何かと忙しい現代人。「今日は一歩も外に出なかった…」「今日のスマホ歩数計、たったの100歩…!?」なんて方も多いのでは? だけど心配はご無用! 最近のスマートウォッチに搭載されているフィットネストラッカー機能を使えば、簡単に運動習慣を身につけて健康管理に役立てることができるんです。そこで今回は、ヘルスケアコーディネーターとして活動する大木都さんに、フィットネストラッカーを使った運動習慣の作り方について伺いました。
目次
運動を習慣化できない理由とは? 続けるためのコツをご紹介
なかなか続けられない運動。習慣化するためには、どんなことから始めればいいのでしょうか。大木さんいわく「続かない原因を把握し、自分に合った始め方を見つけることが重要」なのだとか。まずは習慣化ができない理由、そんな自分をどうコントロールしていくべきか、見ていきましょう。
運動が習慣化できない理由
運動すると、「アドレナリン」などのホルモン分泌によって、爽快感や幸福感を得られるといわれています。しかし、運動不足の人がいきなり身体を動かすと、脳が「苦行だ」と感じ、やがて「コルチゾール」というストレスホルモンが発生。人はストレス状態で行ったことを無意識のうちに避けてしまうそうで、習慣化が難しくなるのだそうです。
「運動習慣がない人は、毛細血管がスムーズに流れず、酸素や栄養を届ける血液の流れが滞っていることも。しかし、個人差はありますが、2週間ほどウォーキングを続けると、歩行の振動で指先まで血液が正常に流れるように徐々に改善していきます。続けることで、身体の感覚がどんどん変わり、運動に前向きになれる可能性が高くなりますよ」
運動を続けるには何から始めれば良い?
運動習慣が全くない人は、まずは次の2つから始めることをおススメしたい、という大木さん。
運動習慣がない人でも始められる、2つのこと
- エスカレーターやエレベーターをなるべく使わずに階段を使う
- 日常歩いている歩数を基準にして、1週間の歩数を20%増やす
これら2つの工夫を取り入れるだけで、徐々に体が運動に慣れていくのだそう。2週間~1カ月続けられたら、さらに歩数を増やしたり新しくトレーニングを始めたり、次のステップに移行していくのがおススメ。最初から高い目標を掲げず、自分が確実に達成できる目標から少しずつステップアップしていくのが継続のコツです。
「ここでいう目標とは、『今よりすっきりした姿で同窓会に行きたい』などの簡単かつポジティブな理由であればなんでも構いません。この目標設定ひとつで、運動継続の可能性が高まります。また、期日を決めることも目標達成のカギ。まさに『同窓会』など、なんらかのイベントを期日にするとゴールが明確になるので、それに向けて努力しやすくなるでしょう」
フィットネストラッカーが運動の習慣化におススメなワケ
「運動を習慣化するには、日々の運動量を把握して続けるきっかけを作ることが大切」と語る大木さん。フィットネストラッカーが運動の習慣化に適している理由を教えていただきました。
日常生活の中で運動を意識できる
フィットネストラッカーとは、身体活動や健康状態を自動的に記録・追跡する健康管理と運動追跡に特化したウェアラブルデバイスです。スマートウォッチなどにも搭載されています。多くのデバイスでは、日中の運動量を確保するために、1時間に1回「あと○○歩くらい歩いてください」という運動リマインダーが届くようになっています。この機能が運動不足を解消するきっかけとなり、日常生活の中で自然と運動を意識する習慣が身につきやすくなるでしょう。
また、長時間座り続けることによって、肥満、高血圧、高血糖などの健康リスク上昇につながることもあります。運動リマインダーは、特にデスクワークが多い人にとって、座りっぱなしを防ぎ、健康を維持するために効果的です。

運動リマインダーが届いて、その時間帯に必要な歩数を教えてくれる
運動量を見える化してくれる
フィットネストラッカーには、歩数、歩行距離、消費カロリーなど、日々の運動量を数値として可視化してくれる機能があります。データを具体的に把握できると「あと少し歩いてみよう」といった意識が高まり、自然と歩数を増やすきっかけにもなります。

歩数や歩行距離、消費カロリーなどをデータで示してくれる
睡眠スコアを確認できる
さらに、運動だけではなく、睡眠データを確認できることも魅力のひとつ。運動が睡眠の質を向上させる、という説を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、歩数などの運動データと睡眠データをセットで見ると、たくさん歩いた日は睡眠の質が高くなっていることに気付くはずです。

睡眠時間、睡眠の質、さらに睡眠中の心拍数なども計測してくれる
ここまで、運動が習慣化できない理由や、フィットネストラッカーが運動の習慣化にどのように役立つかなどを見てきました。次のページからは、実際にフィットネストラッカーを使った運動方法について紹介します。
まずはウォーキングから。フィットネストラッカーと一緒に歩こう!
フィットネストラッカーのメリットを理解できたら、実践の方法についても知っておきたいもの。まずは、取っ掛かりやすい「ウォーキング」の実践術について、Google Pixel Watch に搭載されているフィットネストラッカー「Fitbit(フィットビット)」アプリを使って解説します。ただし、どのデバイスを使う場合でも、基本的な活用方法は変わりません。ご自身が使いやすいデバイスで試してみてください。
フィットネストラッカーを使ったウォーキング方法とは?
大木さんいわく、「歩数」「頻度」「時間」を、フィットネストラッカーを使って管理するのが第一歩なのだとか。そのために、まずはフィットネストラッカーを着けて “普通に過ごし” 、運動をしていないときのデータを集める必要があるそうです。
歩数 | フィットネストラッカーで普段の平均歩数を把握できたら、「普段の歩数+20%を目指す」のがおススメです。快活に過ごすための理想は1日1万歩なのですが、運動習慣がない人は膝や腰を故障する可能性があるので、まずは無理なく歩ける範囲から始めましょう。 |
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頻度 | できれば毎日、少なくとも週に2回はウォーキングの時間を確保しましょう。平日に歩く時間を作れない方は、週末に歩くだけでも問題ありません。オフィスワーカーの方なら、例えば、通勤路に必ず階段を使う場所を決めたり、帰宅時に自宅最寄り駅の一駅前で電車を降りて歩くことで、無理なく運動を取り入れやすくなります。 |
時間 | もし時間帯も検討できるなら、「午前中かつ30分間」を意識してみてください。午前中に日光を浴びると「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌され、体内時計を整えてくれます。さらに、ビタミンDの生成によって骨が丈夫になることも期待でき、身体と心の両面でポジティブな変化を実感できるでしょう。 |
フィットネストラッカーを着けて歩いてみよう
実際にフィットネストラッカーを装着して歩くときは、次の手順で行うのがおススメ。
- ワークアウトモードで「ウォーキング」を選択
- GPS機能でルートを追跡し、移動距離、速度、ペースを記録
- 心拍数をリアルタイムで確認しながら歩く
ほとんどのデバイスは、歩き始めると運動状態を感知し、自動で「ウォーキングモード」になるか、「記録を開始しますか?」といった通知が届くようになっています。ウォーキングモードに移行させることで、歩行による心拍とカロリー消費を正確に分析してくれます。

歩いていると、自動で「記録を開始しますか?」という通知が届く
また、多くのフィットネストラッカーには、運動中の心拍数を測定して、運動の強度を示す機能も搭載。「Fitbit」の場合、心拍数が一定のレベルに達する運動を行うと「ゾーン時間」という名前で記録されます。
「ゾーン時間はポイント制で、少し心拍数が上がるとアクティブゾーンは1、中程度以上なら2というふうに設計されています。『今日はアクティブゾーンが40もゲットできた!』といったふうに、ゲーム感覚で楽しむこともできますよ」

運動中の心拍数に応じて、ゾーン時間を計測してくれる
運動後にはデータを振り返るべき?
ここまで見てきた通り、フィットネストラッカーは運動をしている・していないにかかわらず、さまざまなデータを記録してくれます。でも、このデータをいちいち確認するのって、ちょっと面倒…。すると、大木さんが助け舟を出してくれました。
「運動初心者の方は、数字に捉われる必要なし! ウォーキングできたのなら、それだけで満点です。『今日どれくらい歩けたか』『ゾーン時間のポイントが増えた』など、目標に対する達成度を確認することから始めましょう。データを振り返る頻度は、せいぜい2週間に1回程度でいいんです。何よりも活動を継続することが大切なポイントです!」
ウォーキングに慣れてきたら「次はどんな運動にチャレンジしよう?」と意欲が湧いてくる方もいるかもしれません。最後のページでは、「自分だけの運動プランの立て方」についてチェックしていきましょう。
体を動かす習慣ができたら、他のエクササイズにも挑戦しよう!
ウォーキングなどの運動を始めるイメージがついてきたら、自分だけの運動プランを作成してみるのも手。自分の現在の体調や生活習慣を見ながら、無理なく続けられるようにすることが重要です。
自分だけの運動プランをレベル別に作成してみよう
運動プランを立てる場合、現状の運動習慣の程度によってプランニングの方向性をカスタマイズすることが大事、と大木さん。
以下の三段階を参考にして、自分に合ったプランを検討してみましょう。
第一段階 | 全く運動習慣がない人は、「1時間に1回・250歩以上」歩くことを目標にしましょう。外に出なくても、その場で足踏みするだけでもOKです。 |
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第二段階 | 第一段階がクリアできた人は、いよいよウォーキングを始めましょう。先ほどもお話しした通り、まずは「普段の歩数+20%」を毎日続けることを目指してください。 |
第三段階 | 「普段の歩数+20%」の習慣化がクリアできたら、ウォーキングに加えて、20分くらいの運動をしましょう。筋トレ、ヨガ、ストレッチ、ダンス、YouTubeのフィットネス動画を見ながらのワークアウトなどが挙げられます。 |
ウォーキングにプラス。「第三段階」の運動について
筋トレやヨガなどが、ウォーキングにプラスすべき運動なのはどうしてなのでしょうか。
「ウォーキングは、縦方向の振動と前に進む動作から成り立つ運動のため、横方向の運動が不足しがち。次は体をひねるような動作や筋力を鍛える運動を取り入れて、運動のバリエーションを増やしてみましょう。先に挙げた運動は、いずれも『ひねる』動作を含むので、ウォーキングとの相性もぴったりです」
また、YouTubeのフィットネス動画などに合わせて、ワークアウトするのもおススメだとか。
「フィットネス動画を見ながら運動するときは、GPSが作動しないので、自動でワークアウトモードがオンにならないことがあります。その場合、フィットネストラッカーのエクササイズメニューの中から、自分が行っている運動に近いものを選択してください」

ウォーキング以外にも、ヨガやランニング、エアロビクスなど、さまざまなエクササイズを記録できる
フィットネストラッカーは、目標を立てることに活用できる?
フィットネストラッカーは、目標を「設定」するというより毎日の行動を「記録」するためのもの。減量などの目標を立てるなら、食事管理アプリや運動用レコーディングアプリなどと併用するのがおススメだそう。
「減量を目的にするのであれば、まずは1カ月で200〜500グラムの減量を目指してみてください。多くの人が『1カ月で●キロ痩せる!』といった大きな目標を掲げがちですが、これは達成が非常に難しい目標です。200〜500グラムの減量であれば難易度は格段に下がりますから、モチベーションも維持しやすいですよ。大切なのは、大きな目標を掲げるのではなく、確実に達成できる目標を着実にクリアして、ステップアップしていくことです」
フィットネストラッカーは、毎日身につけてデータを振り返ることで、健康管理をサポートしてくれる大切なパートナーになります。毎日の行動が可視化されることで、自然とモチベーションがアップするはず。運動を始める場合は、最初から目標を高く持ちすぎず、確実に達成できることから始めて、少しずつステップアップしていきましょう。運動は継続がなにより大事。フィットネストラッカーを活用して運動を習慣化し、健やかな身体を手に入れましょう!
(掲載日:2025年1月7日)
文:吉玉サキ
写真:山﨑悠次
編集:エクスライト
健康管理やワークアウト機能を強化した Google Pixel Watch 3

Google が提供する Google Pixel Watch シリーズから新たに発売された Google Pixel Watch 3 。新しく45mmの本体サイズが展開されたほか、従来のモデルより健康管理やワークアウト機能が強化され、バッテリー性能も向上しました。また、Google 製品との連携も強化されており、スマートフォンとのシームレスな操作が可能です。