
2026年2月10日に東京大学とソフトバンクが設立した世界最高レベルの人と知が集まるAI研究機関「Beyond AI 研究推進機構」による「第6回 Beyond AI 研究推進機構 国際シンポジウム」が、東京大学本郷キャンパスにて開催されました。 本シンポジウムでは、「Beyond AI より新たな科学へ」をテーマに、これまでの基礎研究(中長期研究)から生まれた3つの新学術分野とその成果が取りまとめられ、国際社会に向けて発信されました。
目次
東京大学とソフトバンクが開催した第6回 Beyond AI 国際シンポジウム
東京大学 情報学環・福武ホールにて「第6回 Beyond AI 研究推進機構 国際シンポジウム」が、会場とオンラインを併用したハイブリッド形式で開催。東京大学 総長の藤井輝夫氏、ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一が、ビデオメッセージであいさつを行いました。
Beyond AI 研究推進機構
東京大学とソフトバンクによる世界最高レベルの人と知が集まるAI(人工知能)研究機関。次世代AIの中長期研究と事業化・社会実装を目指すハイサイクル研究を推進し、事業で得たリターンをさらなる研究活動や人材育成にあてる、エコシステムの構築を目指しています。
それぞれの立場から、Beyond AIが目指す研究の意義や、AIが社会に与える影響について言及し、本シンポジウムのテーマである「Beyond AI より新たな科学へ」に込めた思いを語りました。

東京大学総長 藤井輝夫氏
藤井氏 「AIの進化が加速する今、私たちは単に技術を高度化するだけでなく、人間の知性とは何か、社会にとって知とはどのような意味を持つのかを改めて問い直す必要があります。Beyond AIの取り組みは、分野の枠を超えた研究によって、新しい学術分野を切り拓こうとする挑戦です。本シンポジウムを通じて、その成果と問いを国際社会と共有できることを期待しています」

ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川潤一
宮川 「ソフトバンクは、AIを社会に実装する企業として、技術の可能性だけでなく、その影響や責任にも向き合ってきました。Beyond AI連携事業は、短期的な成果を追うのではなく、人間の知性や社会の未来を見据えた中長期的な研究を支える取り組みです。東京大学との協創を通じて、AIの先にある新たな科学の創出に貢献していきたいと考えています」
AI基盤技術と学術融合による新学術分野の創出

Beyond AI連携事業では、AIの性能向上にとどまらず、「知能とは何か」「人間とAIはどのように関わるべきか」といった根本的な問いに向き合う中長期研究が進められてきました。 本シンポジウムでは、中長期研究で生み出された研究成果により、明確となった目標とする新学術分野から、三つの新学術分野とその成果を取りまとめ、国際社会に発信しました。 物理学、脳科学、社会科学の第一人者が登壇し、3つの新学術分野について、専門分野の異なる研究者同士が活発に意見を交わしました。
セッション① 知能の基礎物理学の構築を目指して
「知能」をアルゴリズムやプログラムの集合としてではなく、自然現象の一つとして捉え直す試みを紹介。 人間の脳やAIの振る舞いは、どのような原理によって生まれているのか。そうした問いに対し、物理学の視点から知能の基盤を明らかにしようとする研究が議論されました。

写真左から、齊藤英治氏(東京大学 大学院工学系研究科 教授)、茂木健一郎氏(ソニーコンピュータサイエンス研究所 上級研究員/東京大学大学院 客員教授および特任教授)、田畑仁氏(東京大学 大学院工学系研究科 教授)
セッション② 脳と人工知能の融合:新しい知性の創発へ
脳科学と人工知能研究を融合させることで、新しい知性の可能性を探る取り組みを紹介。人間の脳の仕組みを理解することでAIの設計に生かす一方、AIを研究ツールとして用いることで、これまで見えなかった脳の働きを解き明かす。こうした双方向の研究が、新たな知の創発につながる可能性について議論されました。




写真左上から、大木研一氏(東京大学 大学院医学系研究科/国際高等研究所 ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)教授)、池内与志穂氏(東京大学 生産技術研究所 教授)、池谷裕二氏 (東京大学 大学院薬学系研究科 教授)、長井志江氏(東京大学 国際高等研究所 ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)特任教授)
セッション③ AIと社会:未来に向かう創意と責任
AIの進化が社会や人間の価値観に与える影響について、倫理学や哲学、社会科学の視点から議論が行われました。 AIが創造性を高める一方で、判断の責任や透明性といった課題も浮かび上がっています。 技術の可能性だけでなく、AIと人間がどのような関係を築いていくべきか、そしてどのような社会を目指すのかを考えることの重要性が共有され、Beyond AIが社会全体に関わるテーマであることが示されました。

写真左から、板津木綿子氏(東京大学 大学院情報学環・学際情報学府 教授)、Celia Spoden氏(ドイツ日本研究所 主任研究員)、Sang Wook Yi氏 (漢陽大学 哲学研究科 教授)、久野愛氏(東京大学 大学院情報学環・学際情報学府 准教授)
パネルディスカッション 基礎研究の可能性を社会につなぐ
最後に行われたパネルディスカッションでは、基礎研究(中長期研究)を担う教員が集まり、Beyond AI研究の意義や今後の展望について意見を交わしました。議論を通じて、Beyond AIは短期的な成果を求める研究ではなく、長期的に社会や人類の知のあり方そのものに影響を与える可能性を秘めた取り組みであることが確認され、「AIの先にある科学とは何か」という問いを未来へとつなぎ第6回 Beyond AI 研究推進機構 国際シンポジウムは幕を閉じました。

写真左から、(パネリスト)久野愛氏、池谷裕二氏、大木研一氏、田畑仁氏、齊藤英治氏、原田達也氏(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)、(モデレーター)萩谷昌己氏
(掲載日:2026年2月27日)
文:ソフトバンクニュース編集部




