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はたらくロボットが変える日本の物流。最先端テクノロジーがギュッと詰まった倉庫を潜入調査

世界のはたらくロボットが日本の物流を変える。最先端のテクノロジーがギュッと詰まった倉庫に潜入

オンラインショッピングが一般的になっている昨今、毎日のように自宅に荷物が届く人も多いのではないでしょうか。その反面、物流業界では人手不足などの課題を抱えています。

その課題に対応するためにソフトバンクロボティクス株式会社(以下、ソフトバンクロボティクス)はさまざまな物流ソリューションを一挙に体験できる施設「SoftBank Robotics Logistics Innovation Lab(以下、ラボ)」を千葉県市川市にオープン。世界の最先端技術が詰まった物流ソリューションの数々を見学してきました。

テニスコート約5面分の大規模ラボに、世界中から集められた最先端ソリューションが集結

こんにちは!

こんにちは!

今回ラボを案内してくれたのは、ソフトバンクロボティクスの矢野覚士さん。連日多くのお客さまにラボのソリューションを案内しているそうです。

ラボの入り口ではPepperもお出迎えしてくれました。それでは早速ドアの奥に潜入してみましょう!

テニスコート約5面分の大規模ラボに、世界中から集められた最先端ソリューションが集結

わ、広い〜!!

敷地面積は約1,000平方メートルあり、テニスコート約5面分の広さに相当します。世界中から集めた最先端技術のソリューションが、現在は約20種類あります。

ここでは実際にお客さまの商材・オペレーションに合わせたデモンストレーションを体験いただけます。AutoStoreといろいろなソリューションを組み合わせて、運用がどのように改善できるかというところを実際にお見せするようにしています。

具体的に体験できるので、導入イメージが湧きやすいですね。

それでは商品の入荷から出庫まで順を追って紹介していきますね。倉庫のコアのシステムには、「AutoStore(オートストア)」というロボットを活用した自動倉庫システムを使っています。

テニスコート約5面分の大規模ラボに、世界中から集められた最先端ソリューションが集結

通常の倉庫だと人やロボットが商品を入庫やピッキングをするための通路が必要になるんですが、AutoStoreの場合は、真上からロボットがピッキングするので通路が不要です。

さらに倉庫でデッドスペースになりがちな天井までの空間にも荷物を積み上げることができるので、高密度に商品を保管できます。

左:従来の倉庫、右:AutoStore

左:従来の倉庫、右:AutoStore

倉庫のスペースを無駄にしないんですね。世界最高レベルというのはどのくらい効率がいいんですか?

従来の物流倉庫と比べると保管効率は最大で約4倍ですね。

こちらのポートという場所では商品のバーコードを読み込むだけで、商品の入庫・ピッキングが作業ができます。人が倉庫内を移動しなくてもよくなるので、物流業界の人手不足や重労働といった課題解決に役立てたいと思っています。

今後ますます需要が高まりそうですね。ポートで作業中の方が付けているメガネのようなものは何ですか?

テニスコート約5面分の大規模ラボに、世界中から集められた最先端ソリューションが集結

こちらは日本初導入のスマートグラス「Picavi(ピカビ)」です。AutoStoreと連動させて商品のピッキングをしています。ピッキングオーダーなどをスマートグラスの画面に表示させ、人は表示された商品バーコードをグローブ型のバーコードリーダーで読み込むことでピッキングすることができます。従来のようにハンディ端末を手に持つ必要がないので、作業もスピーディーかつ正確に行うことができます。

未来感ありますね。

AutoStoreを上から一望できる「サービスエリア」へ

続いては階段を上り、AutoStoreの上部にあるサービスエリアへ。ここでもPepperが迎えてくれます。

AutoStoreの頭脳「メンテナンス・コントロールエリア」へ
AutoStoreの頭脳「メンテナンス・コントロールエリア」へ

商品を入庫・ピッキングするロボットの様子が保管庫の上からだと分かりやすいと思います。ロボット同士が連携しているので、入庫や出庫の指示を加味して常に効率の良いルートを毎秒計算しているんですよ。

ずっと見てられますね〜。側面にある赤い箱のようなものはなんですか?

あれはロボットの充電器です。充電残量に応じて自動で、自ら充電しに行くんですよ。

お利口ですね。

あれどこいった? がなくなる!? 「RFID」タグとゲートでかなえる自動検品・棚卸し

こちらは「RFID」のゲートです。これをAutoStoreと連動させると、入荷作業や棚卸しの自動化をサポートすることができます。「RFID」タグをAutoStoreに保管する商品と容器に付けておき、AutoStoreで商品を出し、ゲートをくぐり、再びAutoStoreに戻すという一連の動作を繰り返すことで夜間などでも自動的に棚卸しができます。

AutoStoreの汎用性が素晴らしいですね。

まだまだ連動させられるソリューションはありますよ。

商品の仕分けを正しく・速くサポートする2つのソリューション

せわしなく台の上を動いている次世代型ロボットソーター「t-Sort」もAutoStoreと連動しています。出荷指示を受けてAutoStoreから出庫された商品を、正確かつ高速に特定の場所に仕分ける作業をロボットがサポートします。

仕分け作業でもう1つAutoStoreと連動させているのが、「SAS(シャッターアソートシステム)」です。AutoStoreから出庫された商品の仕分け先の棚のフタが自動で開くことで仕分けミスを防止。正確な仕分けを省スペースで行えます。また、エルゴノミクス(人間工学)を活用していて、作業者の動きが最適化されるような工夫もされています。

なにも考えずにただ開いたところに置けばいいんですね。

考えることなく、直感的に作業をこなすことができるので、ミス防止と作業の効率化に貢献します。

資源の無駄を減らす。商品サイズにピッタリな箱を組み立て

資源の無駄を減らす。商品サイズにピッタリな箱を組み立て

こちらに高さの違う段ボールがありますが、物流でかかせないのが梱包(こんぽう)です。

AutoStoreのポートでピッキングしたあと、商品と緩衝材を箱に入れています。作業担当者がただひたすらピッキングをするだけで、それ以降の出荷工程が完結します。

こちらの自動梱包機では、商品の高さに合わせて段ボール箱を組み立てます。使用する出荷箱サイズが同じものを扱うお客さまには、費用対効果が生まれやすいところなので、ご提案するようにしています。

組み立てるシーンを見ているのは楽しいですね。マシンもメカニカルで音も格好良いです! 1箱約2、3秒で組み立て終わっていますね。

荷物を積んだり、降ろしたり、荷物に合わせてマルチに活躍

箱がコンベアで流れて行った先に、これまた大きなロボットがいますね。

はい。あちらは、これまで人力やフォークリフトなどで行っていた荷積み・荷降ろし作業が効率化できるXYZ Robotics「パレタイズ・デパレタイズシステム」です。XYZ Robotics社が日本で販売連携するのも初めてになるんです。

今は段ボールを荷降ろししているので、空気で箱を吸い付けるヘッドパーツを装着していますが、別の素材の場合は物をつかむようなハンドなどにも付け替えることができます。

街中でも見かける機会が増えたロボットたちは倉庫内でも活躍中

ラボ内では清掃業務や運搬業務でもロボットが活躍。清掃ロボットは2種類あり、「Scrubber50(スクラバーフィフティ)」は床を水拭き、ブラシ掛けができ、「Whiz i(ウィズ アイ)」は清掃と除菌をしています。

街中でも見かける機会が増えたロボットたちは倉庫内でも活躍中
街中でも見かける機会が増えたロボットたちは倉庫内でも活躍中

棚がいくつか備わっている、いかにも物を運べそうなロボットは「Keenbot(キーンボット)」といいます。人や障害物を柔軟によけながら、狭い場所でも大容量の荷物を搬送できます。飲食店などの通路幅が狭くて人がいることを前提とした場所で利用されることを前提とされているため、倉庫内でも小回り良く動き、商品を運ぶことができます。

街中でも見かける機会が増えたロボットたちは倉庫内でも活躍中

チームソフトバンク独自の発想で物流を最適に

見学を終えて、矢野さんに物流のDX推進事業の開始にあたって意気込みを聞きました。

チームソフトバンク独自の発想で物流を最適に

「いまや物流に携わる当事者だけでなく、オンラインショッピングを利用する側にも人手不足という課題も認知されていることと思います。

ソフトバンクロボティクスは物流の自動化ということを掲げたばかりで、業界では後発。だからこそ、単なるモノ売りではなく、価値を提供して、お客さまに効果を実感いただけるようになっていきたいと考えます。
そのために世界中から本当に良いソリューションを集め、単に倉庫内の一部のプロセスの自動化ではなく、物流センター全体を最適化する使い方をしっかり提案していきたいですね。

またソフトバンクのグループ内の他の企業と一緒に、新しい技術を倉庫内で活用することの検証や検討も始めています。ITカンパニーならではの発想や視点を強みにして、一味違う価値を付け、物流業界の課題を解決していきたいです」

SoftBank Robotics Logistics Innovation Lab

(掲載日:2022年11月22日)
文:ソフトバンクニュース編集部