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被災地の固定電話を衛星でつなぐ。企業の枠を超えた能登半島地震での通信インフラ復旧

企業同士が連携し、固定電話を衛星ネットワークでつなぐ。能登半島地震の避難所への通信手段として無償提供

2024年1月に発生した能登半島地震。震度6強が観測された石川県穴水町では地震発生後、固定電話や携帯電話が利用できない状況に。一般社団法人日本ユニファイド通信事業者協会(以下「JUSA」)とソフトバンクなどJUSAの会員各社、静岡県西伊豆町が協力して、避難所などに衛星ネットワークやクラウド型電話交換機などを用いたクラウド型固定電話を無償で提供しました。

電話回線を使わずに、衛星ネットワークで固定電話網を構築

衛星ネットワークを利用するためのアンテナを設置

衛星ネットワークを利用するためのアンテナを調整

能登半島地震では土砂崩れや液状化などによって主要な道路が寸断され、長期間の停電によって、固定電話や携帯電話などが利用できない状況が発生。復旧工事は人員の確保だけでなく、通信ケーブルを敷設する道路自体の寸断や雪などの影響により、即時対応は困難で、完全復旧までに時間がかかるという状況でした。

そこで、クラウド電話などの通信サービス系の通信事業者によって組織された事業者団体「JUSA」が中心となって提供を行ったのが「クラウド型固定電話(クラウドPBX)」です。衛星ネットワークなどインターネットを介して通話を行う電話システムで、従来の物理的な電話交換機(PBX)や電話線が不要。代わりに、電話交換機がクラウド上に設置され、インターネット接続を通じて電話機能を提供するため、短期間で導入することが可能です。「クラウド型固定電話」は会員各社が持つ設備・ソリューションなどを活用して構築されていますが、ソフトバンクは利用者が使う通信機器から交換機までの接続に「Twilio(トゥイリオ)」というクラウドコミュニケーションAPIを提供しました。

衛星ネットワークを使って、即時に固定電話網を構築

普段から使い慣れた固定電話で、避難者が安心できる通話環境

普段から使い慣れた固定電話で、避難者が安心できる通話環境

穴水町の避難所には、スマホの操作が苦手だったり、携帯電話を所持していない高齢者が多かったことや、地震における生活環境の変化による不安などを少しでも和らげたいという思いから、利用者になじみのある電話機を使った「クラウド型固定電話」を用意。穴水町の市外局番である「0768〜」で始まる電話番号でかけられるような配慮もしています。利用者からは「使い慣れた電話機や番号なので、安心して使用することができた」といった声がありました。

「クラウド型固定電話」は避難所以外に、自治体の災害対策の電話としても利用され、被災地の復旧活動などに活用されました。

普段から使い慣れた固定電話で、避難者が安心できる通話環境

JUSAの担当者は「今回はソフトバンクなど企業の枠を越えてワンチームとなり、総務省にも協力いただきながら、迅速にクラウド型電話ネットワークを構築、提供ができた。この成果をもとに、さらに迅速に支援できるよう議論をはじめている」と今後も継続していくことの意欲を見せました。

ソフトバンクで設置を支援した担当者は「災害支援においてJUSAの会員各社と強固な関係を築くことができた。最近では8月の南海トラフ地震臨時情報が発表されたときも、万が一のことを考えたコミュニケーションがとれていた。必要な状況が発生した場合は、速やかにクラウド型固定電話の設置を行っていきたい」と話しました。

Twilio

Twilioは、電話、SMS、ビデオ、チャットなど、多様化するお客さまとのコミュニケーションチャネルを1つにつなぐクラウドコミュニケーションAPIで、コンタクトセンターなどを中心に導入されています。

Twilioの詳細をみる

(掲載日:2024年9月3日)
文:ソフトバンクニュース編集部
写真:一般社団法人日本ユニファイド通信事業者協会