脱炭素経営とは? サステナビリティ経営までの道のりをやさしく解説

2024年3月18日更新

脱炭素経営とは? サステナビリティ経営までの道のりをやさしく解説

近年、気候変動に対する意識の高まりに伴い、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出を削減する「脱炭素」への関心が高まっています。ビジネスにおいても「脱炭素経営」を推進する企業が増えてきました。本記事では、「脱炭素経営」の概要と推進するメリット、取り組みをはじめるまでの流れについて解説します。

監修:株式会社ゼロボード(GHG排出量算定・可視化ソリューション提供・サステナビリティ経営のコンサルティング会社)

目次

脱炭素経営とは

「脱炭素経営」は、企業が地球温暖化や気候変動などの環境問題に対処するために、温室効果ガス(GHG)の排出を極力削減し、最終的にはゼロにすることを目指す経営戦略のことです(注1)。
これは従来のビジネスモデルを変革し、環境への負荷を最小限に抑えつつ、企業の長期的な持続可能性を確保することを目指します。

企業が脱炭素経営を行う重要性

従来、あくまでCSR活動の一環として行われることが多かった企業の気候変動対策ですが、近年では気候変動対策を自社の経営上の重要課題と捉え、大企業を中心に全社を挙げて取り組むところが増加しています。「脱炭素経営」を行う重要性は、例えば以下のようなものです。

気候変動への対応

二酸化炭素(CO2)などのGHGの排出が地球温暖化の主要な原因であることはほぼ疑いの余地がないと言われており(注2)。企業が「脱炭素経営」を進めることで、地球温暖化や気候変動への影響を軽減し、持続可能な未来を築く上で重要な役割を果たします。

各種法規制への対応

多くの国や地域が、企業に対して環境保護やGHG排出の削減に関する法規制を導入しはじめています(注3)。「脱炭素経営」を行うことは、これらの法規制を遵守し、法的リスクを回避するために不可欠です。

市場競争力の向上

持続可能性や環境への配慮が、顧客や投資家の間でますます重視されるようになっています。「脱炭素経営」を行うことで、企業は金融市場からの要請に応え、顧客からの信頼を得て、市場競争力を高めることができます。

イノベーションと新たなビジネス機会の創出

「 脱炭素経営」は新たな技術やサービスの開発を促進し、新たなビジネス機会を生み出すポテンシャルを持っています。「脱炭素経営」を機会と捉え、積極的に推進する企業も増加しています。

企業が脱炭素経営を行う上での課題

「脱炭素経営」は持続可能性を追求する上で重要な取り組みですが、その過程で企業が直面するいくつかの課題も存在します。以下では、脱炭素経営を行う際の課題とそれに対する克服策について考察してみます。

専門知識の不足

「脱炭素経営」には、専門知識が必要とされる場合があります。これらの専門知識が不足していたり、専門人材が少ない企業は、効果的な施策をスピード感を持って取り組むことが難しくなります。

▼克服策
専門家やコンサルタントと協力し、必要な技術や知識を取り入れることが重要です。また、人の手間を極力かけずにデータ収集・算定するためには、専用のシステムを導入する方法もあります。同時に従業員の教育やトレーニングを通じて、組織内に必要な能力を育成する必要も出てきます。

コスト増加

再生可能エネルギーへの移行や省エネルギー技術の導入には、初期投資が必要であり、これによって企業のコストが増加する場合があります。特に、既存の設備やプロセスを更新する場合は、大きな費用がかかることがあります。

▼克服策
初期投資を最小限に抑えるために、政府からの補助金や助成金を活用する方法が考えられます。また、長期的な視野に立って投資のリターンを見込める省エネルギー技術や再生可能エネルギーへの投資を検討することも重要です。

サプライチェーンの管理の複雑化

脱炭素経営」を行う企業は、サプライチェーン全体にわたってGHG排出量を管理する必要があります。しかし、サプライヤーとの連携や情報共有には多大な工数とサプライヤーの理解が必要です。

▼克服策
サプライヤーとのパートナーシップを強化し、共同で環境に配慮した取り組みを進めることが重要です。また、サプライチェーンの透明性を高めるために、データ管理システムやテクノロジーの活用を検討することも有効です。

企業の脱炭素経営の取り組み方

脱炭素経営を実現するための具体的な流れをSTEP0~3に分けて解説します。

STEP0:ゴールを設定する

脱炭素経営への取り組みでは、最終的なゴール設定が大切になります。ゴールなき取り組みは迷子になりかねず、取り組みが中途半端になってしまったり、途中で頓挫してしまう原因になりかねません。次のSTEPで記載する「GHG排出量の算定」で終わらない取り組みを推進するためにも、自社が何を目指して脱炭素経営に取り組みむのか、まず最初にゴールを設定しロードマップを策定することが大変重要になってきます。

STEP1:GHG排出量を算定する

ゴールを設定ができたら、実際に排出量の算定を実施しましょう。GHG排出量の算定方法は、GHGプロトコルという国際的な基準が設けられています。
GHGプロトコルにおいて、サプライチェーン排出量は、自社内における直接的な排出だけでなく、自社事業に伴う間接的な排出も対象とし、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量を指します。

Scopeごとのそれぞれの定義は以下の通りです(注4)。

・Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
・Scope2: 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
・Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

STEP2:GHG排出量を可視化・報告する

算定した結果を、可視化し分析したり、必要に応じて報告・開示を行います。報告開示のフレームワークは、国別、業種別、目的別などさまざまな種類があります。

STEP3:削減する

可視化して削減余地が特定できたら、いよいよ削減に取り組むステップです。削減目標の達成度合いに応じて、具体的な削減施策を行っていきます。
代表的な例として、再生可能エネルギーへのエネルギー転換、GHG排出量の少ない原材料の利用、製造プロセスの見直しなどがあります。

脱炭素経営のために企業が今できること

脱炭素経営に取組むにあたっては、いきなり削減を目指すのではなく、上記STEPに則って、自社の現在位置を確認する必要があります。そのためには、システムを使って自社のGHG排出量算定にまずは取り組むことをおすすめします。

「クラウド炭素管理」なら「Zeroboard(ゼロボード)」を利用して、GHGの算定・可視化・削減管理が可能です。「クラウド炭素管理」の主な特長は次の3点です。

活動量をデータ連携・入力するだけでGHG排出量を算定

活動量(調達量や使用量)を入力あるいはデータ連携するだけで、サプライチェーン排出量や製品・サービスごとの排出量(カーボンフットプリント)まで算定可能です。お客さまのフィードバックにもとづいた高い操作性のインターフェースにより、専門的な知識がなくてもお使いいただけます。

ChatGPT APIによるAIチャットボットが質問に回答

算定作業を進める中で出てくる質問にChatGPT APIの「Dr.Zero」が即座に自動回答。スムーズに作業を進めることができます。AIチャットボットは、環境省やWBCSDなどの50種を超える国内外の専門資料を学習させることで現在の制度や解釈に準じて回答いたします。

温対法・省エネ法や自治体条例対応のレポーティング機能

各種環境法令対応のレポートや統合報告書に掲載するためのデータエクスポートなど用途に合わせたアウトプットが可能です。気候変動に対する企業の取り組みをステークホルダーに対して適切に訴求するための機能です。

まとめ

脱炭素経営を成功させるためには、長期的な視点にたって全社戦略として取り組む必要があり、またその過程では専門知識を持って伴走してくれる、信頼のおけるパートナーが必要です。

クラウド炭素管理の提供元である株式会社ゼロボードには、製造業、小売業などのサステナビリティ情報開示やIT業界に精通したエキスパートが多数在籍しており、算定方針や削減目標の決定といった高度な支援、社内でのデータ連携に至るまで、お客さまのフェーズにあわせて多岐にわたるサポートが可能です。また、TCFD開示対応支援、CDP回答支援、SBT取得支援など、より専門的なコンサルティングのメニューも展開しており、お客さまそれぞれの課題にあわせた脱炭素経営を支援しています。

<注釈>

注1:環境省「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」を参照
注2:IPCC第6次評価報告書を参照
注3:炭素国境調整措置:CBAM(欧州)、EUバッテリー規制(欧州)、TCFDの開示に伴う取引先への要求(日本)、グリーン購入法(日本)等
注4:環境省「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」を参照

関連サービス

クラウド炭素管理

専用のソフトウェアで活動量の入力またはデータ連携の設定をするだけで、企業のサプライチェーンGHG排出量の算定・可視化・削減管理が可能になるサービスです。自社はもちろん、グループ企業や取引先も含めたサプライチェーン全体の排出量(Scope3)を見える化し、報告・情報開示の効率化に貢献します。

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