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スマホアプリ、整理整頓できてますか? 脳内科医がすすめる脳タイプ別ホーム画面片付け術

突然ですが、今、自分のスマートフォンにアプリがいくつ入っているか答えられますか? 入っているアプリを把握できていない、一度整理したはずなのに気づくと元に戻っているなど、ホーム画面がいまいち使いづらくて悩んでいる人もいるのでは……。実は、「片づけ」と脳には密接な関係があるそうです。

今回は、個人の脳のクセを解き明かす「脳番地」を提唱する医学博士で、脳科学者の加藤俊徳先生に、脳のタイプ別・スマホアプリの片づけ方を教えていただきます。

加藤 俊徳

脳内科医 加藤 俊徳(かとう・としのり)先生

加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。現在、世界700カ所で使われている脳活動計測「fNIRS(エフニルス)法」やMRI脳画像法などをはじめとする発見で脳研究に寄与。2006年に株式会社脳の学校を設立し、独自の「脳番地トレーニングメソッド」を広める活動をする。

株式会社脳の学校 https://www.nonogakko.com/
Twitter:@NOBANCHI_Brain

加藤先生の著書『部屋も頭もスッキリする! 片づけ脳』

「部屋を片づけられないのは、脳のせい!」——自分の脳の弱い部分を知り、トレーニングで鍛えることで、片づけられる脳へと導く一冊。

この記事では、本書で紹介されている、片づけられない脳のクセとタイプ別おすすめの片づけ方を、スマートフォンの整理術に応用して解説していただきます!

書籍紹介ページ(自由国民社)
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目次

たくさんのアプリが並ぶホーム画面。整理できないのは脳のせいだった?

加藤先生の著書『片づけ脳』には、「片づけられない脳にはクセがある」と書かれています。スマホアプリが整理されていないことも、「脳のクセ」によるものと考えられますか?

「脳には1,000億個以上の神経細胞があり、それらが特に集まっている場所ごとに『考える』『記憶する』『決定する』など、さまざまな役割が与えられています。このような脳の働きには、人によって強い部分と弱い部分があるんですね。私は、脳の働きの弱い部分を『脳のクセ』と呼んでいますが、スマホアプリが散らかってしまうのも、これによるものと考えられます」

片づけが苦手な人は、どのような脳のクセがあるのでしょうか?

「片づけが苦手な人の脳を調べると、視覚系(目で見た情報を脳に伝える)と運動系(体を動かす)が弱い人が非常に多いですね。この2つが弱いと、散らかっている状態が視覚情報としてインプットされず、片づけようという行動にもつながりにくいんです」

スマホの中が整理されていないことで、脳への負担も変わりますか?

「変わりますね。例えば、時間がないときに電車の時刻を検索しようとして、乗り換えアプリがすぐに見つからないとイライラしませんか? 不要なアプリをたくさん入れていたり、どこに何があるか分からない配置になったりしていると、『探す』という余計なステップが増えてしまい、脳に負担をかけてしまいます。

そうならないためにも、なぜ片づけがうまくいかないのか把握しておきたいところ。自分にどんな脳のクセがあるのか見極めることが、スマホのごみ屋敷から抜け出すための第一歩です」

まずは自分の「脳のクセ」をチェック!

ここからは、加藤先生考案のチェックリストを用いて自分の「脳のクセ」をみてみましょう!

【診断結果】

さて、AからHの中で、どこに多くチェックがつきましたか? チェックが多くついた項目に応じて、あなたの脳の弱い部分が分かります。

  • 視覚系が弱い:散らかっている光景が目に入らない

  • 理解系が弱い:散らかっている状態だと認識できない

  • 運動系が弱い:片づけに手が出ない、動きが遅い

  • 思考系が弱い:片づけを実行に移せない

  • 記憶系が弱い:散らかる前の状態を覚えていない

  • 感情系が弱い:片づけるかどうかを自分で決められない

  • 聴覚系が弱い:聞くだけでは何をしていいか分からない

  • 伝達系が弱い:物事を人にうまく伝えられない

脳の弱い部分から見えてくる「片づけられない理由」を、次のページで詳しく解説します!

片づけられない理由は、大きく3パターンに分けられる

加藤先生によると、片づけられない理由は大きく3パターンに分けられるそう。前ページの結果を元に、自分がどのパターンに当てはまるか確認してみましょう。パターン別に、スマホアプリを楽に片づけるコツもご紹介します!

運動系、思考系、伝達系が弱い人…脳が元気な「朝」に片づけを実践しよう!

運動系、思考系、伝達系などアウトプットの脳が弱い人は、片づけのスイッチをなかなか入れられません。「時間があるときにやろう」「じっくり時間をとってやろう」と思っても、すぐに行動に移せないのです。特に、夕方以降は体と脳が休む準備に入るため、片づけに使うエネルギーも湧いてこないでしょう。

「スイッチが入りにくい人は、脳が活性化しやすい午前中に片づけをするのがおすすめです。朝の通勤時間を活用する、カフェでモーニングを食べながら整理するなど、スマートフォンの片づけをする『時間帯』に工夫をしてみましょう」

視覚系、理解系、聴覚系が弱い人…ゴールを決めて、「計画」を立てるべし

これらの脳が弱い人は、途中までやったのに片づけを終えられないことが多いのでは。物事の優劣をつけるのが苦手で、目的がないことに興味を覚えにくいため「アプリを片づけることで何を得られるか」といった理由づけが大事です。ひとたびゴールが見えれば、片づけが瞬時に終わる可能性もあります。

「片づけを終えられない人は、一気に終わらせようとせず、小分けにして進めましょう。まずは、どのように整理するか紙に書き出して『計画』を立てると、より継続しやすいですね。スタート位置とゴール位置を明確にすることが肝心です」

記憶系、感情系が弱い人…片づけをルーティンに組み込もう

記憶系と感情系が弱い人は、事象や感情を覚えていることが苦手で、片づけてもすぐ元に戻ってしまいがち。それは、「画面がすっきりしていて気持ちがいい」など、やりきったときの達成感もすぐに忘れてしまうから。いつの間にかアプリが増えていて、以前より効率が悪くなっていることも少なくありません。

「一度片づけても元に戻ってしまいがちな人は、週に1回、月に1回など『片づけの日』を設けてルーティン化するといいでしょう。カレンダーやリマインダーなどのアプリを上手に使いたいですね。休みの日の午前中にカフェでやるなど、行動に紐づけてもいいと思います」

脳科学で導く、効率がアップするアプリ整理術!

スマホの中を整理する時は、整理された状態の「テンプレート」があると進めやすくなるそう。最後に、スマホアプリをより効率的に片づけるテクニックを加藤先生に教えていただきました!

スマホの中をすっきり整頓し、目的のアプリにアクセスしやすくするにはどうすればいいでしょうか?

「脳のクセを考慮して、アプリの配置を決めるといいですね。

運動系、思考系、伝達系が弱い人

片づけようというスイッチが入らない人は、アプリをアルファベット順に並べてみましょう。深く考えなくても実行できるので、片づけをするハードルが下がりますし、新しいアプリが増えた時も置く場所をすぐ判断できます。

視覚系、理解系、聴覚系が弱い人

途中までやって片づけを終えられない人は、よく使うアプリをホーム画面の1ページ目に、フォルダ分けして配置してみてください。あらかじめ『仕事』『ゲーム』『ヘルスケア』など、フォルダのカテゴリを決めておくと、よりスムーズに作業できるでしょう

記憶系、感情系が弱い人

片づけても元に戻ってしまう人は、作業をしている傍からアプリが増えていってしまっているかもしれませんね。普段使わないけど消せないアプリは、カテゴリ問わずまとめて1つのフォルダに入れておき、『もう必要ない』と判断した時にフォルダごと消しましょう」

「フォルダで分けて整理するのがいい!」ってホント?

アプリをフォルダ分けして整理するのは、一般的に“良い”方法だと言われている印象です。脳のクセによって、フォルダ分けが適しているタイプ、適さないタイプはあるのでしょうか?

「これは、脳のクセというよりも、『聴く力と見る力のどちらが強いか』といった違いによると思います。例えば『視覚系、理解系、聴覚系』といった文字列を見て、頭の中ですぐ『しかくけい、りかいけい、ちょうかくけい』と音で読める人は、聴く力が強く、言葉によるラベリングが上手。フォルダ分け機能を使った片づけ方に適していると言えます。

反対に、見る力が強い人は、物事を視覚で認識する傾向があります。言葉を読むというよりも、形で覚えているタイプですね。このような人は、アプリをフォルダ分けではなく、ページ単位で分けて配置するほうが、目的のアプリをスムーズに探せると思いますよ。毎日使うアプリはウィジェットにして、目に入りやすい場所に置いておくのもおすすめです」

「片づけられない」とひと口に言っても、その理由は人によってさまざまなんですね。

「そうですね。今回ご紹介したように、片づけられない理由は大きく3パターンに分けられます。皆さんどれかに当てはまると思いますが、『時間がない』『疲れてやる気が出ない』など、背景にはいろんな事情があるはず。現実の空間とは異なり、スマホの中が散らかっていても実害に気づきにくいため、片づけを先延ばしにしている人もいるでしょう。

しかし、例えばデスクの上をきれいにすることで、新しいアイデアを思いついたという経験はありませんか? スマホにも、同じことが言えます。仕事のアイデアに詰まったら、ホーム画面の整理に少し目を向けてみてください。いつも使っているスマホの中をすっきりさせることが、アイデアを生み出すひとつのきっかけになると思いますよ!」

加藤先生によると、脳は死ぬまで成長を続けていくそうです。片づけは、脳をかなり使う作業。習慣化すれば、それだけ脳が活性化し、日々過ごす上でさまざまなメリットも得られるかもしれません。まずは、自分のスマホがなぜ散らかっているのか「脳のクセ」を把握して、脱・スマホのごみ屋敷を目指してみてはいかがでしょうか?

(掲載日:2022年8月2日)
文:佐藤由衣
編集:エクスライト

アプリ整理のついでに部屋やパソコンもすっきり片づけよう

自分の片づけ脳タイプが分かったところで、部屋やパソコンのデスクトップの片づけにも挑戦してみませんか?片づけのコツを参考に挑戦してみてくださいね。