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廃止されゆく路線バスに替わる人々の足に。自動運転車がつなぐ地域の未来|SoftBank SDGs Actions #20

“移動” に新しい選択肢を。路線バスに代わり人々の足となる自動運転車で|SoftBank SDGs Actions #20

「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsに取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、担当社員が自らの言葉で紹介します。20回目は、自動運転バスの普及に取り組む、ソフトバンクの子会社BOLDLYの取り組みです。

須山 温人 (すやま・あつと)

BOLDLY株式会社 CTO

須山 温人 (すやま・あつと)

技術部の部長を兼任。ヤフーでのエンジニア経験を生かし、立ち上げ当初から運行管理システム「Dispatcher」の構築を担当。

米井 康真(よねい・やすまさ)

BOLDLY株式会社 市場創生部

米井 康真(よねい・やすまさ)

2020年、BOLDLYに入社。新しい車両導入に向けて海外でリサーチを担当。

廃止されていく路線バス。断ち行く移動手段を前に、何ができるか

須山 「以前郊外の実家に帰ったとき、路線バスの本数が減便されて、朝と夜だけになっていたということがありました。東京などの都会に住んでいるとなかなか気付きにくい課題かもしれませんが、運転手不足による路線バスの廃止は刻々と進んでいます。

高齢者は車の運転免許を返納するように呼びかけられていますよね。路線バスが廃止され、車の運転もできない。そうなると、日常の外出ですら難しくなってしまいます。

われわれBOLDLYは、日本各地で深刻になりつつある交通や移動手段の課題に着目して、自動運転車の普及を通じたモビリティ(移動手段)全体のアップデートに取り組んでいます」

BOLDLY株式会社

BOLDLY株式会社

すべての人々が自由に、安価に、安全に移動できる世の中にしたいという思いの下、移動にまつわるあらゆる課題解決に貢献することを使命に掲げ、自動運転バスのシステム開発や導入支援を手掛ける。

BOLDLY公式サイト


須山

須山 「超高齢化社会になった今、交通における不便を打開する一つの切り札が自動運転だと思っています。自動運転技術が進化し世の中が劇的に変化すると感じ始めた2013年頃から、ソフトバンク社内で行われていたビジネスプランコンテストで自動運転に関する事業提案を行っていて、その過程で現在の社長に出会いました。

事業提案では当初書類審査で落ちることもありましたが、自動運転が日本社会の課題解決に必ず貢献していくという確信は変わりませんでした。2020年には茨城県境町で、当時自治体として国内初となる自動運転バスの実用化を実現。住民の方々の協力も得ながら、約3年にわたり地域の重要な交通手段として役立てられています。最近では、エストニアからMiCaという最新の自動運転車を輸入し、日本展開を進めています。

もちろん、モビリティをアップデートさせるためには、それに対応するインフラが欠かせません。『自動運転車が走る町にしたい』という思いを持つ自治体と一緒に町づくりをする気持ちで、自動運転車両の導入から運行管理システム『Dispatcher』を通じた現場での走行サポートを一連で行っています」

Dispatcherの管理画面

BOLDLYが開発・提供する自動運転車両運行管理システム「Dispatcher」

“困っている人に今すぐ届けたい” その一心で世界中を探す

米井 「『今困っている人に対して今すぐにソリューションを届けたい』という社長の思いがあり、適した車両を探し始めましたが、日本では自動運転車用の車両が販売されていないため、世界中、車両を探し回りました。2017年にフランスで⾃律⾛⾏バスを展開するNAVYA社(当時)の『ARMA』を見つけ輸入を開始しました。今では日本全国で走行した実績があります。

しかし、私たちが普段利用する車にも大きさやスピードの種類があるように、『ARMA』1種類だけでは、全ての地域のニーズには応えきれません。地域に合わせて適切な車を提供していくために、別の車体を探す必要があり、海外のニュースサイトなどから情報収集をして現地へ調査しに行っています。障害物を自動認識できるか、安全に自動停止できるかといったさまざまな観点で車両を見極めていますが、車の乗り心地や体感速度は実際に乗ってみないと分かりませんよね」

エストニア現地でのリサーチ中に撮影。自動運転レベル4対応の新型自動運転EV「MiCa(ミカ)」

エストニア現地でのリサーチ中に撮影。自動運転レベル4対応の新型自動運転EV「MiCa(ミカ)」

米井 「私は幼い頃にインドやオーストラリアに住んでいたことがあり、水や電気など国や地域によって当たり前にあるもの、ないものが違うということ、そして日本は恵まれていることをずっと意識していました。将来的に資源がなくなっていく中で、電気を生み出せる水素の面白さに関心を持ち、重工業メーカーに新卒で就職しましたが、バイクの部品調達部門に配属されたため少しもやもやしていたんです。今ではその経験を生かして、社会に貢献できていると思っています。自動運転車を実際に利用いただいた高齢者の方に『これなら免許返納してもいい』と言ってもらえると、やはりうれしいですね」

“困っている人に今すぐ届けたい” その一心で世界中を探す

交通は町の一部。自動運転で誰かの夢や幸せを後押ししたい

須山 「先ほども言いましたが、地域が抱える交通課題の解決は、町づくりと密接に関わっています。自動運転バスをツールとして、持続可能な町づくりをするために、安全性や信頼性はしっかりと提供していきたい。

その思いの下、BOLDLYが提供する運行管理システム『Dispatcher』は、遠隔での監視や操作を可能とするだけではなく、通信も2系統用意し、1人で複数台を安全に運行させ、1系統で支障があっても、もう1系統で安全に運行が継続できるような仕組み作りを行っています」

米井 「自動運転車の最適解がないように、車のエネルギーも電気だけが最適解ではありません。エネルギー手段としてもう1つ『水素』があれば、将来的に選択肢の幅が広がっていきます。

一人でも多く、移動できないことによる不利益を解消したい、そんな世の中にしたい。移動できたことによって夢を追いかけられるようになった、日々の買い物ができるようになった、と思っていただけたら、私たちの取り組みに意味があると感じられると思っています。自動運転業界の先駆者として、必要なことはなんでもやろうという精神を大切にしているので、目の前のことに一生懸命取り組んでいけば、将来的にSDGsで目指す社会につながっていくのではないでしょうか」

SoftBank SDGs Actions

SoftBank SDGs Actions

「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsに取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、担当社員が自らの言葉で紹介します。

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(掲載日:2023年10月11日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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今回紹介した内容は、「オープンイノベーションによる新規ビジネスの創出」を推進することで、SDGsの目標「3、4、8、9、11、17」の達成と社会課題解決を目指す取り組みの一つです。

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