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「ヨー! ヨー! ぼくスマフォーン♪」。アニメ動画の制作現場を取材してきた

「ヨー! ヨー! ぼくスマフォーン♪」。アニメ動画の制作現場を取材してきた

この写真に写っている、サングラスをかけて帽子を斜めにかぶったこの不思議なキャラクター。実はこれ、ソフトバンクとベネッセがコラボして制作したアニメ動画の登場キャラクターなんです。このアニメ動画制作の舞台裏を取材してきました。

目次

ラップのリズムで軽快に学ぶ♫ スマホの正しい使い方 Yeah♫

ラップのリズムで軽快に学ぶ♫ スマホの正しい使い方 Yeah♫

主人公は、ゲームが好きな小学生の男の子ヒロト。
ある日、ゲームをしていると突然目の前に現れた「スマフォーン」からスマホを手渡されます。
スマホを欲しがっていたヒロトはうれしさいっぱい! ゲームのアイテムを買ったり、SNSに友だちとの写真を投稿したり…楽しくスマホを使っていたはずが、トラブルにつながってしまい大ピンチ! どうしてこんなことになっちゃうの〜?
そんなとき、再びスマフォーンが登場して…。

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企画からキャラクター作り、アフレコまで。アニメ制作の手順を教えてもらいました

ところで、アニメ動画ってどのような手順で制作されているか、皆さん知っていますか? キャラクターやシナリオを作って、絵を描いて、声優さんがアフレコして… うーん、何となく想像できるようでイマイチ分からない…。今回のアニメ動画を制作するにあたって指揮をとったベネッセの朝野さんに教えてもらいましょう。

お話を聞いた方

朝野豊さん

株式会社ベネッセコーポレーション 小学生高学年商品部 教科外情報課
朝野 豊さん

朝野さん、本日はよろしくお願いします! アニメ動画制作のこと、いろいろ教えてください。

はい、よろしくお願いします。アニメ制作にはたくさんの工程があって、たくさんの人が携わっているんですよ。その中でアニメ制作の過程で大きなポイントがこの3つです。

  1. ➀企画・シナリオ作り
  2. ②キャラクターデザイン・絵コンテ制作
  3. ③アニメの仕上げ・声優さんによるアフレコ

順番に説明していきますね。

①企画・シナリオ作り

朝野さん:最初はどんなアニメ動画にするか、企画や全体のストーリーを考えるところから始まります。全ての土台になる部分なので、特に重要です。
企画を考えるときは、まず「存在意義」「ビジョン」「コンセプト」「目指すゴール」といったコアを定める必要があります。これはアニメ全体の一貫性を保つためにもとても大切な作業ですね。これに沿う形で戦略や戦術を考えたり、どんな計画で実行していくか、などの作業を行なっていきます。
これに沿う形で戦略や戦術を考えたり、どんな計画で実行していくか、などの作業を行なっていきます。 ここでは、このアニメを視聴する人の心理も想像することが大切です。いまどんな心理状態なのか、課題や不安を抱えているのか、何か期待をしているのか、これによってアニメの中でのメッセージや演出といった方向性も変わってきますので、全体を意識しながら最終的にどんなアニメに仕上がるかをイメージできる状態まで組み立てていきます。
今回のアニメは、この上流部分のコアや解決すべき課題などの方向性をソフトバンクさんに示してもらえていたので、われわれは具体的にどうやって組み立てていくかに集中して考えられましたね。

企画がすべての出発点ですね! シナリオ作りではどんなことを大切にしていますか?

朝野さん:シナリオ作りで重要なのは、視聴者に自分ごと化してもらうことですね。言い換えると、視聴者自身が主人公の気持ちになってもらうということです。そして、そのシナリオが視聴者にとって必要な情報だと感じてもらうことも大切です。これを満たさないと、どんなシナリオを作っても学びとしての意味が薄くなってしまいます。
今回のアニメ制作でも、視聴者である小・中学生の等身大の目線に立って、自分ごと化してもらえることを大切にしました。加えて、アニメを見終わった後に成長を実感してもらえるよう、主人公が成長していくシナリオにしています。

なるほど。「視聴者と同じ目線」がポイントですね。

朝野さん:今回小・中学生向けに制作したアニメは5本あって、動画一つ一つの起承転結だけでなく、アニメ5本全体での起承転結を意識しています。一つ一つのテーマごとにスマホやネット活用の課題解決と成長を描きながら、5本トータルで夢の実現に向かっていく成長ストーリーも大切にしています。

と、小難しい説明をしちゃいましたが、アニメを見終わったときに「楽しかった!」「見てよかった!」と思ってもらいたいな、という気持ちが大切ですね。想像力にあふれる子どもたちの想像を超えられるか、いい意味で裏切ることができるか、といったこともシナリオ作りでは大切にしています。

②キャラクターデザイン・絵コンテ制作

朝野さん:続いてキャラクターデザインです。

こちらが初期段階のキャラクターデザイン。まだラフなので、下書きのような印象ですね。
こちらが初期段階のキャラクターデザイン。まだラフなので、下書きのような印象ですね。

こちらが初期段階のキャラクターデザイン。まだラフなので、下書きのような印象ですね。

メインキャラクターの「スマフォーン」がとても特徴的ですよね。

朝野さん:お話をいただいたときから「スマホを擬人化したキャラクターを起用したい」とは考えていました。今回のストーリーの中に、普段の生活では耳なじみのない、もしかしたら初めて聞く言葉も多く出てくるかもしれないので興味を持ってもらいやすく、そして記憶に残りやすい形で伝えるためのアイデアとして、リズム、ラップ形式を採用したんです。なので、いかにもラッパーのようなキャラクターになっていますよね。

はい。チェケラッチョな雰囲気がバリバリ出てます(笑)

朝野さん:ラップは歌詞の中で韻を踏みますが、作中のラップソングでも「悪者登場」→「個人情報」など、分かりやすい言葉と対になるようにしたり、「さぁ行こう未来へ」→「最高の思い出」など、前向きな気持ち・成長実感イメージが高まることを意識しながら選んだんですよ。

なるほど! ラップの歌詞にも注目ですね。こういうキャラクター作りをするとき、何か大切にしているポイントってありますか?

朝野さん:いまどんなものが子どもたちを夢中にしているのか?という情報を、日々寄せられる子どもたちからの声や意見、アンケートなどから把握するよう意識しています。
ただ、ランキング上位に挙がってくるものはメディア露出の大きさによって変動するものだったりするので、アンケート結果を見るときは、表面的な情報に惑わされず、正しく情報を理解することが大事ですね。

子どもたちのトレンドを正しく知るということが大切なんですね。

朝野さん:そうです。今回のキャラクター作りでも、子どもたちから得た情報をベースに、各キャラクターの趣味嗜好、将来の夢(ゲームプログラマー、サッカー選手、マンガ家)などを決めたんです。アニメ5本全体での起承転結や成長を描くと同時に、夢の実現に向かっていく姿も描いています。

着彩まで完了したキャラクターデザイン。ラフデザインからガラッと印象が変わりますね。

着彩まで完了したキャラクターデザイン。ラフデザインからガラッと印象が変わりますね。

確かに! キャラクターの資料を拝見したところ、ここまで必要?と思うくらい細かくキャラクター設定されていますよね。

朝野さん:このあとの工程で、作画や着彩、撮影、声優、編集などがありますが、アニメ制作はとても多くのスタッフが工程ごとに分業しながら、それぞれのキャラクターを動かしていきます。だからこそ、キャラクター一人一人にしっかりと人格を持たせる必要があって、それこそキャラクターが勝手に動くのを想像できるくらい、可能な限り細かくキャラクター設定を作り上げるんです。
アニメ内で出てくるエピソードだけではなく、それ以外の部分の言動もイメージできるようにすることで、声優さんがそのキャラクターに憑依(ひょうい)しやすくなったりして、セリフ一つ一つに対する演技のニュアンスも変わってくると考えています。

なるほど。その緻密さが視聴者にも自分ごと化しやすいキャラクターとして伝わるんですね。

今回のアニメでは、ストーリーの最後に「15年後」の主人公の姿を描いていますが、ストーリーの中に15年後のシーンがなかったとしても、主人公のゴール設定として15年後の将来の姿などが想像できたら、感情移入しやすくなりますよね。アニメ制作やキャラクター設定に限る話ではないと思いますが、企画を考えるときのターゲット設定も同様です。キャラクター設定は、アニメ制作に携わるスタッフ全員がブレないようにするために必要な作業なんです。

ありがとうございます。次のステップは何でしょうか?

朝野さん:キャラクターデザインができたら、次は絵コンテです。絵コンテはアニメや動画の設計図みたいなもので、どの場面にどんな絵やセリフを当てていくか、具体的な流れや内容を決めていきます。
このときに、企画やシナリオの段階で決めた全体の文脈と一つ一つのシーンが矛盾したりしないように、リンクを大切にしています。どんな過去・現在・未来の前後関係があって、このシーンにつながっているのか、そういう視点が物語を作る上では大切なことなんです。

実際の絵コンテ

実際の絵コンテ

実際の絵コンテ

実際の絵コンテ

③アニメの仕上げ・声優さんによるアフレコ

③アニメの仕上げ・声優さんによるアフレコ

朝野さん:アニメ作りが終わったら、いよいよキャラクターに命を吹き込む仕上げのステップです。

キャラクターの声… ですね?

朝野さん:はい。このスタジオでは、アフレコの収録や編集作業をしていて、セリフの言い回しやアクセント、声の高さなど本当に細かいところまでしっかり確認します。

まさに「神は細部に宿る」ですね!

スマフォーン役 山口勝平さんのラップ収録風景。さすがの貫禄です!

スマフォーン役 山口勝平さんのラップ収録風景。さすがの貫禄です!

釜澤希莉さん

主人公・ヒロト役(子ども時代)の釜澤希莉さんの収録風景。少年らしいあどけない声が役にピッタリ♫

スマフォーン役 山口勝平さん「自分自身も役を楽しんでます」

ここでなんと! スマフォーンの声を担当している山口勝平さんにお話を伺うことができました!

山口勝平さん

山口勝平さんプロフィール
1989年(平成元年)にテレビアニメ『らんま1/2』の早乙女乱馬役で初主演し声優としてのキャリアを本格的に積み始める。その後も多くの作品に出演し、東京国際アニメフェア2003にて個人の声優賞を受賞。
【主な出演作品】
らんま1/2(早乙女乱馬)、犬夜叉(犬夜叉)、名探偵コナン(工藤新一、怪盗キッド/黒羽快斗)、ONE PIECE(ウソップ/そげキング)など

山口さん、お時間をいただきありがとうございます。これまでたくさんのキャラクターを演じてこられていますが、今回のスマフォーン役はどのようなイメージで演じられたのでしょうか?

山口さん:アニメを視聴してくださる方に楽しんでもらえるように、自分自身も役を楽しむようにしています。スマフォーンはマイクとスマホが組み合わさったビジュアルで、ラップを歌うキャラクターなので、ラッパーっぽいイメージですね。セリフも韻を踏むように意識してみました。録音を聞いてみて、ラッパーの方ってすごいなって改めて思いましたね(笑)

これまでの作品で印象に残っていることは?

山口さん:自分がそれまでに経験したことがなかった役なんかは、当時の台本を見るといろんなメモが残っていたりして、多くのことを考えた痕跡があるなぁと思います。演じる中で自分ができることを取り入れていくことで役を確立していったこともありますね。今回のように歌があるものは、確かに準備は大変ではあるんですけど、僕は大変なことが楽しいので、楽しく演じさせてもらいましたよ。

最後に、このアニメを見る子どもたちへメッセージをお願いします。

僕が子どもの頃は、例えば、欲しいレコードがあったときにお店で探して見つける喜びがありましたが、今はボタン1つで何でも買えてしまうので、そういったリアルの大切さが薄れてしまう気がしています。そんな感覚をなくさないよう、上手くリアルとスマホを使い分けてほしいですね。
そして、スマホやネットは便利なんですけど、その分注意しないといけないことや、気をつけないといけないことというのも増えてきますよね。この作品でも伝えているように、遊びにも勉強にも便利に使って、楽しく過ごしてほしいなと思います。

山口さん、ありがとうございました!

このようにしてたくさんの方が携わり、細部までこだわり抜いて完成したアニメ動画、ぜひ皆さんもご覧ください。

(掲載日:2022年11月16日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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