夫。ズームすると画質が悪くなる場合は、スマホに取り付けられる望遠レンズを購入するのも手です。ただし、スマホ用の望遠レンズは安価なものだと、さらにぼやけてしまうことがあるので注意してください。
より印象的な仕上がりにする実践例
サイの皮膚の質感がより感じられるように、モノクロのフィルタをはじめ、調整を施した1枚。詳しい加工方法は応用編で紹介しています。
②ガラスごし、柵ごしの場合は、スマホをなるべく近づける
動物の種類や展示スペースによって仕切るもののパターンもさまざま。ガラスの場合と、オリや柵などの場合により少しポイントが異なります。
1. 写り込み対策をしながらガラスにギリギリまで寄る
ガラスの向こうにいる動物を撮影したら、反射して自分が写ってしまった…。ガラスの写り込みを防ぐためには、できるだけガラスにスマホのレンズを近づけましょう。ただし、ガラス面に指紋や傷をつける、動物を驚かせる、といったことを防ぐため、ガラスには直接触れないよう気をつけて。また、明るい色は写り込みが目立つので、黒っぽい服を着ていく、スマホケースを黒にするなどの工夫も効果的です。
2. オリや柵の隙間にレンズを入れる
手前のオリの線が目立って、動物がキレイに写らない…。オリや柵の向こうにいる動物を撮影するときは、オリや柵の隙間にスマホのレンズを合わせて、ズーム機能を使って動物を撮ります。細い金網などもかなり目立たなくなりますよ。
③動きの速い動物はアクションパン機能で躍動感を演出
じっとしていない動物を撮影したら、なんの動物か分からない…。動きの速い動物は、普通に撮るとブレてしまうもの。でも、動いている被写体の背景をぼかせる Google Pixel の「アクションパン」機能を使えば、背景がいい感じにブレる流し撮りのような効果が出て、躍動感のある写真になりますよ。ポイントは、アクションパンモードに設定した上で、動く動物を追いかけるように撮ること。
④混んでいたら、あえて人が少ない場所や角度から撮ってみる
人気の動物の前はいつも人だかり。合間からなんとか撮影したけど人の頭がたくさん入ってしまった…。パンダのような人気の動物を撮影する際は、撮る前にいったん落ち着いて辺りを見回し、なるべく人が少ないところを探してみましょう。あえて人が少ない場所から撮影することで、周囲の写り込みを避けられるだけでなく、他の人とは違う構図の写真が狙えます。
また、スマホを高い位置で構えてズーム機能を使うことでも、人を避けて動物を撮ることができますよ。
ぐっと手を上に伸ばして撮影してみたところ、通常の目線からは確認できなかった、パンダのこんな姿が発見できました!
⑤暗くなってしまったら、撮影後に加工
動物にカメラを向けたら逆光。でも撮影できる向きは変えられないし…。被写体が暗くなってしまう場合は、撮影後に明るさなどを調節して対応することもできます。屋内展示などをはじめ、暗いからといってフラッシュを使うのはやめましょう。動物がビックリしてしまいますからね。また、撮影時はその場の状況に合わせて明るさなどを設定することもできますが、撮影後に加工できることを念頭に置いて慌てず撮影するのがおススメです。
Google フォトでの加工ポイント
「調整」から明るさ、シャドウをプラスにしてみよう。
5つの失敗理由とその対処法を佐藤さんに解説してもらいました。 どれも手軽に取り入れやすいテクニックなので、動物園に行く際はぜひ試してみてくださいね。応用編では、写真のクオリティをアップさせるコツを佐藤さんに教えていただきます。お楽しみに!
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(掲載日:2024年8月16日)
写真:山﨑悠次
文:吉玉サキ
編集:エクスライト