大災害の後、SNSを見ると「さっきの地震でうちの近くの動物園からライオンが逃げた!」という情報が、「拡散希望」という文言とともに投稿されています…。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?
正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。
今回は、災害発生後に心がけたい正しい情報収集の方法をご紹介。
この災害テーマのポイント
- 間違った情報拡散は、被災者の不安増長や救助の妨害につながることも
- センセーショナルで面白おかしなものは、特にデマの可能性が高い
- 公的機関・自治体の防災アカウントを日頃からフォローしておこう
この災害テーマのポイント
- 間違った情報拡散は、被災者の不安増長や救助の妨害につながることも
- センセーショナルで面白おかしなものは、特にデマの可能性が高い
- 公的機関・自治体の防災アカウントを日頃からフォローしておこう
目次
- リスク:「善意」が、デマ拡散の手助けにつながることも。被災者救助の妨害に加担しないで
- 対処法:公的機関など、信頼できる発信元からの情報かを確認。真偽をきちんと確かめよう
- 事前の備え:公的機関の防災アカウントを日頃からフォローして、いざというときに役立てよう
- 災害発生後の正しい情報収集に役立つサービス・ウェブサイト
リスク:「善意」が、デマ拡散の手助けにつながることも。被災者救助の妨害に加担しないで
「被災者の方の力になりたい」という善意の行動であったとしても、間違った情報を拡散してしまえば、デマまん延に加担することになります。情報によっては、被災者の不安を増長したり、救助隊を混乱させ、本当に助けが必要な人の救助が遅れたりする可能性もあります。(フェイクニュースに惑わされないために)
過去に災害関連で拡散されたデマの例
2011年 |
千葉県で製油所火災が起きたことから、「有害物質が雨などと一緒に降るので注意」というチェーンメールが出回った |
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2016年 |
「動物園からライオンが逃げ出した」というデマが、SNS上で拡散。動物園の職員が問い合わせ対応に追われることに。デマ投稿者は後日、偽計業務妨害の疑いで逮捕された |
2018年 |
「外国人は地震に慣れていないから犯罪をする」というデマが、SNSで発信された |
2022年 |
AIによって生成されたフェイク画像とともに、「住宅群が浸水している」というデマがSNS上で拡散した |
対処法:公的機関など、信頼できる発信元からの情報かを確認。真偽をきちんと確かめよう
怪しい情報を受け取ったら、まずは、公的機関など信頼できる発信元からの情報かを確認しましょう。受け取った情報の中に発信元・情報源の記載があるもの、「〇年△月×日、00時段階の情報」と記載がある1次情報、認証済みバッジが付いているTwitterアカウントの発言なども、信頼度の高い情報です。
信頼できる情報の例
- 政府、都道府県庁、区市町村の役場が発信するもの
- 新聞社、テレビ局、ラジオ局が発信するもの
- 気象庁、気象情報会社が発信するもの
「2020年〇月〇日、〇〇地方で大地震が起こる」など、日時と場所がピンポイントに絞られた地震予測はすべてデマ。現在の科学的知見では、「〇年以内に、日本の内陸部で、マグニチュード〇の地震が起こる確率が〇%ある」といった可能性や確率の予測しかできません。拡散しないよう注意しましょう。(ファクトチェックのポイント)
デマの可能性が高い情報の特徴例
- センセーショナルなものや、面白おかしなもの
- 不安や恐怖心をあおるもの
- 「〇〇が起こったらしい」など伝聞系のもの
- 他人の困りごとに対してSOS発信をしているもの
事前の備え:信頼できる防災アカウントを日頃からフォローして、いざというときに役立てよう
公的機関の防災ウェブサイトをブックマークする、防災に役立つSNSアカウントをフォローするなど、普段から自分が信頼できる情報源を入手しておくと、いざというときスムーズな対応ができます。
防災・災害関連でオススメのTwitterアカウント例
地震・ニュース速報@Yahoo!ニュース:@YahooTopicsEdit
Yahoo!ニューストピックス編集部が厳選した重大ニュース、防災情報を速報でお届け。
Twitterライフライン:@TwitterLifeline
災害時におけるTwitterの活用、アカウントの紹介など、ライフラインに関する情報を発信。
首相官邸(災害・危機管理情報):@Kantei_Saigai
Jアラート、緊急地震速報、特別警報などの自動配信、災害・危機管理関連の政府活動情報を発信。
首相官邸(被災者応援情報):@kantei_hisai
全国の被災者の方に向けて、各省庁が発信している情報のリツイートなどを行っている。
内閣府防災:@CAO_BOUSAI
災害情報や防災・減災に関する情報、内閣府(防災担当)が取り組む施策などを発信。
総務省消防庁:@FDMA_JAPAN
大規模災害が発生した際、消防関連情報を発信。
防衛省・自衛隊:@ModJapan_jp
災害時、自衛隊の派遣状況などの関連情報を発信。
気象庁:@JMA_kishou
災害への警戒を呼びかける報道発表などの情報を発信。
警視庁警備部災害対策課:@MPD_bousai
日用品を災害グッズとして使うテクニックなど、実用的でユニークな防災対策を発信する人気アカウント。
また、地元の自治体の防災アカウントやウェブサイトなら、よりローカルな情報を入手可能。お住まいの地域の県庁や役場のウェブサイトをブックマークしたり、SNSをフォローしたりしておきましょう。緊急時に自動的に情報を配信してくれる、プッシュ型報道機関などへの会員登録もオススメです。
災害発生後の正しい情報収集に役立つサービス・ウェブサイト
① Yahoo!ニュース
Yahoo!JAPANが運営するニュースサイト。毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、産経新聞、時事通信などの新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌など、さまざまな媒体のニュースを掲載しています。
② 国土交通省「防災ポータル」
首都圏で起こりうる災害に関する情報や、もしものときに役立つ防災情報を入手できる防災情報ポータルサイト。日頃から知ってほしい防災情報、災害時、見てほしい防災情報などがわかりやすくまとめられています。
③ 内閣府「防災情報のページ」
災害状況、被害状況の公表のほか、防災対策情報や内閣府の防災に関する政策などを公開している、内閣府運営のページです。
④ 安否確認手段に災害用伝言板
大規模災害などで音声発信が集中してつながりにくくなった際に、安否情報を確認できるサービスです。無料で使えて、事前の申し込みも必要ありません。
⑤ 電話を使った災害用伝言ダイヤル
被災地の方の電話番号宛に、安否情報などの伝言を音声で登録・確認できるサービス。「171」をダイヤルし、利用ガイダンスに従って使用します。スマホや携帯電話の操作が不安という高齢者の方などは、こちらが使いやすいかもしれません。
監修者:防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)
1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティアの一員として、福島県南相馬市小高区等で活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。
(掲載日:2020年2月13日、更新日:2022年12月27日)
監修:高橋洋先生
文:内藤マスミ
編集:エクスライト
イラスト:高山千草