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スポーツの地域格差は無くせるか?プロバスケットボールクラブも驚く最新AIアプリとは

スポーツの地域格差は無くせるか?プロバスケットボールクラブも驚く最新AIアプリとは スポーツの地域格差は無くせるか?プロバスケットボールクラブも驚く最新AIアプリとは

スポーツは多くの人に夢や希望を与え続けていますが、一方で「スポーツ教育」においては、指導者不足や地域格差などの社会課題があります。こうした課題に対してソフトバンクとB.LEAGUEのプロバスケットボールクラブ・長崎ヴェルカが行っている「AI」も活用したスポーツ教育の取り組みに大橋未歩さんが迫ります。

PROFILE

  • 大橋 未歩
    OHASHI MIHO

    フリーアナウンサー

    1978年兵庫県生まれ。上智大学卒業後、2002年にテレビ東京に入社し、多くのレギュラー番組で活躍。2013年に脳梗塞を発症後、約8カ月の療養を経て復帰。15年間勤めたテレビ東京を退社し、2018年にフリーアナウンサーに転身。2023年アメリカ・ニューヨークに移住。日米を行き来しながら、テレビ、ラジオ、イベントなど幅広く活躍中

対談の様子はこちらからもご視聴いただけます!

地域格差がなくなれば、スポーツの可能性はもっと広がる

大橋

アナウンサーとしてスポーツの現場を多く取材してきたので、スポーツの話題には非常に興味があります。伊藤さんスポーツの世界で今、どんな課題があると感じますか?

長崎ヴェルカ代表取締役社長 兼 ゼネラルマネージャー

伊藤 拓摩(いとう たくま)

中学卒業と同時にアメリカへバスケ留学。高校時代に選手からマネージャーへ。B.LEAGUEアルバルク東京のヘッドコーチ、テクニカルアドバイザーなどを経て、2023年より現職。

伊藤

私はバスケットボールのコーチ業を中心に、国内外のスポーツに長年関わってきて、地域格差の問題はすごく大きいと感じています。例えば、アメリカではバスケのシーズン中には、専門的な指導がいろいろなところで受けられますし、日本でも、東京などであればバスケを学べる場所がたくさんあると思います。でも、その状況は国や地域によっては当たり前ではありません。特に離島など都心部から離れた地域では、スポーツをやりたくても、続けられる環境が整っていないことがありますよね。

そうした中、長崎ヴェルカもさまざまなハンディキャップがある方にバスケに触れる機会を提供する「B-RAVE ONE(ビーレイブワン)」という活動を推進してきました。きっかけは、2022年に私が長崎の離島の子供たちにバスケ指導に行ったこと。そのとき、各島の指導者の方が口をそろえて言うのが「離島に生まれたことで、子どもたちが経験できることが少ない」ということでした。そこで私たちにできることを考え、試合に招待したり、交流イベントを企画したり、対戦相手をそろえてトーナメント戦を実施したりと、バスケを楽しんでもらう機会をつくってきました。

大橋

それは素敵な取り組みです。このような取り組みにソフトバンクさんもご協力されているのですね。

ソフトバンク株式会社 サービス企画本部 コンテンツ推進統括部 企画管理部 部長

星川 智哉(ほしかわ ともちか)

星川

はい、たしかに地域スポーツをめぐる課題は山積みですね。地方では特に少子化の影響でチームスポーツをする人数が集まらなかったり、過疎化による人手不足も相まって先生方の労働時間の問題などから指導者が確保できない現状があります。

長野県 島の数日本一 1.長崎県1,479 2.北海道1,472 3.鹿児島県 1,256 → 地域スポーツの課題 指導者不足 部員数の減少 スポーツ環境の整備

(長崎県を取り巻く課題。長崎県は離島が多く、それに伴う教育課題も顕在化している)

星川

少子化の影響はこれからもっと全国に広がっていくため、スポーツの地域格差を解消することは大きな意義があると考えています。そうした思いもあり、ソフトバンクはB.LEAGUEが立ち上げた社会的責任活動「B.LEAGUE HOPE(ビーリーグホープ)」に賛同し、プロチームと連携しながら格差解消に取り組んでいます。

B.LEAGUE HOPEとは?

B.LEAGUEが、「スポーツの力」に対する社会・地域からの期待に応え続けるためにも、「スポーツエンターテイメントの革新」のみならず、「Social Innovationの実現」を目指し、ステークホルダーとともにさまざまな社会的責任活動を「B.LEAGUE HOPE(B.HOPE)」と称し、推進している。

大橋

そもそもソフトバンクが、B.LEAGUE HOPEをはじめ、スポーツの社会課題解決に取り組まれてきたのはなぜなのでしょうか?

星川

もともとソフトバンクには、福岡ソフトバンクホークスなどのプロスポーツに携わってきた企業文化があり、B.LEAGUEにも2016年の開幕時からトップパートナーとして関わってきました。そうしてプロスポーツに関わる中で、スポーツの世界全体をより良くしていくためには、アマチュアや子どもたちなども含めて、次世代のスポーツ環境の改善に取り組まなければならないという課題感を持つようになったんです。中でも、地域格差の解消は、スポーツの可能性を推し広げるモデルケースになると感じています。

どこにいても指導を受けられる「AIスマートコーチ」

大橋

ソフトバンクとB.LEAGUE との取り組みの一つに、AIを活用して中学生にバスケ指導を行う試みがあるそうですね。どんな取り組みなのでしょうか?

星川

AIスマートコーチは、指導者がいなくても、スマホやタブレット、パソコン1つでさまざまな競技の技術が学べるトレーニングアプリです。子どもたちのスポーツの環境を少しでも良くしたいとの思いから、ソフトバンクが開発しました。例えば、バスケであれば、自分のシュートフォームなどを撮影した動画とお手本の動画を比較したり、AIを使って改善点を分析したりすることができるんです。

AIスマートコーチとは?

動画の比較、分析、振り返りを通じてスポーツのスキル向上をサポートするアプリ。お手本や先輩の動画と自分の動画を見比べる「映像比較」機能や「活動記録」機能などを使って日常のトレーニング状況を記録することができる。ダンス、バスケ、ゴルフなどさまざまな競技に対応。筑波大学やプロダンスリーグ「D.LEAGUE」のダンサーなどの指導・監修による動画を多数掲載している。

活動記録 動画比較 お手本動画

大橋

アプリなら手軽ですし、デジタルネイティブの子どもたちなら、すぐに使いこなせそうですね。今回はプロの選手たちによるお手本動画も組み込むなど、長崎ヴェルカの皆さんも、コンテンツに積極的に協力されたんですよね。

伊藤

はい、このアプリの体験会を2024年1月に実施して、長崎の離島に暮らす中学生94人を招待しました。デジタルの力でどこにいても指導が受けられるAIスマートコーチを、ぜひ離島の子どもたちにも体験してほしいと思ったんです。

(体験会の様子。自分のプレーを比較しながらプレー改善に取り組む。)

大橋

両者の思いと志が一致して実現した体験会だったんですね!AIスマートコーチ、私もさっき少し体験させていただきました。一応、中学校3年間バスケをやってきたのですが、自分では正しいフォームを取っているつもりでも実際はできていないことが、よく分かって悔しかったです(笑)。子どもたちの反応はいかがでしたか?

星川

とても喜んでくれて、バスケの楽しさを堪能してくれたようでした。ちょっとしたきっかけを提供するだけで、子どものやる気を後押しできることを感じました。

伊藤

子どもたちから「毎年やってほしい」という声もあがって、スタッフ共々、体験会を開いて本当によかったと思いました。子どもたちには体験会の後も、AIスマートコーチを使って練習してもらったのですが、そこでは長崎ヴェルカ専用コンテンツを閲覧できるようにしています。うちのユースが実際にやっている練習メニューを動画で共有しています。

大橋

そんな貴重な内容を公開していいんですね!スポーツの地域格差解消のために、ソフトバンクは他にどんなことに取り組んでいるのですか?

星川

リモートで練習をサポートできるアプリ「スマートコーチ」ですね。こちらはAIを使うのではなく、専門のコーチがチャットや動画のやり取りで直接アドバイスをしてくれるアプリです。練習した動画をコーチへ送信すると、コーチがメモや音声で動画を添削してくれます。

スマートコーチとは?

元プロスポーツ選手やアスリートなど、知識や経験が豊富な専門コーチからスマートフォンやタブレットを使って気軽にプライベートレッスンやグループレッスン、リアルタイムのライブレッスンを受けることができるアプリサービス。

大橋

憧れのプロやチームから指導を受けられるのは、指導者が限られている地域の子どもたちにとって嬉しいことですね!プロの選手から見ても、リモートで指導ができるこのサービスは、セカンドキャリアの選択肢が広がる良質なアイデアだと感じました。

AIがスポーツを変える!?

大橋

AIのスポーツ活用と聞くと、戦術の分析などに使われているイメージはあったのですが、スキル向上にも役立てられているのですね。スポーツの世界では、AIはどれくらい浸透しているんですか?

伊藤

例えばアメリカのNBAでは、戦術・戦略の部分での活用はもちろん、選手の獲得やトレーニングにも、AIが幅広く活用されています。選手の過去のインタビューやSNSを基にAIが性格を分析して、チームにフィットするかどうかを判断するのに使われていたりもするんですよ。

大橋

それは驚きです。先ほど、AIスマートコーチを体験させていただいた時に感じたのですが、どこを直せばいいか分かりやすいのでやる気になりますし、何より楽しくって。AIがとても身近に感じました。

星川

ありがとうございます。おっしゃる通り、AIスマートコーチは、「お手本と何が違うか」を、動画を見て比較する中で、自ら発見できるところが、良い点だと思っています。子どもたちにも、上から目線で指導するのではなく、子ども自身に「ここを直していこう」と気づかせることで、自然に自主性が芽生えていく仕組みになっていることに可能性を感じています。
AIスマートコーチをご利用いただいた茨城県の中学校のバスケ部では、校長先生から「本当にありがとう」と感謝の言葉をいただきました。

大橋

素晴らしい成果ですね。子供たちにとっても素晴らしい経験だったのではないでしょうか。

星川

はい、他に校長先生からお聞きしたエピソードとして、内向的だった子どもたちが、自主練をするようになり、自分たち主導でバスケに取り組むようになったと。しかも、そのバスケ部は試合ではずっと勝てていなかったそうですが、AIスマートコーチを使ってから、4年ぶりに勝利をおさめたそうです!

大橋

漫画のようなお話ですね!伊藤さんは、今後、スポーツでAIを活用するなら、こんなことができるようになったらいいな、といったアイデアはありますか?

伊藤

バスケでいうと、試合中にシュートが入ったときのフォームは、入らなかったときのフォームと何が違うのか、フォームと得点の相関関係をAI分析できたらいいですね。この選手はこのフォームのときは点が入りやすい、ということが分かると、非常に役立つと思います。やっぱり選手やコーチも感覚的にやっている部分があるので。選手自身も、こういうアプリで自分の状態を確認できれば、自信につながるのかなと思いました。

大橋

それはとても実践的ですね。最後に、このAIスマートコーチやスマートコーチがどんどん広がっていった先に、どんな未来が待っていると思われますか?

伊藤

次世代のスポーツ教育における学びの質が確実に上がるのではないでしょうか。昔は、情報が少ない中で、スポーツが上手になりたいと思ったら、ひたすら量をこなして努力しなければいけないというイメージがありましたが、そうでない未来があると思います。

また、国や地域に関係なく多様なコーチングが受けられる未来にも期待しています。NBA選手やヨーロッパの選手からリモートで指導を受けたり、質問ができたりするといいですね。

星川

テクノロジーの力で、スポーツに新たな視点が入るのではないでしょうか。たとえスポーツが苦手な子でも、分析する楽しさや、データをもとに仲間とコミュニケーションする楽しさなどを感じられるかもしれません。そうすれば、スポーツを楽しむ人がどんどん増えていくんじゃないかと期待していますし、増やしていきたいなと思っています。

大橋

私もゴルフがもっと上手になりたいし、ダンスとかもやってみたいんですけど…テクノロジーによって、誰でも、いろんなスポーツに挑戦しやすくなるかもしれないですね!今日は、ワクワクするお話をありがとうございました!

動画はこちらからご覧ください。