SNSボタン
記事分割(js記載用)

未来の社会や環境を本気で考える。ソフトバンクの戦略とは?

未来の社会や環境を本気で考える。ソフトバンクの戦略とは? 未来の社会や環境を本気で考える。ソフトバンクの戦略とは?

企業が長期的に成長するためには、経営において環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3つの観点、ESGが必要だという考え方が世界中で広まっています。企業のESG経営に対する消費者や投資家の視線がますます熱を帯びるなか、ソフトバンクは2月26日、機関投資家に向けた初めてのESG経営説明会を開催。フリーアナウンサーの大橋未歩さんも説明会に参加し、その後、東京・竹芝にある同社オフィスビルの一角で、ソフトバンクのESG戦略をけん引するESG推進室 室長 池田昌人と対談しました。ソフトバンクは果たしてどこまで本気なのか。具体的な取り組みやその成果に迫ります。

PROFILE

  • 大橋 未歩
    OHASHI MIHO

    フリーアナウンサー

    1978年兵庫県生まれ。上智大学卒業後、2002年にテレビ東京に入社し、多くのレギュラー番組で活躍。2013年に脳梗塞を発症後、約8カ月の療養を経て復帰。15年間勤めたテレビ東京を退社し、2018年にフリーアナウンサーに転身。2023年アメリカ・ニューヨークに移住。日米を行き来しながら、テレビ、ラジオ、イベントなど幅広く活躍中

ソフトバンク株式会社 ESG推進室 室長

池田 昌人(いけだ まさと)

なぜESGに本気で取り組むのか

大橋

今日は、ESG説明会に参加させていただき、知らなかった情報をたくさん得られました。説明会ではソフトバンクの強い使命感が印象に残りました。そもそもなぜESGに取り組まれているのでしょうか。

池田

前社長の宮内、現社長の宮川も「ESGはソフトバンクの成長の羅針盤だ」という信念がありました。特に技術に明るい宮川は、テクノロジーの進化による電力消費量の増大がエネルギー危機につながるという強い危惧をもっていました。「業界が足並みをそろえて省エネを実現させないと、このままでは各社の○○放題プランをやめなければいけなくなる。日本だけでなく世界も厳しくなる」と話していたことを、よく覚えています。

大橋

ESG経営にテーマを絞って説明会を開くのは今回初めてだそうですね。なぜ、開催に至ったのですか?

池田

ソフトバンクが本気でESG経営に取り組んでいると、広くお伝えしたいという思いからです。
私は、2011年の東日本大震災をきっかけに、今こうしてESG推進に取り組んでいるのですが、それ以前はずっと携帯電話事業の営業やマーケティングを担当していました。
CMや雑誌広告も多く手掛けたので、企業からの発信がどうしても「お得感」中心の内容になるという経済合理性も理解できるのですが、時代も変わっていますし、世界の環境や社会における問題は深刻さを増しています。
私たちのESG経営を体系的に伝える場を設けることで、「ソフトバンクは環境、社会、ガバナンスに対して真剣に、そして真摯(しんし)に取り組んでいる」ことを理解いただけるのではないかと考えました。

大橋

2030年に温室効果ガス(Greenhouse Gas、以下「GHG」)排出量の実質ゼロ、さらに2050年にはサプライチェーン全体で、GHG排出量の実質ゼロを目指すネットゼロを、大きなターゲットに掲げていますね。

ターゲット Scope1.2 カーボンニュートラル2030 温室効果ガス排出量実質ゼロへ。 2030年GHG排出ゼロ Scope3 温室効果ガス排出量をサプライチェーン全体で実質ゼロへ。→NEW ZERO 2050年GHG排出ゼ ※GHG:温室効果ガス

池田

大きな目標に向けて、経営判断で長期的な再生可能エネルギー購入を決定するなど、どんどん推進していきます。2050年のネットゼロというのは、携帯電話を利用する皆さまが充電に使う電力の再エネ化まで含めてわれわれの目標とするということです。
自社が使う電力の再エネ化はまだしも、お客さまの使う電力すべてを再エネ化するということは、もはや日本の電力政策の領域にもなってきますので、電力各社も巻き込んでカーボンニュートラルやネットゼロを進めないと実現が不可能です。
それには日本全体が変わる必要があると考え、東京大学との産学連携プロジェクトにも参画して政府にアプローチするなど、さまざまな活動に積極的に参加しています。

大橋

第三者からのチェックもしっかり受けているそうですね。そして、第5回日経SDGs経営大賞の受賞や、世界の代表的なESG指数である「Dow Jones Sustainability Index(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)」への2年連続の選定など、外部機関からも高く評価されています。

池田

第三者チェックでは、どのデータをどう把握し、それをどう検証したのかなど、あらゆる点でチェックを受けます。その準備だけでも膨大な時間がかかっています。
しかし、そのような内部コストをかけても、われわれのESG経営について透明性を持って公表することを、機関投資家や社会から求められています。そういう声にしっかり応えていきたいと考えておりますので、評価いただくことは励みになります。

カギは全社員の「自分ごと化」その仕掛けは?

大橋

約2万人もの社員がいらっしゃれば、それぞれの事情やモチベーションも違うと思います。意識の共有はどうされているのでしょうか。

池田

実は先ほどお渡しした名刺の裏に、ソフトバンクの6つのマテリアリティをモチーフにしたデザインを展開しています。

6つのマテリアリティ(重要課題) 事業を通じた社会課題解決 1.DXによる社会・産業の構築 2.人・情報をつなぎ新しい感動を創出 3.オープンイノベーションによる新規ビジネスの創出 企業活動を通じた社会課題解決 4.テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献 5.質の高い社会ネットワークの構築 6.レジリエントな経営基盤の発展 社員への意識づけ SDGsシンボル 名刺 封筒/紙袋 オンライン会議の背景

大橋

CMでおなじみのお父さん犬のイラストですね。かわいいです。

池田

ありがとうございます。名刺や封筒の素材には、環境保護と文化を保持するために植物の「葛(くず)」を使っています。また、オンライン会議で使う背景画像もSDGsのロゴをデザインしたものを複数用意しています。名刺を使ったり、オンライン会議をしたり日常業務のなかで、ESGやSDGsとの接点をつくる取り組みを地道におこなっています。

ESGの基本的な知識が身につくように、eラーニング講座は全員必修です。また、CEOや役員が社員にさまざまな場面で方針を話す場がありますが、そこでもESGについて説明するように工夫しています。身近な上司が、自分の言葉で自分たちの業務とESGを関連づけて話すことが、「自分ごと化」につながり、個々の社員の理解がさらに深まるんですね。 このような啓蒙活動の効果もあって、7割以上の社員が「自分の仕事はESGと関連がある、未来に通じている」と実感してくれています。

全社員のESG意識調査 自分の業務がESGと繋がっていると感じる ESG推進の自分ごと化約2.5倍 ※社員調査(N=13,825)/TOP2数値/FY20より毎年2回実施

大橋

いろいろなところに「自分ごと化」の仕掛けがちりばめられているんですね。

池田

目標連動も重要な要素です。社員は半年ごとに自分の業務に対する目標を設定し評価を受けますが、この目標設定にESG戦略上の重要課題が連動するよう工夫しています。そのことにより、一人一人の業務がESGの何に関連するかを具体的に理解することができ結果的に評価に影響するので、社員も自然と意識することになります。役員報酬にも、気候変動関連を含む複数のESGのKPIを連動させているんですよ。

大橋

社員の方への意識づけは、スムーズに進んできたのですか。

池田

正直に言うと、前社長の宮内がSDGs経営をすると社内で発表した2019年の時点では、社員からはほとんど理解されませんでした。
そこから、3000もの事業を一覧化して、どの事業がどのSDGsと関連するかを見極めながら、6つの重要課題としてマテリアリティに絞り込んでいきました。この作業に3カ月ほどかかりましたが、地獄のようにつらかったですね(苦笑)。
社内は「マテリアリティって、何?」「なんでそんなことをやらなきゃいけないの?」という雰囲気で、なかなか現場から自発的に協力してもらえる感じではありませんでした。推進を担当するメンバーが一丸となって、こちらから各部署に素案を提示し、確認するという作業をコツコツと続けました。

大橋

それは気が遠くなりそうな作業ですね。ご自身も迷うことがあったのではないですか?

池田

役員が参加する会議で説明しても「何のためにそれをやるのか」、なかなか理解してもらえないこともありました。
「未来を確保するために、エネルギーや環境について真剣に考えて行動する重要性」を、経営陣とともに繰り返し発信してきたことで、社内の空気も変わってきたと思います。

「すぐ動き、違ったらやり直す」ソフトバンクのDNA

大橋

説明会でのご発表でもう一つ、私が注目したのは「ネイチャーポジティブ」という施策でした。生物多様性の重要地域に基地局などの通信設備の設置を増やしたら、その面積以上の植樹をされるんですよね。

池田

ネイチャーポジティブは2023年度から本格的にスタートしたばかりの取り組みです。自然関連のリスクを評価する「LEAPアプローチ」という国際的な手法により、ソフトバンクの事業で最も生物多様性に依存し影響を与えているのはネットワーク設備と分析しました。そこでまずは、基地局などの建設が生物多様性に与える影響を低減することから着手しようと考えました。

ALTネイチャーポジティブ 基地局等の設備建設 ・ライフラインの維持=当社の使命・自然保護区での設備開発が止むを得ず発生 →ネイチャーポジティブへの対応・自然保護活動を推進・自然保護区※の開発面積以上(植生を考慮した植樹等)※KBA・国際条約・日本国指定の地域

大橋

携帯電話事業者としてのソフトバンクと植樹は、なかなかイメージが結びつかないです。

池田

確かに、私自身も最初はピンと来ませんでした。しかし、今の自然を維持、もしくは回復させるには、それ以上のことをしなくてはならないと、その理論や仕組みを理解すると「なるほど、そうか」と。私も北海道の富良野へ行き、脚本家の倉本聰さんと一緒に植樹を行いました。実は、どんな樹種を植樹するかも専門家に意見を伺い、また植生に配慮し環境回復にきちんと意味のある場所を選んでいます。

大橋

国際フレームにのっとって、分析して、結果に従ってすぐ動く。その機動力が、何よりすばらしいですね。

池田

とにかくやってみて、違ったときはやり直せばいいだけですから。それがソフトバンクのDNAです。これは、私自身が創業者の孫(正義)や前社長の宮内から最初にたたき込まれたことです。

大橋

ここまでお話を伺って、「ソフトバンクが世界を変える」という意気込みがひしひしと伝わってきました。

池田

はい、本気で「世界を変えたい」と思っています。

大橋

今後はどのような活動に特に注力していきたいとお考えですか。

池田

ESG経営は多岐にわたる活動なので、環境だけ、人的資本だけということではなく、全ての側面を総合的に推進していかなくてはいけないと思っています。全体的に高度化されているかを測る指標として、ESG経営の格付けや評価でソフトバンクが常にトップランクであり続けることが今後の目標の一つではありますね。
事業とESG経営を両立しながら、未来をつくるナンバーワン企業であり続けたいですし、それを推進していくソフトバンクのESG経営にぜひ注目してもらいたいですね。

大橋

注目します。お話を伺って、頼もしく感じました。今日はありがとうございました。