2023年11月30日掲載

2023年のIT流行語ランキング
「生成AI」が約9割の支持を受け圧倒的1位に

~約2,000人のビジネスパーソンに聞いたITトレンド・生成AIの実態調査~

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、2023年11月に「ITトレンド・生成AIの利用実態調査」と題したアンケートを実施し、2023年のIT流行語ランキングとビジネスにおける生成AIの利用状況についてまとめましたので、その調査結果を公開します。

~主な調査トピックス~

  1. IT流行語ランキング1位は「生成AI」で支持率91.0%、2位は支持率28.7%で「DX」
  2. 生成AIを毎日利用している役職者は、「本部長以上」が「課長以上」の約2倍
  3. 「仕事上で生成AIを利用しない理由」は「使い方がわからない」が28.4%で最も多い

本調査は、ソフトバンクのメールマガジンに登録されている法人顧客を対象に、インターネット調査による全8問のアンケートを2023年11月13日から15日に実施し、有効回答数は1,976件でした。なお、本調査のその他のデータ等は「生成AIが1位!ビジネスパーソンに聞いた、2023年ITトレンド調査」にも掲載しています。

2023年のIT流行語は「生成AI」が圧倒的な支持を受ける

はじめに、2023年に注目されたIT(情報通信)のトレンドとして思い浮かぶキーワード、IT流行語について選択式(24語)で質問したところ、「生成AI」が支持率91.0%(1,798票)でIT流行語ランキングの1位に輝きました。2位以下に圧倒的な差をつけた「生成AI」は、OpenAI社が2022年11月に公開した「ChatGPT」がIT業界にとどまらず一般的にも高い注目を集め、2023年1月にネットサービス史上最速となるアクティブユーザー数1億人を突破しました。

なお、ソフトバンクでは生成AIの取り組みとして、国内最大級の生成AI開発向け計算基盤の稼働と国産の大規模言語モデル(LLM)の開発を、10月より本格的に開始しています。国産LLMの開発は、100%子会社である「SB Intuitions株式会社」が行っています。

 ビジネスパーソン約2,000人が選んだ2023年IT流行語ランキング

IT流行語ランキング2位の「DX」は支持率28.7%(567票)と「生成AI」から大差であったものの、自社の基幹業務を根本からデジタル化することが重要であると感じるビジネスパーソンが多いことが明らかになりました。3位の「メタバース」は支持率19.3%(382票)で、幾度となく「波が来る」と言われてきたインターネット上の仮想空間が、現実的なB2Cサービスとしてビジネスパーソンに意識されつつあることがわかります。

上層部の役職者が"使い倒す"生成AI

続いてIT流行語ランキング1位に輝いた「生成AI」について、ビジネスにおける利用実態をビジネスパーソンに質問しました。はじめに、「普段の生活における生成AIの利用頻度」について尋ねたところ、「毎日使っている」から「最近は使っていないが、使ったことはある」までの回答が63.3%となりました。これに対して「ビジネスにおける生成AIの利用頻度」は、同じ利用頻度でも55.4%と約8ポイント差のマイナスとなり、個人的な関心から生成AIに触れたビジネスパーソンの多さが伺えます。

しかし、生成AIの利用定着という観点では状況が異なります。「普段の生活で週に1回程度使っている」以上の高い利用頻度で回答したビジネスパーソンの割合は28.8%であるのに対し、ビジネスで週1回以上使っていると回答した人は32.2%と、先ほどと状況が逆転しました。IT流行語として9割の支持を受けたワードとしては意外な利用率かもしれませんが、業務の高度化・効率化を目的とした生成AI利用の習慣化が、ビジネス面ではある程度定着している様子がうかがえます。

生成AIの利用頻度〜利用シーン別

また、生成AIの利用頻度について「一般社員」「課長以上」「本部長以上」と役職別で回答結果を分類した結果、「毎日使っている」と回答した「本部長以上」の割合は12.1%と最多でした(有効回答数1,457件)。これは「課長以上」の6.0%の約2倍に達するほか、「一般社員」の7.9%も大きく引き離しており、生成AIの有用性について理解した上層部の管理職が、徹底的に使い込んでいる実情が明らかになっています。

生成AI利用頻度〜役職別

ビジネスにおける生成AI利用の課題とは?

生成AIの利用頻度についてはほかにも、「使ったことはない」と回答した人の割合を企業の売上高別に分類したところ、「10億円未満」が52.4%、「10-300億円未満」が44.6%、「300億円以上」が36.7%と、規模の大きい企業ほど生成AIを使う傾向が高いことが明らかになりました。

では、生成AIをビジネスで使わない理由は何でしょうか?「生成AIをビジネスで利用しない」と回答した881名のうち、その理由について複数回答可で尋ねたところ、「使い方がわからない」が最も多く250票(28.4%)でした。次いで「業務に合う生成AIサービスが存在しない」が228票(25.9%)、「使うメリットがわからない」が206票(23.4%)、「情報流出などセキュリティ上の懸念がある」が203票(23.0%)と、上位を占めています。生成AIの導入を検討する企業においては、生成AIの理解を深めるIT学習サービスの導入や、生成AIを使いやすくする「プロンプト」の入力を支援する「Chat UI」などの導入支援サービスを活用することで、従業員の生成AI利用を促進できるかもしれません。

なお、ビジネスで生成AIを利用していると回答した1,095名のうち、「会社や部門で導入検討しているが導入前」「検討も導入もしていない」と回答した人は250名で、生成AIを意欲的に利用しているビジネスパーソンが存在するにもかかわらず、組織全体としては生成AIの導入が進んでいない割合が22.8%にのぼることがわかりました。一般ユーザー向けに提供されている生成AIサービスは、質問された内容をサービス品質向上のために情報学習データとして収集しているケースが多く、情報システム部門が管理できないサービスから会社情報が流出する、いわゆるシャドーITリスクが生じています。生成AIの利用ニーズが高まる中、企業が一律で社員の使用を禁止するよりも、学習データの収集を原則禁止としたビジネス向け生成AIサービスを情報システム部門から提供することで、安全で信頼性の高い使用環境を整備し、ビジネスの推進を後押しすることが求められます。

生成AIを利用しない理由