長期休暇明けは、なかなかやる気が起きない、眠気やだるさなど不調を感じる…そんな経験はありませんか?とはいえ、よく聞く「やる気アップ術」を試してみたところで、なかなか効果が得られなかったり、続かなかったりする方もきっと多いはず。それは、自分の考え方のクセや、行動パターン(メンタルタイプ)に合った方法ではないからかもしれません。
そこで今回、一人ひとりに合わせた“やる気の出し方”を、メンタルトレーナーの久瑠あさ美さんが伝授。メンタルタイプのチェック方法や、それぞれのタイプの特徴を教えていただくほか、効果的にやる気につながるアクションを教えていただきます。
目次
<話を聞いた人>
久瑠あさ美(くる・あさみ)さん
メンタルトレーナー・作家・ブランドプロデューサー。「ff Mental Room」(フォルテッシモ メンタルルーム)代表。心理カウンセラーとして勤務後、プロスポーツ選手のメンタルトレーナーとして活躍する他、各界アーティスト、企業経営者、ビジネスパーソンから絶大な信頼を寄せられている。
「心を創るマインド塾」を主宰する傍ら、社会において【人・モノ・コト】の潜在的な価値を引き出すマインド空間を、総合的にプロデュースする『マインドデザインプログラム』を研究開発。時代に即したメンタルトレーニングにより実績が認められ、雑誌、TV、ラジオなどメディアにも多数出演。 著書に『一流の勝負力』『人生が劇的に変わるマインドの法則 復刻版』などがある。
フォルテッシモ・メンタルルーム ffmental.net
Twitter:@kuruasami
Facebook : Asami Kuru久瑠あさ美
Instagram : kuruasami.official
そもそもやる気は「出す」ものじゃない?
休み明けは、だるさや眠気を感じ、気持ちがなかなかオンモードになりませんよね。モンデリーズ・ジャパン株式会社が2021年に実施した、連休や休暇後の仕事復帰に関する調査でも、62.6%の人が「いつも以上に疲れを感じる」、56.9%の人が「やる気、集中力があまりない状態」と回答しています。
「休み明けにやる気が出ないのは、脳や心が十分に休めていないからかもしれません。自己発信(=want)で“休もう”と思って休むのではなく、会社の制度やカレンダー上の都合など、他者要請(=have to)で急にオフモードにさせられる。それによって、うまく切り替えができなくなってしまい、休み明けの仕事復帰がつらい。それはつまり、休みになったから勤務していないだけで、心が休まっていないという状態です。」
「やる気」とは自然に湧き出てくるもの
とはいえ、多くの人が社会のルールや会社の制度の中で生活しているのが現実。休み明けに、なるべく早くやる気を出すには、どのようなアクションをすればいいのでしょうか?
「そもそも、やる気は出そうと思って出せるものではありません。やる気があるのにはかどらないというのは、実のところ、“やるつもりがない”あるいは“頑張るベクトルを間違えている”んです。
たとえば、何年もダイエット中と言いながらやせられない人の行動を客観的に見てみると、気が向いたときだけ運動したり、つい甘いものを食べてしまっていたり。それはダイエットはしているけれど、“やせるつもりのない行動”を無意識に選択しているということ。また、ダイエット本をたくさん読んで知識ばかり詰め込んでいる人も同じです。やせるための方法をいくら学んだところで、“やせるための行動”をしているとは言えません。」
「やる気のある状態」にするには「潜在意識」へのアプローチを
久瑠さんいわく、そうした誤った考えグセがついてしまった人が、やる気のある状態へ変化するためには「潜在意識」へのアプロ―チが必要で、その方法は無限にあるということ。
「人の意識には顕在意識と潜在意識の2つの領域があります。私たちが普段使っているのは、全体の10%にも満たない顕在意識のみ。ダイエットがうまくいかないなど、いつも同じことを繰り返してしまうのは、顕在意識だけでどうにかしようとしているから。残り90%以上の意識に働きかけることで、はじめて自分の意識に変革を起こすことができるんです」
そこでまずつかみたいのが、自分の考えグセや行動パターンを表す「メンタルタイプ」。潜在的な意識と行動のパターンに気がつくことで、「やる気のない状態」へと陥ってしまう悪循環を断ち切ることができるはずです。
質問に答えて、自分の「メンタルタイプ」をチェック!
ここでは、久瑠さん考案の「生き様診断テスト」で、メンタルタイプを4つに分類。
まずは、チェックシートにYES・NOで答えてみましょう!
あまり深く考えず、ピンときたほうに◯をつけてください。
点数の出し方・計算方法
質問1〜8の診断①、質問9〜16の診断②、それぞれYES・NOの点数の合計を出します。
診断結果の出し方
診断①の結果を横軸に、診断②の結果を以下のグラフの縦軸に記入します。
それぞれの点数を起点に垂直に伸ばして交差した場所が、潜在的なあなたの状態を表すメンタルタイプです!
さて、あなたのメンタルタイプはA〜Dのどれにあてはまりましたか?
自分の「メンタルタイプ」の特徴って?
自分のメンタルタイプがわかったところで、A〜Dそれぞれのタイプの特徴を詳しく見ていきましょう。とくに注目したいのが、それぞれの現実の捉え方。現実レベルに対して自己評価が高いのか低いのかを表す「マインドポジション」は、引き上げるほど「自ずとやる気の湧いてくる状態」をキープできるようになります。
Aタイプ(王様タイプ)
自己肯定感が高く、目標を実現するための行動力があり、エネルギッシュで情熱的な人。その反面、自らを過大評価する傾向もあります。
テストで80点取ったときは、「80点も取れた!」とポジティブに捉える一方、20点取れていないという現実から目を背けがちです。
Bタイプ(ストイックタイプ)
自分の美学やこだわりを明確に持っていて、それを追い求めることに情熱を注ぐ人。常に高い理想を求め、自分の限界を超えることに喜びを感じます。自分にも他者にも厳しすぎるあまり、周囲から孤立してしまうこともあります。
テストで80点を取ったときは、「80点取った」と現実を直視し、なぜ20点逃してしまったか冷静に分析。最も現実的なタイプです。
Cタイプ(受け身タイプ)
気配り上手で、自分より他者を尊重する謙虚で従順な面を持った人。ただし、自己評価は常に等身大より低めです。「指示待ち」になりやすく、積極性に欠ける面もあります。
テストで80点を取ったときは、「80点しか取れていない、あと20点どうしよう」と「できていないこと」を不安に思い、「たまたま高得点を取れただけ」と、テストそのものの価値を無意識に引き下げて現実を過小評価する傾向があります。
Dタイプ(ストレスフリータイプ)
自分にも他者にもおおらかな人。自ら行動を起こすことよりも、人と協力し合いチームプレーで何かを成し遂げたりすることに喜びを感じます。ストレスや競争を避ける傾向があり、しがらみのある関係は苦手です。
できることを前提としたことは大らかに受け止めることができますが、想定の範囲を超えるようなことは目指すことをしないのも特徴。そもそも「できないことはやらない」と、目標設定はおのずと低め設定になります。テストで80点を取ったときは、それが自分の想定内・許容範囲であれば「80点でもOK」と気楽に受け止めるため、現状維持になりがちです。
診断結果が境界線だった人は…?
診断結果がグラフの縦軸や横軸のライン上にのった人は、4つ、もしくは2つのタイプの要素を持っています。決して優柔不断というわけではなく、ニュートラルに対応したいというマインドポジションを取る人と言えるでしょう。自分が備えるすべてのタイプを参考にしてみてください。
タイプによるマインドポジションの違い
メンタルタイプ別 あなたにぴったりのやる気アップ術
無理することなく、「自然にやる気が湧き出る状態」をつくるには、それぞれのタイプに合ったマインドポジションの引き上げ方を知る必要があります。
ここでは、今日からできる具体的な方法をご紹介。休み明け、仕事を前にだるくなっているあなた、そんな自分を断ち切るチャンスですよ!
Aタイプの人(王様タイプ)
「成功リスト」を描いてみる
Aタイプの人は、マインドポジションを、現実よりも高め(理想とする状態)でキープするほどに本領発揮することができます。たとえば、仕事や試験などが成功し、“うまくいっている自分” を思い描くことで、気持ちが高揚し、モチベーションが上がります。
まずは、目の前の仕事やプロジェクト、勉強などが成功したときに何を得られるか、思いつく限りリストに書き出してみましょう。そうすることで「勝ち」のストーリーが見えてくるはずです。
Bタイプの人(ストイックタイプ)
スケジュールを整理する・目指すゴールを明確にする
自分のやるべきことが明確に見えていると火がつきやすいのがBタイプ。一度やると決めたら、「面倒くさい」「つまらない」といった感情を入れずに、一直線に目標に向かっていけるタイプでもあります。休み明けにスケジュールを見直し、「理想」と「現実」の間にあるものをイメージしながら整理していくことで、目指すゴールが明らかになり、それに向かって淡々とタスクをこなせるようになるでしょう。
Cタイプの人(受け身タイプ)
周りの人を喜ばせるための準備を
Cタイプは、常に低めなマインドポジションをまずは現実レベルへと引き上げて。そうすることで、簡単に挫折しにくくなります。
人の役に立ったり喜ばれたりすることが何より好きな献身的な人なので、「ありがとう」「助かったよ」と他者から思われることが何よりのモチベーションに。たとえば、休み中に勉強をして知識を増やしておくことや、旅先で買ったお土産を配るなど、周りの人に喜んでもらえるような人間関係を築けるよう、コミュニケーションをとることがおすすめです。
Dタイプの人(ストレスフリータイプ)
みんなで集まる会を主催
Dタイプの人は、もともと現状維持になりがちですが、現状を打破する気持ちさえあればモチベーションは高めにキープできる人です。現状を楽しみながらも、ときには高みを目指し、同じ目標を共有できるチームを組んだり、和気あいあいとした雰囲気を感じあえたりすることが、やる気につながります。休み明けに、同僚や仲間と集まるイベントや飲み会などを企画しておくなどして、その和やかな場面をイメージして楽しむことができれば、スムーズに目の前の仕事へと取りかかれますよ。
やる気のカギはマインドの変革にあり!
「やる気のある状態」を手にいれるには、自分の考えグセや行動パターンに気づき、これまで意識してこなかった潜在意識へとアプローチしていくことが重要です。どれほどの知識を得たところで、肝心なあなたという“自分”を知ったことにはなりません。まずは、無自覚な自分という存在(=本当の自分)を知ることから。そのために必要なのは、意識できていない自分(=潜在意識)へのアプローチです。
このメンタルタイプ診断を通して、さまざまな自分の心のクセに気づき、無意識でやってしまっていた、またはやめられずにいた“何か”に気づくことができます。そうすると、なぜ今までやる気が湧かずに苦労していたのか、やる気はあってもすぐに諦めてしまっていたのかが、見えてくるはずです!
さて、せっかくやる気の湧く状態になれたのに、それが継続しなくては意味がありませんよね。後編では「やる気を持続する方法」にスポットを当てていきます!
やる気が続かないのはなぜ? 三日坊主にならない目標設定の仕方や「続けるコツ」を専門家に聞いた
引き続き、やる気が続かない理由や、やる気を継続するコツを久瑠あさ美さんに教えていただきました。
(掲載日:2022年1月4日)
文:佐藤由衣
イラスト : たつみ なつこ
編集:エクスライト