
近年、災害は激甚化・広域化しており、通信インフラを迅速に復旧させる体制の整備が一層重要になっています。ソフトバンクは、こうした事態に備え、全国各地で総合防災訓練や地域別の防災訓練を毎年複数回実施しています。その一環として、営業部門や管理部門など技術部門以外の社員が社内公募型の「災害時復旧要員」(以下「公募要員」)として、被災地へ駆けつけ、災害復旧を支援する体制を整えています。本記事では、災害時に実際に使用する機材を用いた公募要員向けの実地訓練の様子を紹介します。
広域災害に備えて。全社で支える災害復旧体制

災害により通信障害が発生した際には、迅速な通信復旧が求められます。こうした事態に備え、ソフトバンクは全国各地で総合防災訓練や地域別の防災訓練を年間を通じて実施しており、2025年度はこれまでに140回を超える訓練を行いました。
災害発生時には、まず技術部門を中心に災害対策本部やエリア復旧本部が立ち上がり、基地局の復旧や臨時基地局の配備を進めます。行政・救助機関との連携、支援物資の要請など、復旧活動において通信は重要な役割を担います。
しかし、東日本大震災や熊本地震のように広域で甚大な被害が発生した場合には、技術部門の社員だけでは対応が追いつかない場面も想定されます。早期復旧を実現するためには、より多くの人員による対応体制が必要です。そのため、普段は技術業務に携わらない社員が「公募要員」として災害復旧に参加できる体制を整えています。公募要員は、技術部門の示す方針や手順に沿って現地対応を担い、復旧を支える役割を果たします。
2025年12月23日には、実地訓練に向けた公募要員向けのオリエンテーションが実施されました。訓練の概要だけでなく、災害発生時の体制や対応の流れについても共有され、理解を深める機会となりました。
通信エリア復旧の流れを確認。初めての可搬型基地局設営訓練
2026年2月、電源設備や基地局などが損傷したエリアで、通信エリアを復旧させるために必要な無線機やアンテナ、伝送装置、発電機などをパッケージ化した仮設の通信設備「可搬型基地局」を用いた実地訓練が行われました。
普段、機材が保管されている倉庫への入館、準備、車両への機材搬入、現地への移動、可搬型基地局の設置、撤収までを含めた一連の流れを、実際に公募要員の社員が体験して確認する内容となっていました。
当日は、6人一組のチームを二つ編成。1チームは公募要員、もう1チームは技術職を中心とした応募要員で構成され、それぞれが同様の設営訓練に取り組みました。

準備が整うと、各チームは作業着に着替え、倉庫で必要な機材を確認しながら車両へ搬入していきます。重量物を扱う場面もあるため、無理に1人で作業を進めることはありません。互いに声を掛け合いながら安全を確認し、作業手順を一つずつ確かめていきます。搬入や移動の工程も、災害時を想定した訓練の重要な一部です。

可搬型基地局の設営場所に到着すると、いよいよ設営作業が始まります。アンテナを取り付ける伸縮式の支柱(マスト)の固定や架台の設置、各部の確認作業など、工程ごとに声を掛け合いながら慎重に進めていきました。部品の種類や組み立て手順は、スマートフォンやタブレットで確認できるようになっており、画面で手順を確認しながら作業を進めます。災害現場でも同様の対応ができるよう、手順に沿った動きを繰り返し確認していました。


災害時は2人一組で対応します。可搬型基地局は、30分以内にマストと架台を組み立てられる設計ですが、設営にあたっては高さがあるため風の影響に注意する必要があります。また、足場を安定させるために周囲に十分なスペースを確保できることや、電源を確保できる場所であることも重要です。今回の訓練では、こうした条件や安全面を一つ一つ確認しながら、約1時間強組み立てについて確認しました。
被災地では、手順どおりの作業だけでなく、状況に応じた判断も求められます。公募要員制度を担当するソフトバンク株式会社 ネットワーク運用本部の金丸洋介は、次のように語ります。
「災害時に臨時で通信を確保するための可搬型基地局や避難所向けシステムの設営では、機材を手順どおりに組み立てることだけでなく、避難所での設置にあたって現地の責任者との調整や、避難者の動線への配慮、敷設したケーブルによる転倒防止、発電機の騒音への配慮なども必要になります。公募要員には、手順に沿って作業を進めることに加え、周囲の状況を見ながら判断する力も求められます」
設置訓練に参加した公募要員からは、「必要とされる状況に向けて、怠らず準備を続けることの大切さを理解できた」「より主体的に動くイメージが持てるようになった」「災害時に自分が担うべき役割が明確になった」といった声を聞くことができました。また、「一刻も早く通信を復旧させることが、被災地の方々にとって大切な人とつながることにつながると改めて実感し、責任の重さを感じた」「手順を繰り返し確認し、いざというときに体が動くよう備えたい」といった前向きな意見が寄せられました。
避難所で求められる判断と安全確保。現地での動き方を学ぶ避難所向けシステム設置訓練

ソフトバンクの竹芝本社では、災害時に避難所などで迅速に通信環境を確保する「避難所向けシステム」の設置手順を確認する訓練が行われました。停電や通信障害が発生した環境下でも、インターネット接続や通話環境を確保することを想定した機材です。
スペースが限られた環境下でも通信手段を確保するため、機材の扱い方や基本的な確認手順を実地で確認します。体育館の2階通路やステージなど、電波を広く届けやすく、避難者の動線を妨げにくい場所にアンテナを設置することを想定しています。ここで重視されていたのは、安全確認と連携です。訓練を通して、公募要員が「いざという時に、どのような流れで動くのか」を具体的にイメージできるようにしています。


公募要員からは、「オリエンテーションと実地訓練を通して、災害時に『まず何を優先し、どの順番で動くのか』を具体的に想像できるようになった」「訓練では5人で作業しましたが、災害発生時には2人で対応する体制です。自分が担う作業範囲をより具体的に理解できた」「動画で得た知識だけでは自信を持てなかったが、実際に手を動かすことで現場での動き方を実感できた」など、率直な声が聞かれました。
(掲載日:2026年3月9日)
文:ソフトバンクニュース編集部








