「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsに取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、担当社員が自らの言葉で紹介します。15回目は、体育の授業や部活動などを支援するアプリ「AIスマートコーチ」での取り組みです。
今回、話を聞いた人
ソフトバンク株式会社 コンシューマ事業統括 サービス企画本部 コンテンツ推進統括部 企画管理部 コーチング事業推進課
鎌田 美希(かまだ・みき)
比較機能を活用したスポーツの自己学習アプリを開発
学校スポーツの環境は、専門的に指導ができる先生が少なく、経験のない種目の部活動顧問を担当していたり、過疎地域や離島では試合ができるほどの部員数がいないといった課題があります。ソフトバンクは、2016年から「B.LEAGUE」、2020年から「D.LEAGUE」のトップスポンサーとしてプロスポーツの支援に取り組んでいますが、アマチュアスポーツや、これからスポーツを学んでいく子どもたちへの支援の必要性を感じていました。そこで、筑波大学と共同で開発したのが「AIスマートコーチ」です。
マネして学ぶ! トレーニングアプリ「AIスマートコーチ」
「動画で学ぶ、比較する、振り返る」を通してスポーツのスキル向上をサポートするアプリ。お手本動画や自分の動きをプロと比較できる分析機能など、基礎からスポーツを学ぶことができます。
「AIスマートコーチ」は、お手本動画、比較、マッチ度、振り返るという機能を使って、スポーツの自己学習ができるアプリです。筑波大学の学生やプロ選手の「お手本動画」や、個別に撮影した先輩や上手な選手の動画などと自分のフォームを上下に並べたり重ねたりしながら、骨格推定AI技術を用いて比較できることを特長としています。野球、バスケットボール、ダンス、サッカー、ゴルフ、水泳といったメジャースポーツから提供を開始していて、今後15種目に拡大予定です。
生徒たちの主体性を生み出す。実証実験で見えてきた思わぬ成果
一般のお客さまもアプリをインストールすることで「AIスマートコーチ」を利用できますが、アプリのさらなる改善点を探るべく、さまざまな学校や団体で試験的に活用していただく実証実験に取り組んでいます。私も現場に行くことがありますが、文部科学省が推進するGIGAスクール構想の一環で、すでに学校ではタブレットを活用した授業が行われているため、子どもたちはスムーズにアプリを使いこなしていますね。
先生からは、「経験がない種目の部活動の顧問をしており、専門的な指導ができないことに悩んでいた。『AIスマートコーチ』で教え方を学ぶことができてありがたい」という話を聞きました。やはり現場で生の声を聞くと、より使いやすいアプリにしたい、多くの人に届けたいという気持ちが沸々と湧いてきます。
驚いたことは、「ここがお手本と違うね」「次はこうやって動画を撮ってみよう」などと、お手本と自分の動画を比較して、子どもたち同士でディスカッションをしている様子を見たことです。「『AIスマートコーチ』を使うことで、子どもたち同士のコミュニケーション量が増えた」という感想も先生からいただきました。
自己学習アプリとして個人で利用するアプリを想定して開発しましたが、主体性を持って複数人で学び合うという新たな使い道が分かった瞬間でした。
スポーツのプレイヤーから支える立場に。水泳選手だった自分だからこその視点をアプリに反映
私は小学3年生から大学4年生までパラ水泳の選手として活動し、3種目で日本記録を持っています。
水泳を引退した後は特にやりたいことがなく、いろいろなことに挑戦できそうという漠然とした理由でソフトバンクへ入社しました。幸いスポーツには縁があるようで、入社時から「AIスマートコーチ」に携わり、ダンスと水泳のコンテンツ制作やイベント企画などをメインで担当しています。
私自身ダンスは未経験のため、ダンスをしている人の課題が全く分からず悩む時期もありました。そこでダンススクールに通っている後輩に話を聞いたり、実際にD.LEAGUEを観に行ったりして、改善に役立てました。
「AIスマートコーチ」の種目に新しく水泳が追加されると決まったときは、自ら担当を希望しました。今までプレイヤーとして活動してきましたが、まさか仕事で水泳に携われる日が来るとは思ってもみなかったので、とてもありがたかったです。現役時代を思い出しながらプレイヤー目線での意見を出し、アプリのコンテンツや機能に反映でき、やりがいを感じています。
学校ではプールは屋外にあることが多く、冬は陸上トレーニングをする期間が長いです。泳げない冬にしっかりと筋トレをして夏に備えることでパフォーマンスが上がっていくので、水中動作だけでなく陸上トレーニングでの「AIスマートコーチ」の活用を模索していきたいですね。
場所や人など周りの環境に縛られず、誰もがスポーツを学べる環境を整えたい
現役時代、指導者の有無が地域によって異なっていることを目の当たりにし、地域格差を感じていました。「AIスマートコーチ」を使って生徒が自ら課題を見つけて改善に取り組むことができれば、指導者のスキルや周りの環境に関係なくパフォーマンスを上げることがきっとできるはずです。場所や周りの環境に縛られず、「質の高い教育をみんなに」というSDGsの目標を、「AIスマートコーチ」を使ってスポーツ分野で貢献していけるよう頑張っていきたいです。
パラスポーツは一人一人障がいが異なるため、過去の自分と今の自分を比較することが多く、「AIスマートコーチ」が活用できる場面があると考えています。自分を育ててくれたパラスポーツに「AIスマートコーチ」を普及させることができたらうれしいですね。
(掲載日:2023年1月19日)
文:ソフトバンクニュース編集部
ソフトバンクのマテリアリティ②「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」
ソフトバンクは、SDGsの達成に向けて6つのマテリアリティ(重要課題)を特定。そのうち、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」を踏まえた「ICT活用による新たなライフスタイルと生活基盤の高度化」では、学校スポーツにICTを導入することを通じて、質の高いスポーツ教育を子どもたちに提供することを目指しています。