2025年6月26日、ソフトバンク株式会社 第39回定時株主総会を開催しました。本年も会場とオンラインのハイブリッド型で、代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一が議長を務め、報告事項、決議事項議案、成長戦略の説明および質疑応答を行い、3つの議案について決議されました。
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招集通知に記載された「第2号議案 監査役1名選任の件」は、監査役候補者の急逝により取り下げ
目次
中期経営計画目標を前倒しで達成。新たな1兆円超え目標と革新的技術群の進捗を報告

宮川は、2024年度の業績などを動画で紹介。議案説明の後、2023年度に発表した中期経営計画の目標を1年前倒しで達成するなど、事業が順調に推移していることや、今後のさらなる成長へ向けた取り組みについて説明しました。
中長期的な成長と株主還元の両方を重視
連結営業利益予想については「2025年度に9,700億円の利益回復を目指す」と掲げた中期経営計画を、AIへの積極投資を継続しながらも “1年前倒し” で達成したと報告。これを踏まえ、今年度は「1兆円を超える営業利益を達成していきたい」と述べ、過去最高益の更新にも自信を見せました。

また、株主還元については、引き続き1株当たり86円の配当を維持する方針と、2023年4月からのTSR(株主総利回り)が約56%と大きく競合他社を上回っていることを紹介し、引き続き中長期的な成長と、積極的な株主還元の双方を重視して取り組んでいくと述べました。

AI時代に次世代社会を支える中核企業として
続いて、中長期目線での成長エンジンとなる取り組みのスライドを示し、次世代社会インフラの上にソブリンクラウド・ソブリンAIがあり、サービスとしてAIエージェントを提供していく構造について、事例動画などを紹介しながら説明しました。

「AIエージェント」の実用化へ
宮川は「人のように考え、推論し、感情に寄り添って応対するAIが、いよいよ実用段階に入った」と述べ、コールセンター業務を担う「AIエージェント」のデモンストレーションを通じて、その進化を示しました。問い合わせ中に話を遮られてもAIが自然な応対を続ける様子など、対話のスムーズさが印象づけられました。このAIエージェントはすでに実用レベルに達しており、現在は最終調整段階。多数の企業から導入の関心が寄せられているとし、「これまで投資を行ってきたAIの収益化が、いよいよこのような形で始まってきた」と語りました。

企業経営を変革する「クリスタル・インテリジェンス」
OpenAIと共同開発を進めるクリスタル・インテリジェンスについては、イメージ動画を用いながら構想を示しました。クリスタル・インテリジェンスは、社内の各部門に導入されたAIエージェントが互いに連携し、自律的に意思決定を支援する高度なAI基盤であり、楽器に例えると個別に演奏していたAIをオーケストラのように統合して、企業経営全体を最適化する革新的な技術だと位置付けています。次期中期経営計画において、本格的な事業化を進める方針です。

データ主権と安全性を守るソブリンクラウド・ソブリンAIの整備を加速
国がデータ・技術・運用の主権を持つソブリンクラウド・ソブリンAIの整備にも注力していることが紹介されました。ソブリンクラウド・ソブリンAIは、国や企業が保有する重要なデータを、海外インフラに依存せず、安全に国内で管理・活用できる基盤を整えていく取り組みで、ソフトバンクはAI半導体をクラウド上で貸し出す「GPU as a Service」にも取り組んでおり、ソフトウエアの開発はすでに完了。来期の商用化に向けて準備を進め、次期中期経営計画における成長ドライバーの一つとして位置付けていると説明しました。

AIを活用した次世代ネットワーク「AI-RAN」
モバイルネットワークとAIを統合した「AI-RAN」についても言及がありました。 「AI-RAN」は、全国の基地局にAI計算基盤を配置することで、低遅延で障害に強いAIのネットワークを実現。AIの社会実装を支えるインフラ基盤としての役割が期待されており、NVIDIAと連携して開発が進められています。

「空飛ぶ基地局」のHAPS、2026年にプレ商用化へ

ソフトバンクが手がける次世代通信インフラの一つで、「空飛ぶ基地局」と呼ばれるHAPS(成層圏通信プラットフォーム)について、2026年から日本国内でプレ商用サービスを開始することを発表。災害時の通信復旧や、既存のモバイルネットワークの電波が届きにくいエリアへの通信サービスの提供を想定しています。今回、浮力を利用して飛行を維持するLTA(Lighter Than Air)型のHAPSの実用化にめどが立ち、想定よりも早い、2026年のプレ商用サービスの開始が可能に。日本上空での飛行許可も取得済みで、来月にはアメリカで最終試験を予定。ソフトバンクは、2017年からHAPSの研究開発を開始し、この分野でグローバルなリーダーとしての地位を確立しつつあります。宮川は「当社の技術力と実行力を世界に示すことができた」とコメントしました。
成長に向けた取り組みのプレゼンテーションの最後に、宮川は「今後、AIは人類の英知と同等のレベルとなり、AGI(汎用人工知能)、そしてASI(超知能)へと進化する。その劇的な変化の中で、ソフトバンクは次世代インフラを担う企業として、AIを社会実装していく使命を果たし、さらなる成長を目指していく」と述べました。
「社会に不可欠な企業を目指して」
質疑応答の部では、事前に寄せられた質問に加え会場およびオンラインで視聴する株主からの、株主還元や提案、事業の将来性、ガバナンスなど、幅広いテーマの24件の質問に答えました。その中で社長の宮川の価値観や経営哲学、信念について質問があり、次のように答えました。
「私が目標に掲げているのは、唯一無二で、なくてはならない存在意義のある会社を築くこと。ソフトバンクを、次世代社会に必要なインフラを提供する会社にしたいと考え、逆算しながらさまざまな取り組みを進めている。
私の考え方の原点は、生い立ちにある。実家は1,200年以上続く禅寺で、時代ごとに人々に寄り添い、社会に対する存在意義を示し続け、また、それが受け入れられたからこそ長く続いたのだと思う。企業もまた同様に、成長を続けるためには、社会の中で確固たる存在意義を示し続けることが不可欠だ。
26歳の時に起業し、10年間スタートアップを経営した。その後、ソフトバンクに入り、技術を中心に20年間、孫さんにも鍛えていただきながら、経営陣としてさまざまな経験を積んできた。5年前に社長を拝命し、これまでの人生の集大成として、ソフトバンクを持続的に成長させ、株主の期待に応えていきたい」

3つの議案が決議、新たに社外取締役2人が就任
質疑応答を経て、今回上程された「取締役11名選任の件」と「補欠監査役1名選任の件」「取締役に対する報酬等の決定の件」の3つの議案は、全て決議されました。
この決議で新たに就任した社外取締役が紹介され、「自身の知見を生かしながらソフトバンクの長期的な発展に貢献していきたい」(写真右:唐木 秀明氏)、「社会や人々の未来を考え、夢中で汗をかいている会社の一員として参加できることを誇りに思う。株主の価値と企業の価値を上げていくために頑張っていきたい」(写真左:仲條 亮子氏)とあいさつしました。

株主優待申請を会場でサポート

ソフトバンクでは、対象となる株主さまに対して、PayPayマネーライトを進呈する株主優待を行っています。特典の受け取りには申し込みが必要で、株主総会の会場の一角に設けられた申し込みコーナーに立ち寄る株主の姿が見られました。
第39回定時株主総会の動画や資料は、こちらでご覧いただけます。
| 動画 | 動画配信 |
|---|---|
| 決議内容・資料 | 第39回定時株主総会 |
(掲載日:2025年6月25日、更新日:2025年6月27日)
文:ソフトバンクニュース編集部





