
ソフトバンク株式会社のグループ企業であるSBペイメントサービス株式会社(以下、SBPS)は、決済代行会社として法人向けに、PayPayやクレジットカードなどさまざまな決済サービスをワンストップで導入できるサービスを提供しています。
同社で顧客企業対応を担うカスタマーサービス課は、外部評価指標である「HDI格付けベンチマーク」のクオリティ格付けにおいて、2年連続で最高ランクの三つ星を獲得。キャッシュレス決済の普及を背景に、多様化する顧客ニーズに応える取り組みについて、カスタマーサポート部門の担当者に話を聞きました。
SBペイメントサービス株式会社
カスタマーオペレーション本部 業務運用統括部 加盟店サービス部
カスタマーサービス課

課長
赤間 裕介さん

日比 椋介さん
目次
月間5,000件超の問い合わせに対応。迅速かつ丁寧な対応が信頼を支える鍵

SBPSは法人向けにキャッシュレス決済の導入から運用までを支援する決済代行事業を展開しています。事業内容は大きく2つに分けられ、1つはECサイトやアプリ、サブスクリプションサービスなどで利用されるオンライン決済サービス。もう1つは実店舗で決済端末などを使って、QRコード決済やクレジットカード決済、電子マネー決済などを行う店舗向けサービスです。
また、決済を可能にするだけでなく、セキュリティ対策、AIによる不正利用検知、売上管理など決済にまつわる業務を包括的にサポートするソリューションも提供し、決済を通じて顧客企業(以下、加盟店)の事業成長とその先のエンドユーザーの満足度向上を支援しています。
加盟店からの問い合わせに対応するサポート窓口は、30名の体制で、月平均で約1,400件の電話、約4,000件のメールでの問い合わせに対応。管理画面の使い方から決済エラーまで多岐にわたる問い合わせが、経理やシステムなどさまざまな部門の担当者から寄せられるため、幅広い知識が求められます。
キャッシュレス決済の普及によって、カスタマーオペレーション部門の位置付けに変化はありましたか?
赤間さん 「昨今、キャッシュレス決済が社会インフラ化してきているため、サービス停止は大きな影響を及ぼします。そのため、われわれのサポートは加盟店のサービスを支える存在としてより重要な役割を担っていると考えています。
特にBtoBの問い合わせは、サポート対応の品質そのものが、加盟店の運用や、その先のエンドユーザーの体験に直接影響を及ぼすため、迅速かつ丁寧な対応が重要であり、当社と加盟店の信頼を支える鍵であると強く感じています」
「お客さまに敬意を払い、大切にしようとする姿勢にあふれる点」が高く評価され、2年連続で三つ星を獲得

SBPSは、外部評価指標である「HDI格付けベンチマーク」のクオリティ格付けにおいて、企業と個人双方に対し、2年連続で最高ランクの三つ星を獲得しました。
どのような点が、HDI格付けベンチマークのクオリティ格付けで2年連続の受賞につながったと思われますか?
赤間さん 「現場のメンバー各自が、加盟店との対話に丁寧に向き合い、その積み重ねがあってこその結果だと考えています。
『加盟店が言葉にできない不安にもしっかりと寄り添う』。これは当たり前のことのように聞こえますが、多様な加盟店に対して千差万別の寄り添い方を実践するのは非常に難しいことです。そうした一つ一つの対応を徹底して積み重ねてきたことで、審査員より『お客さまに敬意を払い、大切にしようとする姿勢にあふれている』と評価され、2年連続での受賞につながったのだと思います」
三つ星評価を獲得したことで、何か効果はありましたか?
赤間さん 「HDI格付けベンチマークは、カスタマーサポート業界における国際的な評価機関が、『顧客視点』で対応品質を客観的に評価する仕組みです。さまざまな業界の企業が参加するため信頼性が高く、私たちにとっては『自己満足に陥らないための貴重な指標』となっています。受賞企業として外部から期待されることで、この品質を維持し、さらに向上させなければならない、という良い意味での責任感と緊張感が生まれました。社内のモチベーションにもつながり、外部からも当社のサービスを選ばれる理由になっていると感じています」
「加盟店ファースト」のその先へ。エンドユーザーまで見据えた顧客視点を徹底

カスタマーサポートにおいて、大切にしていることを教えてください。
日比さん 「何よりも『加盟店第一』が最優先の行動指針であり、私たちが一番大事にしている考え方です。サポート窓口のメンバーに対する教育方針にも徹底して反映しています。加盟店の要望に100%お応えすることは難しい場合もありますが、できる限りご満足いただける対応を心がけています。
直接応対するのは加盟店ですが、その先にいるエンドユーザーのことも考慮することを重視しています。加盟店が私たちの回答をもとに、エンドユーザーへの対応を進めることを念頭に置きつつ応対することが、私たちの責任であると考えています」
BtoB対応ならではの難しさはありますか?
赤間さん 「BtoBのカスタマーサポートはBtoCと異なり、一問一答では完結しないケースが多くあります。加盟店のご担当者はSBPSのサービスを事業運営のパートナーとしてご利用いただいているため、一度きりの関係ではなく、その後も継続するパートナーシップが求められています。
そのために、課題の背景や実現したい目的を丁寧に把握しなければ、真のパートナーとして認めてもらえません。常に最適な提案ができるように心がけています」

加盟店への理解の深さがより重要なのですね。理解度を深めることに役立った施策や、効果を実感している改善事例があれば教えてください。
日比さん 「問い合わせ後のアンケートを導入しています。シンプルな施策ですが加盟店からのご意見によって、私たちが課題として認識していなかった問題点に気づき、改善につなげることができました。形骸化していたフローを見直したことで対応スピードが上がり、加盟店の満足度向上だけでなく、サポートメンバーの業務効率化にもつながりました」
赤間さん 「HDIなど外部からの評価やアンケートでのフィードバックを継続的にいただくことは、これまでの私たちのやり方や考え方を改める大きな契機であり、組織としての貴重な成長機会であると考えています。当社のカスタマーオペレーション部門には、私を含めて4名のHDI監査員の有資格メンバーが在籍しております。そのメンバーの知見や経験を生かしながら、問い合わせに対応するサポート窓口のみならず、問い合わせ後の後工程を担当する部署を含め、プロセス全体で加盟店目線での仕組み化やルール化について改善活動を進めています。アンケート結果の一つ一つに正面から向き合い、何が問題だったのかを深く考える機会を得ることで、私たちのさらなる成長の可能性が広がっていくものだと認識しています」
HDI格付けベンチマークとは

ITサポートサービスにおける世界最大のメンバーシップ団体のHDIが、HDIの定める国際標準に基づいて設定された評価基準に沿って、専門の審査員が顧客視点で評価し、三つ星~星なしの4段階で格付けをするもの。「クオリティ格付け」は、顧客がサービス導入後のアフターサービスのサポートを評価するもので、顧客対応の通話記録を基に評価されます。
HDI格付けベンチマークの授賞式の様子はこちらの記事をご覧ください。
積極的なAI活用と人が対応する価値の両輪で進化し続ける

今後、取り組みたい施策について教えてください。
日比さん 「AIの導入をさらに確実に推進するとともに、加盟店向けサポートサイトの活用拡大にも注力します。決済管理画面のマニュアルやFAQなどのコンテンツを集約・充実させることで、お問い合わせ対応の最適化を目指しています。
加盟店の中には、自己解決を望まれる方もいれば、直接電話で相談したい方もいらっしゃいます。そのため、すべてを自動化するのではなく、セルフ解決ができる環境を整備し、そこで生まれたリソースを、より丁寧な対応が必要な加盟店支援に活用する方針です。今後もニーズに応じた柔軟なサポート体制を追求していきます」
赤間さん 「加盟店は、企業の規模や業務体制、サービス理解度などが多様で、抱えている課題も一様ではありません。そのため、全ての加盟店に同じ手法や同じ案内をしていては、本質的な課題解決にはつながらず、ひいては機会損失にもなり得ると考えています。
これからは、加盟店の状況や目的に応じて、接点や支援方法を多層的に設計する『接点の多層化』が重要になると考えています。AIやFAQによる自己解決支援はもちろん、導入初期など専門的な支援が必要な場面では専任担当者が対応し、より複雑な経営課題には営業部門と連携して提案型の支援を行う。こうした多角的なアプローチによって、信頼関係を深め、長期的なパートナーシップを築いていきたいと考えています」
AI活用によって多角的な寄り添い方ができそうですね。加盟店に選ばれるサポートを提供し続けるために、どのような組織を目指していきたいですか?
赤間さん 「私たちの最大の強みは、特別なスキルや仕組みがあることではなく、現場のメンバーが常に『加盟店にとってどうあるべきか』を考え、それを地道に実行し続けることです。これを運営の中心に据え、AIなどの最新技術や仕組みを多角的かつ柔軟に取り入れながら、サポート窓口の価値を最大限に発揮できる体制を整えることが私たちの責務です。社内外から常に選ばれ続けるサポート窓口を築き上げることが私たちの大きな目標であり、真摯(しんし)に丁寧に努力を積み重ねていけば、その結果として、評価は後からついてくると信じています」
貴重なお話をありがとうございました!
(掲載日:2025年8月21日)
文:ソフトバンクニュース編集部

SBペイメントサービスは、ソフトバンクグループの決済・金融事業を担う会社として、先進企業と協業し、多彩な決済サービスを提供しています。




