京都市左京区にある「貴船神社」。水の神様を祭る社として、古くから人々の信仰を集め、四季折々の美しい風景とともに、多くの参拝客が訪れる人気のスポットです。そんな貴船神社の周辺エリアにおいてつながる安心を提供するため、ネットワーク対策を行いました。
自然と信仰が息づく貴船神社。景観を守りながらの電波改善
叡山電車貴船口駅から約2kmの場所に位置する「貴船神社」。古来より水の神を祭る社として知られ、四季折々の自然と調和した風景が参拝者を魅了しています。
本宮・中宮・奥宮の三社からなるこの神社は、平安時代から続く「水占みくじ」や、夏に川床で涼を楽しむ「貴船の川床」など、京都らしい風情を感じられる名所としても知られています。特に紅葉や雪景色のシーズンには、その幻想的な景観を求めて国内外から多くの観光客が訪れます。

歴史がある水占みくじ


貴船神社周辺
古都の静けさと自然の豊かさが調和したこの場所は、日常を離れ、心を整える “特別な時間” を過ごせる神聖な空間として、多くの人々に愛されています。
自然と文化財が共存する貴船神社周辺のエリアに新たな通信設備を設置するに当たっての大前提は、何よりも「景観を損なわない」ことです。ソフトバンクは、電波が届きにくいとされていた貴船神社の参道周辺において、文化財や自然環境への影響を最小限に抑えながら、通信エリアの改善を実施。地域との連携を重視し “見えない工夫” で参拝客の安心と利便性を支える取り組みを進めてきました。
今回のプロジェクトについて、現地の調査・設計から導入までを手がけたソフトバンクの担当者に話を聞きました。
貴船神社周辺でのエリア対策のきっかけは何だったのでしょうか?
「貴船神社の宮司さまから『参道でスマートフォンの通信がしづらいことがあるため、参拝客の安全や利便性に配慮して、改善してほしい』と相談をいただいたことがきっかけです。京都府内の狸谷山不動院でソフトバンクがエリア対策を行ったというSNSの情報発信が、宮司さまからの相談につながりました。
貴船神社やその周辺の情報が掲載されているウェブサイトが見られなかったり、家族と連絡が取れなかったりといった声は以前からあったそうです。地域の大切な場所だからこそ、“安心して訪れてもらえる環境を整えたい” という思いに、私たちも強く共感し、エリア対策を行うことになりました」
見えない場所に見えない橋をかけるような対策
貴船神社周辺での通信環境整備に当たっては、通常の基地局設置とは一線を画す、繊細な設計と工夫が求められました。鳥居や灯籠、石畳など、古くから続く景観との調和をいかに保ちつつ、高品質な通信を実現するか──。
それは、まるで “見えない場所に見えない橋をかけるような仕事”。美しい風景の中に、そっと安心を添えるような挑戦でした。

貴船神社 奥宮
すでに設置されていた4つの基地局を中心に、電波の “死角” を徹底的に洗い出しました。観光動線や参道の地形、周辺環境を踏まえて、エリアの改善ポイントを一つ一つ丁寧に分析。ピンポイントで既存の設備更新と新機器の導入を緻密に進めました。

アンテナ交換の様子
最も苦労したのはどんな点ですか?
「設置に当たっては、景観への配慮を最優先しました。例えば建物の屋根に取り付けたアンテナは、建物と同系色に塗装し、周囲の景色に自然に溶け込むよう工夫。また、通行人の視界に入らないよう、高さのあるポールにアンテナを配置しました。さらに、周辺の空き地など、日常では見過ごされがちな場所も有効活用し、極力、設備が目につかないことを心がけました」


アンテナ交換の様子
観光シーズンを前に異例の速さで対策を完了。「景観とつながる安心」を両立したモデルケース
景観を守る以外では、どのような工夫をしましたか?
「今回の工事は、観光地ならではの条件下で実施しました。本宮南参道に咲き誇る山桜と灯籠の景色が有名なので、工事は開花シーズンの前、2〜3月にかけて急ピッチで進めることになりました。通常だと半年ほどかかる工事のため、設計・申請・部材手配・施工を短期間で同時並行で進行するなど、スピード感と現地での調整力が求められましたね」

貴船神社 奥宮
「貴船神社での取り組みは、京都におけるネットワーク対策の象徴的な事例となりました。今後、鞍馬寺やくらま温泉などの周辺エリアでも通信環境の充実を図っていく予定です。対策を進める上では、お客さまの満足度向上だけでなく、『地域との信頼関係』や『文化との共生』を大切にし、静かな環境を守りつつ、安心してつながる未来を支えていきたいと考えています」
ソフトバンクの電波対策に関する記事はこちら
(掲載日:2025年5月22日)
文:ソフトバンクニュース編集部