NTTグループ(日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、株式会社NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ株式会社)、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社、楽天モバイル株式会社は、大規模災害発生時におけるネットワークの早期復旧に向けて、通信事業者間の協力体制を構築しています。
今年1月に初めて行われた給油拠点の共同利用訓練に続き、船舶を活用した共同実動訓練がモバイル通信事業者間で3月4〜6日に実施されました。訓練の様子を紹介します。
NTTグループが保有するケーブル敷設船「きずな」を活用し、各社が船上基地局を設置
NTTグループ(日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、株式会社NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ株式会社)、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社、楽天モバイル株式会社は、令和6年能登半島地震で得た経験を生かし、大規模災害発生時におけるネットワークのさらなる早期復旧を目的とした通信事業者間の新たな協力体制を構築し、2024年12月1日に運用を開始しました。この体制のもと、1月28日には通信事業者間で初めて、移動基地局車などへの給油拠点を共同で利用する訓練を実施。2回目となる今回は、船舶を活用した共同実動訓練を3日間にわたって行いました。

長崎県長崎市で行われた訓練では、NTTグループが保有するケーブル敷設船「きずな」を活用。ケーブル敷設船は、海底への光ケーブルの敷設や埋設、修理・保守を行うために運用される船で、大規模災害発生時には、通信エリアの応急復旧として船舶から通信サービスを提供したり、支援物資の輸送手段としても活用されています。今回の訓練では、災害により陸路での通信復旧が困難な場合を想定し、船上基地局の設置における運用や工程を各社が確認しました。


基地局の設置作業では、クレーンで積み上げられたアンテナや無線機などの機器を甲板上で組み立てる作業を行いました。各社それぞれ定められた位置に、担当者が手順を確認しながら基地局を設置していきます。船舶への基地局の設置には、風や船の揺れによる影響を防ぐため、機器をしっかりと船に固定することが求められます。


設置作業後には、各社がそれぞれの船上基地局を確認し合い、担当者同士で情報交換を行う時間が設けられたほか、最後には、船長から各社に対して基地局の設置に関する講評がありました。




共同実動訓練に参加し、各通信事業者との調整を担当したソフトバンクの井藤幸二郎は、「これまで船上基地局の設置は、船舶を保有する事業者に限られていましたが、今回の訓練を通じて、他の事業者も同じ立場で運用に関わることができた」と手応えを示しました。基地局の設置を担当した加藤潤は、「今回は船が停泊した状態での訓練でしたが、今後、実際の運用において船が動きながら設置を行う場面にも対応できるよう、運用の改善を進めていきたい」とコメント。また、同じく基地局の設置を担当した入社1年目のウラタ英寿は、「船上基地局を実際に組み立てたのは、個人としてはもちろん、九州ネットワーク技術部としても今回が初めてでした。災害時の通信インフラを守り、役に立ちたいという使命感を持って入社したので、こうした形で関わることができたのは非常に貴重な経験でした」と振り返りました。
船長からの講評では、架台や柱を使い、基地局をしっかりと固定できている点が評価されました。また、ソフトバンクは、クレーンで船舶に機器を持ち運べない状況も想定し、各機器や資材をそれぞれ持ち運べるような工夫も行っています。これらの設計を担当した園田啓介は、「どんな船でも汎用(はんよう)性を持たせられるよう、架台などの設計の工夫および所属部署の仲間と搭載機器の小型化の検討しました。今回の訓練を通じて、『きずな』でも問題なく運用できることが立証できました。また、船舶での機材の持ち運びを考慮して、オリジナルの搬入バッグも作りました。これにより、階段の上り下りの際に両手が使えるなどの実用性も確認でき、とても意義のある訓練になりました」とコメントしました。

一つ一つ持ち運びができるよう設計された搬入バッグ
船舶への基地局の設置や通信機材・物資の搬出入といった工程が、各社で滞りなく運用できることを確認できた今回の訓練。今後も各社は通信事業者間の協力体制を強化し、災害時のネットワークの早期復旧に向けて取り組んでいきます。

今回の訓練に参加したソフトバンク担当者
今回の共同訓練の様子は、動画でもご覧いただけます。
- 大規模災害発生時におけるネットワークの早期復旧に向けて船舶を活用した実動訓練を実施(2025年3月7日、ソフトバンク株式会社)
(掲載日:2025年3月21日)
文:ソフトバンクニュース編集部
「つなぐ×かえる」プロジェクト
ソフトバンクは、災害時のネットワークの早期復旧に向けて、災害対策をはじめさまざまな場面で、通信事業者間の協力を行い、持続可能な社会の実現に努めていきます。