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「芽吹きの1年」を経て、AI企業群との連携でさらなる成長へ -ソフトバンクグループ株式会社 2025年3月期 決算説明会

2025年5月13日、ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)の2025年3月期 決算説明会が開催され、取締役 専務執行役員 CFOの後藤芳光が登壇しました。「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、着実に歩みを進めた1年であったと報告しました。

2024年度は「芽吹きの1年」

冒頭、後藤は、不透明感を増す世界経済や市場環境などに言及し、こうした変化の中でもソフトバンクグループは「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、ぶれずに歩みを進めてきたと振り返りました。

情報革命で人々を幸せに

2024年度はASI(人工超知能)の実現に向けた「芽吹きの1年」だったと表現し、主な取り組みとして大規模なAIインフラを構築する「Stargate Project」、OpenAIと共同開発する日本向けの企業用最先端AI「クリスタル・インテリジェンス」、「OpenAIへの追加出資」、「Ampere社の買収発表」の4つをあげ、大きな投資や提携を実行に移した年だったと総括しました。

2024年度は「芽吹きの1年」

LTV・手元流動性の財務方針を堅持。連結純利益は4年ぶりの黒字転換

重要指標について、3月末時点でNAV(時価純資産)は25.7兆円、LTV(純負債/保有株式価値)は18%、手元流動性は投資を進めた結果3.4兆円であったと報告。また、3月末時点の資産・負債構成に、2025年4月のOpenAIへの$8.5Bの投資および同額の借入取引を反映し、5月12日時点の株価・為替レートを適用した試算値は、株価の回復によりNAVは昨年とほぼ同等の27.4兆円まで回復したとコメント。LTVと手元流動性は、財務運営方針として定めた安全性を十分に満たす健全な水準を維持していると説明しました。

重要指標(2024年3月末比)

連結業績は、売上高が7兆2,438億円、投資損益が3兆7,011億円、税引前利益が1兆7,047億円、純利益が1兆1,533億円となり、Tモバイルの株価上昇などが寄与しました。純利益は前年度比で1兆3,810億円増と4年ぶりの通期黒字となり、「非常に順調な1年」と評価しました。

連結業績

純利益(年度)

SVFは強固なパイプラインを確保。AI革命をけん引する企業投資に注力

第4四半期におけるSVF事業の投資利益は11億5,900万ドルとなりました。内訳として、SVF1の投資利益18億4,800万ドルは主にByteDanceの公正価値の上昇、SVF2は保有上場株の影響により7億800万ドルの損失を計上しました。

SVF:投資損益(四半期)

SVFの実績として、これまでに55件の株式公開があったことに加え、今後のパイプラインにも公正価値合計が360億ドルのレイトステージ投資を保有し、そこにはByteDanceを始め、OpenAIやPayPayも含まれていると紹介。これらの投資先がSVFのパフォーマンスを今後大いに引き上げてくれる可能性があると期待を示しました。

株式公開実績と今後のパイプライン

アーム事業は過去最高を更新

アーム事業は、ライセンスおよびロイヤルティー収入が過去最高を更新。売上高は40億700万ドル、調整後営業利益は前年度比33%増の18億7,100万ドルと、順調な業績となりました。

売上高(年度)(米国会計基準)

ロイヤルティー収入の成長ドライバーであるコンピュート・サブシステム(CSS)について、自動車業界で初採用されたことや、Armv9でもIoT、エッジデバイス向けの新製品を発表されたことを説明。エッジでのAI普及がアームの成長を加速させるだろうとの見方を示しました。

エッジでのAI普及がアームの成長を加速

OpenAIとの連携など、AI領域で大きな進展

続いて、2025年3月に発表したOpenAIへの追加出資について、最大400億ドルの出資額のうち100億ドルを外部投資家にシンジケーションする予定のため、当社の実質的な出資額は最大300億ドルになる見込みであることを説明。

生成AIにおけるOpenAIの優位性は、絶え間ない技術進化にあるとし、2018年にGPT-1がスタートしてからの進化、グローバルの週間アクティブユーザー数の拡大に言及し、「世界のスタンダードになりつつあるOpenAIの強さは、彼らの価値にもつながっていく」と解説しました。

2025年3月に追加出資コミット

続いて、「Stargate Project」と「クリスタル・インテリジェンス」の進捗について報告。AIの進化を支え、価値を向上する基盤となる「Stargate Project」について、「まさに社会そのものが変革し、ライフスタイルが変革していく起爆剤になるだろう」といい、現在、米国テキサス州にて複数のプロジェクトが稼働に向け進行中であるほか、全米各地から100件以上の提案があり、複数サイトのデューデリジェンスを実施していると話しました。

Stargate:AIの進化・価値向上の基盤

「クリスタル・インテリジェンス」については、企業ごとにカスタマイズした最先端のAIを日本国内で展開するため、ソフトバンクグループとOpenAIの合弁会社設立に向けて動き出していると報告しました。

クリスタル・インテリジェンスの概要

ASI実現に向けグループの半導体ビジネスを強化

SBGは2025年3月、Ampere Computing(アンペア・コンピューティング)を65億ドルで買収することを発表しました。買収完了は2025年度後半を見込んでいます。同社は、クラウド・AIに特化したアームベースのサーバー向けチップ設計で実績を持つ企業で、約1,000人の熟練エンジニアを擁しています。
買収の目的について後藤は、「優秀なエンジニアの獲得」「豊富なテープアウトの確かな実績」「アームの設計力補完」の三点を挙げ、ASI実現に向けた半導体ビジネスを強化していきたいと述べました。

  • 半導体チップの設計を完了し、製造に必要なデータを工場(ファウンドリー)に送る工程のこと。

企業概要

ソフトバンクグループのAI戦略のビジョンがより明確になってきたと説明。アームを中心にGraphcoreとAmpereを擁することで、AIの計算能力を飛躍的に高め、AIデータセンターで必要なコンピューティングパワーを供給し、その上でOpenAIが高度なAIモデルを構築し、各種アプリケーションとして実装されていく。その結果、ライフスタイルやワークスタイルが大きく変わっていくという期待を示しました。

グループのAI戦略のビジョン

PayPayが上場準備を開始。決済アプリからデジタル金融プラットフォームへ

上場準備を開始したPayPayは、創業からの年月は浅いものの、グループ各社の支援や連携、インドのPaytmによる創業時の技術支援により、日本最大級の非接触決済サービスへと成長。3月末時点の登録ユーザー数は約6,838万人、2024年度の決済取扱高は15.4兆円、EBITDAは456億円で、2年連続の黒字化を達成。決済にとどまらず、カード・銀行・証券を含むデジタル金融プラットフォームとしての体制も整い始めています。

グループ総力を結集

情報革命の中心はAI。グループ総力を挙げてASI実現へ

2025年度の財務戦略について「環境がいかに変わろうと、迅速に守りの財務に切り替えられるような万全の準備を整える」とし、LTV25%未満、2年分の社債償還資金を保持していく姿勢は変わらないことを強調。不確実性の高い環境下でも、慎重かつ大胆に財務活動を展開し、NAVを成長させていくために、その時点で何がベストか常に考えていくと説明しました。

2025年度の財務戦略

最後に後藤は、あらためて経営理念に言及。「ソフトバンクグループは何屋なのか?」という問いに対して、答えはぶれずに「情報革命屋である」といい、ソフトウェア流通のインフラ構築から、出版事業、ブロードバンド、インターネット、そして現在のAIへと、必要とされる情報サービスを人々に使ってもらうため、その時代に応じた「情報」のインフラを整備し続けてきたのがソフトバンクグループだとしました。

そのAIインフラの整備について、1年前と現在の状況を2つのスライドで示しました。1年前には空欄が目立ち「草野球」レベルだったAI基盤は、この1年で大きく進展し「プロ野球」のように陣容が充実。

2024年3月末(1年前)
現在

また、18年前の決算発表会で、ソフトバンクグループの主戦場を「インフラ」「ポータル」「コンテンツ」の三層構造と説明したスライドを使い、ビジネスの構成要素が変わっても「3つのレイヤーを抑える」という発想は現在のAIの時代に置き換えても同じだと解説しました。

現在

「だいぶ成長してきたと思います。グループの総力を挙げて、ASI実現に向けて、われわれのできる役割を考え、追及しながら、毎日頑張ってまいりたい」と、説明会をしめくくりました。

情報革命の中心はAI。グループ総力を挙げてASI実現へ

2025年3月期 決算説明会

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(掲載日:2025年5月12日、更新日:2025年5月20日)
文:ソフトバンクニュース編集部