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あなたは車載派? アプリ派? カーライフアドバイザーが解説するカーナビアプリの魅力と特長

あなたは車載派? アプリ派? カーライフアドバイザーが解説するカーナビアプリの魅力と特長

車でどこかに出かける際になくてはならない「カーナビ」。車載カーナビが進化しているのと同時に、スマホのカーナビアプリも日々性能が上がっているそうです。車載カーナビで十分と思っている人にも試してほしい、カーナビアプリの特長や活用シーンについて、カーライフアドバイザーの会田肇さんに聞きました。

カーナビアプリ利用者が増加中。車載型もアプリもどんどん便利に

ドライバーの皆さん、カーナビは車載型とスマホのアプリのどちらをメインで使っていますか? ソフトバンクの社員に普段利用しているカーナビの種類について聞いてみたところ、次のような結果になりました。

カーナビアプリ利用者が増加中。車載型もアプリもどんどん便利に
  車載型 スマートフォン、タブレットのアプリ
メリット
  • 走行情報やドライブアシストと連携
  • バックカメラやETCと統合されている
  • スマホと異なり、トンネルやGPS圏外でも位置情報を表示
  • 画面が大きく視認性が高い
  • 地図が常に最新で更新不要
  • 利用料がかからない(無料アプリも多い)
  • 海外でも日本語で案内してくれる


デメリット
  • 地図の更新が有料・手間がかかる
  • 最新の道路に対応していないことがある
  • 純正ナビのルート検索が微妙
  • 価格が高い
  • トンネル・地下道でGPSが機能しない
  • 画面が小さい&運転中に通知が気になる
  • 充電しながら使うとバッテリー劣化が気になる

車載型はメーカー純正の一体感や連携、正確性といった面で信頼度が高い一方、手軽さや最新情報の入手といった利便性の面でアプリが健闘していることが伺えますね。また、車載型とアプリを併用しているという声もありました。それぞれの特徴を改めて知って、より快適なドライブにつながるヒントを探ってみましょう!

最近のカーナビ事情について、自動車ライターとしてカーナビ黎明(れいめい)期の1980年代から最新動向を追い続けている会田さんに教えてもらいました。

会田 肇(あいだ・はじめ)さん

会田 肇(あいだ・はじめ)さん

カーライフアドバイザー。1956年、茨城県生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリージャーナリストに。カーナビやドライブレコーダーなどを取材・執筆する一方で、先進運転支援システム(ADAS)などITS関連にも積極的に取材活動を展開。モーターショーやITS世界会議などイベント取材では海外にまで足を伸ばす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

通信、スマホ連携、大画面化。位置情報が正確で誰でも使いやすい車載カーナビ

会田さん 「現在も多くのドライバーが利用する車載カーナビの強みは、なんといっても自車位置の測定精度の高さ。車載カーナビは、GPS衛星からの電波を受信するとともに、ジャイロセンサーでクルマの動きを検知し、車両側からの車速パルスを得て移動量を計算しています。ナビゲーションという観点から、なくてはならない基本的な要素ですね」

その他にも、車載カーナビの最近の特徴として、以下のようなことが挙げられます。

通信機能搭載でスマホと連携できる

インターネットへの接続機能を持つ「コネクテッドカー」が続々と登場。「Apple CarPlay」や「Android Auto」に対応しているクルマなら、カーナビアプリはもちろんオーディオアプリやメッセージアプリなどもスマホと連携して使うことができます。

大画面化で見やすくなった

新車では、11インチ以上の大型カーナビが主流に。タブレットほどの大きな画面なので、2画面の同時表示も見やすくなったほか、地図だけでなく動画などのエンタメも楽しみやすくなりました。

“いつでも最新情報を、普段使いの端末で” が魅力のカーナビアプリ

“いつでも最新情報を、普段使いの端末で” が魅力のカーナビアプリ

一方、ガラケー時代に誕生したカーナビアプリも徐々に進化を遂げています。カーナビアプリの利点は、常に最新の地図や情報を利用できること。車載カーナビでも地図の自動更新機能を持つものがありますが、基本的にはローカルにデータを保存しているため、反映までにはどうしても時間がかかります。

ただし、カーナビアプリはGPS情報のみで測定しているため、自社位置の精度が正確でない場合も。電波が建物などにぶつかり反射してしまい、それが元で誤差が生まれるためです。また、トンネルや地下駐車場に入ると場所を測定できず、自車位置を見失ってしまいます。最近のアプリではトンネル内の動きを補正する機能がついているものもありますが、直前までのスピードや時刻から計算した推測情報のため、トンネル内の交通状況により大きな誤差が生じる可能性には注意しておきたいところです。

会田さん 「『初心者はスマホのカーナビアプリで十分』と言われることもありますが、自車位置がズレた場合、自分の頭の中で補正する必要があります。運転に慣れていない人にはむしろ車載カーナビの方がおススメです」

では、カーナビアプリはどんなシーンで活用できるのでしょうか?

会田さん 「アンケートのコメントでもあったように、最新情報や最適なルート情報などを補完するのにいいですね。また最近ではカーシェアも増えていますし、旅先などではレンタカーを使うこともあると思います。車種によってまちまちの車載カーナビを使うより、普段から使っているスマホのカーナビアプリなら、初めて乗るクルマでも安心して使うことができます」

車載カーナビにはない、カーナビアプリの魅力機能

スマホのカーナビアプリには、無料のものと有料のものがあります。それぞれどのようなアプリがあるのでしょうか。無料アプリの代表例は、やはり「Yahoo! カーナビ」と「Google マップ」。まずは「Google マップ」を例に特徴を教えてもらいました。

国内のドライブにおススメ
「Yahoo! カーナビ」の
紹介はこちら

Google マップは検索能力がダントツ

無料アプリの中でも多くのドライバーにとってなじみ深い「Google マップ」。カーナビ専用アプリではありませんが、徒歩や公共交通とともに、車での経路も表示してくれます。

魅力はなんといっても検索能力の高さです。曖昧なキーワードやマイナーな場所でも、候補地を見つけて、ルートを表示してくれます。音声入力もスムーズです。

会田さん 「思い付いたところで行けないところはないと思うぐらい、マイナーな場所でも探し出せるんです。例えば、沖縄の旧多良間空港など今は使われていない施設や場所も検索して目的地にできます。また、『◯◯(地名) ラーメン』など複数のキーワードから検索できて、口コミ評価も確認できるのも便利ですよね」

目的地を入力し、「ナビ開始」をタップすれば車での経路を示してくれる
目的地を入力し、「ナビ開始」をタップすれば車での経路を示してくれる

目的地を入力し、「ナビ開始」をタップすれば車での経路を示してくれる

その検索能力の高さから、コインパーキングを探すのにも適しています。ユーザーの口コミ情報やストリートビューで周囲の状況や料金が確認できるのも、ドライバーにとってはうれしいポイント。ただし、口コミ情報は必ずしも正しい情報とは限らないので、参考にするときは注意しましょう。

会田さん 「検索力では圧倒的なアプリであるものの、Google マップはショートカットしたルートや右左折が多いルートを案内することが多い印象です。道幅が考慮されていなかったり、分岐点となる交差点情報が分かりにくかったりという点も。Google 自体が海外企業で、海外の交通事情をベースに作られているため、地図に対する文化が違うことを考慮しておきましょう」

有料アプリなら車載カーナビ顔負けの案内表示も

有料ではカーナビアプリ老舗の「カーナビタイム」や車載カーナビを製造するパイオニアの「COCCHi(コッチ)」などが人気。COCCHiは、交差点や高速道路の出口などを、車載カーナビと同じように立体的に描画してくれるのが分かりやすいと評判です。ただし、高性能であるがゆえにデータ通信量を多めに消費することがあるので、気を付けましょう。

車内で安全&快適にスマホのカーナビアプリを使うには

“いつでも最新情報を、普段使いの端末で” が魅力のカーナビアプリ

スマホのカーナビアプリを使うときに悩ましいのが、設置場所です。設置場所を考えるときは、次の2つに気を付けましょう。

①視界を遮らない

視界を遮らない

スマホホルダーをフロントガラスなどの不適切な位置につけていると、道路交通法の「安全運転義務違反」にあたる可能性が高いです。視界を遮らないように、取り付けは縦方向よりも、横方向がおススメです。

会田さん 「フロントガラスに取り付けるのは、基本的にはNGです。フロントガラスに装着できる位置は法令で決まっていて、スマホを取り付けるとこの範囲からはみ出てしまいます」

②しっかりと固定する

万が一事故が起きてしまった場合、スマホが飛んできてけがをしないようにしっかりと固定することも大切です。スマホホルダーには、粘着テープ、吸盤、クリップなどさまざまな取り付けタイプがありますが、しっかり固定できる粘着テープがおススメ。吸盤は特に夏場は車内に熱がこもって空気が膨張し、はがれやすくなるため危険です。

会田さん 「取り付け位置は、ダッシュボードが良いでしょう。エアコンのルーバーに取り付ける人も多いですが、安定性がないのでおススメしません。また、スマホよりサイズの大きいタブレットも、衝突時のホルダーの安全性に不安が残るので、今のところカーナビとしての使用は適していないと考えています」

また、当然ですが、運転中にスマホを凝視するのは禁止されています。通話はハンズフリーの機能をきちんと使って、画面操作がいらないよう自動着信にしておきましょう。

人気無料アプリ「Yahoo!カーナビ」の機能をご紹介

人気無料アプリ「Yahoo!カーナビ」の機能をご紹介

©Mapbox,©OpenStreetMap,©LY Corporation

ここからは、たくさんある無料のカーナビアプリの中でも多くのドライバーが愛用し、会田さんも使い勝手の良さに太鼓判を押す「Yahoo!カーナビ」にクローズアップします。

日本にローカライズし、使いやすさを追求

「Yahoo!カーナビ」は、日本発のカーナビアプリ。日本特有の道路事情を考慮して設計されており、使いやすさ・見やすさが特長です。

海外では小さな通りでも名前が付いていますが、日本では全ての通りに名前が付いているわけではありません。そうした事情も踏まえて、五差路や六差路など入り組んだ交差点や分かりづらい高速道路の分岐点では、見やすい表示や丁寧な音声などさまざまな工夫を凝らしています。それまで3D表示されていた画面が、交差点に近づくと、距離感をつかみやすい平面表示に切り替わる機能も、ユーザビリティを考慮したうれしい機能の一つです。

高速道路の分岐点はイラストで案内してくれる

高速道路の分岐点はイラストで案内してくれる
©Mapbox,©OpenStreetMap,©LY Corporation

会田さん 「Yahoo!カーナビでは、施設の入口情報などを表示してくれます。広さのある公共施設などでは、ほかのアプリだと『到着したのに入口がわからない』といったこともありますが、Yahoo!カーナビは入口までナビしてくれるので親切です」

無料でも使えるさまざまな基本性能

「Yahoo!カーナビ」は無料で使えるアプリですが、基本的な機能をしっかりと備えています。

目的地へのルート案内

「高速」「一般道」でルート候補を出してくれる。音声案内も可能。

目的地へのルート案内
  • ©Mapbox,©OpenStreetMap,©LY Corporation

交通情報を反映

「交通情報」をONにしていれば、渋滞や交通規制を考慮したルート探索が可能になるほか、地図上にも情報が表示される。

交通情報を反映
  • ©Mapbox,©OpenStreetMap,©LY Corporation

高速道路のリスト表示

高速道路に入ると、自動で表示が切り替わり、先の出口やパーキングエリアなどをリスト表示。

高速道路のリスト表示

通信量の節約

車載カーナビに近い高品質な地図表示を実現しながらも、データは比較的軽量。長距離運転時の通信費用も抑えられる。

Yahoo!カーナビならではの特徴的な機能

他にも、ドライバーに役立つ特徴的な機能を搭載しています。

車両サイズに適したルート検索

マイカー登録をすれば、車両のサイズを考慮したルートの検索が可能。例えば、ミニバンやワンボックスカーであれば細い道を避け、少し遠回りでも安全に通れる道が提示される。

車両サイズに適したルート検索

マイカー登録でお得なクーポン配信

マイカー登録をすると、ガソリンスタンドや「Yahoo!ショッピング」などで使える割引クーポンがもらえる。

  • クーポンの内容は期間によって異なります
マイカー登録でお得なクーポン配信

標識やオービスの表示

街中に配置されている一時停止などの標識やオービスを、アイコンと音声でお知らせ。

ちなみに有料版の「Yahoo!カーナビプラス」(月額250円)になると、「スピード注意情報プラス」「経由地10カ所設定」「自車アイコン」「バナー広告非表示」「雨雲レーダー」などさらに便利な機能が追加されます。

スマホのカーナビアプリは、日々進化を遂げています。過去に使ってみたときは不便に感じたところも、今なら便利にアップデートされているかもしれません。さまざまな機能を試してみて、自分に合ったカーナビをぜひ見つけてください。

(掲載日:2025年3月21日)
写真:山野一真
文:遠藤光太
編集:エクスライト