生成AIが1位! ビジネスパーソンに聞いた、2023年ITトレンド調査

2023年11月30日掲載

2023年ITトレンド調査

2023年もあとわずかとなりました。2023年を振り返ると、3月にWBCで侍ジャパンが世界一に、5月には新型コロナウイルスが5類に移行し移動が活発化、9月には阪神タイガースが18年ぶりのアレなど、さまざまなことがありましたがIT業界においても同様です。そこで今回はIT業界における2023年の流行・トレンドを調査すべく、ソフトバンクでは2023年11月に法人のお客さまを対象とした「ITトレンド・生成AIの実態調査」を約2,000名に実施しました。今回はその調査結果をご紹介します。

実際に生成AIを活用されている方のコメントもたくさん掲載しているので、ぜひ業務活用の参考にしてみてください。

目次

「生成AI」の圧倒的存在

「2023年に注目されたIT(情報通信)のトレンドとして思い浮かぶキーワード、IT流行語」について選択式(24項目)で質問したところ、「生成AI」が1,798票(支持率91.0%)で2位以下に圧倒的な大差を付けて1位に輝きました。11月現在でもChatGPTやOpenAI社に関するニュースや、Micorosoft 社の Copilot 、Google 社の Bard や Duet AI など毎日多くの情報が届いていることからもインパクトが大きかったようです。

 

2位以下は、ここ数年多くの企業で取り組んでいる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が567票(支持率 28.7%)、2021年にフェイスブックが社名を「メタ」と変更するきっかけとなった仮想空間を示す「メタバース」が382票(支持率 19.3%)、人生100年時代を生き抜くために新たな技術や知識の獲得を目指す「リスキリング」が259票(支持率 13.1%)、理化学研究所により国産で初めて稼働が開始した「量子コンピュータ」が227票(支持率 11.5%)と続きました。

 

「生成AI」の取り組み状況とは?

ビジネスと私生活の利用状況

注目度が非常に高かった生成AIですが、実際の利用状況は意外な結果となりました。

約9割の方が2023年のトレンドとして選んでいるにも関わらず、ビジネスで定期的に利用している人(月1回以上)は39.8%でした。一方で3人に1人以上が定期的に生成AIを利用しているとも見ることができ、新しいITツールとしては特筆すべき利用率といえるかもしれません。

また、ビジネスで利用したことがある方よりも私生活において利用したことのある方のほうが多いという結果に。とはいえ、私生活では利用をやめてしまったという方が多く、今でも利用している方(月1回以上)は37%となりました。

ビジネスでの利用において企業規模別で見てみると、企業規模が小さくなるに連れておおむね利用頻度が下がる傾向にありました。

生成AIのビジネス導入状況にみるポリシー設計、情報管理の大切さ

一部の層では定期的に利用されつつある生成AIですが、ビジネスにおいてはどのような環境で利用されているのでしょうか。

ビジネス(企業)でのサービス導入状況をヒアリングしたところ、利用していると答えた方のうち「個人で無償版ChatGPTを利用している」が604票(支持率31%)となり一番多くなりました。無償版ChatGPTはWEBで公開されている一般コンシューマ向けのものとなるため、入力したデータはChatGPTの学習データとして利用されます。もし誤って企業の大切なデータや個人情報を入力してしまうと、情報が漏れてしまう危険性もあります。今後の活用に向けてよりセキュリティの高い環境で利用できる体制を整えたり、どんな内容を入力してよいかなどポリシー設計を企業として取り組んで行く必要があるでしょう。

生成AIをビジネス利用する理由、しない理由

ビジネスで利用する理由

Q3でビジネスで利用すると回答した方に、利用する理由を伺いました。「文書の生成・要約・構成」が672票(支持率 61%)、「アイデア出し」が621票(支持率 57%)、「情報収集」は614票(支持率 56%)の順となりました。

ビジネス利用におけるメリットを享受できたエピソードをフリーコメントで伺ったところ、さまざまな声が届きました。いただいたご意見の一部をご紹介します。

※文章は分かりやすいように、誤字や文末などを一部変更しています。

<<生の声>>

■文書の生成

  • 稟議書などの文章のひな型作成で利用する頻度が高い。業務効率化につながっている。
  • 会社規約変更に際して、規約のたたき台作成を依頼したら5分で完了できた。
  • 契約書のひな型作成で大幅に時間短縮できた。
  • スピーチ原稿の作成が速くなった。
  • SEOを目的としたブログ作成を生成AIで実施したところ30分程度で制作が完了した。
  • セミナー案内文、LP文章、メール文等各文章の作成時間が大幅に削減された。
  • 国の助成金申請の際のストーリー作りに大いに役立った。
  • 口コミの返信を考える時間が、従来の1/3の時間でできるようになった。

■文書の要約・公正

  • 挨拶文章の要約、校正に活用している。
  • 文章要約(議事録、報道記事)、英文・和文翻訳、会議の議事リスト、質問リストの作成業務は50%程度削減できた。24時間好きなときに依頼でき、すぐに返信があるので非常に重宝する。
  • 社内展開等の文書の校正を担当者間でチェックしていたが、一次チェックをChatGPTにさせることで手間が減った。
  • 会議の議事録要旨を秒単位で作成できたので、大幅な時間短縮ができた。

■専門性

  • AIの回答を素案にして人が精緻に校正することにより、作業時間が半分になった。
  • 医療文書の要約が容易になる。
  • 海外企業との交渉でのリーガルな言い回しなどを参考にできた。
  • 契約関連のリーガルチェックのサポート。
  • 専門性の高い契約書の作成時間を50%以上短縮することができました。

■情報収集

  • 取引先の初回訪問前の下調べ時間が短縮された。(業種における現状や課題など)
  • 営業戦略における競合の調査など。
  • インターネット検索をしても、言葉の意味が分からなかったときや検索した言葉の意味をさらに詳しく知りたいときに活用しています。

■アイデア、ディスカッション

  • セミナーや研修のプログラムを作成する時間が半分以下になった。作成したテーマやタイトルの集客効果は抜群であった。
  • ワークショップ型研修の題材となる事例のアイデア出しの効率が格段に上がった。
  • 自分の企画(知恵)がどこまで理解されるのかを確認できる点。いかに(生成AIに)理解させるかを打ち込んでいく間に、問題の本質が見えてくる場合が多い。
  • 新たなビジネスアイデアの論理的な検証にも、客観的な視点からの参考意見を得ることができ、これまでと比較して自分自身での検討レベルが格段に高くなったと感じています。

■資料作成

  • 資料作成における「たたき台」の作成が著しく早くなった。
  • 説明資料やマニュアルを考える時間が半分ぐらいになった。
  • 自分で資料作成した場合、1日かかるものが Copilot を活用したら1-2時間ででき、クオリティも高い。

■コード、プログラミング関連

  • 1時間考えて上手く実装できなかったコードを数分で修正してもらった。
  • 半年かけて作っていたpythonが1週間で完了した。
  • 簡単なコードを書くこととデバックの時間が1/3以下になった。
  • JavaScriptやCSSの生成でChatGPTがとても便利、作業時間が60%削減できた。 
  • プログラムソースのロジックを考える時間が減った。完璧なソースが出てこなくても考え方は参考になるし、分からないコマンドなどは調べる手間が減った。
  • プログラマーに依頼するほどではない単純なプログラムを作りたいと思ったときに、代わりにコードを書いてもらった。
  • プログラミングスキルがなかったが、生成AIにやりたいことを実現できるプログラムを作成してもらい一部業務の自動化を達成、部署の人数が1/3に。
  • あまり触ったことのないプログラム言語のサンプルコードを出力して調査時間を削減できている。

■その他

  • 物事への取り組みが早くなった。どのように書き始めたらよいか悩む時間がなくなり、ひとまず生成AIがたたき台を作ってくれるところから始められるようになった。
  • 画像生成AIにより作成した画像を社内的に利用することで、共通認識の統一化やイメージの具体化を図ることができた。

専門性が高い内容の文章作成や営業提案前に情報収集として利用したり、アイデアの壁打ちや資料作成のスピード向上などさまざまな面で効果を実感しているようです。310件のフリーコメントのうち、およそ50件がプログラミングの効率化などコード生成について述べており、かなりの作業効率の向上があることも分かりました。また、知らない作業においても取り掛かりやすい環境ができたため取り組みはじめるスピードが上がったという面白い意見もありました。

ぜひフリーコメントを参考に生成AIで取り組む作業をご検討ください。

ビジネスで生成AIを利用しない理由

また、Q3で「使ったことがない」と答えた方々に、その理由についても伺いました。

そもそも「使い方が分からない」ためと答えた方は250名(支持率28%)、「業務にあう生成AIサービスが存在しない」が228名(支持率26%)、「使うメリットが分からない」が206名(支持率23%)、「情報流出などセキュリティ上の懸念がある」が203名(支持率23%)と続きました。

企業として、生成AI活用は生産性向上の鍵となることは間違いなく、使い方が分からない方にはまずは学んでもらう環境を作っていかねばならなかったり、業務にあう生成AIサービスの選定や情報流出をさせないための環境の整備も必要となってくるでしょう。また、生成AIの活用メリットについては先ほどのフリーコメントを参考にしていただき、自社の業務に利用できそうなところから初めてみることをお勧めします。

まとめ

今回は2023年のITトレンドキーワードの結果と、その一位である生成AIの取り組み状況についてご紹介しました。生成AIの利用を通して、実際にビジネスメリットを感じられている方々は多くいらっしゃいます。使い方が分からない、手間である、不安など苦手意識を持たずにビジネスのブレークスルーとなりうる生成AIを業務で活用してみてはいかがでしょうか。

ソフトバンクでは企業がセキュアに生成AIに取り組める環境構築のサポートや、スキルの獲得についても全面的にサポートしています。ぜひお気軽にご相談ください。

 

調査タイトルITトレンド・生成AIの実態調査
調査機関2023年11月13~15日
調査方法インターネット調査
有効回答数1,976名
調査対象ソフトバンクのメールマガジンに登録されている法人顧客

本調査のトピックスを記載しているこちらのお知らせ動画もぜひ一緒にご確認ください。

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